1月 2013 - Cinema A La Carte

『世界にひとつのプレイブック』感想、イカれた二人に笑って泣いて…元気を貰う超傑作!【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]




『世界にひとつのプレイブック』基本情報

日本語タイトル
=世界にひとつのプレイブック

原題
=Silver Linings Playbook

監督
=デヴィッド・O・ラッセル

出演
=ブラッドリー・クーパー
=ジェニファー・ローレンス
=ロバート・デ・ニーロ
=ジャッキー・ウィーヴァー

公式サイト
http://playbook.gaga.ne.jp/

ストーリー
妻が浮気したことで心のバランスを保てなくなり、仕事も家庭も全て失ってしまったパットは、近くに住んでいるティファニーと出会う。その型破りな行動と発言に戸惑うパットだったが、彼女も事故によって夫を亡くしており、その傷を癒やせないでいた。人生の希望を取り戻すためダンスコンテストに出ることを決めたティファニーは、半ば強制的にパットをパートナーに指名する。(シネマトゥデイより)


予告編
http://www.youtube.com/watch?v=GLbxGZ0tqgw


感想「昨年公開されてたらNO1と言える素晴らしい作品!」

本作はアカデミー賞主要部門全てにノミネートされるという快挙を成し遂げました。主要部門=作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚色賞です。これは81年の『レッズ』以来の快挙です!そして主演女優賞受賞!

一言でいってとんでもなく素晴らしいです。
あれこれ言葉を綴る前にそのれがどれくらいか一言で表現するなら
「昨年公開されていたらナンバー1」となります。それくらいの傑作でした!

コメディタッチで軽やかに進む物語はあまりにハチャメチャで、たくさん笑えて、切なくもなり、最後は笑えて泣ける素敵なストーリーです。これを傑作と言わずに何を傑作というのでしょう!?

ホント素晴らしい映画でありました!


本作のジャンルはロマンチックコメディ。心に傷を負い、入院や薬の服用、カウンセリングが必要なまでに"イカれてしまった"男女の話です。この男女は別々の人生を生きてきて傷も別々に負いました。しかし傷を負った二人は偶然か必然か出会い、ぶつかり合いながらもお互いを理解していきます。

妻に浮気され精神崩壊を起こしてしまったパット。夫がセクシー下着を買いに行く途中で事故って死なれ、精神崩壊を起こしてしまったティファニー。文字通り"クレイジー""イカれた"二人の物語はもうハチャメチャw

周りの登場人物もダメ人間だらけw精神崩壊した二人に、賭け事に熱中するパットの父、文句の言えないパットの母、結婚してヒステリックになってるティファニーの義兄、病院から脱走するパットの友人。ダメ人間オンパレードw

しかし、彼らは誰ひとりとして悪人ではありません。悪役でもありません。どこか愛くるしく、そしてリアルなのです。そして最後までダメ人間はダメ人間だけど明るい未来は描かれます。素敵ではありませんか。

過去という傷、今ある家族や友人、そして未来の恋はどうすべきか。同じシナリオでなくとも世界中にあふれている、"あり得る"内容なのです。だからこそ誰かに感情移入をしたらのめり込み、笑い、涙するのです。


監督の手腕、そして家庭事情

本作の監督はデヴィッド・O・ラッセル。クリスチャン・ベイルがアカデミー賞助演男優賞を受賞した『ザ・ファイター』の監督もしてました。非常に才能のある監督であることで知られています。


が!、この監督過去に色々とありましてwそう、不快なことがあるとキレてしまうのです。ジョージ・クルーニーが主演した『スリー・キングス』で言い合ったのは有名な話。

キレるということは"短気"という言葉で片付けてしまえばそれまでですが、やはり心の問題でもありますよね。ちなみにデヴィッド・O・ラッセル監督は最近温和になったそうです。

デヴィッド・O・ラッセル自身キレることが有名になってしまい干されていた時期がありました。しかし『ザ・ファイター』の監督等で一気に持ち直しました。文字通り"どん底からの再起"を果たしたのです。

そして今はこの『世界にひとつのプレイブック』も傑作に仕上げました。ブラッドリー・クーパー演じるパットは監督自身の投影なのです。そういったメタ構造になっている裏エピソードを知っておくと感動がとっても増します。

また、監督の息子さん、ロバート・デ・ニーロの息子さんがパットと同じ病気を実際に患っているようです。差別を描く時や病気を描く時は当事者だからこそシリアス過ぎないテイストに仕上げることって多いです。本作の"笑えて泣けて"なテイストに監督のそんな優しさを感じ取れます。


何をどう考えても完璧な映画

前述の通り本作はアカデミー賞主要部門全てにノミネートされるという快挙を成し遂げています。主要部門=作品賞、監督賞、主演男優賞、主演女優賞、助演男優賞、助演女優賞、脚色賞。つまり魅力に溢れてる映画というわけです。

作品よし、演出よし、主役よし、脇役よし、脚本よしという。作品を観てそのとおりと思いました。本当に魅力に溢れた映画でした。

ロマンチック・コメディというのがまた良いのです。重厚なドラマではないのにアカデミー賞でこの快挙なのです。これは重いテーマを扱いながらそれを軽やかに演出し、演技も見事に機能したバランス感覚故でしょう。

何というか、最初は対岸の火事的に客観的に鑑賞してたのです。そしてキレる姿がコミカルに描かれてるので笑ったりして楽しめるのです。しかし物語が徐々に進むにつれ二人を応援したくなってくるのです。

このバランス感覚が映画を魅力的にしてるのです。作品よし、演出よし、主役よし、脇役よし、脚本よしなのです。しっかりした話なんだけれど、とっつきやすくなってるのです。

そのバランス感覚はラストの着地点の爽快さもあって後味が本当に見事なのです。
余韻を楽しめるのです。そしてもう一回見たくなるのです。傑作映画の典型的な症状が起きるのですw

本当に本当に本当に魅力的、笑えて泣ける素晴らしい、ロマンチック・コメディの最高傑作なのです。

どなたにでもオススメできる素敵な素敵な映画です!

