8月 2013 - Cinema A La Carte

『マン・オブ・スティール』の素晴らしいレッドカーペットイベントに学ぶ"当たり前を当たり前に、気持ちを込めて遂行する大切さ"

昨日行われた『ウルヴァリンSAMURAI』のレッドカーペットイベント。

Twitter等でも管理・運営のなってなさが話題になりました。私も何だかなあと思いまくりでして。その文句についてこれ以上あれこれ言っても、別れた女への愛情が憎しみに変わりストーカーに走る男のようになってしまうので(←)、その件はTogetterのまとめをご覧ください。

さて、せっかく記事を書くわけなのでタイトル通り、ポジティブ面を可視化させ気持ちの良い記事にしていきたいと思います。



ここで持ち出す例は『ウルヴァリンSAMURAI』ではなく、先週開催された『マン・オブ・スティール』のジャパン・プレミアです。

『マン・オブ・スティール』のジャパン・プレミアは私だけでなく多くの方が「素晴らしかった!」と絶賛されています。それは内容も然り、盛り上がりも然りですが、その前の管理や準備、案内、誘導の素晴らしさが気持ちの良いものであったからです。



1:再集合時間(夕方)と整理番号・集合場所の書かれた整理券を早い段階から配布し列を解散させる。
→混乱回避、混雑回避、熱中症対策、スタッフ等の人員の有効活用。


2:ゲリラ豪雨、熱中症、観客押し問答の混乱等リスクを想定した再集合から会場への案内。
→全員にカッパ配布、全員にお水配布、整理番号ごとにゆっくりスムーズに会場へ移動し、レッドカーペット前最前列から埋めていく、ステージ前がいい人(少数派)は申告制でそちらを選んで行くこともできる。


3:赤坂さんの素晴らしい司会、ゲスト到着前に日本人芸能人のレッドカーペット歩行で会場の空気を盛り上げる
→この時は水泳の入江陵介選手と叶姉妹が中心。叶姉妹とても気さくで素敵なんですよね(笑)


この3点を行っただけ。
しかし、これをスムーズに行ったからこそ気持ちの良いプレミアになったんだと思います。


内容に関しては好き嫌いがあるのでその満足度が高いイベントは他にもたくさんあるでしょう。しかし誘導や想定されるリスクに関して先手先手でしっかりと対応をしてくれることがイベントではやはり最も大切なことです。怪我人が出てからでは遅いのです。

スタッフへのマニュアルの周知徹底と指揮系統の確立も言うまでもなく。

その当たり前をマニュアルとして遂行しただけでなく、スタッフの方々の「イベントを成功させる!」「映画を成功させる!」という気持ちがこちらまで伝わってきたのが『マン・オブ・スティール』のイベントでした。

登壇ゲスト×司会者×運営スタッフ×企画スタッフ×マスコミ×一般ゲストが一体になったからこその盛り上がりをあの空間で経験できたのは一生の思い出でもあります。

『マン・オブ・スティール』のプレミアでは私はステージ前の最前列にいました。すぐ前にマスコミのカメラマンの方々多数だったのですが、マナー良く撮影されており、目の前にいらしたカメラマンは私たちの方を向いて「ほらそのメッセージもっとアピールしなきゃ!!」と盛り上げてくれたりホント気持ちの良いものでした。



明るい雰囲気、気持ちの良い空気は伝播します。
『マン・オブ・スティール』の配給会社さんであるワーナー・ブラザーズさんには改めて感謝を申し上げます。

映画も素晴らしいので是非!
明日8月30日公開!!先行レビューはこちら

また素晴らしいプレミアに参加できたらなって思ってます。
次は9月の『許されざる者』かな?お!ワーナー・ブラザーズさんじゃないか!
安心して参加できます。楽しみです。

映画『シンデレラマン』紹介、家族のために不屈の精神で戦う一人の男にただただ涙・・・[ネタバレなし]




『シンデレラマン』基本情報

タイトル
=シンデレラマン

原題
=Cinderella Man

監督
=ロン・ハワード

出演
=ラッセル・クロウ
=レニー・ゼルウィガー
=ポール・ジアマッティ

ストーリー
ボクサーとして華やかな戦歴を持つジム・ブラドック(ラッセル・クロウ)だったが、全盛期も過ぎ、ライセンスを剥奪されてしまう。そのため日雇いの仕事をしながら妻(レニー・ゼルウィガー)や子供たちと暮らしてしたがその生活は貧しく、食べ物を買うことさえもやっとだった。絶望的な貧困の中で家族のために必死にチャンスをつかもうとする男の実話を基に描いた感動の人間ドラマ。

予告編


はじめに

監督
ロン・ハワード(「ビューティフルマインド」でアカデミー賞受賞)

プロデューサー

ブライアン・グレイザー (「ビューティフルマインド」でアカデミー賞受賞)


出演

ラッセル・クロウ(「グラディエーター」でアカデミー賞受賞)

レニー・ゼルウィガー(「コールドマウンテン」でアカデミー賞受賞)



アカデミー賞受賞の名スタッフと名優によるコラボレーション、それが見事に傑作に結びついた感動大作です。


家族のいる心優しいボクサーであるジム。彼は名実ともに最高のボクサーであったが、怪我をしてしまいライセンスを剥奪されてしまう。そんな当時はアメリカ大恐慌時代。職を失ったらその日暮らしもままならないほどの貧困社会。

