映画『ラスト5イヤーズ』感想、破局を描いたラブストーリーミュージカル[ネタバレなし]
4月25日公開の『ラスト5イヤーズ』をお先に鑑賞して参りました。ミュージカル映画であり、ラブストーリーであり、夢を追う話。非常にリアルで胸を打つ作品でした。
□スコア
◯私的満足度
★★★★☆(4/5)
=破局劇は結構エグい、しかし考えさせられる。
◯ファミリーオススメ度
★★☆☆☆(2/5)
=破局劇ミュージカルなので・・・
◯子供オススメ度
★☆☆☆☆(1/5)
=破局劇ミュージカルなので・・・
◯友人オススメ度
★★★★☆(4/5)
=現代が舞台のミュージカルであるのでダレなく見れる
◯デートオススメ度
★★★★☆(4/5)
=破局劇ミュージカルだがこれを見て語り合えてこそ将来があるかも
◯映画リピーターオススメ度
★★★★☆(4/5)
=アナ・ケンドリックはホント素敵です、はい。◯WATCHAでレビューをチェック&書いてみる
□感想、結構エグいw
思った以上にエグい破局劇を描いた映画で結構メンタルに響きました・・・。これは映画的には褒め言葉でして、割と現実であり得る男女のすれ違いを描いています。恋愛で破局を経験したことある人はきっと自分のそれを思い出しながら見ることになるでしょう。特に仕事や夢での価値観の違いやすれ違いを経験したことある人はドストレートに「うわー」となります。映画的には褒め言葉ですが、メンタルにきます。
しかしこの映画、驚くほどその破局劇はどろどろしていないのです。結構映画的にスタイリッシュでテンポよく、味わいとしてはむしろ心地良いくらい。理由は簡単で、これミュージカル映画なんです。
心の叫びを歌に乗せて発しているのでテンポが良いんですね。良くも悪くも『レ・ミゼラブル』や『イントゥ・ザ・ウッズ』的な重厚な歌でも無いのでテンポが乱されません。映像もニューヨークを中心にスタイリッシュで素敵です。
また、この映画が面白いのはただ単に破局劇を時系列で追っていない点です。
この映画男女別々の時間軸を進むのです。
・女性キャシーは別れから出会いまで時間軸が逆
・男性ジェイミーは出会いから別れまで時間軸通り
・二人の気持ち(時間軸)が結婚式だけピッタリ合致
こうい構成をしており、交互に歌が挿入されていくので混乱もしません。複雑に見えてわかりやすく、そして新鮮。一瞬交わる結婚式(=映画中盤)までに出会いも破局も見てるのでこのシーンも幸せに見れない、何たるエグさ・・・。
しかし繰り返している通りとてもリアルで、現代ミュージカルであるのでテンポ良し、雰囲気良し。
ラストシーンには色々考えさせられますが、映画が終わるときには映画のことよりも自分の過去をあれこれと思い巡らせておりました。一歩間違えると映画のことではなく自分の過去を暴露してしまいそうでちょっと要注意。
それくらいこの映画を通して他人事ではない恋愛模様を見せつけられたのです。強烈でした。しかし繰り返している通り心地よさもあり。アナ・ケンドリック可愛いし。
カップルの片方だけ仕事で大成功してしまうのもなかなかエグい。そして男にも女にも良い所も悪いところもある。だからエグい、リアル。
その絶妙なテイスト、いったいどんな監督が成し遂げたのかと思ったら『P.S.アイラブユー』のリチャード・ラグラヴェネーズ監督ですか!なるほど納得でございます。
□どんな映画?
