『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』感想、アイドルと哲学は紙一重[一部ネタバレあり] - Cinema A La Carte

『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』感想、アイドルと哲学は紙一重[一部ネタバレあり]

(C)2016「DOCUMENTARY of NMB48」製作委員会

NMB48のドキュメンタリー映画、 『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』をお先に鑑賞させて頂きました。「DOCUMENTARY of」シリーズにはいつも驚かされますが、今回はまさか「哲学」で驚かされるとは…


(C)2016「DOCUMENTARY of NMB48」製作委員会

前提条件

まず前提条件として私はNMB48に詳しくありません。山本彩、渡辺美優紀、卒業しましたが山田菜々は知ってるというレベル。

AKBグループではSKE48は松井玲奈のファンであったのでメンバーであった一時期は応援してました。ただし、映画『アイドルの涙 DOCUMENTARY Of SKE48』は消化しにくい作品という感想でした。

秋元康プロデュースでは乃木坂46は映画『悲しみの忘れ方 DOCUMENTARY Of 乃木坂46』を絶賛させて頂いておりますが、アーティストとしては詳しくない感じです。

これが前提条件。よって、ドキュメンタリー映画として見た純粋な感想を綴っていければと思います。


[過去記事]
『DOCUMENTARY Of AKB48 The Time Has Come 少女たちは、今、その背中に何を想う?』感想、こうして優子は去っていった

『アイドルの涙 DOCUMENTARY Of SKE48』感想、負が笑顔に変わるとき

『悲しみの忘れ方 DOCUMENTARY Of 乃木坂46』感想、人は変われる、そのためには条件がある



--以下「部分的な」ネタバレを含みます--

※ドキュメンタリー映画につきネタバレは特に考慮しておりません。ただし、部分部分へ言及であり、これを読んで「より見たくなった!」と思って頂けるように心がけております。

※本レビューはマスコミ試写会で「ある部分への言及は控える」というお願いに基いて執筆しております。つきましてネタバレと思われるかもしれませんが、映画の割と重要な部分へは一切言及をしておりません。

(C)2016「DOCUMENTARY of NMB48」製作委員会

感想1:「オープニングで大混乱」

映画は華やかなライブシーンからスタート。曲に合わせて歌い踊るNMB48のメンバー。そしてサイリウムを振りながら声援を送るファンの姿も。

華やかで勢いのあるオープニングシーン。NMB48らしさを最初から見せつけられれたと思ったら、突然曇空の大阪へ。船の上に佇む1人の少女。彼女は最近加入したメンバーで、12枚目のシングル「ドリアン少年」 でセンターに抜擢された須藤凛々花

ここで私は大混乱に陥りました。彼女が本を見ながら哲学的な台詞を言い始めたのです。何なんだこれは…一体何が始まるのだ…。わくわくが優先しながらも、曇空の映像が不安も掻き立て、そして映画は本編へと突入していくのでした。

哲学については「感想5」で詳細に。

(C)2016「DOCUMENTARY of NMB48」製作委員会

感想2:非常にわかりやすく集団としてのNMBを綴っていた

本作の監督は数多くのドキュメンタリー映画を撮ってきた舩橋淳監督。当初今回の企画へ難色を示していたという船橋監督。

近年の作品で、原発事故を扱った『フタバから遠く離れて』などでもそうであった「集団」を切り口とすることで、「集団」の中の「個」をしっかりと描き、その先に答えではなく問いを残していくという映画に仕上げていました。

船橋監督自身がNMB48を詳しく知らないでいたため、NMB48がどのように出来、どのように今日まで歩んできたかは非常にわかりやすく描かれます。

ちょっとだけしかNMB48を知らない私ですが「それくらいは知ってるよ」と思えたので、何も知らない人がNMB48を知るには持ってこいとも言えるでしょう。

(C)2016「DOCUMENTARY of NMB48」製作委員会

感想3:甘えてられない競争社会を描き出していた

昨年公開された『悲しみの忘れ方 DOCUMENTARY of 乃木坂46』では主要メンバー5人の苦悩と希望が描かれてきました。それぞれの胸の内や家族など、奥へ奥へと深掘りしていく映画に仕上がっていました。

今回の『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』は、良し悪し置いておいて、そんな甘い感動はありません。

NMB48として共にてっぺんを目指すメンバーたち同士の熾烈な競争社会を痛烈に描いています。これはメンバー同士の確執という意味ではありません。

握手会の人気…

シングル選抜…

AKBグループ総選挙…

山本彩という不動のエース…

二番手の渡辺美優紀…

山田菜々の卒業…

白間美瑠と矢倉楓子という作られたライバル関係…

須藤凛々花のセンター大抜擢と苦悩…

そして日の目を見ない選抜外のメンバーたち…

様々な競争がこのグループを取り巻き、それが苦しみを生んでいると同時に実は原動力でもあるんだなと突きつけられました。

そんな競争社会、序列社会、それはまるで現在社会の縮図とでも言えるもの。「アイドルなんて」と馬鹿にする人も多いですが、私たちが生きるこの社会の縮図が本当にここにはあると改めて痛感させられました。

その中で、勝者と敗者は必然的に生まれます。そして敗れたものは去りゆく者となることも。


「現実は甘くない。でもやるしかないねん。」


メンバーたちだけでなく、私たち映画を見てる観客もそう感じることでしょう。


そしてそのメッセージはファンたちの行動にも言えることです。(次の章へ)