日雇いの仕事を始め何とか生活をしていくが・・・一度栄光を勝ちとった人間の人生の転落、そしてそこからの再生を描いた映画です。本当の意味でのアメリカンドリームという物語とも言えるでしょう。

人生の転落からの再生の物語、そういう映画はたくさんあります。本作はそんな物語の中でもこれでもかというほど単純な構成です。人生転落=職も名誉も女も失い・・・というものが多いですが、本作では家族の絆は揺るぎません。

主人公のジムには良き妻とかわいい子供が3人いて、家族を裏切ることは決してしない。ボクシングでも相手を挑発したり隠れて反則したりなんてしない。誰からも愛されるそんな主人公が時代の流れの中で直面してしまった人生の転落と再生を描いています。

己の戦いという感じではないですね。"みんなのために"再生していく男の物語でしょう。それが本作で感動できる要因なのかもしれません。




本作が傑作たる理由

本作が傑作たる最大の理由はずばり演出でしょう。『ビューティフルマインド』ではトリッキーな演出でどんでん返し的なものを取り入れたロン・ハワード監督ですが本作はストレートに物語を作り上げました。

まさに人生の栄光、転落、再生。ただそれだけの物語。ただそれだけなのに何度となく訪れる感動。名監督たるさすがの演出といった感じです

決してスピーディーには進まないゆったりとした時間が流れていく映画ですが、その淡々と進む物語がじわじわと感動を生み、ラストだけでなく何度も何度も感動するシーンが出てくる。本当に丁寧に作らせた映画だなぁと思います。

人間ドラマを丁寧に作り上げつつ、ボクシングシーンはスロー映像とたくさんのカット割りで迫力あるものに仕上げています。当時のカメラのストロボも上手いこと演出に取り入れられていますね。パンチを食らうシーンにタイミングよくたかれるフラッシュなどは映像をより一層迫力あるものに仕上げます。

撮影スタッフと編集スタッフの努力が見事に融合したボクシングシーンでした。それもやはりロン・ハワード監督の演出の賜物でしょう。

淡々と進みつつも幾度となくやってくる感動と迫力あるボクシングシーンの連続によって、最後の30分は我々映画を見ているものもジムの人生を応援しているような気持ちになります。

最後の30分は人生の再生をかけたボクシングシーンです。最強と言われた相手に立ち向かっていくジムのシーン。ただのボクシングシーンではなく、それと同時に映しだされる見守る家族や友人たちの映像に胸が痛くなります。「お願いだ!勝ってくれ!!」そう思いながらラストは見入ってしまいました。

それに間違いなく貢献しているのはトーマス・ニューマンによる音楽。ピアノ調のシンプルな旋律がメインの中盤までと異なりラストは音楽も盛り上がりを見せます。そして試合が終わり、、、そこからラストまでは是非映画をご覧になってください。

途中何度も訪れた感動をすべて足しても足りないほど大きな感動がラストを飾ります。ぐだぐだと試合後の残りのドラマを語らず潔くエンドロールに持っていく大胆さもさすがです。これが映画の後味をとても良いものにしています。

主人公に性格面での欠点が見当たらないこともあると思いますが、本当に感動しすっきりとした気持ちになります。演出の賜物でしょう。


演出に見事に応えた俳優陣がまた見事

そんな演出の元に形になった俳優陣の演技がこれまたお見事です。まずラッセル・クロウ。『グラディエーター』では強く将軍を、『ビューティフルマインド』では天才数学者と、いつもいつも名演を魅せる俳優ですが、本作では強くも弱くもあるボクサーであり、心優しい父親でもあるジムにぴったりでしたね。

例えばの話ですがこれがヒュー・ジャックマンなどばりばりアクション最適俳優が演じてたら、ジムの弱さは体現できなかったでしょう。完璧とは言えない体つきがジムの役柄にぴったりでしたね。栄光と挫折を味わったボクサー、何が何でも家族を守りたいがために挫折しても日々頑張る父親。見事な演技でした。

そんなジムの妻役はそのラッセルの名演に応えなければなりません。レニー・ゼルウィガー、さすがです、見事に応えました。彼女は一見強い妻であり母親。しかし旦那のボクシングは見に行けない。なぜなら何かあったら恐いから。そんな弱さも持ちあわせています。しかしそれは隠している。そんな複雑な演技が見事にハマっていました。ラストのボクシングシーンをラジオで見守るシーンは胸が熱くなりましたね。見事でした。

そして忘れてはいけない人物がセコンド役のポール・ジアマッティです。彼はこの名演技でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされています。一癖も二癖もある性格がいいんだか悪いんだかわからない熱い男を好演しました。中盤も複雑な立ち位置のシーンでは静かに耐える男となり、ラストのボクシングシーンではひたすら燃えて吠える熱きセコンドとなりました。最後の表情も忘れられません。素晴らしい演技でした。

そんな3人がメインに立ちつつ、周りの俳優陣も控えめに見事な好演を見せました。教会の牧師や教会で出会った夫妻、特に妻も複雑な役でしたが見事な演技でした。


まとめ

ストレートな物語、しかしそれは誰もが応援したくなる男の物語。そしてそれを見事傑作に仕上げたロン・ハワード監督の演出。それに応えたスタッフと俳優陣。何かを考えたりするのではなく、見終わった後ただただ「よかった。」そう思える傑作でした。

