今回の記事では『風立ちぬ』の関連書籍と
"力を尽くして生きる"について説明していきます。
"力を尽くして生きる"について説明していきます。
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『風立ちぬ』には"力を尽くして生きる"という台詞が繰り返し出てきます。
これは旧約聖書内の伝道の書(コヘレトの言葉)9章10節
"全て汝の手に堪うることは力を尽してこれをなせ" からきているようです。
口語訳すると以下のようになります。
"すべてあなたの手でなしうる事は、力をつくしてなせ。
あなたの行く死後(陰府=よみ)には、わざも、計略も、知識も、知恵もないのだから。"
"今の時代、必要なことは力を尽くして生きることだ"
という宮崎駿監督のメッセージが見えてきますね。
また、宮崎監督が好きな作家に堀田善衛さんと言う方がいらっしゃるそうです。
その方の最後の作品"空の空なればこそ"の最後にもこれが引用されているそうなので、
そこからの着想ではないかと思われます。
ちなみに旧約聖書の伝道の書の冒頭は以下のようになっています。
"伝道者言く、空の空、空の空なる哉、都(すべ)て空なり"
つまり、堀田善衛さんの"空の空なればこそ"そのものが伝道の書から影響を受けているんですよね。
伝道の書には以下の様なフレーズもあります。
"世は去り世は来る、地は永久に長存なり、日はまた昇り、また入る、かくしてその出し処に喘ぎゆくなり"
これは言うまでもなくヘミングウェイの"日はまた昇る"の元になっている部分です。
堀越二郎と堀辰雄を混ぜた主人公堀越二郎に、堀田善衛さんの"空の空なればこそ"からたどり着いた旧約聖書内の伝道の書、そこを同じくモチーフにしているヘミングウェイの"日はまた昇る"。
いやはや文学史を探求することで『風立ちぬ』の世界観がどこまでも深まっていきますね。
また、映画『風立ちぬ』は宮崎駿監督自ら原作を持っていますが、その着想は同名小説堀辰雄"風立ちぬ"からきています。
だからこそ本作のキャッチコピーに
"堀越二郎と堀辰雄に敬意を表して"
と書かれているのです。
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