イカれてるシーンやビンタシーン、そして何気ない会話やダンスに笑い、
切ないエピソードに同情し、恋模様に胸を締め付けられ、
ダメ親に苦笑し、気づいたら映画の世界にのめり込む・・・
最後は涙し笑いうっとりする・・・


これぞ映画ですよ。


ps
映画内とエンドロールでかかるAlabama Shakes の"Always Alright"が素敵な曲。
リピートしながらしばらく生きることになりそうですw




『テッド』感想、大爆笑www変態エロオヤジ熊が暴れまわるも最後感動して涙wいい映画じゃないか!!【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]



□『テッド』基本情報

日本語タイトル
=テッド

原題
=ted

監督
=セス・マクファーレン

出演
=マーク・ウォルバーグ
=ミラ・クニス
=セス・マクファーレン

公式サイト
http://ted-movie.jp/

ストーリー
いじめられっ子からも無視される孤独なジョンは、クリスマスプレゼントとして贈られたテディベアと友人になれるように祈る。彼の願いが通じたのか、テディベアに魂が宿り、ジョンにとって唯一無二の親友テッドとなる。それから27年の月日が経ち、中年となっても親友同士であるジョンとテッド。一緒にソファでくつろいでは、マリファナをくゆらし、映画を楽しんでいる彼らにジョンの恋人ロリーはあきれ気味。ジョンに、自分とテッドのどちらかを選べと迫る。

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=vS23Dkd9r_4


□感想「おい!素晴らしいじゃないか!!(笑)」

単刀直入に素晴らしい!!
その一言につきます!!
笑いあり(大半笑いw)、涙あり、しっかりと構成された脚本の傑作コメディです。

予告編から全開の通りR15ネタが乱発されますw私は下品なものがあまり好きではないのですが、熊がここまでやると何か許せますwむしろ熊だからこそ全然構わない!という感じですw

アメリカで既に大ヒットを記録しており、批評も聞いていたので脚本は何だかんだしっかりしてるんだろうと予想してました。その予想は当っていまして、しっかりしているどころかお見事!という感じでした。

後半なんておっさんの熊相手に涙してしまいました。なかなか予想していない方向へ進み、そして予想してない事態にテッドが遭います。それまでの流れと、その時テッドが話す言葉に涙、涙です。

しかし涙で終わらないのがまたいいのです。最後は私は文字通り"腹抱えて笑った"という状況でしたw最後はお笑い的にいう"オチ"が連続して起こるのですが最後の1カットが完全にツボってしまいましたw

もう最高の映画であります!w


□小ネタの予習をした方が楽しめますw

『フラッシュ・ゴードン』を知ってる方は小ネタを相当楽しめます。というかしらない方は是非ネットで調べておいてほしいですw出演してる"サム・ジョーンズ"という方、是非調べておいてください!

そして是非もう1つ!!『トワイライト』シリーズのテイラー・ロートナーくんを知った状態で、劇場へ足を運んで欲しいと思います。

この人ねw

映画見た方ならこの画像チョイスに私の優しさを感じ取ってくれると思いますw
これ知ってるだけで映画だいぶ楽しめますw


□テッドは私たち現実世界の"友達"を象徴している

『テッド』はおっさん熊という設定によりテディベア好きの方からの大批判もあります。
しかしこれはもうこの設定思いついた時点で製作者の勝利でしょう。しかも設定オチになってない脚本が本当に素晴らしいです。

テッドはおっさん熊ですが、これを親友や異性の友達と置き換えたらそこらじゅうであり得る話になります。それをしっかり映画で描くことで私達が自分自身を振り返るきっかけにもなるのです。

主人公は35歳で4年付き合ってる彼女がいるのです。そろそろ結婚も考える時だけど、テッドという親友もいる。彼女はテッドと離れろという。愛情と友情の選択が生じるのです。

もし仮に熊でなくこれが異性の友達ならどうでしょう?やはり結婚となると絶好ではないにしろある程度整理が必要となります。しかし友人は友人として自分を必要としているかもしれない・・・

そういった誰にでもあり得る話を実は描いているのです。その着地点がまた見事なのです。ほろりと泣かしてくれます。

親友や異性の友達ではなく"趣味"に置き換えることもできます。結婚を決断するにあたってやめないといけない、又は控えないといけない趣味。それと決別すると愛する人に誓うも裏ではこそこそと…など。

テッド=おっさん熊というネタながらもかなり深い解釈をすることができるのです。


□セス・マクファーレン監督が天才過ぎる件

簡潔レビューの方でうまい言葉回しをできたので語る部分は語れたかなと思います。コメディだけどもしっかりと根底にはテーマ性を持った脚本があるのです。ということで映画を取り巻く小ネタを少し書いてみたいと思います。

本作を語る上で絶対に避けて通れないのが"セス・マクファーレン"という人物です。本作では監督、脚本、原案、製作、テッドの声と1人で5役務めました。しかも!今年のアカデミー賞の司会にやりましたwすげえわwww

このようなまとめも登場w
【話題の映画 "TED" の監督が多才すぎる!】
http://matome.naver.jp/odai/2135856298760933101

何が天才ってこの映画、笑えて、時に強烈に下品で、最後は泣かされるんですよwそれを1人で構成してしまうんですから天才以外の何ものでもないですよ。見た目普通の人なのに頭どうなってるのかw



□音楽と挿入歌が素敵

本作のスコア音楽を担当したのはウォルター・マーフィ。映画をふんわりと彩る素敵な音楽でしたがTwitterでジョン・ウィリアムズっぽいとの声が。これ確かにそう思いました!どこか懐かしい雰囲気漂う映画を立てる素敵なスコアでした。

そしてノラ・ジョーンズがいい仕事してます!wオープニングロールの"Everybody needs a best friend"がとっても素敵。何とアカデミー賞歌曲賞にノミネートw

そして映画本編でノラ・ジョーンズがノラ・ジョーンズ役で出てきますwこれは笑いましたwなかなかおいしい仕事してました。


□まとめ

おっさん熊という出オチのような設定ですが、映画全編を楽しめたのはこういった音楽や映像、そして脚本の総合的な要素がやはりありますね。

こういったクオリティの高いコメディが出てくるのは喜ばしいことです。と同時にただ笑わせようとするコメディではもう太刀打ちできない時代ですね。


『テッド』は続編が企画されてるようですが、如何様にもの広げられるので是非シャーロック・ホームズやジェームズ・ボンドばりに広げていってくれたらなと思っていますw

いやあ面白かった面白かった!!


