『キャロル』感想、美しく、悲しく、どこまでも儚く - Cinema A La Carte

『キャロル』感想、美しく、悲しく、どこまでも儚く

(C)NUMBER 9 FILMS (CAROL) LIMITED / CHANNEL FOUR TELEVISION CORPORATION 2014 ALL RIGHTS RESERVED

2月11日より公開される『キャロル』を一足お先に鑑賞させて頂きました。アカデミー賞主演女優賞、助演女優賞にノミネートされている本作。美しく、悲しく、どこまでも儚く、心に焼き付く愛の物語でした。


スコア

◯私的満足度
★★★★☆(4/5)
=美しく、悲しく、どこまでも儚い愛を堪能

◯ファミリーオススメ度
★★☆☆☆(2/5)
=家族向けではない

◯子供オススメ度
★★☆☆☆(2/5)
=刺激的と言うより難しいかも

◯友人オススメ度
★★★☆☆(3/5)
=非常に深い愛の物語をどう語り合えるか

◯デートオススメ度
★★★☆☆(3/5)
=女性同士の愛の物語なので、好みや考え方によるかも

◯映画リピーターオススメ度
★★★★★(5/5)
=ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラの演技は必見!

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感想:「美しく、悲しく、どこまでも儚く

今月末に授賞式迫る第88回アカデミー賞の主演女優賞や助演女優賞などにノミネートされた本作ですが、作品賞候補は最後の最後で逃しました。

その理由はこの作品が他より劣っているからではない、ということは作品を鑑賞して明確に感じました。では何が原因なのか。これはもう単刀直入に申し上げて「女性同士の恋」を描いているからでしょう。

2005年にアメリカで公開された『ブロークバック・マウンテン』という映画。この作品は男性同士の恋愛を描いていました。作品の完成度は凄まじく、アカデミー賞前の前哨戦総なめでした。

しかし肝心のアカデミー賞の作品賞は逃しました。(監督賞は何とか受賞) これはアカデミー賞の体質と言いますか、老会員にはやはり同性愛は受け入れられにくいという事が如実に出ている結果です。

良し悪しは置いておきまして、今回の『キャロル』が作品は素晴らしいのにノミネートを逃す結果になったのはそれ故でしょう。


さて、そんなこんなでこの『キャロル』、女性同士の恋の模様を描いているのですが、非常に静かに、そして美しく描かれています。言ってしまえばラブシーンてんこ盛りとかそういう映画ではありません。心を含めて「触れる」ことを非常に繊細に描いています。

この映画は「触れる」は当然ラブシーン的な身体と身体の触れ合いもそうですが、心の触れ合いも含まれます。その中でも印象的なのが「肩に添えられた手」や「指先」。

こういう繊細さは『プライドと偏見』『つぐない』のジョー・ライト監督が『アンナ・カレーニナ』で遺憾なく発揮していますが、トッド・ヘインズ監督『キャロル』でも非常に印象的なものとなっていました。

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恋をするということ。それは心と心が通い合うということ。恋をするその瞬間や、したその理由はなかなか論理的に説明することは難しいと思います。

ただ恋をして、愛する人と気落ちを通い合わせたことがある方なら、小さな触れ合いの大切さや思い出はきっと感じたことがあるでしょう。

『キャロル』はその小さな小さな愛の部分に演出的にアプローチすることで、女性同士の恋(特に本作の舞台は50年代で同性愛に非常に偏見が持たれていた時代)であっても、私たちには「愛する者と愛する者の物語」として心に入ってくるわけです。

クライマックス付近はストーリーが二転三転して、「そこで着地するか!」と思うものでした。もやもやした方もいるでしょう。しかし「愛とは、恋とは、こういうもの。」というラストシーンだったと私は思いました。

それは余韻を残し、映画として映像を見ただけなのに二人の恋模様によって心に触れられた錯覚を持つ非常に印象的で思い出深い体験となりました。


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小難しく書いていますが、言ってしまえば「理屈ではなく積み重ねではなく感情の積み重ね」の恋がゆっくりと丁寧に描かれていくラブストーリーということです。

そしてこれが・・・とても美しいのです。

美しいとは映画的なそれはもちろんですが、ケイト・ブランシェットとルーニー・マーラの二人が恐ろしく美しいのです。

ケイト・ブランシェットは・・・もう言わずもがな美しい女優さんですが、本作では恋する女性を演じることでその輝きは眩しいほどに。これは見ればわかる。映画体験すれば納得するものかと思います。

そんなケイト・ブランシェットより若いルーニー・マーラは可愛さを持った美しさ。『ドラゴン・タトゥーの女』のぶっ飛びや『PAN ネバーランド 夢のはじまり』での勇敢さは無くなり、繊細で物静かな女性を演じています。

冒頭に書いた通り、ラブシーン連発の映画ではありませんが、迎えるべくして迎えた二人のラブシーンは・・・ただただ美しいものでした。

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 何だかんだ言って今の時代でも同性愛はまだまだ困難を伴うものです。映画の舞台の50年台ではもう困難どころか大騒動になっています。

これ、ケイト・ブランシェットの役が離婚調整中の母親なのです。なので、その辺り物語に旦那だったり法律家だったりが絡んでくるため、物語は非常に困難な結末へと突き進みます。

ラストは先程濁したとおり。私には「これだよな!」と思えるラストでしたので、是非このラストはみなさん自身が劇場で目撃してほしいと思います。


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決して万人受けするような映画では無いでしょう。しかし映画の持つ、二人の女優が放つ美しさは必見です。

同性愛の映画と言うよりも、「愛しあうことを止められなくなった二人の愛の物語」として是非映画を堪能してみてください。

公開は2月11日からです。

それでは。


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どんな映画?

52年、冬。ジャーナリストを夢見てマンハッタンにやって来たテレーズは、クリスマスシーズンのデパートで玩具販売員のアルバイトをしていた。彼女にはリチャードという恋人がいたが、なかなか結婚に踏み切れずにいる。ある日テレーズは、デパートに娘へのプレゼントを探しに来たエレガントでミステリアスな女性キャロルにひと目で心を奪われてしまう。それ以来、2人は会うようになり、テレーズはキャロルが夫と離婚訴訟中であることを知る。生まれて初めて本当の恋をしていると実感するテレーズは、キャロルから車での小旅行に誘われ、ともに旅立つが……。


公式HP


予告編


written by shuhei