4月 2013 - Cinema A La Carte

『アイアンマン3』感想、痛快爽快!トニー・スタークを見なおした!【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]



基本情報
タイトル
=アイアンマン3

原題
=IRON MAN3

監督
=シェーン・ブラック

出演
=ロバート・ダウニーJr
=グウィネス・パルトロウ
=ドン・チードル
=レベッカ・ホール
=ガイ・ピアース
=ベン・キングズレー

公式サイト
http://www.marvel-japan.com/movies/ironman3/

ストーリー
スーパーヒーローで編成された部隊アベンジャーズの一員として戦い、地球と人類を滅亡の危機から救ったアイアンマンことトニー・スターク(ロバート・ダウニー・Jr)。だが、アメリカ政府はスーパーヒーローが国の防衛を担うことを危険視するようになり、それを契機に彼はアイアンマンの新型スーツを開発することに没頭していく。そんな中、正体不明の敵によってスターク邸が破壊され、これまでのアイアンマンが全て爆破されてしまう。何もかも失ったスタークだが、人並み外れた頭脳を武器に孤独な戦いに挑む。

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=XppWPnwQpGc



感想

『アベンジャーズ2』の製作がほぼ決まってる感じで、その中心的役割を引き続き果たすことになるであろうトニー・スタークことアイアンマン。その単体作品第3弾『アイアンマン3』鑑賞しましたよ。

いやあ、大サービス!大満足ですよ!面白いのは当然でしてね、トニー・スタークが3作+『アベンジャーズ』で真のヒーローになった気がして感動しました。

正直言ってですね、不安が先行していたのですよ。まず3部作の3というのはなかなか2を超えられないことが多いです。その映画好きなら知ってる一種の定義による不安が一点目。

そしてもう一点が『アベンジャーズ』後の世界ということでした。『アベンジャーズ』は素敵な作品でしたが、アイアンマンシリーズ1.2では想定されてなかった宇宙空間の話が入ってきてしまったのです。

それの良し悪しどうこうではなく、そうなると『アイアンマン3』も宇宙を意識しなくてはいけなくなり、1,2と全く異なるものになってしまうのでは、という恐れがあったのです。

あとは監督が交代になった点、パワードスーツが予告編で大量に出ていたことなど、不安に思った要素を挙げていったら枚挙に暇がないという感じでしたw

しかしその不安は全くの的外れでお見事な映画になっていましたね。私はアメコミヒーローだとダントツでバットマンが好きです。映画で言えばクリストファー・ノーラン版の3部作が抜きん出て好きです。

よってシリアルでリアリスティックなヒーロー映画が好みです。なので本作はその期待に見事に応えてくれたのです!

アイアンマンとしての続編であることと、『アベンジャーズ』の後の話であること、その2つをうまく融合させて一つの着地点へと見事に導いたなと思いました。



『アベンジャーズ』は要予習!

本作はシリーズ3作目ですが、過去2作品よりも『アベンジャーズ』が予習すべき映画だ

冒頭の語りがと最後の語り、これは『アベンジャーズ』観てないとわけわかりません。
『アベンジャーズ』観てればニヤリとさせられるので是非予習してから鑑賞してくださいね。



人間トニー・スタークを描くことで溢れる人間味

トニー・スタークという人物は正直いって軽めな人物です。
それが魅力なわけですが、それ故に感情を描くことが難しい点もあります。
『ダークナイト』シリーズのブルース・ウェインと異なり苦悩を描きにくいのです。

しかし、本作しっかりとトニー・スタークの感情が描かれていたのです。
それは感情を直接描くのではなく行動で見せられました。
アイアンマンでありながらも彼は生身の人間トニー・スタークなのです。

その生身のトニー・スターク、つまりアイアンスーツを着ていない時の彼の行動が
本作では我々の心へアプローチする感動的な物語でもあったなと思います。

チャラいプレーボーイでありながらやはり心で大切に思っているのは秘書であるペッパーなんですよね。
そこへもしっかりと落とし前を付けることでやはり感情が描かれます。
これも変に言葉では描きません。行動で示すのです。

トニー・スタークの感情を描くにはやはりこれ!という感じがしてとても良かったです。


これでこそアイアンマン!

毎度の大予算投入のアクション・シーン、破壊シーン。
そういったお決まりシーンをしっかり押さえつつ、
パワードスーツの新しい使い方を取り入れたことで面白さが何倍にも増したと思いました。

観た方ならこの表現でわかると思いますが、
"部分的アイアンマン"のアクションがまあ秀逸でしてね!
パワードスーツの魅力を大いに見せてくれます!

そしてそれはまたシリーズの中で疑問であった
「パワードスーツを着れば誰でもアイアンマンになれるのか」
という疑問にもしっかりと決着を付ける伏線にもなっているのです!

素晴らしいのなんの!!

3部作+『アベンジャーズ』の3でありながらも、
シリーズ、つまりアイアンマンの定義をしっかりと見直すストーリー構成もお見事。
やはりトニー・スタークのアイアンマンでこそのヒーローなのです。

いや、トニー・スタークがヒーローなのでしょう。
この辺は作品を観れば納得だと思います。

私は『アイアンマン』『アイアンマン2』『アベンジャーズ』をそこまでリピートして観てません。
それは単純に「やっぱる『ダークナイト』シリーズだよアメコミは」と心のどこかで思っていたからでしょう。

しかし『ダークナイト』シリーズと同じくリアリスティックでありながらも
全く異なるヒーローの定義であったり、演出であったり、トニー・スタークの良い軽さ、
それを本作を観て「こういうヒーローも人間くさくていいよな」と思うことができました。

そしてそれはやはりロバート・ダウニーJrの演技あってことなのでしょう。
『アベンジャーズ2』でも期待してまっせ!!

