『天空の蜂』感想、本当に狂っているのは誰か[ネタバレなし]
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(C)2015「天空の蜂」製作委員会 |
9月12日公開の『天空の蜂』を一足お先に鑑賞させて頂きました。原発というデリケートな問題を描きつつも、エンタメ性を全面に押し出して楽しめる作品に仕上がっていました。
□スコア
◯私的満足度
★★★☆☆(3/5)
=緊張感継続でエンタメ性抜群!
◯ファミリーオススメ度
★★★★☆(4/5)
=家族を守れるか守れないかのお話なのでオススメ。
◯子供オススメ度
★★★☆☆(3/5)
=ハラハラ・ドキドキ見れると思う。
=ハラハラ・ドキドキ見れると思う。
◯友人オススメ度
★★★★☆(4/5)
=上に同じ。
◯デートオススメ度
★★★☆☆(3/5)
=特に害も無く楽しめる。高いところが苦手だときついかも。
◯映画リピーターオススメ度
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□感想「エンタメ性抜群!」
どんなにクオリティ高く映画が作り上げられていても原発を2011年以降に描くという以上、原発推進、原発廃止のどちらに舵を切っても論争が巻き起こるわけで不安が先行してました。しかし、その不安は1ミリも直撃することありませんでした。そしてエンタメ性抜群。堤幸彦監督作品ですがギャグは1回も出てこず緊張感が最後まで続きました。
緊張感抜群、ハラハラドキドキ、演技合戦が楽しく、原発の姿勢にニュートラル。全編通して映画を楽しむことができました。ラストももやもやそこまで無し。
ちなみに原作は東野圭吾さんですが、「さすがにこれは映画化不可能だろ」と思ってたみたいですね。技術的にも違和感なく圧巻の映像も堪能できますよ。
原作
ヘリが自動操縦で乗っ取られて、たまたまそこに開発責任者(江口洋介)の息子が乗っていて救出するのが第1ミッション、そしてそのヘリを原子力発電所「新陽」に墜落させないように奮闘するのが第2ミッション。その裏で犯人探しや確保をするのが裏ミッションといったところでしょう。
複数の登場人物がそれぞれのミッションを達成するために奮闘します。
江口洋介演じる湯原は息子を助けることをまず第1に。一方もう1人の主人公本木雅弘演じる三島は原発に墜落することも想定して冷静に判断をしていきます。
原発内の奮闘、周辺の聞き込み、ヘリの開発会社、そして上空とそれぞれのミッションがアンサンブル的に融合し、一瞬の気の緩みもなくストーリーが進んでいきます。
その緊張感こそが本作の魅力であるとも言えますね。
緊張感を彩るのは演出と映像はもちろん、ハリウッドテイストの鳴らす音楽(外国人が作曲)、そして何よりも豪華俳優陣の演技合戦ですね。江口洋介と本木雅弘のダブル主演の良さは言うまでもなく、おっちゃんたち(國村隼、柄本明、石橋蓮司、竹中直人ら)がピンポイントピンポイントで存在感残すんですよね。子役や自衛隊員も素晴らしいです。
個人的に一番光っていたと思うのは刑事の関根を演じた落合モトキ。『桐島、部活やめるってよ。』の帰宅部竜汰役で有名ですがガラッと雰囲気を変えて使え無さそうな刑事に見えてしっかりと役割を果たす関根を好演しています。素晴らしかったです。
緊張感の糸は一瞬も緩まず、演技合戦も見事。どうしても部分的に映像表現に難があったり、サスペンスの視点で見た際に物足りなさも感じますが、あーだこうだ文句が出るような映画でもありません。
そして何よりも原発に対する姿勢がとても良いです。この映画は原発推進やその利権的な側面も描きつつ、反原発に対してもニュートラルに描いています。どちらも負の面をあくまでも一部の登場人物で描く。それによって「原発は良いもんだ!」「原発は悪いもんだ!」という主張は映画的には成されていません。
描くことを避けてるわけでも無いので逃げてるわけでもないんですよね。この辺りは今の原発を取り巻く事象を改めて考える良い材料になるかなとも思いました。
「本当に狂っているのは誰か」という言葉が一つのメッセージにもなってますしね。
それぞれ言いたいことも映画ですのであるかもしれませんが、真摯な姿勢が伝わってくる作品で、良い部分やお気に入りの部分を容易に見つけられる作品でもあるでしょう。
公開は9月12日からです。どうぞお楽しみに。
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□どんな映画?