私は複雑な脚本構成だったり
(クリストファー・ノーラン作品など)、

迫力があったりスタイリッシュな映像
(デヴィッド・フィンチャーやポール・グリーングラス作品など)、

がテイストとしては最も好きなのですが、

こういったストレートな作品でただただ感動して心が温かくなるのもいいなぁって思える作品でしたね。

1920年代のアメリカの一人の男の物語。映画でも無ければ知ることのなかった物語でしょう。映画にしてくれてありがとう。そう思っています。



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最低最悪プレミアイベントも、映画は楽しめた『ウルヴァリン:SAMURAI』。日本を舞台にウルヴァリンが逃避行の妙味、とんでも日本もご愛嬌!【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]

何から何まで残念だったジャパン・プレミアにがっかり

9月13日公開の『ウルヴァリン:SAMURAI』。
その前にサクッと8月にジャパン・プレミアのレッドカーペットイベント&特別試写会へ参加してきました。

映画の感想をお伝えする前に最低最悪もレッドカーペットイベントに関しても記録しておきましょう。映画が好きになって様々なイベントに参加したり、劇場で鑑賞してきて、こんな最低の日は今までありませんでしたし、きっとこれから先もないでしょう。

具体的にあれこれ書いたら怒りのあまり1万字超えそうなので割愛しますが、
要するに列作らせといて配布された整理券には各ブロックしか書かれてないものだったのです。つまり1番に並んでAブロック、100番に並んでAブロックの区別が付かない。

実際15時半に列を作った際、人が押し合い、転倒する方も出る始末。流血された方もいたようですが警察署へ報告したのでしょうか。私はDブロックの20番くらいでしたが、押し問答も嫌なので普通に並んだところ100番くらいの位置に追いやられてましたね。

というか17時まで列絶対作りませんと言っといて15時半に作るっていうね。朝早くに整理券もらって17時前に再び来られた方々はもっと後ろだったと思うと…何だかねえ。とにかく最低最悪のイベントでした。

全ては当日の運営の悪さに帰結するわけですが、その責任を負うのは映画の配給である20世紀FOXですよね。当日怪我人が出ないようにと思い改善を求め電話しても現場把握してないというまさかの回答で唖然。全くもう。

詳しくはTogetterまとまってましたのでそちらを参照頂ければ当日の最低の様子がおわかり頂けると思います。
http://togetter.com/li/555611

さて、そんな最低気分×疲労困憊からの映画鑑賞でしたが、映画は楽しめました!
普通のモチベーションで行ったらもっと楽しめるの必須なのでかなり良かったんじゃないかなと思います。


ヘンテコ日本もご愛嬌

さて、気を取り直してここからは映画の話を。
ここからは基本的にただ褒めますのでご安心を(笑)

[DVD/Blu-ray発売済み]
『ウルヴァリン:SAMURAI』、名前の通り日本が舞台。
日本に対して失礼な描写はありません。そこが素晴らしいです。
ただし、相変わらず矛盾はありまくり!(笑)でもいつものことなのでそこは楽しむポイントだと思ってますよ私は(笑)

今回は文化的矛盾は真田広之がアドバイザーをしたこともあり最小限。
楽しむべき矛盾は地理関係です。ざっとメモってたのは以下のような感じ。


ウルヴァリン 増上寺出たら 秋葉原

秋葉原 走って逃げたら 高田馬場

高田馬場 走って逃げたら 秋葉原

秋葉原 走って逃げたら 上野駅

新幹線 上野発でも 博多行き

新幹線 都心の中でも 300キロ走行

鞆の浦 なぜか劇中 長崎県


どうでしょうか(・∀・)

作り手の意図は明確でしょう。
実際東京で撮影した様々な映像の使いたい部分を合わせたってだけ。
なかなかのツッコミどころですがこれは楽しみましょう!
だってちゃんとロケしてるんだしいいじゃない(笑)


そんなツッコミどころがあったり、忍者が出てきたり、街中で警備員が銃構えてたりまだ色々あるのですが、外国から見た日本を楽しめる素敵なシーンだったと思います。



逃避行と生と死の物語

さて、物語の方ですがウルヴァリンがTAO演じるマリコと逃避行するだけの物語と言っても過言ではありません。いい感じに日本の観光PR映画としても機能します(笑)
ただちゃんと日本で撮影してるのと、アクションがあちこち入るのとで全然飽きません。

そしてウルヴァリンは不死身の治癒能力を失ってしまいます。それ故に銃で撃たれた傷が治らず大変なことに…

そんな物語。ストーリーの具体的な言及は避けますが今までのシリーズ作で負った心の傷等が悪夢として登場したりもするのでその辺り一本と映画であると同時にXメンシリーズの一本としても楽しめます。

ラストも素敵でした。

コミックの映画化であり、いい意味で内容薄いです。
他の方が褒め言葉としてこんな表現をされていました。

物語は心底どうでもいいけど楽しめた。

この表現がベストの映画だと思います。
もちろん褒め言葉として(笑)



