『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』感想、「譲れない」「変われない」それもそれでいいじゃない!って思える映画。[ネタバレなし]
ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン最新作『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』、鑑賞してきました!
□私的満足度
★★★★=星4=素晴らしい作品でした!【評価の参考値】
★★★★★+・・・満点以上の個人的超傑作!
★★★★★・・・・お見事!これは傑作です!
★★★★・・・・・素晴らしい作品でした!
★★★・・・・・・普通に楽しめました。←平均評価
★★・・・・・・・ん〜イマイチ乗れませんでした。
★・・・・・・・・ダメなもんはダメ!クソ!
※通知表のような5段階評価で、個人的にツボった作品は例外で5+にしています。
ちなみに私は映画は楽しむ&褒めるスタンスなので評価相当甘いです。
WATCHAでレビューをチェック&書いてみる
□『インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌』基本情報
タイトル=インサイド・ルーウィン・デイヴィス 名もなき男の歌
原題
=Inside Llewyn Davis
監督
=ジョエル・コーエン&イーサン・コーエン
キャスト
=オスカー・アイザック
=キャリー・マリガン
=ジョン・グッドマン
=ギャレット・ヘドランド
=ジャスティン・ティンバーレイク
ストーリー
60年代の冬のニューヨーク。シンガーソングライターのルーウィンは、ライブハウスで歌い続けながらも、なかなか売れることができずにいた。音楽で食べていくことをあきらめかけていたが、それでも友人たちの助けを借り、なんとか日々を送っていく。
予告編
https://www.youtube.com/watch?v=nUQOhKYgKME
□渋い硬派なコーエン兄弟作品!
いや〜渋くていい!
音楽がいい!
オスカー・アイザック渋い!
キャリー・マリガン美しい!
ジャスティン・ティンバーレイクカッコいい!
それらがコーエン兄弟演出でしっかりまとまってる!
サクセスストーリーとは程遠い物語なのに、人生をもっと頑張ろうと思える素晴らしい作品でありました。
舞台は1961年のニューヨークやシカゴ。フォーク・ミュージックの幕開けを、売れないシンガーソングライターの1週間を通して描いています。
フォークミュージックを描いている時点でミュージック映画としての魅力がまずあります。映画を見て、音楽を聴いて心地よい気分になります。それがまず問答無用に素晴らしいです。
[DVD発売済み]
オスカー・アイザックの歌声が非常に渋く素晴らしいです。さらにプロミュージシャンであるジャスティン・ティンバーレイクが脇からいい感じの存在感で作品を洗練させているのもプラスですね。
私はそこまで音楽に詳しくありませんが、それでも心地よさを感じました。サントラ買わないと。
そんな心地よさと対照的に「現実にミュージシャンになろうなんて甘くないぞ」というストーリーがここにはあります。本作はサクセスストーリーのように見えて全くそんなことありません。そもそもどの分野でも"成功者がいれば敗北者がいる"のです。
本作は敗北者を描いているわけではありませんが成功者を描いているわけでもありません。そこに美談が無いからこそ非常に見応えあるドラマに仕上がっています。
映画ならではのサクセスストーリーもカタルシスがあって楽しいですが、「現実は甘くない」を突きつけつつ、「それでも夢を持つのは仕方ない」というフォローを入れてるのが本作と言えるでしょう。
夢を諦めず追っているものの、どうも成功できない……なんていう人は何かを感じずにはいられないと思います。
と書いているとバットエンドで無いにしろ結構ヘヴィー級な映画のように思われてしまうかもしれませんが、そんなことありません。ここはさすがコーエン兄弟監督作だけあって、時にユーモラスに、時にセンス抜群に映画を彩っています。
終始登場する猫の存在が絶妙なんですよね。その辺にいそうな猫。たまに逃げる猫。その"普通の猫"故の存在感に何度もニヤリとさせられました。
夢を追う話に戻りましょう。夢だけでないかもしれませんが、人間が何か新しいチャンスを掴む時に邪魔するものがあります。それはプライドです。プライド故に強がったり、プライド故に拒否したり、プライド故に横柄な態度をとったり。本作でもそれが描かれます。
本作で描かれるそれ、映画で描かれるそれを見ると冷静に「いや〜それはプライドなんて気にしないでチャレンジしろよ!」って思うんです。でも、人間いざという時結構こういう感じなんですよね。そのリアルさが胸にガツンときました。分野は違えど自分を見てるようでした。
夢を追ってることは夢に取り憑かれてるようなもの。諦められない=脱出できない迷宮なのかもしれません。しかし、それもまあ人生。決して大きな成功はせずとも、今を生きていくしか無い。それをネガティブではなくどこかポジティブに映画の最後から感じました。
ということで、フォークミュージック好き嫌いと言うよりも夢やプライドといったもっと人間誰もが持っているものをしっかり描いてるように感じました。サラリと説教臭くやらないコーエン兄弟演出見事にハマりました。
わりと誰にでもオススメできる1本です。
それでは。
written by shuhei