『アデル、ブルーは熱い色』感想、一周回って本当の純粋(ピュア)とはこういうことなんだと思った。[ネタバレなし]
第66回カンヌ国際映画祭パルムドールを受賞した衝撃作。前評判と賛否両論、あまりに生々しいレズビアン描写の情報など事前に色々情報を目にしての鑑賞でありました。良くも悪くも"凄い映画"であることは間違いないでしょう。
映画の新着記事をfacebookで受け取る
□私的満足度
【評価の参考値】
★★★★★+・・・満点以上の個人的超傑作!
★★★★★・・・・お見事!これは傑作です!
★★★★・・・・・素晴らしい作品でした!
★★★・・・・・・普通に楽しめました。←平均評価
★★・・・・・・・ん〜イマイチ乗れませんでした。
★・・・・・・・・ダメなもんはダメ!クソ!
※通知表のような5段階評価で、個人的にツボった作品は例外で5+にしています。
ちなみに私は映画は楽しむ&褒めるスタンスなので評価相当甘いです。
WATCHAでレビューをチェック&書いてみる
□『アデル、ブルーは熱い色』基本情報
タイトル=アデル、ブルーは熱い色
監督
=アブデラティフ・ケシシュ
キャスト
=アデル・エグザルコプロスアデル
=レア・セドゥー
=サリム・ケシュシュ
=モナ・バルラベン
青い髪の美大生エマと出会い、運命的な恋に落ちた女性アデルの情熱的な人生を、大胆な性愛描写とともに描いた。文学を愛する高校生アデルは、青い髪をした美大生エマと運命的な出会いを果たし、2人は激しく愛し合うようになる。しかし、時の流れとともに2人の気持ちは次第にすれ違っていき……。
予告編
□感想を率直に申し上げますと、
映画を鑑賞して何かを感じたというより、二人の女性のピュアな愛の物語を覗き見してしまったという感覚です。感想じゃなくて感覚ですが。
[DVD発売済み]
感想はこれ述べにくいですね。極めて不快なシーンもありますし、生々しいシーンもありますし、切ないシーンもありますし、不快を含めて様々思うことがありつつも、終わった後はなぜかとても冷静に映画と向き合えたりします。
すごい映画、しかし好きじゃない。傑作だけど。嫌いじゃないけど。という不安定な感想になるのが本音ですかね。
まずこれ、"同性愛映画"という感じではないですね。たまたま愛した、恋したのが同じ性別だったってだけ。男女に置き換えて整理して考えても良い。自分自身に置き換えて整理して考えても良いでしょう。
そのたまたま愛した相手が同じ性別、女性故の女性同士が心をぶつけ、身体をぶつけ、繋がり合い、傷つけ合う、"生々しさ"がそこにはありました。生々しいというと不快な言葉に聞こえるかもしれませんがそうではないんです。
タイトルに書いた通り、全てをぶつけ合うことは一周回って"純粋(ぴゅあ)"でもあるのです。生々しい=ピュア。お前何言ってんの?って思われるかもしれませんがそう思ったのです。
冷静に考えてみてください。ピュアって何です? 純粋って何です? 汚れを知らないことですか? 性についての知識が無くエロい妄想すら知らない童貞処女の少年少女のことですか? 本当にそうですか? 違いませんか?
辞書で調べると、純粋とは「まじりけのないこと」「雑多なものがまじっていないこと」「気持ちに打算や掛け引きのないこと」などが出てきます。まさにこの映画の二人です。
これでもかと見せつけられる生々しい性描写や、パスタをくちゃくちゃ食べる生活感溢れるシーン、感情と感情がぶつかり合う修羅場シーン。その1つ1つはあまりに衝撃的で時に不快な描写でもあるのですが、それこそがまさに純粋・ピュアそのものなのです。
それをストレートに、ストーリー構成など二の次で見せつけられるのです。だからこそ映画として何とも楽しめるものではないけれど伝わってくるもの、感じるものがある凄い映画なのです。見るのホントきつい映画ではありますが。
アブデラティフ・ケシシュ監督はどうやら本作で二人の感情が内面から出てくるようにひたすら人物になりきってもらって、台詞を発させるのではなく心からの言葉をアドリブで出させる演出をしたそうです。
主人公の名前が"アデル"で、主演女優がアデル・エグザルコプロスアデル。この名前被せもなりきってもらうための装置だったというわけであります。
その内面から出てくる感情をこれでもかとズームアップで見せてきます。とにかく顔のアップシーンが多い。というか人ばっかり写ってる。顔のアップが続くとその顔隅々まで意識させられます。これは『レ・ミゼラブル』でも感じましたが、表情から感情が強烈に伝わってきます。
しかも本作は『レ・ミゼラブル』と違ってテンポ計算などありません。とにかく感情を描く、心を描いていきます。だからこういう映画に慣れてない人や年間1〜2本しか映画観ない人が見たら、間延びシーンに告ぐ間延びシーンと思うことでしょう。
その間延びと思う積み重ねが、何よりも感情を我々に伝えているんですけどね。
本作は過激な性描写を含みますが、それはあくまでも純粋そのものを描きたかったからでしょう。性描写、性描写と言われますが、客観的に考えると性描写を含めた人間の三大欲求を余すこと無く描いたというのが正しいでしょう。
性描写は美しさを伴っていたので、私的には生理的にNGという感じはありませんでした。しかし食欲を描いたパスタシーンでまさかここまで不快感を抱くとは思いませんでした。食べ方が下品。それをまじまじと見せちゃう監督の演出に脱帽であります。