TAO&福島リラの大活躍が素直に嬉しい

さて、本作はヒュー・ジャックマン主演で、敵役に真田広之なわけですが、二人の演技はホント素晴らしいです。真田広之の貫禄たるや…さすがの領域であります。

それ以上に本作で素晴らしかったのがTAOさんと福島リラさんのモデル出身コンビ!
TAOさんの美しさたるや…
福島リラさんの凛とした強さたるや…

二人共素晴らしい存在感で、見終わったとどっちが好きかで友達と論争できるほど。
もちろん二人共素晴らしいという前提で。

お恥ずかしながら私福島リラさん今まで存じ上げませんでした。
TAOさんもモデルやってるというくらいしか。
しかしモデル出身でスタイルが良いのも相まってその存在感たるやお見事でありました。

是非二人の大活躍をご覧ください。


ジェームズ・マンゴールド監督安定の演出

ジェームズ・マンゴールドという監督は本当に多才な監督です。
今までの映画を並べるとその統一の無さに驚きます。

『君に逢いたくて』
『コップランド』
『17歳のカルテ』
『ニューヨークの恋人』
『“アイデンティティー” 』
『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』
『3時10分、決断のとき』
『ナイト&デイ』
『ウルヴァリン: SAMURAI』

統一感の無さ、何でも撮れるという才能の持ち主なのです。
この中だと、『17歳のカルテ』『ウォーク・ザ・ライン/君につづく道』『3時10分、決断のとき』辺りが好きですね。ホント多才な監督であります。



エンドロール後を見逃すな!

さて本作、『ウルヴァリン:SAMURAI』ってタイトルですが日本限定です、まさかの(笑)センス無さ過ぎ←

原題は『The Wolverine』なのでウルヴァリンのスピンオフはこれでおしまいということがタイトルからも見て取れます。寂しいと思ったりもするわけですが、結果として熱狂して劇場を後にしました!

そう、エンドロール後のおまけ映像、いやおまけにしては豪華で長めの映像で本シリーズ見事に繋がるのです!これ以上は何も言えません!

とにかくエンドロール始まった瞬間に席を立つなんてことはやめましょう!

Xメンシリーズ、今までのシリーズをご覧になられていた方がもちろん楽しめますが、これが初めてでも大丈夫でしょう。余力がある方はシリーズ様々あるのでチェックしてからご覧になってみてください。

そんなところでおしまい。


基本情報

タイトル
=『ウルヴァリン:SAMURAI』

原題
="The Wolverine"

監督
=ジェームズ・マンゴールド

出演
=ヒュー・ジャックマン
=真田広之
=TAO
=福島リラ

ストーリー
カナダで隠遁生活を送っていたウルヴァリンは、ある因縁で結ばれた大物実業家・矢志田に請われて日本を訪れる。しかし、重病を患っていた矢志田はほどなくして死去。ウルヴァリンは矢志田の孫娘マリコと恋に落ちるが、何者かの陰謀により不死身の治癒能力を失うというかつてない状況に追い込まれる。

予告編



written by shuhei


映画『メメント』紹介、天才クリストファー・ノーランの最初の長編傑作![ネタバレなし]


□『メメント』基本情報

監督
=クリストファー・ノーラン

出演
=ガイ・ピアース
=キャリー=アン・モス
=ジョー・ポントリアーノ

ストーリー
前向性健忘(発症以前の記憶はあるものの、それ以降は数分前の出来事さえ忘れてしまう症状)という記憶障害に見舞われた男が、最愛の妻を殺した犯人を追う異色サスペンス。ロサンジェルスで保険の調査員をしていたレナード。ある日、何者かが家に侵入し、妻がレイプされたうえ殺害されてしまう。その光景を目撃してしまったレナードはショックで前向性健忘となってしまう。彼は記憶を消さないためポラロイドにメモを書き、体にタトゥーを刻みながら犯人の手掛かりを追っていく……。  

予告編


無限にある解釈

本作は一度見ただけではなかなか理解しにくく、かと言って何回も観ると逆に疑問が増えたり謎が謎を呼んだりな複雑な映画です。その完成度は計り知れないわけですが、その複雑さや計算された脚本によって、観客が受ける反応や解釈も分かれます。それについて云々は置いときまして、一先ず私の中での解釈に沿ってレビューを進めていきたいと思います。




時間軸逆行による記憶喪失の疑似体験

上に貼った予告編はご覧頂けましたか?大げさじゃないか?と思われる予告編ですが、本編本当にこんな感じです。映画は時間軸が逆行して進んでいきます。要するに通常ラストシーンであるシーンから映画が始まり、オープニングシーンがラストシーンになるのです。

その中でまた少し複雑なのですが、わかりやすく言いますと、
例えば映画が10の章からできているとします。


1,2,3,4,5,6,7,8,9,10  と。

それが逆に進んでいくのです。 10,9,8,7,6,5,4,3,2,1 と。


それをもう少し複雑にした感じです。 なので最初は「?」なものがだんだんとわかっていく流れです。 「?」自体も1つではなく多くあるわけなので、

私たち自身の記憶も試されます。映画では主人公レナードは記憶が10分しか持たないので、私たちもそれに似たものを映画で試されるのです。章が変わった時に、前までで覚えていることを頭で整理し、そしてそれを元に主人公レナードと共に真犯人を探っていくのです。