シリーズものでありながら、過去作との比較等が書けないのが申し訳ないですが、
「アイアンマン、ちょっと1から詳しく楽しもうかな」
と思えたという感想に至ったという点で本作が見事なアメコミ映画であり、ヒーロー映画であり、アクション映画であることはおわかり頂けるのではないかと思います。

オススメの一本でございます!




娯楽映画に振り切ったギャング映画の傑作!『L.A.ギャングストーリー』!【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]




作品情報
日本語タイトル
『L.A.ギャング ストーリー』

原題
"GANGSTER SQUAD"

監督
ルーベン・フライシャー

出演
ジョシュ・ブローリン、ライアン・ゴズリング、ショーン・ペン、エマ・ストーン、ニック・ノルティ

公式サイト

ストーリー
1949年ロサンゼルス、ギャング王ミッキー・コーエン(ショーン・ペン)はドラッグや銃器売買、売春などで得た金で街を牛耳っていた。警察や政治家も意のままに操るコーエンに誰も歯向かえずにいたが、街の平和を取り戻すべく6人の男たちが立ち上がる。ロサンゼルス市警のジョン・オマラ(ジョシュ・ブローリン)とジェリー・ウーターズ(ライアン・ゴズリング)らのチームは、身分を隠し闇社会に戦いを挑んでいく。(シネマトゥデイより)

予告編




感想
試写会にてお先に鑑賞させて頂きました。
いやはや・・・とにかく面白い!!
面白いもんは面白い!!ギャング映画、娯楽映画として完璧な作品です!

ロサンゼルスを牛耳るマフィア、ミッキー・コーエンとロサンゼルス市警との抗争を描いた実話。
下手な捻りは一切なし!テンポよく時に笑わせ時にドラマティックに、そして最後はすっきり!
ミッキー・コーエンを潰すために作られた特殊部隊が力技でミッキー・コーエンの組織を破壊していく様を描きます。

一瞬たりとも飽きさせないテンポよく進むストーリー。
時に暴力的に、時に感情的に、時に知的に、時にコメディ的に、
映画を最初から最後まで楽しませる要素満載なのです。

これでもかとハイペースでミッキー・コーエンの組織を潰していく特殊部隊、
しかし中盤からミッキー・コーエンの逆襲が・・・
そして最後は全面抗争で銃撃戦!飽きる要素が見当たりませんw

それくらい見事な作品だったわけです。
娯楽映画であり、ギャング映画である本作。
あれこれ作品の行間解説なんて正直いりませんよ!

こ の 映 画 を 楽 し め !

正直これだけで十分ですよ!
傑作!傑作!



ギャング映画はシリアスでいくか娯楽に振り切るかどっちか!
ギャング映画はファンも多く、そのテイストも様々でしょう。
私はやはり同じLAを描いた『LAコンフィデンシャル』が大好きです。
あの映画のシリアスさと娯楽性の融合は今でも愛して止みません。

ギャング映画はシリアスにその抗争を描くか娯楽に振り切るかが大切だと思います。
シリアスに攻めた力作と言えば近年だと『ギャング・オブ・ニューヨーク』でしょう。
賛否ある映画ですが私はあの映画とても好きです。

それと正反対の映画が本作では無いでしょうか。
おそらく同じ試写会にいらした方だと思うのですが、
「バランスを間違えた」と指摘されてる方もいらっしゃいました。
しかし私は娯楽に振り切ってシンプルに進むストーリー、時にスパイスとしてシリアスさが垣間見られる本作に完全にハマりました!

要するに最後は人の好みという感じですかねw

悪党がいて、それを倒す奴らがいる。
そして両方を股にかける一人の美しい女がいる。
その女と善側の男の激しい恋・・・この王道プロットが本作!

これは演出一つ間違えればつまらない作品になる危険性もあります。
王道=よくある話でもあるからです。
しかし本作はさすが『ゾンビランド』の監督だけあって娯楽に振り切り飽きさせません!

情熱的な恋ですら一部笑いに変えてしまうその手腕恐るべし!w
ギャング映画のキスシーンで笑いが起きる映画ってありますかね?w
無いでしょwww

娯楽性に振り切った映画は楽しんだもの勝ちですよ。
だってコメディ映画やお笑い番組を評論して真面目に切っても仕方ないじゃないですか。
楽しんだもの勝ち!楽しめなかった方は残念!合わなかっただけ!

本作は昨日の試写会の雰囲気だとこのラインでみなさん分かれていたと思います。
バイオレンス苦手な方は銃撃戦満載なので苦手かもしれませんけどね。
笑えるシーンもたくさんでとにかく楽しめる映画でございました。

そんな娯楽映画なので最後もスカッと締めてくれます!
ギャングと警察の抗争である以上犠牲者も出て死が扱われます。
それはほろ苦さを残しますが、そこをシリアスに扱い過ぎない辺り、本作はさすがといったところでしょう。



史実に基づく映画
本作は史実に基いています。
本作の悪党ミッキー・コーエンはニューヨークのブルックリンのユダヤ人家庭に生まれました。
映画内でニューヨークを良く言わないのはそのためですね。

10代からボクサーを目指し、フェザー級チャンピオンのトミー・ポールと戦うまでに。
その後あのアル・カポネの犯罪組織の用心棒となり、後にベンジャミン・シーゲルの用心棒になります。
そしてロサンゼルスを支配するまでに上り詰めます。本作はこの部分が描かれます。(ミッキー・コーエンの過去は特に描かれません)

