『かぐや姫の物語』の感想!高畑勲最高傑作であり、ジブリ史に残る超傑作!
ウォルト・ディズニー・ジャパン株式会社 (2014-12-03)
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高畑勲監督の最新作『かぐや姫の物語』の感想記事です。高畑勲最高傑作であり、ジブリ史に残る超傑作と言えるでしょう!
10年に1度と言えるほどの傑作に圧倒された
ジブリ作品今年2本目で、高畑勲監督14年ぶりの作品『かぐや姫の物語』。お先に鑑賞して参りました。日本最古の物語と言われる"竹取物語"の完全映画化です。もう最高でした。酔いしれました。
誰もが少しは知ってるであろう"竹取物語"ってここまで深い物語だったのかという感銘。
水墨画が動いているかのような見たことのない芸術的な映像。
命を吹き込む声と音楽。
罪と罰ゆえに到達する悲しい結末。
そこからの畳み掛け。
迫力ではなく引き算の流儀で完成したこの映画は"圧倒"という言葉ではなく"酔いしれた"という表現が相応しい感想になると思います。
一般の映画ファンとして限られた数ではあるもののアニメーション映画を観てきて今までにしたことの無い体験を『かぐや姫の物語』はさせてくれました。
最古の物語を完全解釈し、完全映画化。物語は内面奥深くまで徹底的に描かれており、高畑勲監督の本気が感じられます。
それ故に『風立ちぬ』同様にザ・エンターテイメントではないのは間違いありません。小さなお子さんには難しい部分はあります。
私はこの映画最大の見どころは完成度そのものだと思います。
特に絵と言いますか映像。『風立ちぬ』は約14万枚、『崖の上のポニョ』は約17万枚の作画数で圧倒的映像クオリティで妥協なきジブリ映画ですが、『かぐや姫の物語』は桁違いの約50万枚の作画数!予告編のような圧倒的な映像が2時間20分に渡って繰り広げられるのです。アニメーションにも様々ありますが、この映画は前述の通り"動く水墨画"という新たな芸術表現に出会ったような衝撃を受けます。それに酔いしれるのは万人共通になるのではないかと思います。
それに命を吹き込んだ声と音楽。宮崎駿監督作では声優陣に毎回賛否出ますが今作は、これ文句無いと思うのです。見事にはまってたと思います。朝倉あきさん・・・素敵すぎます。
そして、地井武男さん。本作の声のお仕事を最後に天に旅立たれました。優しい声と翁の姫を思う故の優しさと間違いに涙しました。悲しい。
高畑勲監督作では初めての起用となる、ジブリ作品ではお馴染みの久石譲さんですが、宮崎駿監督作品とまた違った音楽に酔いしれました。『風立ちぬ』と共通点で言えば音楽が主役になってないこと。映画を彩る名脇役としてお見事で、最後は驚きと感動すら覚えました。
そしてストーリーです。徹底的に"竹取物語"を完全解釈した本作。罪と罰についてかなり深いところまで描いています。
罪を犯して罰を受けて地球にきたのになぜ月に戻るのか?地球から月に帰る=釈放と考えると・・・地球で受けた罰とは?その答えから逃げない本作、最後は涙が溢れました。この辺りの解説は『風立ちぬ』のように連載コラムにしたいと思いますが、もう数回見てからにしたいとは思います。深いです本当に。
2時間17分というジブリ映画最長の旅は動く水墨画の旅であり、罪と罰を中心としつつ、成長や心を描く深い物語でありました。そして最後は悲しくも、そのスクリーンの外に生きる私たちに言葉では言い表せない生きる力と感動を与えてくれました。
これは、高畑勲監督の最高傑作であることは間違いなく、ジブリ映画でも屈指のレベルの超傑作だと思いました。私の価値観と言いますか好みでいくと映画体験としてはジブリ最高傑作、好きの度合いでいくと『もののけ姫』に次いで2位という感じでした。
私たちの記憶の彼方に必ず存在するご先祖様たちの経験という記憶にも語りかける映画だと思います。人それぞれ見て思うことがあるでしょう。
是非表面上の好き嫌い、面白い面白くないではなくて、心に語りかけてみなさんなりの思いを整理して大切にしてほしいです。
アニメーションの一つの到達点。高畑勲、恐るべしです。
『かぐや姫の物語』基本情報
公開日=2013年11月23日
公式サイト
=http://kaguyahime-monogatari.jp/
監督
=高畑勲
声優
=朝倉あき
=高良健吾
=地井武男
=宮本信子
=高畑淳子
=田畑智子
=立川志の輔
=上川隆也
=伊集院光
=宇崎竜童
=古城環石
=中村七之助
=橋爪功
=朝丘雪路
=仲代達矢
=いのちの記憶 - 二階堂和美
音楽
=久石譲