主人公を追いつつ観客は核心に迫る

主人公レナードは記憶が10分しか持たないので、メモに残した事以外は忘れてしまっています。しかし私たち観客は記憶が蓄積されていきます。最初の章、次の章、その次の章と。その積み重ねによって私たちはレナードが追っている真犯人の事実を知ることになります。

いや、事実というか、映画のストーリー自体の真実でしょうか。衝撃のラストという言葉が本作では大げさでなく使えますね。よく映画を観てラストシーンに差し掛かった時、「騙された~!」とどんでん返しされることがあります。本作もそれです。

しかし本作のそれは映画の中におけるどんでん返しではなく、映画の存在自体におけるどんでん返しなのです。記憶喪失の疑似体験を記憶が残る私たちにさせたクリストファー・ノーランは天才としか言いようがない。

「インセプション」されちゃいましたねw




革新的なクリストファー・ノーラン監督

『インセプション』や『ダークナイト』の監督であるクリストファー・ノーランの第2弾作品ですが、ノーラン監督は本当に最初から天才だったんだなとこれでわかりましたね。観客を驚かせる革新的な何かということに関してこの監督を超える人はなかなかいませんねぇ。

本作では構成や映画の存在におけるどんでん返し。
『ダークナイト』ではリアルな世界のバッドマンやジョーカー。『インセプション』では夢の多重構造など。革新的な「何か」その「何か」は毎回変わるわけですが本当に素晴らしい監督です。

本作は弟のジョナサン・ノーランが原案を考えたのですが、この兄弟はホントどういう頭してるのでしょうw普通思いつきませんからw記憶が10分しか持たない男の物語を時間逆行で見せることで我々に疑似体験させる。この設定だけでこの映画はもう価値がありますね。増してそれがお遊びでなくラストシーンにちゃんと生きてくるので。



全てを疑えとはこの映画のこと

よく映画において「全てを疑え」みたいなキャッチフレーズってありますよね。甘いですwそれは本作のために用意された言葉ですw映画のストーリー自体は是非ご覧になって噛み締めて頂きたいですが、ストーリーの流れには触れず鑑賞する上で楽しめるポイントをお伝えしたいと思います。

内容には触れませんが、映画の構造には触れますので、一切を遮断したい方はご覧になられた後でお読み下さい。

では構造に触れつつ再スタート。

本作で観客は主人公レナードと共に真犯人を探って行きます。彼の残したメモや独り言などを元に。さて、ではですよ、「もし彼のメモ自体が嘘だったとしたら?」これを頭の片隅に入れておくと色々見えてきます。

 全てが嘘ではありません。しかし嘘やカラクリが多いです。

・本当に犯人はジョンGなのでしょうか? 

・実際の犯人は本当にまだ逃げているのでしょうか? 

・そもそも犯人なんているのでしょうか? 

・奥さんはレイプで殺されたのでしょうか? 

・レナードは本当に記憶が持たないのでしょうか?

まさに「全てを疑え」でかかると面白いです。ちなみに上記には嘘と本当が混じっていますw疑ってかかることで本作の魅力が増しますので是非試してみてください。



もしもずる賢い人間の前に記憶の持たない男が現れたら

上の続きですが、 本作の主人公レナード以外の登場人物はずる賢い人間ばかりです。レナードが記憶が持たないということを利用して彼をうまい具合に使っていきます。ある意味これが本作における重要ポイントですね。

核心には触れませんが、 例えばモーテルのオーナー。彼は、主人公レナードが記憶が持たないということがわかると彼に2つの部屋を貸します。なぜなら彼には記憶が残らないから。余分に請求できます。儲かりますね。

これはまだ全然かわいいラインです。これがテディやナタリーになると映画全編を揺るがすレベルに・・・そう、目の前に記憶喪失の人間がいたらうまいこと使うのです。ずる賢い人は。

この辺りが映画の構造を通して私たちは騙されます。なぜなら私たちは主人公レナード側に立って映画を見るからです。

たたでさえ時間が逆行する映画。主人公と共に、周りの人間の言うこととメモを便りに真犯人を探るのです。でも周りの人間が言ってることやメモ自体が嘘ならば? 客観的にこの映画を見た時の衝撃ったらもう・・・ そんな感じになります。



記憶が持たなくなっても彼に残った彼の性格

彼は情報こそ10分程度で忘れてしまうのですが、彼は彼自身でありますし、妻を殺した犯人を探すという行動は止めようとは思っていません。
いつまでもいつまでも犯人を探し続けます
(↑映画の中身知っている人にはにやにやの書き方ですねw) 

つまり彼は直近の記憶だけが持たなくなっているのです、性格などは変わっていませんし、どうも記憶が持たなくなる前過去は覚えているようです。そんな彼の性格はオチから推測するに「ご都合主義」なのでしょう。うまい具合に自分の言いように解釈する癖があるのでしょう。

映画が全てわかると「あ~性格が悪く働いたな・・・」と思ってしまいます。 悲劇・・・


見れば見るほど楽しくなる

本作はレビューでも軒並み高評価ですが、低評価のレビューも目立ちます。映画の完成度ではなく、「わかりにくさ」への指摘が多いんですよね。何せ複雑ですから。

残念ながらぼーっと見る類の映画では全くもってありません。集中して頭フル回転で見る映画です。ノーラン映画では2番目に難しいかな? 1番は深さもあって『プレステージ』だと勝手に思ってます。

