『インフェルノ』をシリーズ初見で楽しめるか否かというお話
レビューメインのCinema A La Carteから、よりライトに多角的に映画を語るブログへと転換を図っていこうと思います。長らくお休み頂き、読者のみなさま失礼致しました…。
今回は2016年10月28日から公開されている『インフェルノ』についてあれこれと語ります。
『インフェルノ』は、『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズの映画第3弾。日米で先週末から公開されていして、一部の国では先週までで既に公開もされています。
原作と映画では順番が異なる
『ダ・ヴィンチ・コード』シリーズ、もしくはロバート・ラングドンシリーズと呼ばれる一大ミステリーシリーズですが、原作と映画とでは順番が異なります。原作
・天使と悪魔
↓
・ダ・ヴィンチ・コード
↓
・ロスト・シンボル
↓
・インフェルノ
映画
・ダ・ヴィンチ・コード
↓
・天使と悪魔
↓
・インフェルノ
※ロスト・シンボルは映画化されてません。
ストーリーや扱う宗教学や象徴学は異なりますが、ロバート・ラングドン教授を主人公としつつ毎回異なる女性が教授をサポートするバディの構図はどれも共通しています。
映画『インフェルノ』は単発ストーリーだが初見殺し?
映画『インフェルノ』は単発の物語です。つまり映画の冒頭で起きたことの結末が映画のラストに用意されています。謎を残したりする終わり方はしません。これは原作にも共通しています。質問:「『インフェルノ』を見るに当って、シリーズは予習した方が良いですか?」
微妙な答え:「ストーリーは繋がっていないので、大丈夫ですよ。」
と即答したくなります。実際見た直後はこんな感じでした。しかし、レビューサイトでいくつかレビューを見ていた際に「初見殺し」という記述があって考え直しました。
正しい答え:「ストーリーは単発だけど、ロバート・ラングドン教授の説明がないので『ダ・ヴィンチ・コード』だけ軽く見ておきましょう。」
くらいが正解ですね。確かにロバート・ラングドン教授の説明が一切ない『インフェルノ』。しかも、今回はいきなり記憶喪失で目覚めるシーンから始まるので何も知らない人は「?????」となってしまうのです。
もちろん、記憶喪失で始まることは主人公と共に謎を疑似体験するという映画的な演出としてはありですけれども。
シリーズものの難しいところ、と言いますか本作に限らずシリーズや連続ドラマの永遠の課題なんだろうなと改めて思いました。
個人的には『インフェルノ』、とてもおもしろかったのだが・・・
そんな『インフェルノ』、私はとても楽しめました。『ダ・ヴィンチ・コード』大ブームの際に右に倣えでハマった私は、言うならば原作ファン。大学時代に『ダ・ヴィンチ・コード』『天使と悪魔』ツアーとしてイタリア&フランスに行ったほど。元々世界史や宗教史も大好きなので、ハマらない要素がないわけです。
映画『ダ・ヴィンチ・コード』は原作の再現に注力したため映画的なテンポに難が出て酷評が多い結果に。それでも私は大好きな世界が映像として再現された喜びが勝り、今でも見返すほど好きな作品です。
映画『天使と悪魔』は前作の反省もあり、大幅な脚色やシーンカットを行い映画的にサスペンスフルな展開の作品となりました。原作のクライマックスのどんでん返しが一部削られていたのでそこだけ不満ですが、映画としてとても面白くこれもまた大好きです。
そして、映画『インフェルノ』。
映画『天使と悪魔』の路線を継承し、大幅な脚色やシーンカットを大胆に行っています。上映時間も121分となっており、スピード感ある物語とフィレンツェ、ベネチア、イスタンブールの世界を堪能しました。
ロバート・ラングドンの過去の物語もビターな印象を残すもので好印象です。また、ハンス・ジマーの音楽が前2作よりもエレクトリカルさを強く押し出したもので驚きましたが、以下のコラムを読んで納得しました。
⇒人気シリーズ第三弾はエレクトリカル? 『インフェルノ』の意外な音楽!|シネマズ by 松竹
ということで「オススメ!」と言いたいのですが、どうも世間的には評判は芳しくないですね。酷評こそ少しですが、イマイチ盛り上がりに欠けるという意見などテンションの低いレビューが多い印象です。
また、アメリカでは前2作に比べて興行成績が著しくよろしくない感じ。
両方とも褒める意味で書くと、『君の名は。』で心の底まで染み透る深い映画体験をしたので、『インフェルノ』みたいなスピード感があって軽めに楽しめるエンタメ作品は対照的で良いなと思った次第です。
やはり映画はその時の心持ちやコンディションによりけりかもなと今回の状況を見て思った次第です。
いつでも何でも楽しめることが一番の幸せかもな、的な。
まとめ
映画『インフェルノ』は、日本では初登場3位となる見込み。評判は賛否ありつつまずまず(良くも悪くも普通)といった感じです。おそらく前2作に熱量があるファンの方や、イタリアが好きな方は問題なくその視点で楽しめるでしょう。私はおそらくこれに属しているので。
映画を含めたエンタメは楽しみたいと思ったものを、心から楽しむのが一番の幸せ。
気になる方は、是非!
という感じで今回は締めたいと思います。
それでは!