『アルバート氏の人生』感想、1人の女性が歩んだ男性としての人生【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]



『アルバート氏の人生』基本情報

日本語タイトル
=アルバート氏の人生

原題
=ALBERT NOBBS

監督
=ロドリゴ・ガルシア

出演
=グレン・クローズ
=ミア・ワシコウスカ
=アーロン・ジョンソン
=ジャネット・マクティア

公式サイト
http://albert-movie.com/

ストーリー
19世紀のアイルランド、アルバートは、ダブリンにあるホテルでウエイターとして働いていた。だが、人付き合いが苦手で、もの静かなアルバートには誰にも明かすことのできない大きな秘密があった。ある日、アルバートはホテルの改装工事にやって来た陽気で端正な容ぼうの塗装業者ヒューバートと出会い……。

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=Xf4dXcstXEI



感想「ラスト以外とても素晴らしい映画」


昨年のアカデミー賞にグレン・クローズが主演女優賞ノミネート、ジャネット・マクティアが助演女優賞にノミネートされました。やっと日本でも公開されましたw

結論からいきますとラスト以外とても素晴らしい映画だったと思います。予想以上に重い作品でしたが、心に響く素晴らしい作品でした。ラストに関しては賛否両論でしょう。私はこの結末はちょっとなと思っただけです。


19世紀のアイルランドでは女性は自らの意思通りに生きることができませんでした。しかし意思は思い通りにならないだけで意思は心にあるものです。その意思のために男性として生きる選択をしたのがアルバート氏です。

男装をして女性らしさを消し生きていく。当然恋などはできないため慎ましく謙虚な男性として生きていくわけです。それはそれで素晴らしい男性として評価されるようになります。

大きな嘘を1つつくことで、心には嘘をつかないと決めた1人の女性。しかし大きな嘘も時代の流れ、生きていく中で伏せていた恋心は溢れてしまうのです。恋をすると性別の偽りは出来ない。その辺りから歯車が狂い映画は予想外の方向へ進むのです。

"意思"を表に出すか出さないか、"意思"のままに行動するかしないか。主人公アルバート以外の登場人物たちのそれも如実に描かれています。人の意志の暴走は時として悲劇をもたらす…心に突き刺さる展開でした。

私が今年見てきた映画は試写会含めると『アウトロー』『LOOPER ルーパー』『96時間 リベンジ』『ライフ・オブ・パイ』『テッド』です。どれも多かれ少なかれ娯楽要素があります。

しかし今作『アルバート氏の人生』はそうではありません。淡々としかし着実に進む物語に喜びや悲しみを感じるのです。時に怒りも。そして"アルバート氏の人生"そのものを目撃するわけです。

娯楽要素のない映画はその時点で万人へのお勧めとはなりません。公開規模からしてもそうでしょう。しかし本作が心に響く作品なのは間違いありません。

娯楽要素はないけれあどアート的な映画でもなくしっかりと心へ染みてきます。そういった映画が好きな人には生涯大切となる一本になるのではないでしょうか。気になる方は是非ご覧くださいません。


公式Twitterからコメント頂きました



冒頭10分がYoutubeで公開されています




まとめ

人生を描いた映画は自分自身を考える鏡にもなります。今回は心に誓った意思を曲げず大きな嘘をつく辛さを知りました。ここまで大きな嘘の決断をすることは現代を生きる私たちにはないでしょう。

しかし、それは直接的にないだけで、大なり小なり似たことは起きるでしょう。例えば人の幸せを願う意思表示をしながら心では自分の幸せを求めていたり。そういった切ない気持ちは誰もが抱いたことがあるでしょう。

答えは出なくてもそういうことを少しでも意識し、考えることができれば、その時その映画と出会った喜びを感じることができるのです。非常に重い映画で劇場リピートは難しいですがきっと生きているうちで何度か見ることになるのかなと思っています。

そして時を経て見た時、またその時の境遇で感じることが異なるのかなとも思いました。


『ライフ・オブ・パイ』感想、誰もが観たことのない映像で包まれた超大作であり傑作ここにあり!【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレ解説あり]



『ライフ・オブ・パイ』基本情報

日本語タイトル
=ライフ・オブ・パイ/トラと漂流した227日間

原題
=LIFE OF PI

監督
=アン・リー

出演
=スラージ・シャルマ
=イルファン・カーン
=アディル・フセイン

公式サイト
http://www.foxmovies.jp/lifeofpi/

ストーリー
1976年、インドで動物園を経営するパイの一家はカナダへ移住するため太平洋上を航行中に、嵐に襲われ船が難破してしまう。家族の中で唯一生き残ったパイが命からがら乗り込んだ小さな救命ボートには、シマウマ、ハイエナ、オランウータン、ベンガルトラが乗っていた。ほどなくシマウマたちが死んでいき、ボートにはパイとベンガルトラだけが残る。残り少ない非常食、肉親を失った絶望的な状況に加え、空腹のトラがパイの命を狙っていて……。

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=46G_CXH6FSM

感想「映像の魅力とストーリーの魅力が圧巻!」
映画に関しては3D映像の魅力が大々的に宣伝されていますが、その宣伝通り素晴らしい映像体験でした。しかし、最大の魅力は実は映像ではなくストーリー×演出にあると私は思いました。アカデミー賞監督賞受賞も納得です。

何と言っても圧巻の3D映像には息を飲みます。アン・リー監督初の3Dですが、アン・リー監督らしいビジュアルへのこだわりが今回も感じられます。美しきく時に残忍さを増す装置としても使われる3Dは過去最高レベルではないでしょうか。

