『風立ちぬ』の鑑賞日記で書いた通り私は本作の魅力に取り憑かれました。
この映画を観た方、またこれから観る方のために、
より魅力を感じることができる解説を書いていきます。
『風立ちぬ』の鑑賞日記で書いた通り私は本作の魅力に取り憑かれました。
この映画を観た方、またこれから観る方のために、
より魅力を感じることができる解説を書いていきます。
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□基本情報
タイトル=『風立ちぬ』
英語タイトル
=『THE WIND RISES』
日本公開日
=7月20日
上映時間
=2時間6分
公式サイト
=http://kazetachinu.jp/
予告編
=http://www.youtube.com/watch?v=X3AekHQy6lc
主人公
零戦の設計者である堀越二郎と文学者の堀辰雄、
宮崎駿監督が好むこの二人の人物を混ぜた"堀越二郎"が主人公。
つまり実際の堀越二郎を描くわけではない。
ストーリー概要
かつて日本で戦争があった。
大正から昭和へ、1920年代の日本は、
不景気と貧乏、病気、そして大震災と、
まことに生きるのが辛い時代だった。
そして、日本は戦争へ突入していった。
当時の若者たちは、そんな時代をどう生きたのか?
イタリアのカプローニへの時空を超えた尊敬と友情、
後に神話と化した零戦の誕生、
幸薄の少女菜穂子との出会いと別れ。
この映画は実在の人物、堀越二郎の半生を描くー。
堀越二郎と堀辰雄に敬意を込めて。
生きねば。
(公式サイトより引用)
声優
=堀越二郎(主人公)=庵野秀明
=菜穂子(ヒロイン)=瀧本美織
その他声優は以下の通りの豪華キャスト
=西島秀俊
=西村雅彦
=スティーブン・アルパート
=風間杜夫
=竹下景子
=國村隼
=志田未来
=大竹しのぶ
=野村萬斎
公開されている企画書文
「その1:飛行機は美しい夢」
零戦の設計者堀越二郎とイタリアの先輩ジャンニ・カプローニとの同じ志を持つ者の時空をこえた友情。いくたびもの挫折をこえて少年の日の夢にむかい力を尽すふたり。
大正時代、田舎に育ったひとりの少年が飛行機の設計者になろうと決意する。美しい風のような飛行機を造りたいと夢見る。やがて少年は東京の大学に進み、大軍需産業のエリート技師となって才能を開花させ、ついに航空史にのこる美しい機体を造りあげるに至る。三菱A6M1、後の海軍零式艦上戦闘機いわゆるゼロ戦である。1940年から三年間、ゼロ戦は世界に傑出した戦闘機であった。
少年期から青年期へ、私達の主人公が生きた時代は今日の日本にただよう閉塞感のもっと激しい時代だった。関東大震災、世界恐慌、失業、貧困と結核、革命とファシズム、言論弾圧と戦争につぐ戦争、一方大衆文化が開花し、モダニズムとニヒリズム、享楽主義が横行した。詩人は旅に病み死んでいく時代だった。
私達の主人公二郎が飛行機設計にたずさわった時代は、日本帝国が破滅にむかってつき進み、ついに崩壊する過程であった。しかし、この映画は戦争を糾弾しようというものではない。ゼロ戦の優秀さで日本の若者を鼓舞しようというものでもない。本当は民間機を作りたかったなどとかばう心算もない。
自分の夢に忠実にまっすぐ進んだ人物を描きたいのである。夢は狂気をはらむ、その毒もかくしてはならない。美しすぎるものへの憬れは、人生の罠でもある。美に傾く代償は少くない。二郎はズタズタにひきさかれ、挫折し、設計者人生をたちきられる。それにもかかわらず、二郎は独創性と才能においてもっとも抜きんでていた人間である。それを描こうというのである。
この作品の題名「風立ちぬ」は堀辰雄の同名の小説に由来する。ポール・ヴァレリーの詩の一節を堀辰雄は“風立ちぬ、いざ生きめやも”と訳した。この映画は実在した堀越二郎と同時代に生きた文学者堀辰雄をごちゃまぜにして、ひとりの主人公“二郎”に仕立てている。後に神話と化したゼロ戦の誕生をたて糸に、青年技師二郎と美しい薄幸の少女菜穂子との出会い別れを横糸に、カプローニおじさんが時空を超えた彩どりをそえて、完全なフィクションとして1930年代の青春を描く、異色の作品である。
「その2:映像についての覚書」
大正から昭和前期にかけて、みどりの多い日本の風土を最大限美しく描きたい。空はまだ濁らず白雲生じ、水は澄み、田園にはゴミひとつ落ちていなかった。一方、町はまずしかった。建築物についてセピアにくすませたくない、モダニズムの東アジア的色彩の氾濫をあえてする。道はでこぼこ、看板は無秩序に立ちならび、木の電柱が乱立している。
少年期から青年期、そして中年期へと一種評伝としてのフィルムを作らなければならないが、設計者の日常は地味そのものであろう。観客の混乱を最小限にとどめつつ、大胆な時間のカットはやむを得ない。三つのタイプの映像がおりなす映画になると思う。日常生活は、地味な描写の積みかさねになる。
夢の中は、もっとも自由な空間であり、官能的である。時刻も天候もゆらぎ、大地は波立ち、飛行する物体はゆったりと浮遊する。カプローニと二郎の狂的な偏執をあらわすだろう。
技術的な解説や会議のカリカチュア化。航空技術のうんちくを描きたくはないが、やむを得ない時はおもいっきり漫画にする。この種の映画に会議のシーンが多いのは日本映画の宿痾である。個人の運命が会議によって決められるのだ。この作品に会議のシーンはない。やむを得ない時はおもいきってマンガにして、セリフなども省略する。描かねばならないのは個人である。
リアルに、幻想的に、時にマンガに全体には美しい映画をつくろうと思う。
(公式サイトより引用)
主題歌
="ひこうき雲" 荒井由実
『風立ちぬ』の主題歌は松任谷由実さんのデビュー曲です。
挿入歌との情報もありましたが、新しいポスターに"主題歌"と出てるので主題歌決まりです。ストーリー概要などを把握してから曲を聴くと涙が出ますね。菜穂子の悲しい最後が目に浮かびます…
以上、基本情報まとめでした。
次回から見どころや解説をしていきます。
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【年表比較】『風立ちぬ』の堀越二郎と、現実の堀越二郎と、現実の堀辰雄
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