舞台はニューヨーク。女優を目指すキャシーと小説家を志すジェイミー。小説化として順調に成功を収めることとなる夫、そんな夫の陰を歩くようになってしまった妻。互いの気持ちはどんどんかみ合わなくなってしまう。そんな2人の出会いから破局を迎えるまでの5年間を、独創的な時間軸で描く。
参照:http://eiga.com/movie/81429/
予告編
□主役二人のスター性とギャップがたまらない
この映画の主役はアナ・ケンドリックとジェレミー・ジョーン。アナ・ケンドリックはちょうど『イントゥ・ザ・ウッズ』でシンデレラを演じており、日本でも知名度アップ中といったところですね。来月は『ピッチパーフェクト』もあります。ジェレミー・ジョーダンは映画ではないですが海外ドラマ『SMASH』などで知名度アップ中でして、二人揃って今乗りに乗っているといったところですね。
この二人の歌唱パフォーマンスはさすがの一級品でして、舞台版は私拝見していませんがこの二人の『ラスト5イヤーズ』じゃないと嫌だと思うほどハマっておりました。
アナ・ケンドリックは『ピッチパーフェクト』(レビュー近日アップ)でもそうなのですが、顔立ちはっきりしててスター性があるのに影のある役柄が多く、またそれがうまいんですよね。
『イントゥ・ザ・ウッズ』でもシンデレラは地味役でしたし、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされた『マイレージ、マイライフ』でも地味なエリート新参社員でした。
実際のアナ・ケンドリックは超ぶっ飛んだキャラクターで、Twitterで下ネタや問題発言多発wそのギャップもまた良いですよね。
▶『イントゥ・ザ・ウッズ』のシンデレラは誰?っていう方へアナ・ケンドリックの魅力をお伝えしましょう
ジェレミー・ジョーダンは私『SMASH』流し見しかしてないのでちゃんと存じ上げていなかったのですが、地味イケメンのフレッシュさを持ちつつも本作では小説家としてスター街道をのし上がっていくそのちょっと背伸び感が絶妙でした。
フレッシュさがあるからこそ、自分が成功してちょっと背伸びしたくなって、成功できない妻にやきもきするのがわかるような・・・。
と、またこの映画の二人の良い所と悪い所、共感できる所とできない所論に入りたくなっちゃいましたが、
とにかくアナ・ケンドリックとジェレミー・ジョーダンのカップルが絶妙な演技と歌唱パフォーマンスを見せてくれるので破局ミュージカルがテンポ良く、そしてミュージカルとして心地よく見れたのかなと思いました。

□軽々しい若年カップルの恋愛ではなく夫婦の問題を描く
破局ミュージカルと言うと若干語弊が生まれてしまうかもですが、この破局とは「あなたと価値観合わないの!じゃあね!」な軽い破局ではありません。結婚して夫婦となった二人の破局を描いているのです。
これがリアルなんですよね。いや、私結婚してませんけども。
この映画の夫婦は経済的にはそこまで問題はなさそうです。経済的な問題はかなり大きな夫婦問題となると思うのですがそこはクリアしてるわけです。しかし夫婦は徐々にすれ違いをしていくことになります。
そこがリアル。これがリアル。
小説家として成功どころか大成功の旦那といつまで経っても下積み的な女優から成長できない妻。妻は気付けば旦那の影となってしまってるわけです。
家庭に入り慎ましく、が理想ならこれでも良いのかもしれませんが夢を追う二人のうち片方だけが夢を叶えてその上へと突き進むとなると事情が変わってきます。旦那の方もいつまでもうまくいかない妻にやきもきするわけです。
そして・・・うんリアル。
この映画の二人はネタバレもクソもなく破局を迎えます。それを見て、そこから何を学ぶかが重要でしょう。
「自分がこのようになったら?」
結婚しているなら当然考え、結婚してなくても将来どうしようと考えるきっかけになることでしょう。正解というのは存在しないでしょう。愛い合う二人だけがその問題を認識し、そして乗り越えるしかないのです。
恋愛って難しい、夫婦って難しいを痛感する映画。しかし繰り返している通りドロドロではなく、心地よいミュージカルでもある映画です。
百聞は一見に如かず。
4月25日以降、劇場へ足を運んで見てはいかがでしょうか。