かなり多くのシーンにわざとらしさを含めて"青"が使われているのも印象的ですね。その一つ一つが何かの暗喩ではないかと勘ぐってしまいます。私の知識ではそれを解説することはできませんが……。
女優二人の熱演と、監督の徹底演出にはホント脱帽であります。その熱量を見るだけでも価値ある映画と言えるでしょう。ピュアの再考を私は本作でしましたが、本作の感想は賛否置いておいて多岐に渡り、読むのがホント面白いです。
前述の通り、私的には
すごい映画、、、
でも好きじゃない、、、
傑作だけど、、、
嫌いじゃないけど、、、
という感じです。
しかしそれでも不快なシーンを含めてかなり強烈に突き刺さってきたことは間違いありません。あまりの生々しさは一周回ってピュア。これは他人事ではなく、鑑賞した人それぞれが自らの恋愛に置き換えて整理してみても良いと思います。
素直でいること、閉じこもらないこと、ぶつかり合うこと、気持ちを相手に伝えること、それこそが本当の純粋・ピュア。
そんなことを夜空を見て整理して、文章にしてみた次第であります。
おしまい。
written by shuhei
[DVD発売済み]
感想はこれ述べにくいですね。極めて不快なシーンもありますし、生々しいシーンもありますし、切ないシーンもありますし、不快を含めて様々思うことがありつつも、終わった後はなぜかとても冷静に映画と向き合えたりします。
すごい映画、しかし好きじゃない。傑作だけど。嫌いじゃないけど。という不安定な感想になるのが本音ですかね。
まずこれ、"同性愛映画"という感じではないですね。たまたま愛した、恋したのが同じ性別だったってだけ。男女に置き換えて整理して考えても良い。自分自身に置き換えて整理して考えても良いでしょう。
そのたまたま愛した相手が同じ性別、女性故の女性同士が心をぶつけ、身体をぶつけ、繋がり合い、傷つけ合う、"生々しさ"がそこにはありました。生々しいというと不快な言葉に聞こえるかもしれませんがそうではないんです。
タイトルに書いた通り、全てをぶつけ合うことは一周回って"純粋(ぴゅあ)"でもあるのです。生々しい=ピュア。お前何言ってんの?って思われるかもしれませんがそう思ったのです。
冷静に考えてみてください。ピュアって何です? 純粋って何です? 汚れを知らないことですか? 性についての知識が無くエロい妄想すら知らない童貞処女の少年少女のことですか? 本当にそうですか? 違いませんか?
辞書で調べると、純粋とは「まじりけのないこと」「雑多なものがまじっていないこと」「気持ちに打算や掛け引きのないこと」などが出てきます。まさにこの映画の二人です。
それをストレートに、ストーリー構成など二の次で見せつけられるのです。だからこそ映画として何とも楽しめるものではないけれど伝わってくるもの、感じるものがある凄い映画なのです。見るのホントきつい映画ではありますが。
アブデラティフ・ケシシュ監督はどうやら本作で二人の感情が内面から出てくるようにひたすら人物になりきってもらって、台詞を発させるのではなく心からの言葉をアドリブで出させる演出をしたそうです。
主人公の名前が"アデル"で、主演女優がアデル・エグザルコプロスアデル。この名前被せもなりきってもらうための装置だったというわけであります。
その内面から出てくる感情をこれでもかとズームアップで見せてきます。とにかく顔のアップシーンが多い。というか人ばっかり写ってる。顔のアップが続くとその顔隅々まで意識させられます。これは『レ・ミゼラブル』でも感じましたが、表情から感情が強烈に伝わってきます。
しかも本作は『レ・ミゼラブル』と違ってテンポ計算などありません。とにかく感情を描く、心を描いていきます。だからこういう映画に慣れてない人や年間1〜2本しか映画観ない人が見たら、間延びシーンに告ぐ間延びシーンと思うことでしょう。
その間延びと思う積み重ねが、何よりも感情を我々に伝えているんですけどね。
本作は過激な性描写を含みますが、それはあくまでも純粋そのものを描きたかったからでしょう。性描写、性描写と言われますが、客観的に考えると性描写を含めた人間の三大欲求を余すこと無く描いたというのが正しいでしょう。
性描写は美しさを伴っていたので、私的には生理的にNGという感じはありませんでした。しかし食欲を描いたパスタシーンでまさかここまで不快感を抱くとは思いませんでした。食べ方が下品。それをまじまじと見せちゃう監督の演出に脱帽であります。
かなり多くのシーンにわざとらしさを含めて"青"が使われているのも印象的ですね。その一つ一つが何かの暗喩ではないかと勘ぐってしまいます。私の知識ではそれを解説することはできませんが……。
女優二人の熱演と、監督の徹底演出にはホント脱帽であります。その熱量を見るだけでも価値ある映画と言えるでしょう。ピュアの再考を私は本作でしましたが、本作の感想は賛否置いておいて多岐に渡り、読むのがホント面白いです。
前述の通り、私的には
すごい映画、、、
でも好きじゃない、、、
傑作だけど、、、
嫌いじゃないけど、、、
という感じです。
しかしそれでも不快なシーンを含めてかなり強烈に突き刺さってきたことは間違いありません。あまりの生々しさは一周回ってピュア。これは他人事ではなく、鑑賞した人それぞれが自らの恋愛に置き換えて整理してみても良いと思います。
素直でいること、閉じこもらないこと、ぶつかり合うこと、気持ちを相手に伝えること、それこそが本当の純粋・ピュア。
そんなことを夜空を見て整理して、文章にしてみた次第であります。
おしまい。
written by shuhei