『恋するリベラーチェ』、スティーブン・ソダーバーグ監督によるTV映画。娯楽と現実の間が見事な同性愛映画。【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]
『恋するリベラーチェ』観賞レビュー
□『恋するリベラーチェ』基本情報
日本公開日=2013年11月1日
公式サイト
=http://liberace.jp/
監督
=スティーブン・ソダーバーグ
出演
=マイケル・ダグラス
=マット・デイモン
ストーリー
1950~70年代アメリカで派手な衣装やパフォーマンスで一世を風靡し、同性愛者でもあった実在の天才ピアニスト、リベラーチェの晩年を描く。1977年夏、ラスベガスで出会ったリベラーチェと青年スコット・ソーソンは、年齢や住む世界を超えて互いにひかれ合う。スコットは運転手兼愛人としてリベラーチェを支え、リベラーチェはスコットの親代わりにもなり、2人の秘められた関係は順調に続くかと思われた。しかし、薬物への依存やマンネリ化した日々が次第に2人の間に溝を深めていく。
予告編
□スティーブン・ソダーバーグ、新たなる境地へ
9月に公開された『サイド・エフェクト』でスティーブン・ソダーバーグ監督は劇場映画の監督を引退すると言いました。その後のこの作品なので「??」な方も多いと思いますが、実はこの映画はTV映画として製作されたものなのです。
本作は実在したパフォーマー、リベラーチェが67歳で亡くなるまでの最後の10年間の伝記映画になります。マット・デイモン演じる秘密の恋人スコット・ソーソン著作に基づいて描かれます。
[DVD/Blu-ray発売済み]
リベラーチェは派手なパフォーマーで人気がありますが、ゲイであることを隠しています。富を手にしたリベラーチェの豪邸や調度品の数々は、その内面を隠す象徴としても描かれているのかなと思ったり。
そんなリベラーチェの恋人になったのがスコット。スコットはリベラーチェと同性愛の恋に落ちながら仕事としてリベラーチェの運転手を務めます。リベラーチェはスコットを恋人であると同時に息子とも思っており、お互い心が惹かれ合っていることが様々な視点から描かれます。
さすが良くも悪くもスティーブン・ソダーバーグ映画であり、そこに感傷的なものは感じません。淡々と心の動きと共に時は過ぎ平穏もいつか終わり…と進んでいくのです。この点今までのスティーブン・ソダーバーグの映画とジャンルが異なりつつも毎度のスティーブン・ソダーバーグ演出は健在といったところでしょう。
言ってしまえばこの映画に『ブロークバック・マウンテン』の切なさを求めてはいけないということであります。
むしろ二人の最後の切なさよりもリベラーチェという人物はパフォーマーとしては成功したが人生は何だか喜悲劇のようだったなと苦笑いしたくなる結末。後味が良いのか悪いのかわからないということです。しかし後を引く不快感はない。この辺りはさすがスティーブン・ソダーバーグ。
アメリカのTV映画というものをそこまで多く見てきてないので、TV映画としてのあれこれという視点で語ることができない点申し訳ないわけですが、劇場で鑑賞したこのTV映画。スティーブン・ソダーバーグ監督の次への第一歩として十二分に楽しんだ次第でありました。
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written by shuhei
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