本作はそのわかりにくさを繰り返し見て理解することで払拭できます。そこからはもう面白い面白い。上に少し書いたように、人と人との嘘を使った駆け引きの描き方が素晴らしいです。

最初は復讐映画に見えるのですが、これは騙し合い映画ですね。そうなったらあとは楽しめます。私も最初はこの映画イマイチだったんです。だって難しいんだもんwしかし繰り返し見て味が出てきました。

私自身嫌いな映画もちろんあります。趣味に合わなかったり明らかに駄作だったりはもう放置ですが、本作のように「難しい」場合は理解をすればそれは傑作であるかもしれないな、と本作を見たあと思うようになりました。『プレステージ』然り。

是非クリストファー・ノーラン映画『メメント』で、頭の中『インセプション』されちゃってください。最後うまくまとめたつもりw


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"MAN OF STEEL" Japan Premiere/『マン・オブ・スティール』ジャパン・プレミア、写真レポート

"MAN OF STEEL" Japan Premiere
『マン・オブ・スティール』ジャパン・プレミア、写真レポート

全体写真(中央最前列より)


ザック・スナイダー監督






デボラ・スナイダー(プロデューサー)


チャールズ・ローブン(プロデューサー)


主演のヘンリー・カヴィル














Written by 柳下修平
Copyright @ 2013 Cinema with "A la carte".

映画『アーティスト』紹介、アカデミー賞圧勝作の魅力を検討してみる!無声映画は懐古ではなく新次元![ネタバレなし]




『アーティスト』基本情報

タイトル
=アーティスト

原題
=The Artist

監督
=ミシェル・アザナヴィシウス

出演
=ジャン・デュジャルダン
=ベレニス・ベジョ
=ジョン・グッドマン
=ジェームズ・クロムウェル
=ペネロープ・アン・ミラー

ストーリー
1927年のハリウッドで、サイレント映画のスターとして君臨していたジョージ・ヴァレンティンは、新作の舞台あいさつで新人女優ペピーと出会う。その後オーディションを経て、ジョージの何げないアドバイスをきっかけにヒロインを務めるほどになったペピーは、トーキー映画のスターへと駆け上がる。一方ジョージは、かたくなにサイレントにこだわっていたが、自身の監督・主演作がヒットせず……。

予告編



とても爽快で楽しい映画でした!

映画論評とか堅苦しい話は抜きにしてこの映画はただただ爽快で楽しい映画だなと感じました。アカデミー賞獲ったから?公開2日目に行って劇場の観客の空気があったから?いえいえ、これはいつ観ても素敵な作品だと思えるものでしょう。

話題にあがっている通り本作はサイレント映画。そう、セリフは無く音楽と効果音で映画が進んでいきます。サイレント映画の時代、スターのまっただ中にいた主人公が、音声映画、つまりトーキー映画の発達とともに仕事を無くし、人生崖っぷちに陥っていきます。

それとは反対に、彼のスター時代に彼のアドバイスで駆け上がった一人の女優はトーキー映画の発展とともにスターダムを駆け上がり・・・。しかし彼女はお人よし。彼を気遣い・・・と、予告編で出ているストーリーそのままに進んでいきます。どんでん返しなどないです。

誰もが予想のつく予定調和の物語。しかしそれは批判ではなく褒め言葉、王道を極めた素晴らしい映画なのです。セリフがない以上言葉による深みが映画から姿を消します。それなのに全く退屈無く1時間半楽しめました。

ん?楽しんだというよりのめり込んだのか?とにかく素敵な映画でした。

さて本作はサイレント映画。サイレント映画がアカデミー賞作品賞を受賞したのは何と第1回以来なのです!そこで多くのレビューで使われた言葉が「懐古主義」です。良し悪しは人それぞれとして、サイレント映画の良さが今の世界で息を吹き返し、その魅力が爆発したということです。

レビュー等こういった意見が多かったので私も「古き良き映画」という認識で劇場へ足を運びました。しかし結果としては「違うじゃん」と思いました。

映画はこれだけ語っているとおりとてもとても楽しかったです!しかしこれは懐古主義ではないです。

今の時代、この時代にだからこそ作れたサイレント映画なのです。この問いかけが全てです。この映画と全く同じものを80年前に作れたか?ストーリーは置いといて技術的にです。

これ答えは当然NOです。

そう、途中ジョージの夢の場面やクライマックス最後の最後、あの演出は80年前では不可能です。今の時代にサイレント映画の手法を取ったからこそそれができたのです。

この物語を通常の台詞ありの映画としてつくり上げることもできたでしょう。サイレントっぽい映像に台詞を付けることもできたでしょう。しかしサイレント映画の手法をこの現代に取ったことでこそ生まれた傑作だと思います。新鮮な驚きや感動を受けました。