色々リサーチしてて面白かったのが、JFケネディ暗殺犯とされたオズワルドを射殺したジャック・ルビー
という人物はミッキー・コーエンの友人だそうで。何か色々匂ってきますね・・・
またギャングでありながらあのフランク・シナトラとも交流があったとか!驚き・・・

そんなミッキー・コーエンは気づいたらロサンゼルス市警や司法組織と癒着し、誰も逆らえない状態に。
文字通り、ロサンゼルスはミッキー・コーエンが牛耳る街になったのです。
しかし全ての人がそれを歓迎しているわけではありません。そこでその支配を終わらせようと立ち上がった舞台が本作の警察チームです。

その抗争のみに焦点を当て、ミッキーの人間性云々や警察側の苦悩云々は排除。
これが批評家に受けなかったようですが、娯楽映画なのでこれでいいじゃん!w
全てを排除したわけではなく家族と愛についてはちゃんと扱ってますしね。バランス良すぎw

映画は60年代の雰囲気もばりばりに出ていて映像も飽きません。
劇中のスコア音楽ではない、挿入歌もセンスが良くとにかく飽きない素晴らしい映画です。
ミッキー・コーエンが実在の人物であるとわかってみることできっと映画の楽しみが増すと思いますよ。



俳優陣完璧!
さてさっきから全てに置いて褒めちぎってますが、まだまだ褒めさせていただきますよ!w
本作は俳優陣はとにかく完璧ですね。

主人公にジョシュ・ブローリン。
ジョシュ・ブローリン主人公ってちょっと地味じゃないかなとも思いましたが、いや、お見事!
表情をあまり変えないことで正義感がにじみ出て素晴らしかったです。

ミッキー・コーエンの演じたショーン・ペンもハマり役!
アウトローなギャング感が出ていてこれまた素晴らしかったです。
こんな人近くにいたら恐くて仕方ないw

警察舞台の面々がこれまたお見事!
ロバート・パトリックの早撃ち技に始まり、アンソニー・マッキーの素早いナイフ裁き、
ジョヴァンニ・リビジの真面目な盗聴作業、そしてマイケル・ペーニャのがまさかのお笑い担当w
何なんだこのハマリっぷりは!!良すぎましたw

そしてピンポイント活用でおいしいなと思ったのがニック・ノルティ。
この人存在感がありすぎるんですよねいつもw
だからこそピンポイント活用でうまく機能してたなと。お見事!

そしてやはり語らずにはいられないのがライアン・ゴズリング×エマ・ストーンですよ!
『ラブ・アゲイン』でも恋人同士を演じた二人の再共演、しかもまた恋仲www
ホントこの二人のシーンは見ていて素敵ですよ。私がエマ・ストーン好きすぎるのもあれですがw

全体的に男臭い感じが漂う映画において清潔感のあるゴズリングと紅一点のエマ・ストーン。
このスパイスが映画を何倍も彩っているのですよ。
エマ・ストーンはさ、アンドリュー・ガーフィールドじゃなくてゴズリングと付き合いなさいよ←

とにかくお見事な俳優陣!
娯楽映画をより豊かなものにしたのは彼らのケミストリーあってこそなのでしょう!




映画って何だろう?
私はシリアスな映画やバッドエンドの映画が大好きです。
オールタイム・ベストだと『つぐない』とか『ダークナイト』シリーズとか『アメリカン・ビューティー』とか。
そういう類の重みのある映画が大好きです。

本作はその真反対に位置するもの。
しかしその娯楽に振り切った感がとても新鮮で隅から隅まで楽しむことができました!
何も文句ないですし、普通に今年見た映画の中でベスト5に入ります。

映画というのは娯楽として生まれてきたものです。
それがどんどん可能性を広げ、主義主張を伝えるものにもなりましたし、
深みをどこまでも追求する文芸作も稀生まれてきました。

技術革新によって今までは作れなかった作品も作られ、3Dも登場してきました。
万人受けのしないシリアスな作品やドキュメンタリー映画も数多く作られるようになりました。

どれも映画という歴史の中でできてきた可能性たちです。
それらは全て存在すべきものであり、今後もより可能性は広がっていくでしょう。

そんな映画というものにおいて娯楽の王道、基本中の基本を押さえている本作『L.A.ギャングストーリー』。
まさに楽しむことを追求し、そして実話であるというまさかの題材。
俳優陣は熱演し、銃撃描写に胸が高鳴る。最後はハッピーエンド。

まさに王道です!
王道というのは一歩間違えれば過去の繰り返しでつまらなくなるもの。
しかし本作はそんなものとは無縁です。

久々に"楽しむこと"のみに終始した映画でした!
映画を好きになると様々な見方をしたり、深く考えたりします。
評論ぶって映画を切りたくなる時もあります。

しかし、そう天狗にならず楽しむための映画をいつまでも純粋に楽しめる自分でありたいと改めて思いました。
『L.A.ギャングストーリー』、オススメの一本です!
5月3日より公開です!




