映画『ユージュアルサスペクツ』紹介、どんでん返しの代表格!!カイザー・ソゼは映画史に残る悪党だ!![ネタバレ解説あり]
□基本情報
タイトル
=ユージュアル・サスペクツ
原題
=USUAL SUSPECTS
監督
=ブライアン・シンガー
出演
=スティーブン・ボールドウィン
=ガブリエル・バーン
=チャズ・パルミンテリ
=ケビン・ポラック
=ケヴィン・スペイシー
=ピート・ポスルスウェイト
ストーリー
船舶の炎上事故を調べていた捜査官クラインは尋問していたヴァーバルから奇妙な話を聞かされる。6週間前に銃器強奪事件の容疑者として集められた5人が、釈放後、協力して宝石強奪を決行。ブツをさばくためにLAの故買屋と接触した5人は、そこで新たなヤマを依頼されるが、宝石と聞かされていた獲物は麻薬で、トラブルから相手を射殺してしまう。そして恐慌状態の彼らの前に、伝説のギャング“カイザー・ソゼ”の右腕と名乗る弁護士が現れたというのだ……。
予告編
□完全に圧倒された…
脚本全体の完成度がこの映画の魅力 映画脚本史上類を見ない完璧な脚本、映画史に残る衝撃のラストな本作。とにかく圧倒された作品でした。
この映画はラストが衝撃的な映画です。しかしその衝撃はラストのどんでん返しだけが理由ではありません。そのどんでん返しの結末によって、映画で1時間半に渡って語られてきたこと1つ1つに仕掛けがあったとわかるからなのです。
犯人が読めた読めない。
衝撃的だったけど時間軸ごちゃごちゃでよくわからなかった。
などという意見も出がちですが、1度目の鑑賞でラストを知ってからの2度目以降が本当に面白い映画なのです。 ラストがわかるとちょっとしたあのシーンも仕掛けだったのかということがわかってきてもうにやにやものなのです。
近年『クローバーフィールド』という映画があったのかご存知でしょうか。あの映画は多くの謎を残すことで論争を繰り広げた映画ですが、論争をいくらしてもそれは予想でしかなく事実はわからないものでした。
映画を何度見ても事実をすくい取ることはできませんでした。そういう作りでしたから。
しかし『ユージュアル・サスペクツ』は見れば見るほど細かい仕掛けがわかりどんどんやられた感が増していくのです。
その脚本の巧妙さがこの映画最大の魅力であるのです。近年では『ダークナイト』や『インセプション』『ソーシャルネットワーク』と映画の脚本としては完璧で、 素晴らしいものが多数出てきてますが、「ラストが与える映画全体への衝撃」で
この『ユージュアル・サスペクツ』を超える映画はないでしょう。
ネタバレしないで書くの大変ですねこれw
□ネタバレなしでストーリーを追ってみる
(映画を観る前に読まれても大丈夫です。)
ある夜、港に停泊中の貨物船が爆発事件を起こしました。この事故によって死者が27人も出てしまいました。その翌日にヴァーバル・キントという、左半身が不随の男が参考人として警察に連行されてきました。保釈は決まっているヴァーバルですが、事件の解決に執念を燃やすクイヤンに力負けし、事件について知っていることを話すことになりました。
この貨物船の爆発事件では全身に火傷を負いながらも奇跡的に生き残った乗組員がいました。FBI捜査官ベアはこのアーコシュ・コバッシュから犯人について聞き出そうとします。 「警察署での尋問」「病院での聴取」これが映画の軸になります。
一見複雑な映画に見えますが、この軸に対してあとはキントの回想シーンが加わるだけです。全身火傷の男を聴取し似顔絵の作成を開始しました。聴取が始まってすぐに「カイザーソゼ!カイザーソゼ!」と連呼し始めました。
そう、この事件の犯人です。なんとカイザーソゼはFBIが長年追っていた伝説のギャングだったのです。この証言の情報は警察にも渡り、「カイザーソゼって誰だ!?」とキントは尋問されることに。