3D映像は時に現実的な要素をより現実的に見せる海での漂流生活を映し、時に非現実的なまでに美しい漂流生活も魅せつけてくれます。予告編にもあるくじらのシーンや魚を獲るシーンは圧巻の一言でした。細かいことを考えず、この映像を楽しむだけでも劇場へ行く価値はあると思います。

本作はアドベンチャーでもファンタジーでもありませんでした。もちろんアドベンチャー要素もファンタジー要素も多分に含まれています。そこに宗教観や家族の話、友情なども入れ込まれ奥深いストーリーになっています。

良くも悪くも漂流話など映画の半分ちょっとに過ぎません。ある意味そこだけ切り取って宣伝することで軽めな3D映画と思わせて、実はとんでもなく深いストーリーを持った映画だったという意味でプラス転化することもあるでしょう。まぁ逆に思ったより重くて疲れたという論も出るかもですけどねw

"ライフ・オブ・パイ"="パイの物語"ということで、主人公パイの話が主軸になるのですが、まずパイという名前が本名ではないのです。パイという名前を使うようになった話がまた面白いです。

そして全く持って想定していなかった宗教観の話が映画に奥深さを与えます。面白いのが1つの宗教をピックアップしてそれを語っているわけではない点です。あらゆる宗教の話が入ることで映画全体のボリューム、深さが増していきます。

クリシュナの話からヒンドゥー教に興味を持ったと思ったら、その後はキリスト教、そしてイスラム教へと興味を持っていくのです。そして現代、大人になったパイはメシア論の神秘主義思想も自らに取り入れているのです。つまりユダヤ教的な要素です。

トラの名前がリチャード・パーカーなのもクスっとさせられます。この辺りは後ほど記載しましょう。

そんな中本作で重要な要素を占めるのは漂流話"ではない方"なのです。現代を生きる成長したパイがある人に漂流話を語っていく構成なのですが、この構成が巧みでして、最後は衝撃の展開が待ち受けているのです。

"どんでん返し"というまでではありませんが、映画の冒頭から全編に渡って巧みに張り巡らされた伏線、それが最後に「あーそうだったのか!」となり心にしっかりと落とし込まれます。

映画には日本人も出てきます。なぜここは日本人でなければいけなかったのか?その辺りはネタバレになるので後ほど暗転させて解説したいと思います。

何はともあれ、『アバター』の時のようにストーリー二の次で映像期待していったら、
完全にストーリーにやられたという感じです。もっと言葉で表したいことがたくさんあるのですがラストに触れざるをえなくなるので我慢します。

頭を空っぽにしてみる映画ではありませんが、万人向けお勧め映画ではないでしょうか。
是非劇場にて、3Dにて鑑賞してみてください。


アン・リー監督だからこその完成度

本作を知った際に最初に思ったのは「これアン・リー監督とか人選ミスにも程があるだろ」ということです。

しかし映画を見て思いました。アン・リー監督でないとこの完成度にはならなかったでしょう。何もわからず偉い口たたいて申し訳なかったと思っています。

どうしても映像が売りにされていたのでそう思ったわけです。しかし簡潔レビューでまとめた通り奥深いストーリーあってことの映画なのです。そこをしっかりと演出しなければ傑作にはならなかったのです。

アン・リー監督は少し扱いにくストーリーでもしっかりと観客の心に触れる演出をします。近年の『ブロークバック・マウンテン』や『ラスト・コーション』でもそうでした。
本作も冒険活劇と思いきや・・・やはり心に響く素晴らしい演出となっているのです。

奥深いストーリーを私達の心に語りかけてくれるのです。

本作で日本人が描かれた理由

本作ではパイの乗る船が日本船籍で、最後には日本人も出てきます。
ここで日本人を使うことで私達日本人はよりその理由を理解することができます。

※以下ネタバレにつき字を反転させます。
本作の漂流話は創作という意味合いになるわけですが、
当然この虎の話をしても日本人は信じません。
私達日本人は宗教と距離のある人が多く現実的なのです。

それに関して良し悪しは置いておきまして、
虎との友情で227日を生き延びたなど信じません。
よってここでパイは動物をパイに置き換えて伝えたのです。
お母さん、料理人、水夫と。
それなら虎の話より現実的だからです。

何かしら宗教観を持っている人物ならこの出来事は「神の導き」で済ませることもできるのです。
しかしそうせず現実的な話を入れるには日本人を取り入れるのはちょうどいいのです。


まとめ

想定外のストーリーであり、衝撃の展開が最後にあり、それだけで私は存分に楽しめました。3D映像文句無しなのですが、それよりもとにかく最後にやられました。

あれこれ伏線あったなぁと今でも色々思い出しています。

「パイはなぜ227日間も漂流できたのか?」というタイトルの主題の話よりも
「物語とは如何様にも語ることができるるんだ。」という事に感心しきりです。

是非この結末に熱狂してしまった方がおりましたらTwitterやGoogle+などで語りたいと思います。

お勧めの一本です!


『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』感想、イギリス名優集結!インドが舞台の不思議な魅力に溢れる映画【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]



『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』基本情報


日本語タイトル
『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』

原題
"THE BEST EXOTIC MARIGOLD HOTEL"

監督
ジョン・マッデン

出演
ジュディ・デンチ、トム・ウィルキンソン、ビル・ナイ、マギー・スミス、デヴ・パテル

公式サイト

ストーリー
「マリーゴールド・ホテルで、穏やかで心地良い日々を-」という宣伝に魅力を感じ、イギリスからインドに移住してきたシニア世代の男女7人。夫を亡くしたイヴリンをはじめ、それぞれに事情を抱える彼らを待ち受けていたのは、おんぼろホテルと異文化の洗礼だった。そんな周りの様子を尻目にイヴリンは、街に繰り出しほどなく仕事を見つけ……。



感想「インドを思い出し勇気を貰った」

『恋に落ちたシェイクスピア』のジョン・マッデン監督だけあって、全く違う映画でありながらドラマ性とコメディ性のバランスが取れたお見事な映画でした。

私はインドに行ったことが一度あります。本作は冒頭以外全てインドが舞台です。
インドに行ったことある方なら「そうそう、こんな感じ」と世界観も楽しめます。

本作の邦題は『マリーゴールド・ホテルで会いましょう』で全然ありな邦題ですが、仮に大げさな邦題を付けるのであれば『最高の老後の人生の見つけ方』でしょう。そんな感じのほんわかしつつもドラマ性がしっかりある素敵な作品なのです。