焦点を絞り人間性を炙りださせた傑作!スピルバーグ新作『リンカーン』【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレ解説あり]




基本情報
日本語タイトル
『リンカーン』

原題
"Lincoln"

監督
スティーブン・スピルバーグ

出演
ダニエル・デイ・ルイス、サリー・フィールド、トミー・リー・ジョーンズ、デヴィッド・ストラザーン、ハル・ホルブルック、ジョセフ・ゴードン=レヴィット、ジョン・ホークス、ジェームズ・スペイダー

公式サイト
http://www.foxmovies.jp/lincoln-movie/

ストーリー
エイブラハム・リンカーン(ダニエル・デイ=ルイス)が、大統領に再選された1865年。アメリカを内戦状態に追い込んだ南北戦争は4年目に突入したが、彼は奴隷制度を永遠に葬り去る合衆国憲法修正第13条を下院議会で批准させるまでは戦いを終わらせないという強い決意があった。そのためにも、国務長官ウィリアム・スワード(デヴィッド・ストラザーン)らと共に憲法修正に必要な票を獲得するための議会工作に乗り出す。そんな中、学生だった長男ロバート(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)が北軍へと入隊し……。(シネマトゥデイより)

予告編







感想
ダニエル・デイ・ルイスがアカデミー賞主演男優賞を受賞した『リンカーン』。
タイトルそのまま、アメリカ合衆国第16代大統領エイブラハム・リンカーンを描いた映画です。
さすがスピルバーグ、見事にリンカーンを"人間として"浮かび上がらせることに成功しています。

本作の物語はとてもとてもシンプルです。
リンカーンの生涯を描く一大叙事詩なんかではありません。
奴隷制度を葬り去る"合衆国憲法修正第13条"の法案を通すだけの話です。

そのための数ヶ月の政治的論争、策略、そして議決の様子が2時間半で描かれます。
つまり南北戦争やゲティスバーグ演説等をしっかり描いてなどいません。
日本の歴史教育の視点で考えると完全に行間部分を描いた映画というわけです。

私はそれ故に知らなかった歴史の一部を垣間見ることができとても楽しめました。
また焦点を絞っているが故に浮かび上がってくるリンカーンの人間性も大いに魅力でした。
策略の話なのでその辺りも面白みがあり、歴史の結果はわかっていても大いに緊張するクライマックスでもありました。

とても見応えのある作品。
下手な捻りもない王道演出で感動させる辺りさすがスピルバーグといったところでしょう。





予想はしてたが日本での評価は良くない
私は本作はラスト数分以外完璧な映画だと思いました。
ラストに関しては後述しますが、それ以外何の穴もありません。
しかし、日本の映画サイトをいくつか見たら評価がよろしくないです。

"シンプル過ぎる"、”面白みがない”、"セリフ劇についていけない"などなど。
これは前述の通り"合衆国憲法修正第13条"の法案を通すだけの話故なのでしょう。
エイブラハム・リンカーンの人生を描いた一大叙事詩として想定して鑑賞されてしまうとそうなるのかもしれません。

そもそも"合衆国憲法修正第13条"というものは日本の歴史教育では細かく習いません。
リンカーン大統領の時代に奴隷制度が無くなった程度しか我々は習わないのです。
そしてスピルバーグの映画であるという点などからも我々は勝手に超大作をイメージしてしまうのでしょう。

アメリカでは本作は当然大絶賛されています。
それは簡単なことでアメリカ人にとって"合衆国憲法修正第13条"というのは知ってて当たり前のことだからです。
日本史を我々が習った通り、アメリカではアメリカ自国の歴史を当然習います。その差も今回は影響したのでしょう。

私は公開前から映画評論家の町山智浩さんのポッドキャスト等で本作のストーリーが
"合衆国憲法修正第13条"の法案を通すだけの話と耳にしていました。
それ故に映画を見るスタンスは「シンプルだけれど傑作ってどんなものだろう?」というものでした。

それ故に私は素直に本作を楽しめたのかもしれません。
というかこういうのを事前に耳にすると予習する癖がありましてw
合衆国憲法についてあれこれ調べたりもしたのでとてもとても楽しめました。

みなさんが鑑賞される際に細かく勉強するまでは必要ありません。
ただ、繰り返しになりますが本作はリンカーンの一大叙事詩ではありません。
"合衆国憲法修正第13条"の法案を通すだけの話。政治の話。それを頭に入れておいてください。


名優ズラリ!演技が光る『リンカーン』
エイブラハム・リンカーンを演じたダニエル・デイ・ルイスが史上初の3度目の主演男優賞を受賞しました。
我々はリンカーンの映像を生で見たことはありません。
しかし、この演技を見ると、彼がリンカーンとして存在しているかのような錯覚を抱くほどのめり込みます。

ダニエル・デイ・ルイスというと『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』などの大味の演技も名物ですが、
本作では静かに淡々と、しかしその隙間から覗く情熱や思いを感じることができます。
静かなリンカーン故に、時折見える荒々しい部分がまた光るのです。ホントこれはお見事ですよ。


そんなダニエル・デイ・ルイスの演技はアカデミー賞お墨付きなわけですが、周りの俳優陣がまたお見事でして。
一人ずつ名前を上げたら日が暮れてしまうほど語り明かしたいです。
一先ず、サリー・フィールド、トミー・リー・ジョーンズの二人について語らせてください。

サリー・フィールドはリンカーンの妻を演じ、アカデミー賞助演女優賞にノミネートされました。
私見ですが『レ・ミゼラブル』のアン・ハサウェイよりサリー・フィールドが受賞するべきだったと思います。
まあサリー・フィールドは受賞経験もありその辺りの事情もあるわけですが、とにかく見事な演技でした。
偉大なる大統領の影に偉大なる妻あり、と改めて思いました。

そしてトミー・リー・ジョーンズですよ。
アカデミー賞助演男優賞にノミネートされました。
奴隷解放急進派のタデウス・スティーブンスを演じています。

映画の後半彼は映画内を書き回します。
奴隷解放の急進派故に、法案が不十分と言うのです。
そして彼にはある秘密が…最後はその秘密と絆に泣かされます。

アカデミー賞レースでは有力候補ですが、受賞は『ジャンゴ』のクリストフ・ヴァルツに譲る形となりました。
まあクリストフ・ヴァルツほぼ主役でしたのでこれは致し方なしでしょう・・・
しかし映画において涙を誘った最後を含めて見事な存在感でした。

それ以外にもデヴィッド・ストラザーン、ハル・ホルブルック、ジェームズ・スペイダー、
ブルース・マッギル、ジャレッド・ハリス、ジョン・ホークスと名優揃い!
大人気ジョセフ・ゴードン=レヴィットもリンカーンの息子で出演してます。

ダニエル・デイ・ルイスの卓越した演技だけが先走りせず、
その名演技を名優がしっかり下支えする。
そのバランスは名優陣故、そしてスピルバーグの演出故に機能したのだろうと改めて思いました。

ところで、驚きのデータがありまして、
スピルバーグの映画でアカデミー賞の演技賞を受賞したのは
今回のダニエル・デイ・ルイスが何と初めてなんです!

