『ビッグ・アイズ』感想、ヴァルツが魅せるクソオヤジを、憎んで笑って最後はスカッと![ネタバレなし]
だいぶ遅いレビューとなりましたがティム・バートン監督の新作『ビッグ・アイズ』を鑑賞しました。クリストフ・ヴァルツが出てるんですから、はい、そういうことです(笑)
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□スコア
◯私的満足度
★★★☆☆(3/5)
=後半の法廷劇×クリストフ・ヴァルツ熱演が最高でした!
◯ファミリーオススメ度
★★☆☆☆(2/5)
=家族が崩れる話でもあるので…。
◯子供オススメ度
★★☆☆☆(2/5)
=上に同じ
◯友人オススメ度
★★★☆☆(3/5)
=意外とコメディチックなとこもあるので軽く楽しめます。
◯デートオススメ度
★★☆☆☆(2/5)
=男女が離れる話でもあるので…。
◯映画リピーターオススメ度
★★★☆☆(3/5)
□一言感想
ティム・バートンぽくないと思いつつ、普通に楽しみました。妻の描いた画を自分が描いたと嘘ついて営業して大儲けした夫。それで夫婦は金持ちになって成功したようになったのですが妻が徐々にその嘘の状況に抵抗を…。そしてあるきっかけから嘘を公表しようとしてしまうお話。というかした話。
これ実話が元になっています。
物語を楽しみつつ、これ難しい問題だなあと色々考えるきっかになった映画でした。その辺はまた後述。
主役を演じるエイミー・アダムスのチャーミングで時に深みにある演技は超好感がモテるママキャラで、後半になるにつれて「がんばれ!がんばれ!」と言いたくなる展開と存在感。
敵対することになる夫を演じたクリストフ・ヴァルツ。これがもうそのエイミー・アダムスにも増して演技としては超面白かったです。そもそもですよ、「あの」クリストフ・ヴァルツがイカさまで口がうまい親父を演じて後半法廷でぺちゃくちゃ喋るんですよ!
もう一度言いますね、「あの」クリストフ・ヴァルツです!(笑)『イングロリアス・バスターズ』と『ジャンゴ 繋がれざる者』で2度アカデミー賞に輝いたあの名優ですよ。アカデミー賞に輝いたこの2作品、特にイングロのランダ大佐も喋りが超面白いクソナチスでした。
クリストフ・ヴァルツに喋らせ演技させたらもうそいつがどんなに最低な人間でも映画としての存在感を示し、見ている側は「ヴァルツさん今回もやべえwww」ってなるわけです。
映画全体と通してはティム・バートンのファンタジー要素はほぼ鳴りを潜め、いつものぶっ飛んだ勢いを感じることはありませんでした。不満点にはなりませんが、いつものプラスαを感じなかったという感じでしょうか。
しかし、今回題材となっているこの大きな目のマーガレット・キーンの画はティム・バートンに多大な影響を与えていることに気づきました。『ナイトメア・ビフォア・クリスマス』『コープス・ブライド』『フランケンウィニー』、そして彼の描く画はとにかく目が特徴的。
そう考えた時、この映画はいつものティム・バートンのフィルモグラフィーに並べるというよりももっとパーソナルな彼が尊敬するマーガレット・キーンへの敬意であったのだとわかりました。
そう考えると、この映画は「面白い、面白くない」「楽しい、楽しくない」ではなく、もっとパーソナルにティム・バートンの今までとこれからを見る極めて重要な作品なのではないかと思いました。
と、珍しく分析的なこともしたくなる作品でした。
とにかく魅力はクリストフ・ヴァルツ。それだけで十分満足な映画でした。
□どんな映画?
1960年代アメリカのポップアート界で人気を博した「ビッグ・アイズ」シリーズをめぐり、実在の画家マーガレット&ウォルター・キーン夫妻の間に起こった出来事を描いたドラマ。悲しげで大きな目をした子どもを描いたウォルター・キーンの「ビッグ・アイズ」シリーズは、ハリウッド女優たちにも愛され、世界中で大ブームになる。作者のウォルターも美術界の寵児として脚光を浴びるが、実はその絵はウォルターの妻マーガレットが描いていたものだった。絵は飛ぶように売れていくが、内気な性格のマーガレットは、自分の感情を表すことができる唯一の手段である「ビッグ・アイズ」を守るため、真実を公表することを決意する。
参照:http://eiga.com/movie/80081/
予告編
□『ビッグ・フィッシュ』と対になる?
感想や魅力は上にサクッとまとめたのでその周辺に関して書きたいことをつらつらと。この映画『ビッグ・フィッシュ』の真逆だな〜って思いました。んで、映画見てから人気映画ブロガーのヒナタカさん(リアルで普通に知り合い)のブログ見たところ同じこと書かれてました。
⇒評論に勝る表現 映画『ビッグ・アイズ』ネタバレなし感想+ネタバレレビュー
要するに『ビッグ・フィッシュ』は父親のやさしい嘘が息子、そして映画を見ている私たちに優しさを与えてくれた映画です。
対する『ビッグ・アイズ』はクソ親父の傲慢からくる嘘が、妻と子そして観客をムカッとさせる映画です。ただしクリストフ・ヴァルツの演技もあって「このクソ親父www」と苦笑で楽しめますので映画としてはあり(笑)
嘘って小さなものであればどんな善人でもかならずついたことあると思います。『ビッグ・アイズ』は法廷闘争になっても最後の最後まで嘘つきます。『ビッグ・フィッシュ』も最後まで嘘ついてましたが、感じるものが真逆!
これティム・バートン自身どう思ってるか非常に興味がありますね。まあ実際は『ビッグ・アイズ』という企画をとにかくやりたかったというだけかもしれませんんけどね。
『ビッグ・フィッシュ』も合わせて見ると色々楽しめるかもしれませんよ。
□まとめ
この映画におけるクリストフ・ヴァルツ演じるウォルターは最低最悪のキャラクターなんですが、100%ダメな奴かというとちょっと疑問が残ります。要は彼の最強の営業力が無ければ画は売れなかったわけです。彼の力があったからこそ画は日の目を見ました。
とは言っても擁護はできません。これは映画を見ればわかります。本当にクソ野郎なんです(笑)
イラッとするけどどこか憎めず愛嬌のあるウォルター。これはもう繰り返している通りクリストフ・ヴァルツの演技があってこそ。アカデミー賞にノミネートされませんでしたが、しても申し分ない演技です。
まだちょいちょい劇場でやってますので劇場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。
おしまい。
□関連作品
ティム・バートン監督『ビッグフィッシュ』クリストフ・ヴァルツ出演『イングロリアス・バスターズ』
クリストフ・ヴァルツ出演『ジャンゴ 繋がれざる者』