(C)2016「DOCUMENTARY of NMB48」製作委員会

感想4:ファンの姿を全面に出してきた映画

今回驚いたのが、今までの「 DOCUMENTARY of」シリーズとは比べ物にならないくらいファンの姿が全面に出ていたこと。

出てくるのが割と熱狂的なファンの方々なので、これは印象の良し悪し、ファンの間での賛否で、公開後論争となることも予想されます。

しかし、それはあくまでも表面的なそれであって、このファンたちのエピソードもまた、

「現実は甘くない。でもやるしかないねん。」

に帰結するものなのです。


人気メンバーを応援するファンもいれば、

ライバル関係(白間美瑠と矢倉楓子)の中で何とか一歩引き離してあげたいと選挙に注力するファンもいれば、

日の目をみないメンバーを全力で選抜に入れようと応援するファンもいました。


アイドルでなくても、ハマったそれには熱中するもの。

好きなスポーツチームには勝ってほしい。好きな映画にはヒットしてほしい。好きな歌手にはもっと輝いてほしい。何かのファンになればそう願うものです。

そのファンの姿、見ていて思ったことは「熱中できることは素敵なこと。でも、それが趣味でもそこには悩みや苦しみが内在するんだな」という現実の難しさでした。

(C)2016「DOCUMENTARY of NMB48」製作委員会

感想5:アイドルと哲学は紙一重

冒頭の須藤凛々花の哲学朗読は映画の中で何度か差し込まれます。エンドロールでわかったことはこの台詞は須藤凛々花本人が書いたということ。

須藤凛々花は哲学者になりたいという夢を持っています。しかもその過程でアイドルとなっています。彼女の中ではアイドルになって、その後哲学者というのがキャリアの流れなのです。

多くの人は意味がわからないと思いますし、私もわかりませんでした。

しかし、最後まで見てわかりました。


アイドルたちのその姿は「アイドルとしての自分」であって、それは100%「本当の自分」では無いのです。

須藤凛々花で例えるなら、「アイドルとしての須藤凛々花」と「日常の須藤凛々花」は別ということです。

私たちで言うなら、「仕事の自分」と「休日の自分」は違うということです。

これは悪い意味ではなく、しっかりしている時と気を抜いている時と考えれば特に違和感も無いでしょう。


踊っている時に「手をあげて、足をひねって何になるんだろう?」と思うことがあるようです。仕事として一生懸命やってる時にふと疑問に思うのでしょう。


なぜ踊るのか?

なぜカメラに笑顔を振りまくのか?

なぜファンを増やそうと努力するのか?

そもそもなぜNMB48にいるのか?

いつまでいるのか?

その後の人生はどうなるのか?


なるほど…哲学とは問い続けることでありますが、アイドルとして生きるということは自然とそれをするということなのかもしれませんね。


アイドルと哲学は紙一重。


映画を見て、須藤凛々花の台詞や哲学について語るインタビューを見て非常に感銘を受けました。

(C)2016「DOCUMENTARY of NMB48」製作委員会

感想6:矢倉楓子さんに感動した

個人的にこの映画で最も感動したのは矢倉楓子さんの一連のシーン。

彼女のことを私は存じ上げませんでした。非常に努力家、家族思い。そう感じ、ファンになりました。

望まずも白間美瑠とライバル関係にされ、常に比べられる二人。映画の中でも容赦なく握手人気や総選挙の順位で比べられていました。

本人はそれが嫌だと言いました。AKB48との兼任時代があった矢倉楓子さんですが、兼任解除の後でこれからどうすべきか悩み、家族の前で涙するシーンがありました。こっちも思わず涙。

矢倉楓子さんはNMB48では相当序列の高いメンバーです。しかしそんなメンバーであっても悩みはあり、これからどうすべきかわからない。この気持ち痛いほどわかるのです。

レベルは違えど、私自身ここ数年キャリアや代表を務めるイベントを成長させてきました。登る山の頂上を目指してきたら頂上まで来てしまって、そこからどうしたら良いのかわからなくなることがあります。

矢倉楓子が感じたどうしたら良いかわからないという、辛さ、苦しさは、壁にぶち当たると非常によくわかるのです。

そんな状況で、涙を流しつつも、「よし、ここから頑張ろう」と前を向いた矢倉楓子さんは本当に素晴らしい。私自身色々壁にぶち当たること多いですが、勇気を貰ったので、できることをしっかりとこれからやっていこうと思いました。

彼女のこれからのNMB48での更なる活躍を心から応援したいです。

(C)2016「DOCUMENTARY of NMB48」製作委員会

まとめ

NMB48のドキュメンタリー映画。感動というよりも感銘を受けました。

非常に個人的な好みの問題ですが、テーマ曲の"道頓堀よ、泣かせてくれ!"がとても素晴らしいので、エンドロールの最初からかけて、かつ歌詞表示をしてほしかったなと思いました。ここだけ本当にもったいない。

しかし映画は非常にわかりやすく、ファンの方もそうでない方も安心して楽しめる一本に仕上がっていたと思いました。

同日公開となるHKT48のドキュメンタリー映画をまだ試写ってないので、試写った後でこの2作品の比較であったり、SKE48と乃木坂46の映画、歴代のAKB48の映画との総論なども書いていきたいと思います。

『道頓堀よ、泣かせてくれ! DOCUMENTARY of NMB48』は1月29日より公開です。

お楽しみに!

(C)2016「DOCUMENTARY of NMB48」製作委員会

どんな映画?

「アイドル不毛の地」と言われ続けてきた大阪に誕生したNMB48。2011年のデビューから5年が過ぎ、地元・大阪城ホールはもちろん、東京の日本武道館2日間も満員にするなど、大きな成功を収めるに至ったが、そこには、従来のアイドルたちが隠そうとしてきた泥臭さや、汗にまみれた人間臭さをさらけだすメンバーたちの姿があった。不格好でも夢にしがみつき、もがき苦しみながらも成功を勝ち取ってきた、大阪の少女たちの5年間を記録した。
参照:http://www.2015-nmb48.jp/


公式HP


予告編




written by shuhei