40代のフランス人監督がサイレント映画の手法でハリウッドを描く。これは緻密な計算を元に懐古主義ではなく未来を見据えた新しいジャンルなのではないかと思いました。

古き良きものを現在に「利用する」ことには批判が出る恐れもあったでしょう。今の若いフランス人が何を偉そうに古き良きアメリカをサイレント映画で描くのかと。

しかしそんな心配はこの完成度を見れば心配なんていらない結果でした。映画愛に溢れている作品でしたが、気持ちだけではこんな傑作は生まれません。ミシェル・アザナヴィシウスの演出や俳優陣の演技、犬かわいさ、素晴らしい音楽などが合わさってこそできた作品なのではないかと思いました。


チャーミングな主演二人と犬のアギー

本作でアカデミー賞主演男優賞を獲得したジャンディジャルダン。台詞のない演技を見事にやり遂げました。台詞がないのでその他の演技力がモノを言うのは当然で、彼の演技力がお見事だったのは言うまでもないです。

喜怒哀楽を言葉以外でわかりやすく表現していました。しかしそれ以外に素晴らしいと思ったものがありました。それは彼のビジュアルです。

少々大きめな体格、少々大きめな顔、愛嬌ある表情、これらがサイレント映画の中で魅力的に輝いていました。表現しづらいのですが魅力的な表情というか、要は生まれ持ったその顔に魅力的な演技が宿っているのです。

前半の愛嬌ある表情からの後半の悲痛な表情、これらを見ていて安心感があるというか何というか。文字では説明できないビジュアル的な魅力が映画をより魅力的なものにしたのは間違いないでしょう。


実質ヒロインでスターダムを駆け上がっていくペピーを演じたベレニス・ベジョ。ミシェル・アザナヴィシウス監督の実際の奥さんでもあります。ハリウッド女優にはない不思議な魅力がありましたね。演じてる役はハリウッド黄金期の女優なわけですが、

エキストラの女優からスターダムを駆け上がっていく上で必要であった大衆を惹きつける魅力が出ていたと思います。演技力とかそういうもの以前にあるチャーミングさですね。

ジャンディジャルダンと同様に表情が豊かであったと思います。サイレント映画の中でその表情は光り輝く「美しい」とその魅力を感じ取れました。


そして忘れてはいけない犬のアギー!アギーが主役級に活躍をする本作。どうこう論じるというよりとにかく可愛らしい!ただ映画の片隅のスパイスではなくちゃんとストーリーに絡んできます。

クライマックスの活躍っぷりとお茶目さといったらもうwあの「バン!」⇒パタリ、には劇場笑いに包まれました。素敵な素敵な犬でした。心温まる活躍にドッグフードを送ってあげたいくらいですw


劇場は拍手に包まれた、感動した

私は新宿ピカデリーで公開二日目に本作を鑑賞しました。午後の中途半端な時間でしたが満席でした。そして終わった後劇場が何と拍手で包まれました。

今まで私が劇場で体感した印象深い出来事は3回ほどあります。

1つ目は『ダークナイト』のジャパン・プレミア@東京国際フォーラム。
映画が終わり最後にタイトルが出た瞬間拍手喝采。クリスチャン・ベールのクレジットが出たらまた拍手喝采。そしてヒース・レジャーのクレジットには割れんばかりの拍手。自然と涙が出ました。

2つ目は『ブラックスワン』公開初日夕方の回@新宿バルト9。
映画が終わり劇場が明るくなった瞬間、言葉では表せないどよめきが。
ざわざわざわざわと・・・
これはあの衝撃的なラストから起きたものですね。

3つ目は本作鑑賞後の体験ですが『ダークナイト・ライジング』のジャパン・プレミア@東京国際フォーラム。
これは『ダークナイト』とほぼ同様、しかしこちらはみなさん泣きながらの熱狂的拍手。シリーズが終わった!というのを感じた瞬間でもありました。

『アーティスト』では終わったと今回は劇場が誰もいないスクリーンに向かって拍手を送ったのです。レビューを見る限り割と万人に評価されているようですが、これを拍手で体感しましたね。素敵な回を選んだなと思っています。



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映画『フィールド・オブ・ドリームス』紹介、「きっと彼はやってくる」大人のファンタジーに涙、涙、涙[ネタバレなし]



『フィールド・オブ・ドリームス』基本情報

タイトル
=フィールド・オブ・ドリームス

原題
=Field of Dreams

監督
=フィル・アルデン・ロビンソン

出演
=ケヴィン・コスナー
=エイミー・マディガン
=レイ・リオッタ
=ジェームズ・アール・ジョーンズ
=バート・ランカスター

ストーリー
アイオワ州の田舎町に住むレイ・キンセラは農業でなんとか家計をやりくりする、一見普通の貧乏農家。ただ、若い頃に父親と口論の末に家を飛び出し、以来生涯に一度も父の顔を見る事も、口をきく事すらもなかった事を心の隅で悔やんでいる。ある日の夕方、彼はトウモロコシ畑を歩いているとふと謎の声("If you build it, he will come." = 「それを作れば、彼が来る」)を耳にする。その言葉から強い力を感じ取った彼は家族の支持のもと、周囲の人々があざ笑うのをよそに、何かに取り憑かれたように生活の糧であるトウモロコシ畑を切り開き、小さな野球場を作り上げる。その後しばらく何も起きなかったが、ある日の晩、娘が夕闇に動く人影を球場にみつける。そこにいたのは“ブラックソックス事件”で球界を永久追放され、失意のうちに生涯を終えた“シューレス”ジョー・ジャクソンだった・・・