ベストセラー作家の東野圭吾が1995年に発表した同名小説を、「SPEC」「20世紀少年」など話題作を多数手がける堤幸彦監督が映画化したサスペンス大作。主演の江口洋介と本木雅弘が初共演し、史上最悪の原発テロ事件解決に向けて奔走する人々の8時間のドラマを描いた。95年8月8日、自衛隊用の最新大型ヘリコプター「ビッグB」が何者かにより遠隔操作されて動き出し、福井県にある原子力発電所「新陽」の真上に静止する。犯人は「天空の蜂」と名乗り、国内すべての原発を廃棄するよう要求。従わなければ爆発物が搭載された「ビックB」を原発に墜落させると宣言する。「ビッグB」を開発した設計士の湯原と、原発の設計士・三島は、事件解決のために力を尽くすが……。
参照:http://eiga.com/movie/80517/
参照:http://eiga.com/movie/80517/
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□「映画ファンの集い」の試写会で出た意見
私主催の「映画ファンの集い」にて『天空の蜂』の試写会を行い、その後作品の座談会を参加者の半数約30名で行いました。そちらのレポの一部をまとめさせて頂きます。
座談会参加者の各映画の平均評価
『天空の蜂』
=平均3.4点(5点満点)
やや高評価といったところに落ち着き、酷評はほぼありませんでした。以下サンプルとして夏映画や細田守作品なども評価を取って平均点を出してみました。
『ミニオンズ』
=平均4.7点
『マッドマックス』
=平均4.5点
『駆込み女と駆け出し男』
=平均4.4点
『インサイドヘッド』
=平均4.0点
『時をかける少女(細田版)』
=平均4.0点
『サマーウォーズ』
=平均4.0点
『バケモノの子』
=平均3.7点
『アベンジャーズ エイジ・オブ・ウルトロン』
=平均3.4点
『アナと雪の女王』
=平均3.3点
『おおかみこどもの雨と雪』
=平均3.1点
『ターミネーター ジェニシス』
=平均2.9点
『進撃の巨人』
=平均2.8点
全体的に映画を楽しむ層の点数ですので参考値になるというわけではありませんが、『天空の蜂』は低評価では無かったというのはおわかり頂けるかなと。
『ミニオンズ』が驚異的な評価です(笑)
座談会で出た「こういう人のオススメ」
・エンタメ作品楽しみたい人
・メカ好き
・ヘリ好き
・サスペンス好き
・本木雅弘ファン
・航空自衛隊ファン
・政治家
・原発何も知らない人
・頑張るエンジニア
・40代以上(江口洋介とかをテレビドラマで見てた世代)
良かった点や良くなかった点はネタバレを多分に含むので現時点ではクローズしておきます。公開のタイミングで追記をするかもしれませんが。
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□まとめ
賛否はありつつも酷評はなく真摯な作品作りへの賛辞が多い『天空の蜂』。とにかく硬派で緊張感があります。ヘリ墜落のタイムリミットが設定上あるのでハラハラ・ドキドキ感のエンタメ性もあります。全世代的に楽しめる作品に仕上がっています。
いや・・・高所恐怖症の方だけは結構厳しいかも・・・。
とは言ってもオススメできないのは高所恐怖症の方くらいですね。9月12日、どうぞお楽しみに!
公式HP
=http://www.tenkunohachi.jp/