あれだけ名作を生み出しているスピルバーグなのに・・・
意外なこともあるもんですね。
何はともあれ、この演技合戦、映画好きなら見るしかないですよ!




たくさんの満足と1つの不満
さて、ここまで書いてきておわかりの通り、私『リンカーン』大好きな映画です。
試写会で見終わった時は感動と余韻で何も言葉を発したくないほどでした。
ジョン・ウィリアムズの音楽がまた王道で見事でしてね。今でも聴くと映画の場面が蘇ってきます。

完璧と思っていたのですが先日1つ不満に思うようになってしまいました。
ニューズウィーク日本版に書いてあったレビューの指摘に納得をしてしまいまして。

"最後は南北戦争終結後に妻と落ちあって劇場へ行く後ろ姿でいい"との記述。

これ確かにな・・・と思いました。
本作のラストは王道なんですが確かにちょっと感傷的過ぎる気もしました。
リンカーンの最後がどうなったかは歴史が示している通りです。

だからこそリンカーンの生前の後ろ姿で終わるラスト・・・
ああ、確かにこっちの方が感動できたかもしれません。
決してマイナスではありませんがよりベターな指摘をニューズウィークがしてしまいましたねw

惜しいところです・・・


さて、不満も書きましたが、焦点を絞った政治劇であっても
1人の歴史に残る偉人の人間性に迫った本作を日本人が見る価値は十分にあると思います。
真のリーダーの姿を綺麗事だけでない真の人間として目撃することができます。

今の日本、昨年政権が自民党に戻りました。
安倍首相は今現在様々なことに挑戦しています。賛否もありますね。
大切なのは結果を残すことです。それを期待したいと映画を観て改めて思った次第であります。




なめてかかってごめんなさい。。。『ハッシュパピー バスタブ島の少女』傑作でした!【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]




基本情報

日本語タイトル
『ハッシュパピー バスタブ島の少女』

原題
"BEASTS OF THE SOUTHERN WILD"

監督
ベン・ザイトリン

出演
クヮヴェンジャネ・ウォレス、ドワイト・ヘンリー

公式サイト
http://www.bathtub-movie.jp/

ストーリー
6歳の少女ハッシュパピー(クヮヴェンジャネ・ウォレス)は、“バスタブ”と呼ばれるコミュニティーで、父親のウィンク(ドワイト・ヘンリー)と暮らしている。彼らは、閉鎖的な場所であったものの穏やかな日々を送っていたが、ある晩、嵐が全てを奪い去る。突然大好きな場所や仲間を失ったハッシュパピー。途方に暮れる状況の中、ウィンクが重病であることを彼女は察知し……。(シネマトゥデイより)

予告編






感想
アカデミー賞作品賞、監督賞、主演女優賞とノミネートされた本作。
監督賞は『アルゴ』のベン・アフレックを差し置いてのノミネートで、
ベン・アフレック好きとしてはむしろ「なぜお前がきた・・・」と嫌悪感すら抱いていたほど・・・

ベン・アフレックの落選は今でも納得いってませんが、これだけは言えます。
本作『ハッシュパピー バスタブ島の少女』のベン・ザイトリン監督はそれに見合う監督をしたということ。
つまり本作はアカデミー賞主要3部門にノミネートされるに値する傑作であったと言うことです。

インディペンデント系の映画であり、しかもファンタジー色もある。
私が普段好んで見ない類の映画でもあり、食わず嫌いで先に毛嫌いしてしまってました。
参りました。本作は傑作です。涙無くして見れない見事な作品でありました。




お伽話と現実世界の間
さて、本作がどういう映画なのかというとこれ説明がすごくしにくいのです。
一番最後にシネマトゥデイさんから引用のあらすじ書いてますがそれでも不十分。
言葉で説明するのがとても難しい独特の作品なのです。

おとぎ話と現実の間と言いますか、とても不思議な雰囲気のする映画です。
映画の出来は前述の通り見事なんですが、レビューが最も書きにくい類の映画です。
なぜならその世界観あってこその感動がこの映画にはあるからです。

バスタブ島という架空に島が舞台のお話で、父子の物語が軸になります。
ハッシュパピーとは主人公の少女のことです。
ちなみに原題は全然違います。

原題は"BEASTS OF THE SOUTHERN WILD"。
つまり、"南部の野生の獣たち"というタイトルです。
これは本作に出てくる獣のこと。これもまた説明がしにくいですw

寓話と言いますか、一応本当なんですが、その獣の話が本作には出てきて、
その獣は凍った氷の中にいると言われているのです。
氷が解けた時、このバスタブ島は水没してしまい、そしてその獣が襲ってくると言われているのです。

実際映画の中でどうなったかは是非映画を観てください!
といったところですが、主人公はハッシュパピーなのでまあ一応邦題もありかなとは思います。
"南部の野生の獣たち"って何かサバイバル映画にも見えちゃいますしねw