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=K7Wu-73prso


(埋め込み不可の動画なのでリンクのみ)


「何かいい」それをいつも思える素晴らしさ

天の声に導かれて、トウモロコシ畑を野球場に変えてしまう主人公。トウモロコシ畑は貴重な収入源なのにそれを潰した主人公。しかし天の声を信じた主人公の周りには奇跡が起き…そして最後は感動が押し寄せる。

野球映画のジャンルでありつつ、これは完全なるファンタジー映画路線。だってもうこの世に存在しない人間が次から次への登場するんですもん。ファンタジーと認識しないと何も認められない映画なのですw

ファンタジーと認めてしまえばあとは心地よいストーリー、そして予定調和ながらもなぜか毎度感動してしまう最後のキャッチボール。それがジェームズ・ホーナーの素晴らしい音楽に乗せて描かれるのです。

毎度毎度涙腺が・・・




ファンタジーの中に見える「大切なもの」の答え

本作に何度も出てくるフレーズ

「ここは天国かい?」

「いや、アイオアさ!」

このやりとりは最初は笑い話のように軽く出てきます。天国=最も素晴らしい所というのが本作の定義であって、主人公は最後に天国が何か、つまり最も素晴らしい所がどこかを悟るのです。よって実際は映画の主題であるのです。

これだけ書けばまぁわかってしまう通り、主人公は「天国=ここ」と悟ります。これは誰でもわかること。しかしその「ここ」の時に映される映像・・・涙ものです。

その「ここ」には色々な要素が詰まっており、映画としてのメッセージでありながら、私も「確かにそうかもしれない」、とそのメッセージに納得をしてそして涙を流しました。最も素晴らしい所、最も素晴らしいもの、それは人それぞれ異なると思います。

しかしその根底にある「本当に素晴らしい所、素晴らしいもの」はこの映画が示しているものなんだなと思います。それを受け入れると自然と心が優しくなれます。その気持ち全開のところで映画は終了。これを傑作と言わずして何といおう?

ということで割と2000年以降の作品を好む私でも20年以上前のこの作品は大切な1本なのです。



今にも通じるものがあるからこそ傑作であり続ける

昨年でしょうか、News Weekの映画特集、2000年台の映画についてでしたが、そこでの傑作の定義が「時代を超えて語り継がれる〜」的なものでした。その時の状況、情勢だったからこそ評価されてのではなく、何年経っても何十年経っても素晴らしい作品だったと思われる映画はやはり傑作ですよね。

『フィールド・オブ・ドリームス』はまさにそうなのかなと私は思います。決して派手さはなく、映画を見れば誰もが20年以上前に作られたとわかる、映像的にも古さが感じられる映画です。

しかしそれは色あせることはなく、むしろそれが味として生きています。そして映画が発信するメッセージが今も昔も不動。だからこそ本作は今見ても、何度見ても感動するのです。

本当に大切なもの=天国は今も昔も変わらないのです。というか人間の心の本質をしっかりと描いてくれたということでしょうね。大げさな議論や重いストーリーに頼らずとも、ファンタジー×野球というテーマで感動を呼び起こすことができるのです。

映画は唯一無二でこそ傑作だと思います。そういった意味で似たような作品がありそうでないなと本作を見ていつも思います。私は本作大好きですが、どうも父親になられてる方や40代、50代の方の方が、ぐっと心にくるようです。

うむ、確かにそうかもしれない。20年くらい経って見た時、きっとまた新しい何かを感じられるのかなと思ってみたり。


ェームズ・ホーナーの音楽だよやっぱり

本作の魅力はストーリーなのは当然ですが、そのストーリーを何倍にも感動的なものにさせているのは間違いなく音楽でしょう。『タイタニック』『アバター』のジェームズ・ホーナー作曲です。

『タイタニック』の10年も前の作品ですが、当時から今のジェームズ・ホーナーの魅力が溢れてますね。本作にはいい意味で派手さがないので、音楽も心地よいです。しかしその心地よさはフィナーレにいくにつれて徐々にドラマティックに。

最後のシーンは涙なしには見られません。今でも何度もサントラ聴いてますが心が穏やかになり、また映画を見たくなります。『タイタニック』の音楽も『アバター』の音楽も『ビューティフル・マインド』の音楽も大好きですが、ジェームズ・ホーナーの音楽だとやっぱ本作が一番好きかもしれません。

素敵です。



"If you build it, he will come."にもらう勇気

時代を超えての傑作。そして本作に思うことは「信じて前に進む勇気」です。本作は野球場をお告げによって作るというかなり大胆な行動ですが、そこまででないにしろ、信じて決めたことは何があっても進めてみせる!そういう勇気を本作の主人公に感じることが出来ます。

人間は悩むことの多い生き物です。時にはそれで精神的に参ってしまうこともあります。しかしそれでも信じて進んでいきたい時ってありますよね。そんな時、同じ境遇でないにしろ心が穏やかになり、かつ「がんばてみようかな!」と思える映画だと思うんです。

大切なもののメッセージ性、感動するストーリーと音楽、そしてもらえる勇気。言葉に表しにくいけどやっぱり「何かいい」んですこの映画。その言葉に表しにくい感動こそ、本作の最大の魅力なんでしょうね。

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