『マン・オブ・スティール』感想、賛否あれど映画体験として熱狂したあの夏 - Cinema A La Carte

『マン・オブ・スティール』感想、賛否あれど映画体験として熱狂したあの夏


新たな“スーパーマン”として2013年に公開された『マン・オブ・スティール』。2016年『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』、その後『ワンダーウーマン』『ジャスティス・リーグ』へと続くDCコミック一連映画の序章としても大きな意味を持つ作品でした。


※本記事は、2013年公開時に劇場鑑賞した感想を元に2017年12月に再編集をした内容となっております。


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はじめに

少年はある時気付きました。
愛情を持って育ててくれている両親が実の両親でないと。
そして少年は気付きました。自分が普通の人間でないと。


その事実を知った時、少年はただ一言、育ての父親に聞きました。
「父さんの子供でいちゃダメなの?」

「いいに決まってるだろ。お前は俺の息子だよ。」
そう言って少年を抱き寄せます。


父親は続けます。
「でも、お前には使命があるはずだ。一生かかってでもそれを突き止めろ。」と。


これが今回仕切り直しとなった新生スーパーマンの核となります。



そう、新生スーパーマン『マン・オブ・スティール』は悪を倒す正義の味方スーパーマンの映画ではないのです。

クリプトン星に生まれ、人間以上の身体能力を持った青年クラーク・ケントが自らのアイデンティティと向かい合い、苦悩し、成長していく物語なのです。


感想「最高の映画体験だった!」

初見は3Dにて鑑賞しました。感想、一言で表せる言葉があります。
"最高の映画体験"、これに尽きます。

"映画を観るその体験"として本当に素晴らしかったです。

リアルな世界で超人クラーク・ケントが苦悩し戦う物語性。その上に超人を描くSF性との絶妙なバランス。

ヘンリー・カヴィル演じる主人公クラーク・ケントのフレッシュさとエイミー・アダムスら周りを固める豪華俳優陣の世界観に合った名演技。特にケヴィン・コスナーには涙。

製作のクリストファー・ノーランが監督では難しかったであろう、ザック・スナイダーが監督だからこそ成し得たCGフル活用の大迫力で、過去最速とも言えるバトルアクションの映像。

"今までのスーパーマンとは違うぞ!"を明確に表したハンス・ジマー作曲の新たなるテーマ曲の美しさ・切なさ・そして迫力。

上げていくとキリがない程様々な魅力が融合して"映画を観ること"として極上の体験をすることができました。


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自分自身に置き換える物語ではなく、涙を流すような映画でもなく、心を痛めるようなものでもなく…何かに特化して「感動した!」という映画とは全く異なります。

だからこそ様々な感想が吹き荒れる映画であると思いますし、実際かなり賛否両論な映画になっています。ただ私には映画体験として極上のものでありました。

私はクリストファー・ノーラン監督の『ダークナイト』シリーズが大好きです。なので、シリアス度の高いヒーロー映画が好きな方は絶対に楽しめるでしょう。

※ただし、2017年12月に本作を振り返ると、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』、『ワンダーウーマン』、『ジャスティス・リーグ』と流れる中で徐々にノーラン色は薄くなり、笑いも含めたエンタメ性が増しています。その流れ自体はノーラン監督の『ダークナイト』シリーズが大好きな人間からすると少々複雑な気持ちも抱きましたが、結果的に『ジャスティス・リーグ』では全くの別物と捉えることができたので、どちらも楽しめるようになっています。

■『ジャスティス・リーグ』のレビューはこちらから


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それにしても、当時私はただただ絶賛していた本作ですがかなり否定派も多い印象です。

それは映画の完成度にではなくスーパーマンが完全に新しく描かれているからなんだなとも思いました。正義のヒーローではなく彼は地球に隠れた超人であり、この『マン・オブ・スティール』では地球人に受け入れられない苦悩も描かれるためです。

それは従来のスーパーマンとは全くことなります。シリアス、とにかくシリアス。
クリストファー・ノーラン案件と考えたり、ダークナイト好きとしてはもう大歓迎も大熱狂ですが、今までのスーパーマンとは違う、そういう意味では私が、『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』、『ワンダーウーマン』辺りのテイストに一時期混乱したように、旧来の『スーパーマン』が大好きな方は戸惑って当然と言えるでしょう。

ただ、とにかくアクションが凄いです。3Dアクションのスピードとド迫力、これが当然最大の魅力です。超人故に宇宙に飛び出すわ、ビル貫通するほどの戦いするわ、建物いくつも崩壊するわ、と「おいおい、やり過ぎだろw」と思ったりもしたわけですがそんなのご愛嬌です(笑)

そして映画の満足度を決めるのはやはりラストシーンでしょう。ラスト数分はとてもノーラン映画的で"もうすぐ終わる"という空気を伴います。そのラスト私は思わずニヤリとしてしまいました。