イギリスの名優が集結してる本作。
『007』シリーズでMを演じたジュディ・デンチ。
『パイレーツ・オブ・カビリアン』でデイヴィー・ジョーンズを演じたビル・ナイ。
『バットマン・ビギンズ』でファルコーニを演じたビル・ナイ。
そして『ハリーポッター』シリーズのマクゴナガル先生を演じたマギー・スミス。
とんでもないですw

アンサンブル的にこれら人物それぞれのストーリーが入り交じっていくのですが、これが色々とあって時にコメディタッチに、時にドラマタッチに描かれていきます。そのバランス感覚が素晴らしく最後はすっきりする映画でした。

私は26歳なので老後云々は実体験でどうこうはないけれど、もし私がこの世代になった時、その時幸せを感じていたいけれど、この登場人物たちみたいに新しい経験もどんどんしていきたいなと思いました。そんな素敵な夢を与えてくれる映画になっていました。

映画の中には"別れ"も描かれていますが、その"別れ"も幸せのための選択の1つです。
なのでもやっと捉えずポジティブに捉えてね、と製作陣も思ってるのだと思います。ラストカットはほんわかしたなぁ。

イギリス名優演じる老人たちがインドに行って色々経験する話なわけですが、インド側の人物たちも非常に魅力的です。特に『スラムドッグ・ミリオネア』のデヴ・パテルwww
何なんでしょうこの憎めない少年はwww笑ってしまうのは見ればわかりますよ。"チャーミング"とはこのことだw

登場人物たちは傷までは行かなくても、過去に何かしら囚われています。夫に何でもやってもらってて自立ができてない人物だったり、妻の言いなりに優しさだけを出して生きてきた人物だったり、過去の過ちを謝れないで後悔しながら生きる人物だったり、過去の出来事により素直さを隠し差別的な態度をあちこちで取る人物だったり。

それら人物がインドという異国の地で成長していきます。老人でも成長できるのです。あらゆる人物が入り乱れるそれを見ながら私達の心にもしっかりと染みこんできます。

インドが舞台なのでなかなか賑やかな雰囲気ですwこれインド行ったことある人間からすると大げさでないと言えますwこんな感じの国です。

ただインドそのものを描いた映画ではないので、みなさんがインドに行ったことある方から聞いたエピソードに溢れてることがないでしょう。既に出てるレビューに「舞台がインドなのが失敗」と否定レビューがありましたが何を言うのかwインド行ったことあるのかそこのお前は!?w

インドだからこそ、インドという舞台で異文化を混ぜてドラマを展開したからこそ、老人たちは老人になっても成長できたのです。ほんわか素敵な映画ですが、おいしいところはマギー・スミスが全て持っていきますwこれだけは先に伝えておきましょうw


マギー・スミス演じるミュリエルが教えてくれること

ラストもそうでしたが、キャラクターが一番立ってたのはマギー・スミス演じるミュリエルだと思いました。最初の描写と最後の描写で最も変化があったのは彼女だと思うのです。

ミュリエルは最初の病院の描写で完全なる人種差別主義者でした。黒人の医者を拒否していたので。インドに行ってからも食事に手を付けず、インド人を差別します。

しかしインド人の医者の腕が見事だったり、小さなエピソードの積み重ねが彼女を変えていきます。そしてホテルのメイドの実家で食事をする姿を見せたりもしていくのです。車椅子生活で立てない日々でしたが、意を決して自ら歩く力強さも見せるのです。

最後に彼女が見せた決断もその成長故です。そして彼女は最後普通に歩いてました。あの笑顔と普通に歩いてる姿に心温まり感動をしました。

彼女はたくさんの偏見を持って生きていました。私達も実はそうではないでしょうか。できる事をできないと決めたり、自らの根拠のない価値観で人を差別したり。

そういったことが小さなエピソードで自然と是正されていくときっと成長できるのです。
「直そう」と思って直すものではなく「結果的に直った」が理想だと感じました。そんな機会は勇気を重ねることできっと迎えられるのです。勇気を持って日々生きていきたいものです。


トーマス・ニューマンのスコア相変わらず素敵

本作の音楽はトーマス・ニューマンが担当しています。
『007スカイフォール』で今年度のアカデミー賞作曲賞にノミネートされています。
『グリーン・マイル』や『シンデレラマン』でも有名です。

彼のスコアはどこか優しさを感じることができるスコアが魅力的です。本作はそのトーマス・ニューマンらしさにインドらしさが融合し、映画を盛り上げる素晴らしい演出装置として機能していました。

映画の中で自然に溶け合いながら後で音楽を聞きなおすと気分が良くなるのです。映画も音楽も何度もリピートしたくなる素敵な出会いでした。


傑作だけれど「傑作!!」とは違う不思議な魅力

本作は傑作ですが、「素晴らしい!」「傑作!」というテンションではないのです。何か身体がこの映画をもう一度欲してるのです。とても素敵な映画で傑作だけれども熱量よりも身体に染みこんだ感じがするのです。

インドという国もそうなんですよね。アメリカやフランスに行った時は「また行きたい!」と思ったのですが、インドは帰ってきて数ヶ月したらじわじわ行きたい欲が出てきたのです。

それに似た感覚を抱いています。不思議なものです。でも大好きな映画。

おそらくこの映画は好き嫌い分かれる映画でしょう。なぜなら主人公たちが老人でインドが舞台と異色の設定だからです。映画の完成度はお見事ですが単純に好き嫌いが割れるという類でしょう。美人な女性だと誰しもが認めても恋愛対象かは人それぞれ、というのと同じです←

インドが舞台の素敵な素敵な映画。予告編観て何か良さそうと思った方は楽しめると思います。是非不思議な魅力に溢れる映画を体感してみてくださいね。


『96時間リベンジ』、シリーズとして楽しむ・・・しかないよね、うん(笑)【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]



