『エクソダス:神と王』感想、ちょっと現代解釈の十戒の話であってリドリー・スコット・スペクタクルではない!しかしビジュアルは見事![ネタバレなし]
1月31日公開、リドリー・スコット監督×クリスチャン・ベイルであの「十戒」を描く『エクソダス:神と王』をお先に鑑賞させて頂きました。
□スコア
◯私的満足度
★★☆☆☆(2/5)
=「十戒」勉強した身としてはとても消化不良…。ビジュアルは見事。
◯ファミリーオススメ度
★☆☆☆☆(1/5)
=「十戒」なのと残虐なのとで…。
◯子供オススメ度
★☆☆☆☆(1/5)
=リドリー・スコットの歴史物映画は残虐なので…。
◯友人オススメ度
★★★☆☆(3/5)
=少々のスペクタクルはあるので悪くはない。
◯デートオススメ度
★☆☆☆☆(1/5)
=映画好き同志で無いならちょっと違うかなと…。
◯一人映画オススメ度
□一言感想
「モーセの十戒」と聞いた時、みなさんそれぞれ思い浮かべるものは何でしょうか。私は高校がミッション系で聖書科という授業があったので旧約聖書が学問的に整理されて頭に残っています。クリスチャンではないのでいたって冷静に知識として。その状態で今回の「リドリー・スコット版十戒」を見た時、ただただ省略されるがゆえに誤解を生みそうな箇所が気になって仕方ありませんでした。
私は『グラディエーター』という半分フィクションの映画を通してローマ史に興味を持った人間です。そのリドリー・スコット監督再びの歴史大作ということでこの映画を通して十戒の側面から世界史や聖書に興味を持つ方が増えたらいいなと思っています。
しかし十戒を中途半端でも習った身としてはとにかくこの映画は物足りなさと退屈さが優先してしまいます。とても残念。
最大のスペクタクルと釘打ってますが、映画のスペクタクル度としては『グラディエーター』、『キングダム・オブ・ヘブン』、『ロビン・フッド』の方が断然上です。少々含まれるリドリー・スコットらしい壮大な描写が出てくるとホッとする自分がそこにはいました。
「ん〜何か違う・・・」ともやもやしてしまいました。しかし淡々と進む物語、知識が無ければ十戒を学べる場になりますので決して「アレもダメ、コレもダメ」な映画ではありません。
映画本編より最後に出る「For My Brother Tony Scott」のクレジットの一撃で映画本編が吹き飛んでしまったのが本音であります…。改めてトニー・スコット…さようなら…。
□どんな話?
紀元前1300年、栄華を誇るエジプトの王家で養子として育てられたモーゼが、兄弟同然に育ったエジプト王ラムセスに反旗を翻し、たった1人で40万人のヘブライの民を救うため、約束の地を目指す旅を描く。
映画.comより
「史実に基づいてる」映画であっても全てが史実通りなわけないのでそういう細かい部分はあまり気にしないタイプです。ただ省略や改変が気になってしまうのは今回たまたま十戒知識があったが故の災難だったなと思いました。
□見どころは何と言ってもビジュアルかと!
色々考えてしまうところがあったというマイナス要素は書きましたが、魅力もしっかりあるわけでございまして。
それは美術×衣装×演出×撮影が生み出す圧巻の映像ビジュアルです。
細部に至るまでしっかりと手のこんだものになっています。リドリー・スコット監督は歴史映画を何度も製作されてるのでそれ故の手慣れ感がこのビジュアル面ではかなりプラスに働いていました。
スペクタクルシーンと言いますか戦闘シーンは『グラディエーター』や『キングダム・オブ・ヘブン』や『ロビン・フッド』に比べてかなり少ないです。しかしながらリドリー・スコット監督作品として過去最大の予算が投入されているのです。
これは圧巻のビジュアルを見れば納得がいくものであります。
また戦闘シーンは少なめですが、他の映画に比べれば問題なくあるわけでして、その戦闘シーンの熱い感じはさすがリドリー・スコットという感じで満足感を味あわせてくれます。
2Dで見たのですが、IMAX3Dがあるということで映像面ではこれ1回堪能したいなと思ったり。ただ私的満足度がその他で低かったので行くかどうかは…ちょっと未定です^^;
□『十戒』という映画との比較を軽く
『エクソダス:神と王』と同じく旧約聖書の"出エジプト記"がモチーフになっている映画に1956年に公開された『十戒』という映画があります。まあ名前そのまま。
こちらの映画232分もあるんですね。つまり3時間52分。私も1度しか見てません。この映画は十戒誕生までの物語を淡々と一つ一つ描いています。賛否はありますし、聖書解釈上人それぞれ思う所はあると思いますが、丁寧に描写していったという意味で勉強になる映画です。
それに対してリドリー・スコット版『十戒』である『エクソダス:神と王』は150分の映画です。ただし『エクソダス:神と王』は決して『十戒』の軽い版ではありません。別のアプローチが取られているからです。
ただし出生時というか幼少期のモーセが描かれておらずその辺『十戒』を見ていたり、"出エジプト記"がわかってると若干消化不良になってしまうかもしれません。
切り口というかアプローチでは『十戒』や旧約聖書の知識が邪魔をして満足度を下げてしまうのですが、言わずもがなリドリー・スコット監督らしい超見事なVFX映像は『十戒』は足元に及ばないくらい凄まじく、戦闘シーンもさすがのリドリー・スコット演出なのでその点も『十戒』と『エクソダス:神と王』の明確な違いと言えるでしょう。
『エクソダス:神と王』を見て「もっと十戒を知りたい」「出エジプト記全体を知りたい」「モーセという人物をもっと知りたい」など思ったら『十戒』を鑑賞して、その後旧約聖書にも手を出してみると良いかもしれませんよ。
□もっと何かパワーがほしい
さて、良い面と悪い面、両方を色々と書かせて頂きました。私、実は映画が好きになったきっかけが本作の監督リドリー・スコットの『グラディエーター』なんです。あの映画を通して世界史と映画が好きになりまして、リドリー・スコット監督の映画を様々鑑賞してきました。
それ故にいつもいつもリドリー・スコット監督作品を楽しみにしていて過度な期待をしてしまうのです。
しかし全ての始まりが『グラディエーター』である以上、同ジャンルでそれを超えるのは難しいわけです。気持ちが入ってしまってるので。今回もそれを痛感しました。
ですので本作にカタルシスを感じて熱狂される方も多いと思いますし、それでこそ楽しめると思いますので是非多くの方がそうやって楽しんでくれたらなと思っております。
もう一歩、何かパワーというか突き抜ける何かがあれば良いなと思いつつ、次のリドリー・スコット監督作品に期待を寄せたいと思います。
御年77歳ですので無理せずに頑張ってほしいなと思っております。
おしまい。
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