ファンタジー系統の話も出てきますが、バスタブ島は文明社会から切り離されてる感があり、
今私たちが生きている世界以上に野生的なところです。
映画の後半はそれがより顕著に浮かび上がり、人間の本質を目撃することになります。

文明社会も時折姿を表す本作。しかしそれはほんの少しだけ。
だからこそ、このバスタブ島独特の雰囲気が浮かび上がり、
そのにいる主人公のハッシュパピーが野性的で力強く浮かび上がりるのです。

そういった不思議な感覚を持ちつつもあくまでも本作は父子の物語であり、
子である少女ハッシュパピーの成長する物語でもあります。
その姿、父子のやり取りに涙せずにはいられません。

不思議な世界観だからこそ心に触れる不思議な何かを経験することができました。



童心を思い出す
本作を鑑賞する上で童心を思い出すことはとても大切だと思いました。
なぜなら主人公ハッシュパピーの視点で描かれる物語であるからです。

私達は小さい頃って言われたこと何でも信じていました。
言われたことを素直に信じる心を持っていました。
大人が汚れているわけではありませんが疑いを持つということを大人はします。

しかし子供はまずは信じます。
冷静に考えれば非現実的な迷信だって信じてたと私は記憶してます。
それを信じることって決して馬鹿なことではなく、実は成長の糧にもなるんですよね。

感受性豊か故に様々なことを頭に入れ、そして経験していく。
その積み重ねで子供は成長をしていくんですよね。
ハッシュパピーはそれを文字通りそのまま映画内で繰り返していきます。

父子の会話においてハッシュパピーはただただ純粋に反応をします。
父の病気に対してハッシュパピーは純粋に心配し泣きじゃくります。
父の死がそこに見えてしまったら、それを乗り越えていかねばならないから乗り越えながら成長していくのです。

悲しいことが起きたらそれは辛いことですが、それも一つの成長になります。
子供心は純粋です。そして思っている以上に強いです。
本作のハッシュパピーを通じてそれを私たちは痛感し、勇気をもらいます。

それを素直に感じるために、私たち自身も童心を忘れないことが大切です。


クヮヴェンジャネ・ウォレスの演技にのめり込む
本作の主人公ハッシュパピーを演じたクヮヴェンジャネ・ウォレスちゃんは撮影時何と6歳!
史上最年少でアカデミー賞主演女優賞にノミネートされました!
映画内だけでなくアカデミー賞授賞式の時のガッツポーズが可愛らしくて好印象でした。

そんな彼女の演技あってことの本作の完成度ではないかと私は思います。
ただ純粋な子供であるだけでなく、ハッシュパピーは幼いながらにして様々な決意をしていかなければならない少女。
その力強さを見事に表現していました。

史上最年少のアカデミー賞主演女優賞ノミネート、伊達じゃありません。
彼女の演技を見ることで、映画の好き嫌い置いといて勇気を貰えるのではないでしょうか。
それくらい見事な演技だったと私は思います。


希望を持つということ
本作はファンタジー色があるのですが、その先にある現実についても我々は考えなければいけません。
なぜなら本作はニューオーリンズを襲ったハリケーンのことをベースにしてるからです。
水没しかけたバスタブ島で暮らす人々はニューオーリンズの人々ということです。

当たり前の日常が自然災害によって破壊され無くなってしまう。
これは私たち日本人も東日本大震災で目の当たりにしたことです。
突然の別れがそこにはあります。生きる人、亡くなる人がそこにはいます。

残された者は生きていかなければいけません。
しかし、悲観的にだけ思ってはいけません。
悲劇も成長の糧にしなければいけません。

「何があっても私たちは生きていかなければならない」のです。

この言葉『桐島、部活やめるってよ』と同じではないですか!
そう、映画は全く異なりますがメッセージとして受け取ったものは桐島と似ているものでありました。
全く異なるのだけれど、昔を思い出して切ない気持ちも思い出すのです。

そして勇気を与えてくれる映画。
見事ではありませんか!
小さな小さな作品です。しかし大きな大きな勇気に溢れた作品です!

インディペンデント系の映画では近年ベスト級でしょう。
多くの方に是非観て欲しい映画です。



娯楽映画としてほぼ完璧な兼ね備え!ディズニーの底力『シュガー・ラッシュ』!【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]




基本情報
日本語タイトル
『シュガー・ラッシュ』

原題
"Wreck-It Ralph"

監督
リッチ・ムーア

公式サイト
http://www.disney.co.jp/sugar-rush/home.html

ストーリー
アクション・ゲーム「フィックス・イット・フェリックス」の敵キャラを30年間も演じているラルフ。人々から嫌われている状況にうんざりしていた彼は、自分のゲームの世界を抜け出してお菓子だらけの世界でレースが繰り広げられるゲーム「シュガー・ラッシュ」の世界へ。そこで彼は、仲間外れにされてレースに出ることを禁止されている少女ヴァネロペと出会う。お互いに孤独を抱えていた彼らは意気投合し、友情を深めていくように。だが、違うゲームのキャラクター同士が遭遇することはゲーム世界のおきてに背く行為であり……。(シネマトゥデイより)

予告編



感想(一気に語り下ろし)
娯楽映画としてほぼ完璧な映画でしょう。
まずその一言を最初に書いておきましょう!
老若男女楽しめる映画であり、近年のディズニー映画でベスト級の傑作だと思いました。

ゲームの裏にはキャラクターたちの生きる世界があって、
その世界でのキャラクターたちの物語という斬新な設定。
これだけでイマジネーションが刺激されもう楽しくて仕方ありません。