『96時間 リベンジ』基本情報

日本語タイトル
=96時間 リベンジ

原題
=TAKEN2

監督
=オリヴィエ・メガトン

出演
=リーアム・ニーソン
=マギー・グレイス
=ファムケ・ヤンセン
=ラデ・シェルベッジア


ストーリー
イスタンブールで就いていた警護の仕事を終え、元妻レノーアと娘のキムを同地に呼び寄せた元CIA工作員ブライアン。バカンスを一緒に過ごし、家族の絆を取り戻そうとするブライアンだったが、かつてキムを誘拐して彼に息子や部下たちを殺された犯罪組織のボスによる復讐計画が動き出していた。ブライアンとレノーアは組織にとらわれ、辛くも難を逃れたキムはイスタンブールの街をさまよい続ける。そしてブライアンは、妻と娘の命を守ろうとするが……。

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=YSvPd3iLA-g


感想

前作『96時間』の原題は"TAKEN"。
今回は96時間というタイムリミットがないため邦題どうなるか非常に気になってました。
うまいことまとめたタイトルですねwまぁ今回"96時間"関係ないですがまぁ許容範囲w

前作『96時間』、娘を誘拐された父親が本気出しまくりで娘を奪還した話でした。
"最強オヤジ"などというあだ名も付きましたw
今回も"最強オヤジ"健在です!ここはぶれません!

しかーし、批評家による評価が最低最悪レベルで始まり、
ヒットはしたものの一般評価も世界的に思わしくなく、
日本も公開して蓋を開けたらあんまり評価高くない印象ですね。

映画を見て楽しめたか楽しめなかったかと聞かれたら即答で「楽しめた」と応えます。
これはアクションシーンがかなり見応えあるためです。素晴らしかったです。
しかし脚本がかなり薄いのです。前作と攻守交代させて劣化してしまってます。

前回娘を誘拐した組織の犯人たちを殺したリーアム・ニーソン演じる主人公ブライアン。
しかしその殺した犯人たちの仲間、親族は復讐を誓いました。
そして今回はブライアン自身を誘拐します。

前作は娘が誘拐されましたが今回は父親が誘拐され、娘が助けに行くハメにw
最強オヤジは誘拐される設定でもうまいこと機能してましたが、
攻守交代で作ってみましたという焼き直し感がどうしてもあります。

家族を守る話なので家族愛を感じることができ、アクションも楽しめます。
しかし終わった後の軽い印象がどうしてもあります。
ボーンシリーズなどはスパイアクション映画でも終わった後の満足感が重厚にありますが今回はそれがなく、その辺り脚本がやはり軽いなという印象を感じました。

1作目の先にある2作目ではなく、1作目がウケたから1作目っぽいものを作ったという感じです。
それはそれで面白い部分もあるのですが、映画のレベルが上がっている昨今においては
どうしても軽めな印象が先行してしまい、それがそのまま全体的な評価に現れてしまっているなと感じました。

しかし目も当てられない作品かと言えば全くそんなことはなく、
最強オヤジの最強エピソードもまた楽しみ、アクションを楽しむことができれば
映画館で映画を見た満足感を感じることができるでしょう。

娘の免許エピソードとカーアクションの兼ね合いは面白かったですw
穴はあるが楽しむ要素は多分にある。
そんな映画でした。前作見てなくてもストーリーはわかるので気になる方は是非劇場へ。



イスタンブールの街並みが美しい

今作に関しては軽く楽しんだので細かくあれこれ解説はありません。
ただアクション以外にイスタンブールの街並みの映像が素晴らしかったので
その辺りを書いておきます。

今作のメインの舞台はトルコのイスタンブール。
街並みや路地裏など趣があり美しさを感じます。
そんな中でもバザールの屋根上のシーンはやはり印象に残りました。

今作で娘のキムが父親を助けるためにバザールの屋根の上を移動します。
ここで映画好きの方はすぐアノ映画を思い出します。
そう、『007スカイフォール』です。

『007スカイフォール』の冒頭13分は同じくイスタンブールが舞台。
ボンドがハードディスクを盗んだ犯人とバイクチェイスを繰り広げたあのシーン、
あのシーンと同じ舞台が今回使われてました。

映画内で他の映画を思い出すことはその作品への集中力が散漫になってしまう気もしますが、
ニヤリとさせられるので一種の楽しみ方としてはいいかもしれませんね。
でも映画見ながら「スカイフォールまた観たい」と思った自分には反省しますw


まとめ

前作『96時間』と本作『96時間 リベンジ』を比べると圧倒的に前作の方が面白いです。
しかし今作もアクションシーンはボーンシリーズっぽいスピーディーなものになっており
多分に楽しむことができます。

そういった意味で
「ストーリーはアレだけど、アクション面白いし楽しむ分にはいい感じの映画」
という感じで決して駄作ではないかなとも思いました。

ニコラス・ウィンディング・レフン監督の『ドライブ』のチェイスシーンで流れた
Chromaticsの"Tick Of The Clock"が本作でも使われてるのですが、
これは意識したのでしょうか?wこの辺偶然なのか非常に気になりますねw

という感じで、もう少しうまーくできたかなとも思いつつもいい感じに楽しみました。
お勧めという感じではないですが気になる方は是非!
という感じでおしまいにします。


『LOOPER ルーパー』感想、不思議なループにあなたはハマるか?【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレ解説あり]





『LOOPER ルーパー』基本情報

タイトル
=LOOPER ルーパー

原題
=LOOPER

監督
=ライアン・ジョンソン

出演
=ジョセフ・ゴードン=レヴィット
=ブルース・ウィルス
=エミリー・ブラント
=ポール・ダノ

ストーリー
未来からタイムマシンで送られてきた標的を消す、“ルーパー”と呼ばれる殺し屋のジョー(ジョセフ・ゴードン=レヴィット)。ある日、ジョーのもとへ送られてきたのは、何と30年後の自分(ブルース・ウィリス)だった。ジョーは、未来の自分の殺害をためらい逃がしてしまうが、その後未来の自分から、やって来た理由を明かされ……。