現存する最も似た作品は今までのスーパーマン映画ではなく『バットマン・ビギンズ』。そう、これは"スーパーマンビギンズ"なのです。新たに仕切り直されたスーパーマン。全く新しいスーパーマン。

いや、スーパーマンではないですね。鋼鉄の男=マン・オブ・スティール。

難しい立ち位置の映画ではありますが、エンタメ性とドラマ性とで胸熱になった2013年を昨日のことのように思い出します。




"三人の父"、"三人の母"

クラーク・ケントには実の両親と育ての両親がいます。実の両親をラッセル・クロウとアイェレット・ゾラーが。育ての両親をケヴィン・コスナーとダイアン・レインが演じています。

このキャスティングがもう見事なのです。

ラッセル・クロウは全編に渡り物語の進行役も務める活躍。そしてケヴィン・コスナーはクラークの超人的能力による苦悩を共有し、生きる術を教えていきます。

二人の母親もお見事。アイェレット・ゾラーは冒頭のみですが、なんて素晴らしい存在感。この方『天使と悪魔』や『バンテージ・ポイント』でも活躍されてます。そしてダイアン・レインですよ。いいですよ、この強いけど弱い感じ。


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さて、この章のタイトルは"三人の父"、"三人の母"と書きました。

そう、もう一人ずつ父親代わりと母親代わりがいるのです。父親代わりは神父さん、母親代わりはエイミー・アダムス演じるロイスです。

神父さんは一場面しか出てきません。しかしクラークにとても重要な背中を押すアドバイスをします。

そしてロイス。もちろん映画の中ではヒロインの役割。原作や今までの映画のロイス以上に役割の重要度が増してると思います。なぜなら『マン・オブ・スティール』においてクラーク・ケントは最初敵と見なされているからです。

地球人とクリプトン星人を繋ぐ架け橋にロイスがなっているのです。そして映画の中盤とクライマックスでは苦悩するクラークの支えともなります。この辺今まで描かれてこなかったところだけにしっかり切ない描写になっていてとても素敵でした。

エイミー・アダムスと言えば『魔法にかけられて』が有名ですが、『ダウト』『ザ・ファイター』『ザ・マスター』でアカデミー賞にもノミネートされており、シリアスな演技もお手のもの。今後シリーズが続く中で更なる存在感となっていったらなと願っています。

ということで3人ずついる父と母。

これは物語のドラマ性も高めるものであります。シリアスな新スーパーマン『マン・オブ・スティール』ならではの魅力ともいえるでしょう。


まとめ

前述の通り、本作の続編として2016年に『バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生』が公開されました。その後2017年に入り『ワンダーウーマン』と『ジャスティス・リーグ』が公開されました。

物語は続いていますが、『マン・オブ・スティール』と『ジャスティス・リーグ』を比べるとかなりテイストというかトーンが異なります。

良くも悪くもエンタメ路線、楽しい映画路線へと舵が切られています。

映画としては面白さも増していて、『ジャスティス・リーグ』はレビューを見てもかなり好評です。ただ、おそらく少なくてもクリストファー・ノーランの『ダークナイト』が好きな方は、バットマンの描き方に不満までいかなくてももやもや感を持っている方はそれなりにいるでしょう。

まあこれは、スーパーマンやバットマンに限らず、シャーロック・ホームズだったり、エルキュール・ポアロだったり、またスパイダーマンだったりと何度も描かれる人気キャラクターには付きものの宿命なのでしょう。

難しいところですね。

まあこういうものは割り切って、「これはこれ!」「それはそれ!」精神が良いのでしょう。

『マン・オブ・スティール』、大迫力の映画ですのでご自宅でご覧になられる場合でも是非大画面や高画質画面でご覧になってみてください。


他の映画の感想も是非ご覧になってみてください。

『マン・オブ・スティール』基本情報

タイトル
=『マン・オブ・スティール』

原題
="Man of Steel"

監督
=ザック・スナイダー

出演
=ヘンリー・カヴィル
=エイミー・アダムス
=マイケル・シャノン
=ケヴィン・コスナー
=ダイアン・レイン
=ローレンス・フィッシュバーン
=アイェレット・ゾラー
=ラッセル・クロウ

ストーリー
ジョー・エル(ラッセル・クロウ)は、滅びる寸前の惑星クリプトンから生まれたばかりの息子を宇宙船に乗せて地球へと送り出す。その後クラーク(ヘンリー・カヴィル)は、偶然宇宙船を発見した父(ケヴィン・コスナー)と母(ダイアン・レイン)に大事に育てられる。そして成長した彼は、クリプトン星の生き残りのゾッド将軍と対峙することになり……。

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=CfRMW37AA7g