ジョン・ラセター(要するにピクサー)の影響を隠さない今作の雰囲気、
しかしだからこそ、ディズニーらしさとピクサーらしさが見事に融合し、
まさに"楽しめる"そして"感動する"映画に仕上がっていました。

よくよく考えてみればトイ・ストーリーのゲーム世界版ですもんね。
それでOK!
娯楽映画として文句なしの映画です。





ストーリー面に関してあれこれ書く前に文句なしに素晴らしい技術面について少し。

フルCGで製作されたアニメ映像×3Dの融合はとても美しく、
それが時に遊び心満載のポップな映像だったり、
時にはレースアクションで迫力満点に楽しませてくれます。

私は3Dで見ましたが、3Dじゃないと効果の出ない演出などは少なかったと思うので、
2Dは2Dで楽しめるのではないかなと思いました。

キャラクターたちの躍動感もとても見事で、
アニメという作られた世界のそのまた中の世界でありながら、
そこの"心"が宿り、感情移入してほろりとさせられるほど。

これは脚本力はもちろんですが、
技術面が支えるキャラクターたちの造形やそのセットといった、
アニメーションの技術がそれを生み出しているのも間違いありません。

私はジブリが大好きなので手書きの温かみのあるアニメが大好きです。
しかし、フルCGでも感動する世界がそこに存在すると痛感した『トイ・ストーリー』に続き、
本作も心から映画を楽しみ、そして物語にほろりとさせられ、笑顔になったのでした。


さて脚本面の話に入りましょう。


本作はゲームの世界の悪役たちに今回はスポットが当てられています。

これがまた斬新で素晴らしい!
悪役というのはまさに悪い"役"であってそれを演じてるんですよね。

つまり実際はいいやつ。
実質主人公のラルフ、すんでえいいやつですしw

後ほど詳しく書きますが、私はゲームをほとんどやりません。
小学生の時はとんでもないゲーマーでしたが、
中学であまりやらなくなり高校から今まではほぼゲームに触れてません。

なので、ゲームの世界の懐かしさや面白さ云々を当てはめた鑑賞はしませんでした。
今回私は主人公で悪"役"であるラルフを"大人"と置き換えて見ました。
どういうことはというと"働く人間"として捉えたのです。

ラルフはゲームという世界で悪い人物を演じることは仕事なのです。
しかしラルフは実際は悪人ではありません。
陽の目を浴びたいとも思っています。

これは自らの仕事を一生懸命こなしていつつも、
現状の自分自身に満足できず、「いつか出世してやる、いつか成功してやる」
と心で密かに思う現代の社会人そのものではありませんか。

そう見た時、この物語はとても深いものに私の中でなっていきました。
娯楽映画でありつつ、そういった苦悩の部分がしっかりと垣間見られました。
しかし、そこには絶望よりも希望が待っていました。

ストーリーの結末として全体で考えると少しばかり驚いた部分もありました。
しかし、現代社会で働く人間として捉えた時の深みを感じることができ、
ほろ苦さを感じつつも、感動し、涙し、そして笑顔をもらいました。


って一見難しく書いてますが、ストーリーは単純でわかりやすいものです。


それでいて幾重にもストーリーが積み重なっています。
サイドストーリーも豊富なのにそれらストーリーが散らからず
最後にしっかりと回収される巧みな脚本、ホントお見事!

ん〜…何でアカデミー賞の長編アニメーション賞獲れなかったんでしょうね。
こんなに見事な映画なのに・・・


さてさて、褒めまくってますが・・・

が!!


私が劇場で映画が終わって感じたのはそれら感想に合わせて"悔しさ"でした。
映画を見ながらも"悔しさ"が重なっていき、今ももやっとしてる状況が正直いってあるのです。

それは映画の出来に対してではありません。
私の生きてきた人生経験上、この映画を100%以上楽しめなかったのです。
それ故に悔しかったのです。

どういくことかというと、前述のとおりゲームに対して思い入れがあまりないからです。
中学以来TVゲームはほとんどやらず、ポータブルのPSPやDSなどにも手を出さず。
高校に入って映画にハマって今まで時間潰し=ゲームが映画に変わったのも要因でしょう。

iPhone等スマートフォンのゲーム市場が活性化してきてもほとんどやらずでした。
実際今私のiPhoneにはゲームアプリが一本も入っていません。
これはゲームを否定してるわけではありません。単純に別の楽しみが私はあるというだけです。

ゲームに思い入れがあったり、現役のゲーマーの方は本作の小ネタをあれこれ感じ取ることができるでしょう。
それが悔しいのです!
小ネタに気づかないのです。


言ってしまえば映画『ソーシャル・ネットワーク』において、
facebook知らなくても全然楽しめるけど、facebookやMySpaceを知ってて、
マークザッカーバーグやショーン・パーカーを知ってる人間の方が何倍も楽しめるのと同じです。

『テッド』において昔の映画の小ネタが連発され、
誰でも楽しめたけれど、映画ファンほど小ネタに爆笑していた、
あれと同じなのです。


そんな細かいことお構いなしに『シュガー・ラッシュ』は楽しめますが、
"ゲーム詳しいともっと楽しいんだろうな・・・”と気づいてしまい、
これがとてもとても悔しいのです。


映画以外で例えるならワインの味が好きだけれど1杯で酔ってしまう、
というような感じでしょう。
もっと楽しめるのに楽しめてない・・・というやつです。

100点満点で100点満点楽しめました!
しかし200点は楽しめなかったのです。
悔しい!悔しい!w


なんて愚痴も少し書いてみましたがw
映画として申し分ないとても素晴らしい作品でした。
Yahoo映画の評価も5つ星で平均値4.5と超高水準!