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=KWeUU9FirJs


感想「難解さの中にある面白み、好き嫌いは割れる映画かも。」

昨年アメリカで公開されてから話題沸騰で、やっと日本公開を迎えた本作。人気絶頂のジョセフ・ゴードン=レヴィット主演というだけで見るのは確定でしたが、SF、タイムマシンものなのに絶賛を受けていたのでかなり期待して待ってました。

結果としてはその期待に応えてくれた部分と応えてくれなかった部分がありました。ストーリーや設定、俳優陣の演技は本当に魅力的で未だに興奮冷めやらぬ状態です。ただ映画の世界観やテイスト、演出は好みの問題ですが私は少し微妙に感じました。

ストーリーや設定が本当に巧みで、これを魅力的と思えば概ね満足を得られる映画です。
しかしこのストーリーや設定はSF、つまり非現実設定です。それが肌に合わなければ駄作認定一直線ではないでしょうか。

アメリカで批評家含めて大絶賛の嵐で、批評家賞ではいくつか脚本賞も獲りました。
日本でも映画関係者や映画好きの方が公開前から大絶賛をしておりました。ただ蓋を開けると賛否真っ二つといったところでしょう。好みの問題でしょう。

私が魅力的に思ったのはとにかくストーリーと設定、つまり脚本です。2044年と2074年の2つの世界が存在してる設定でざっくりした大胆なルールですが、これが不思議なループ感を起こしとても面白くストーリーが進んでいきました。

しかもSF映画でありつつ家族愛の部分等ドラマ性も持ちあわせています。この辺り感動したり色々考えることもできるのです。その辺堪能できると本作の魅力は何倍にも増すのではないでしょうか。

2044年の主人公ジョーと2074年からタイムマシンできた30年後の主人公ジョーが対峙します。これが本作のメインの部分ですがこの対峙にはお互い目的がちゃんとあるのです。一見関係ないと思われた農場住みの親子もしっかり未来と現在とで意味を成し・・・

※後ほど本作のルールとネタバレ解説を書きます。

一先ずここでざっくりと伝えておきたいことは、SFの設定でタイムマシンという今まで何度も見た設定に見えて今まで見たこと、感じたことないストーリーなのです。だから絶賛されてるのです。

その設定は新しいものですが、どこか未来的というより懐かしい感じの世界観や演出。この設定自体を毛嫌いしてしまえば作品は当然楽しめません。しかしこれらを気に入れば大絶賛に値する作品にもなるでしょう。

完全に好みの割れる映画なのです。お勧め!とも言い難く、逆にお勧めしない!とも言い難いのです。そういった不思議な映画なのです。

気になる方は自分の目で確かめてみるのも映画の面白さなので劇場へ足を運んでみてはいかがでしょうか。


物語の設定(ネタバレなし)

軽く本作の設定を説明しましょう。
2044年と2074年という時空を隔てて2つの世界がある設定です。生きてる人間は同じ。
よって2074年の世界には30年後の自分がいます。

2074年の世界では殺人ができない世界になっています。
タイムマシンのある世界で、犯罪組織はこのタイムマシンを悪用します。
そう、殺人を行なって良い2044年にターゲットを送り、2044年の世界で殺害するのです。

この2044年の世界で人殺しをしている人間のことを"ルーパー"と呼びます。

2044年にいる"ルーパー"は当然2074年にも人間として存在します。
しかし2074年は殺人ができない世界。
つまり"ルーパー"は未来の世界では時として用なしになるのです。

用なしになるとどうなるか?
そう、次の殺しのターゲットになるのです。
そして2044年に送られ殺されるのです。

しかも用なしになったルーパーは2044年に送られ30年前の自分に殺される設定です。
2074年から殺されるために2044年に送られた主人公ジョーが、
若い自分に殺されるところを何とか回避し2044年を変えることで未来の自分を変えようとしていくのが本作のストーリーです。

世界がいくつ存在してるかや、タイムマシンの構造云々といった論理的な部分はなし。
「この設定です」ということが提示され半ば強引に話が進むのですが、
2つの世界が1つの世界として包括的に見え、ペンローズの階段理論のような感覚すら覚えるのです。


年老いたジョーの行動原理(ネタバレにつき暗転表示)

年老いたジョーは中国で恋に落ち中国人と結婚をし、幸せな生活を送っていました。
しかしジョーを捕まえに来た組織の犯人らに妻を殺されてしまうのです。
その後2044年に自らタイムスリップし、犯人たちが子供のうちに殺してしまおうと考えます。