よって映画はシンプルに「カイザーソゼは誰なのか?」という答えを探る旅へと進み出します。
キントへの尋問は激しいもので、嫌気が刺したキントはクイヤンを振り払うほどでした。それでも尋問は続きました。そしてキントは6週間前の話から開始しました。ある事件をきっかけにして出会った4人の仲間達と共に犯罪を犯してきた経過です。
強盗事件を失敗したことをきっかけにコバヤシという弁護士と面会することになり、そのコバヤシに貨物船襲撃を依頼されたというのです。断ろうとした5人ですが、何とそのバックにはカイザーソゼが付いていることを知り致し方なく任務を引き受けることに。
カイザーソゼに逆らったら殺されると思ってますからね。 ちなみに5人のうち今警察署で尋問されているキントはソゼのことを知りませんでした。 仲間からソゼについて聞いたキントもそれなら仕方ないと任務を引き受けるのでした。
キントはただ自分の知ってることを包み隠さず話していきました。 情報がたくさんあるため時に思い出すのが大変で、時に壁を見ながら、時にカップを見つめながら思い出せたことを包み隠さずクイヤンに話していきました。
そしてクイヤンはその会話を刑事脳で繋ぎあわせ、カイザーソゼが誰かを突き止めました。その正体にキントは驚きました。
そしてショックを受けました。これでキントは用なし。釈放されていきました。カイザーソゼは今どこにいるのだろうか?
クイヤンは突き止めこそしたもののそいつを捕まえてやると執念を燃やすことになりますが、その結末は想像を絶するものでした。要はこの映画の大どんでん返しです。
□映画が映画であるべきことを痛烈に示した傑作
この映画は「映画の中の映画」です。なぜなら映画でなければこの衝撃は味わえなかったからです。小説や舞台でもストーリーを展開することはできますが、この映画の衝撃は作れないでしょう。
繰り返し使われる映像や、ちょっとした仕掛け、回想するという時間軸の転換。それらは映画だからこそ成し得たものです。
そして劇場公開が終わったあとDVDやiTunesで何度も何度も見て仕掛けが明らかになっていくのを楽しむ。これぞ映画が映画である素晴らしさを示しているのではないでしょうか。 見事なまでに「映画な映画」でした。
□完璧なトリック、映画を楽しむちょっとしたポイント
・冒頭のシーンは本当?嘘?・ソゼはどちらが利き手でしょうか?
・ソゼの銃の構え方はどんなでしょうか?
・ソゼのライターの色は何色でしょうか?
・冒頭のロープの縄と終盤のロープの縄は何を意味しているのでしょうか?
・ソゼのスペルはKeyser Soze。K S・・・ケヴィン・スペイシー・・・おいww
(↑ネタバレなので反転してご覧下さいw)
□どんでん返しに隠されたソゼの本当の目的は?
カイザーソゼは誰なのか? それを探る本作ですが、なぜカイザーソゼは貨物船を爆発させたのでしょうか?伝説のギャングたるもの貨物船くらい麻薬が手に入ろうがどうでもいいだろうに。そもそも爆発してるから麻薬手に入ってないし。
この貨物船の船長の名前はアルトゥーロマルケス。 船長でもありますが、情報のタレコミ屋でもあるんですよね。おそらくこの船長を始末するために襲撃したのでしょう。ソゼの正体を知っていたようですから。「事実を隠すこと」 を目的としてるわけです。
□最後に
この映画は完璧な脚本に騙され、楽しむ、そして考える映画です。娯楽映画ではありますが、頭は使いますし、繰り返し観ることがより楽しめる方法です。好き嫌いは分かれる映画でもあるでしょう。しかし、映画が映画であるべき映画であり、アカデミー賞脚本賞も受賞した脚本は一度味わうといいかもしれません。
是非騙されてください☆
カイザーソゼ・・・
カイザーソゼ・・・
カイザーソゼ・・・
そして・・・フッと消えた。