『僕だけがいない街』感想、馬鹿なの? - Cinema A La Carte

『僕だけがいない街』感想、馬鹿なの?

(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会
3月19日に公開となる『僕だけがいない街』を一足お先に鑑賞させて頂きました。タイムリープを伴うSFサスペンスでありながら、人のために事を成す愛の物語でもあり感銘を受けました。「馬鹿なの?」の台詞が今でも耳に焼き付いています。


スコア

◯私的満足度
★★★★☆(4.5/5)
=サスペンスは及第点、ドラマ性に唸った

◯ファミリーオススメ度
★★★☆☆(3/5)
=小学生の誘拐事件を扱ってるので胸が締め付けられる方もいるかもです…

◯子供オススメ度
★★☆☆☆(2/5)
=実質小学生が主人公ですが残虐な部分もあるので…

◯友人オススメ度
★★★★☆(4/5)
=サスペンスとしても、SFとしても、ドラマとしても楽しめるかと

◯デートオススメ度
★★★★☆(4/5)
=大切な人を守るというどストレートな映画でもあるので是非とも

◯映画リピーターオススメ度
★★★☆☆(3/5)
=「原作より秀逸な前半」とも評されますがその「前半」なので「後半」が…

(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会

感想:結構ヘヴィーで最後は感動

主人公悟の周囲で何か事件・事故があると勝手に時間が巻き戻るという設定。巻き戻って主人公はその事件や事故を防ぐのです。

例)トラックが歩道に突っ込みそうになる直前で数分前に巻き戻って、突っ込む場所にいた小学生を事前に救うなど

このタイムリープによって18年前に児童連続誘拐事件の謎に迫るのが主題です。現在と過去を行ったり来たりしながら、主人公悟に正義が芽生え何が何でも愛する人(≠恋人)を救っていくのです。

正直結構ヘヴィーな描写というかストーリー展開もあり、胸が締め付けられる部分も。しかしそれもあってか、ラストの着地には非常に感動をしました。

「私は人のためにここまでできるだろうか?」

そんなことを試写の帰り道ずっと考えていました。


(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会

まず私は『僕だけがいない街』の原作は未読、アニメも未見です。つまりまっさらな状態での鑑賞でした。

原作はこちら

未読&未見+藤原竜也さん主演なので、「これってすんげえ狂気の話なのか?」と見当違いの予想すらしてました。

良い意味で裏切られましたね。狂気の演技の多い藤原竜也さんですが、本作はそういう役柄ではありません。ピザ屋でバイトしながら漫画を描く、少しテンションの低い若者という感じ。

あまり感情を表に出さない主人公だからこそ、どんどん正義のために行動をエスカレートさせていくのが非常にわかりやすく伝わっていました。

時間が巻き戻るので『バタフライ・エフェクト』の映画と比較する方もいらっしゃいますね。そこに「児童連続誘拐事件の真犯人は誰か?」「現代で母親を刺殺したのは誰か?」に迫っていくサスペンスでもあるわけです。

(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会
サスペンスとしては前半立て続けに事件が起きるのでどんどん謎が謎を呼んで映画に引き込まれていきます。

私はサスペンス系の映画で誰もが気付く伏線など見落として犯人に気付くのが遅くなることが多いです。それでも本作の真犯人は早い段階で気付きました。

早い段階で真犯人の予想はつくので「後半グダグダ」という意見も理解できます。しかし真犯人がわかっても「で、これどう終わらせるの?」が本作は最後まで見えてきません。


え?これでどうなるの?犯人わかったけど解決してないじゃん!どうすんの!?どうすんの!?


みたいなテンションで映画の後半も私は釘付けでした。ものは考えようですね。

犯人がわかった方は冷めずにクライマックス予想をすると良いでしょう。ついでに「僕だけがいない街」のタイトルの意味も考えてみると良いかもしれません。

(原作ファンの方でも「タイトルに落とし所を見せた」と評価されてる方多い感じですね。)

(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会
私が本作に最も惹かれた部分はサスペンス性でもSF性でもありませんでした。

ズバリ純粋な正義感。

自分の危険など顧みず自らが大切だと思う人を守るためにひたむきに行動する主人公たち。この姿に非常に感銘を受けるとともに「どうして大人になると何でも計算して動いてしまうのだろう…」と凹みもしました。

この映画は現在と18年前を行ったり来たりするので、映画の半分は小学生パート。主人公の子供時代です。

しかしこの場面は脳内思考は大人の主人公なはず。それでもそこでする行動は子供ならではのひたむきさ、純粋さなんですよね。

これは「愛する人を何が何でも守る」という気持ちが100%出ているからでしょう。人間当然自分自身が一番可愛くて大切です。しかしそんなことも考えずにひたむきに行動できるって本当に素晴らしいです。

自己犠牲はほどほどにですが、何でも打算的に考えて行動を必要以上に制限する大人が多い(私もそれ)のでが事実。「こういう純粋さ、どこいっちゃったんだろうな・・・もっとこうやって子供らしさも取り戻さないとな・・・」と自らの人生に課題を課せられた気がしました。

それもあって結末には感動。鑑賞後も余韻が残っています。小学生パートの雛月ちゃんが発する「馬鹿なの?」の台詞も印象的。結末を知ってからこの台詞を思い返すと何か切なくなってきます。


ドラマとして非常に秀逸で素晴らしい映画だったのですが、もう一度見たいかというとなかなか難しく…。


と言うのも小学生が連続で誘拐されて殺されたり、または家庭で親に虐待されるシーンがあるんですよね。虐待されるシーンはスカッとできる落とし所がありますが、タイムリープしても結果的に真犯人は人を殺してるのでそこが非常に重苦しいです。

これはあくまでも映画なので深刻に考えすぎる必要も無いですが、どこか現実的でこういう事件が実際に起こってもいるこの世の中。私は独身ですが、お子さんのいる方はもっと重くこの映画を感じることでしょう。


と書いてはみたものの、この映画にはやはり感銘を受けました。人間ドラマとして、公開されたらもう一度ガツンとやられにいこうと思いました。

(C)2016 映画「僕だけがいない街」製作委員会


どんな映画?

タイムリープによって18年前の児童連続誘拐事件の謎に迫る青年の奮闘を描いたSFミステリー。ピザ屋でアルバイトする売れない漫画家・悟は、ある日突然「リバイバル」という特殊な現象に見舞われるように。それは、周囲で悪いことが起きる気配を察すると自動的にその数分前に戻り、事件や事故の原因を取り除くまで何度でも繰り返すというものだった。リバイバルによって大事故を防いだものの自らが大怪我を負った悟は、同僚の愛梨や上京してきた母の看病で回復していく。そんなある日、悟の母が何者かに殺害されリバイバルが起きるが、今回はなぜか数分前ではなく18年前だった。そこは、悟の同級生が被害者となった連続誘拐殺人事件が起きる直前の世界だった。参照:http://wwws.warnerbros.co.jp/bokumachi/

公式HP


予告編


written by shuhei