2044年の世界でいずれ犯人になる子供を殺してしまえば今度30年後を経験する自分は幸せに過ごせるためです。

しかし事は簡単には進みません。
なぜなら2044年に生きるジョーは2074年からきたジョーを殺さないといけないためです。

2044年のジョーは年老いたジョーが子供を狙っていることを突き止め、

その子供の一人の自宅、サラの農場げたどり着きます。
この子供は未来、つまり2077年にジョーの妻を殺す犯人になるのです。

年老いたジョーの目的を知って農場にたどり着いた2044年のジョーですが、

徐々に打ち解けシングルマザーであるサラを愛する気持ちが芽生えてきます。
子供であり将来犯人になるシドとも心を通わせるのです。

しかし年老いたジョーがあれこれと障害を乗り越え子供を殺しにきます。

子供を殺そうと銃を構える年老いたジョーですが、その前に母親が立ちはだかります。
今ここで年老いたジョーが銃を撃てば母親だけが死ぬことになります。

そう、ここが本作のポイントになります。

母親を殺すと、母親を心から愛する子供のシドは怒りを抱えて生きていくことになるのです。
その怒りは誰に向かうか?そう、母親を殺した年老いたジョーに向かうのです。

愛する人(母)を殺した犯人(年老いたジョー)の愛する人(妻)を殺すことで、

復讐を果たそうとするのです。
それが2077年に起きたジョーの妻殺害の悲劇なのです。

物語がループしていく不思議な感覚に陥ります。


2044年のジョーの心にはサラを愛する気持ちとシドを大切に思う気持ちが芽生えています。

つまる、銃を構えてる年老いたジョーに銃を撃たせてはいけないと思います。
なので彼は銃を自分に向けたのです。自殺した瞬間、年老いたジョーも消えました。

そう、"自分"という存在はいくつ世界があっても1つなのです。

今の自分が消えれば当然未来の自分はいなくなるのです。
そうして親子は守られ、この子供は次の30年後、殺人犯になることもなくなるのです。

という具合にまとめてみました。
未見の方がネタバレ読みたいという理由で読んだ場合は??になるかもです。
映画を見た方なら復習に最適でしょう。

この不思議な感覚は是非映画を体感して味わって欲しいと思います。
ただし、繰り返してる通り賛否真っ二つですw
この点ご注意ください。



まとめ

私はこの設定や世界観は本当に見事だなと思っており、不思議な感覚を楽しむことができました。
ラストも家族愛への落とし所やジョーの決断はすっきりしました。
切ない終わり方といえば切ない終わり方ですよね。

映画の結末が素晴らしかったので満足感を味わうことができましたが、
どうしても前半〜中盤、この映画の世界観が退屈に感じてしまったところもあります。
良くも悪くも大作感がなく、チープな雰囲気が肌に合いませんでした。

しかしここは評価のポイントとして記載してるレビューも多くあるのでやはり好みですねw
またストーリーがループして愛に落とし所を見出してる点を認識できないと、
よくわからなかったり、映画として何を描きたかったのかがわからないかもしれません。

この辺気軽に頭を使わず時を過ごす映画ではないと思います。
ただストーリーを理解できた時には面白い感覚を味わえます。
賛否あるので多くのみなさんの意見をむしろ聞きたいです。



『アウトロー』感想、2013年1発目のジャパンプレミアで楽しんだ![ネタバレなし]



『アウトロー』基本情報

タイトル
=アウトロー

原題
=Jack Reacher

監督
クリストファー・マッカリー

出演
=トム・クルーズ
=ロザムンド・パイク
=リチャード・ジェンキンス
=デヴィッド・オイェロウォ
=ヴェルナー・ヘルツォーク

ストーリー
真昼のピッツバーグ郊外で無差別に6発の銃弾が撃ち込まれ、5名が命を落とすという事件が発生。警察は事件発生後1時間という早さで、元軍人で腕利きスナイパーだったジェームズを容疑者として拘束する。だが彼は容疑を全面否認し、かつて軍の内部で一目置かれていたジャックへの連絡を求める。

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=ZSkqCrM5OhQ

感想「トム・クルーズ、見事に新しいヒーロー像を体現!」

ジャパン・プレミアでトム・クルーズを生で拝見。生トム・クルーズを見てからの映画鑑賞が2013年の映画始め。これ以上にない素晴らしい2013年の映画初めとなりました。

やはり生でトム・クルーズ見た後の映画鑑賞。画面に映るトム・クルーズ主演の映画は公開してから劇場で見るのとは当然異なるテンション、そして会場の雰囲気の中での鑑賞。満足しないわけがありませんでした。映画を観てる時間をとにかく楽しんだ、という感じでありました。

本作は『ミッション・インポッシブル』のようなアクション映画ではありませんでした。本作『アウトロー』はサスペンス映画です。サスペンスにアクションと笑いがうまく混ざっている映画です。

事件の真相を解くのに私たちも考えを巡らせ頭を使い、アクションを楽しみ、随所にある楽しいシーンにくすくす笑い、最後はすっきり、というより"ニヤリ"とさせられて終わりました。

アクション映画かと思っていたらサスペンスがきたので私としては嬉しい誤算。サスペンスの描写を中心にとても楽しませてもらいました。楽しんだもの勝ち!という映画だと思いました。

事件が起き、それをトム・クルーズ演じるジャックリーチャーという主人公が型破りに真相へ迫っていく。トム・クルーズの型破りっぷりと謎解きを楽しむ映画。映画の好き嫌いは割れるとして、果たしてあなたは冒頭で起きた事件の謎を解くことができるでしょうか?

そんな見方で楽しむことができる映画だと思った次第であります。

この映画のスタートは銃撃事件。犯人は逮捕されますが、実はその犯人は真犯人ではないのです。トム・クルーズ演じるジャック・リーチャーとロザムンド・パイク演じる弁護士ヘレンが真犯人を探っていき、そこに隠された巨大な闇へと迫っていくストーリーです。

その中でトム・クルーズ演じるジャック・リーチャーが不思議な魅力を発しています。
サスペンスだけでなく彼を中心としたアクションやくすくすと笑えるシーンがまた良し。
CGを一切使わずどこか懐かしい雰囲気もまた良し。

サスペンスの部分は一応の決着がつくのですが、本作の原題が主人公の名前なので、
この主人公ジャック・リーチャーを中心としたエンディングが用意されています。
少々唐突な終幕で、最後の語りに捻りが効いてたりもしますがニヤリとして終わりました。

アクション映画ではなくサスペンス映画であり、事件の真相に捻りが効いてるので、
ミッションインポッシブルほど万人向けではないかもしれません。しかし、トム・クルーズの新たな魅力が詰まったジャック・リーチャーを一度目撃して見ても損はないと思いました。


主演のトム・クルーズは誰もが知るハリウッドスターですが、共演で準主役のロザムンド・パイクという女優さんはあまり有名ではないと思います。私も「あれ?聞いたことあるけど何出てたっけ?」と最初なりました。

しかしすぐに私が大のお気に入り映画に出てることを思い出しました。そう、キーラ・ナイトレイ主演×ジョー・ライト監督の『プライドと偏見』です。この『プライドと偏見』でキーラ演じるエリザベスの姉ジェーンを演じてました。


ちなみに『プライドと偏見』を監督したジョー・ライト監督と結婚して離婚してます(笑)ロザムンド・パイク、『プライドと偏見』の清楚で優しい印象がありましたが、『アウトロー』では意思を曲げずめげない強い女をしっかりと演じてました。今作をきっかけにもっと活躍して日本でも人気出て欲しいなと思いました。