私が気に入ってるだけでなくほぼ万人受けしてる傑作になってるようです。
まだまだ大ヒット公開中。

吹替版のみしかやってないのが些か残念ですが、
是非劇場でご覧になってみてはいかがでしょうか♬



狂気の沙汰w映像表現=暴力のような衝撃的ビジュアル炸裂『ザ・マスター』【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]



基本情報
邦題
『ザ・マスター』

原題
"The Master"

監督
ポール・トーマス・アンダーソン

出演
ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス

公式サイト
http://themastermovie.jp/

ストーリー
第2次世界大戦後のアメリカ。アルコール依存の元海軍兵士のフレディ(ホアキン・フェニックス)は、「ザ・コーズ」という宗教団体の教祖ドッド(フィリップ・シーモア・ホフマン)に出会う。やがてフレディはドッドを信頼し、ドッドもフレディに一目置くように。そんな中、ドッドの妻・ペギー(エイミー・アダムス)は暴力的なフレディを追放するよう夫に進言し……。(シネマトゥデイより)


予告編




感想(一気に語り下ろし)
本日もあれこれ書きますが、みなさんにはこの名前だけ覚えて頂ければOKです。
ポール・トーマス・アンダーソン監督。
本作『ザ・マスター』の監督でございます。PTAと略されます。

今回もまあこのポール・トーマス・アンダーソン節が炸裂しておりました。
どういうことかと言うと映像が狂気そのものなんですよ。
暴力描写というわけではないです。普通のシーンがいちいち脳にこびりつくのです。

ただ主人公がいるシーン、風景のシーン、人が集うシーン、牢獄、海岸、荒野…
ありとあらゆる映像がまさに写真の連続のように脳に鮮明に焼き付いていきます。
それが連続されるので褒め言葉としてもう狂気の沙汰以外の何ものでもありません。



新興宗教の教祖と信者のストーリーだと思っていきましたが、
それは設定に過ぎずストーリーとしてはダブル主演の"男の心の葛藤"
という印象を強く受けました。

ホアキン・フェニックス演じる主人公フレディは帰還兵でPTS気味の病んだ男。
そんな男がフィリップ・シーモア・ホフマン演じる宗教団体の"マスター"ランカスターと出会います。
しかしフレディは洗脳されません。だから二人の関係が面白く浮かび上がってくるのです。

フレディは洗脳はされないものの心が病んでる人間。
どこかに拠り所を求めていて、あわよくば洗脳されたかったのではとも思います。
その葛藤が何ともエグく…この辺り『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』に引き続きポール・トーマス・アンダーソンの映画だなぁと見ていて思わず苦笑いw

フレディは洗脳されないもののマスターのランカスターを嫌ってはいません。
しかし洗脳されてない以上信者たちとの間に軋轢が生まれていきます。
が、友情のようなものが生まれ始める二人。だからこそフレディは二度ほどランカスターを本気で守ろうとしました。

これが面白いんですよね。
ストーリーの進みはスローです。だからつまらないと思う方も多いようです。
しかし時間をかけて人間の感情を描く、というかえぐっていくのです。

最後の着地点はこの手の映画だと予想がつくようなつかないような…
私としては思ったよりすっきりできました。

宗教の映画ではありません。人間の感情、葛藤の映画。
だからこそ見ていて辛くもあり、ポール・トーマス・アンダーソンの鮮烈な映像が突き刺さりました。
二度は見なくていいかな…と思いつつどこかでもう一度観たい自分がいます。

ポール・トーマス・アンダーソンの映画はこれが恐いのです。
全て理解できなかったのにこれですからねw
傑作と言っていいのか悪いのか…"問題作"というのが最適表現な気がしますw


ポール・トーマス・アンダーソン監督の映画特有の鮮烈な映像表現が一番の見どころなのは間違いありません。
しかし、それと並んで本作は俳優陣の演技がとにかく凄いです!

ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマンはほぼダブル主演。
アカデミー賞では主演男優賞と助演男優賞ノミネートでしたが、
いやぁこの二人の演技合戦と言わんばかりの強烈なシーンが連発してました。

ホアキン・フェニックスの演技は葛藤する静の狂気。
フィリップ・シーモア・ホフマンの演技は宴のシーンなど動の狂気に感じました。
鮮烈な映像が脳にこびりついたのはこの二人の熱演も間違いなく影響しています。

そしてアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたエイミー・アダムス。
素晴らしいじゃないの!
個人的にはアン・ハサウェイより受賞に相応しかったと思います。

目立つ演技ではないのです。
しかしマスターのランカスターの妻として静かなる存在感を表していました。
エイミー・アダムスは"影の主役"という表現がいいかもです。お見事でした。


ポール・トーマス・アンダーソン監督『マグノリア』や『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』。
問題作と言われる作品を次々とリリースしてる監督です。
本作もその類で間違いないです。

つまり、万人受けなんてしないということです。
本作もアカデミー賞にノミネートされてるからと軽い気持ちで行くべきではないのです。
なぜなら問題作であり、ポール・トーマス・アンダーソンの映画だからです。

もし気になったのなら『マグノリア』辺りを観てから判断されると良いでしょう。
あれもエグいですからw

しかし繰り返し書いてる通り映像が凄まじいです。
映像が狂気となっています。
これだけで映画好きは観る価値のある映画になります。

私もそのように思って映画を楽しみました。
難しいというかよくわからない部分もある本作。
しかし心の葛藤、心の拠り所についての男の物語であると認識して少し理解できたかなと思いました。

正直疲れました。
だってポール・トーマス・アンダーソンの映画ですもんw
しかしこれは褒め言葉。素晴らしい映画であることは間違いないのです。