『トイレのピエタ』感想、「どうやったら死ねるんですか…?」 - Cinema A La Carte

『トイレのピエタ』感想、「どうやったら死ねるんですか…?」

(C)2015「トイレのピエタ」製作委員会

6月に公開され、好評価&ロングランを記録した『トイレのピエタ』。感想を紡ぎ出せずにいましたので、やっとの更新となります。死に直面しながら生を直視する青年の葛藤に人生を考えさせられました。


スコア

◯私的満足度
★★★★★(5/5)
=淡々と進むのに没入させられる世界…そして自然と流れる涙…

◯ファミリーオススメ度
★★★★☆(4/5)
=「生」を静かに直視する物語を是非ご家族で。

◯子供オススメ度
★★★★☆(4/5)
=子どもたちにも「生きる」「死ぬ」ことを考えてほしい。

◯友人オススメ度
★★★★☆(4/5)
=是非大切な友人と共に。

◯デートオススメ度
★★★★☆(4/5)
=あなたの一番大切な人と生きれる幸せを感じてください。

◯映画リピーターオススメ度
★★★★★(5/5)
=松永大司監督を是非覚えてください!

[DVD発売済み]

(C)2015「トイレのピエタ」製作委員会

感想:「生きるって、死ぬって、何なんだろう」

私はこの映画の感想を半年近く放置してしまっていました。なぜならあまりに「感想」「レビュー」を書けない位置づけの作品だったからです。

先に申し上げますと、6月に開催した「映画ファンの集い」で本作の松永大司監督のトークセッションを行ったのです。

松竹さんが松永大司監督を会場まで連れてきてくださったのです。そこで、「映画への思い入れ」や「日本の新進映画監督の実情」などを赤裸々にお話してくださいました。

ネガティブなものはありませんでした。よって口外できない事はありません。ただそれらは言葉で論理的に説明するものではなく、心に宿ったものでした。

とにかく松永大司監督はこの映画へ並々ならぬ決意で挑んだ。それを実感出来た「映画ファンの集い」でのトークセッションでした。

(C)2015「トイレのピエタ」製作委員会

そんなトークセッションの「後」に私は本作を見ています。ですので否が応でも映画に関して主観的にしか見れませんでした。

物語やストーリーは本当に素晴らしいわけですが、その全てに松永大司監督の熱意や思いを垣間見ました。だからこそ、良い意味では「一生忘れることのできない作品」であり、悪い意味では「どう足掻いても悪く思えない作品」になりました。


という前置きをした上で感想に入っていきましょう!!

(C)2015「トイレのピエタ」製作委員会

この映画の主人公は20代の無愛想な若者。不良とかではなく、今の日本にいるような感情を表にあまり出さないクールな若者といったところです。そんな主人公が余命3カ月を宣告され、残りの人生をどう生きるかもがいていくの本作です。

彼には諦めた夢があり、それが最後死を迎える日までの支えや葛藤になります。偶然であった女子高生との交流や、リリー・フランキー演じる入院仲間、入院する少年たちとの交流など、淡々としたシーンがなぜか最後に深い感動へと繋がります。

闘病ものと言うことでお涙頂戴をイメージする方もいらっしゃるかもですが、本作は静かに淡々と進んでいきます。主人公の死の間際なども描きませんん。省略の美学がしっかりそこに存在しています。


なのに深い感動を感じました。なぜか。

(C)2015「トイレのピエタ」製作委員会

この映画は感動的なストーリーではなく、「生きること」「死ぬこと」にフォーカスしているからだと思います。

「世界ってさ、変わることなんて無くて、常に同じ高さなんだよね。だから残酷なのよ。」

「どうやったら死ねるんですか…?」→「わかりません…。」

など残酷な言葉で「生きる辛さ」や「死ぬ辛さ」を直視していきます。


「死ぬ運命の辛さ」は主人公が、「生きる運命の辛さ」は女子高生が抱えています。それらは明確に対比するわけではありませんが、それぞれ私たち観客は何かしら感じることになるでしょう。

(C)2015「トイレのピエタ」製作委員会

ちなみに『トイレのピエタ』と言うタイトルは手塚治虫の最後のアイディアそのままのタイトルです。映画では映画なりの脚色がされていますが、タイトルの意味は是非映画で確認をしてみてください。

この映画は説教臭さも、お涙頂戴シーンもありません。だからこそ、私たちは映画を客観視してるだけでは何も感じないかもしれません。

今この記事を読んでる全ての方は「生きている」はずです。その「生」はいつしか必ず「死」を迎えます。

その「死」と「生」の狭間で私たちはどう生きるべきか。自らの人生をどう生き、全うすべきか。

そこに答えは無くても、それをきっかけになり生きる勇気の湧いてくる映画でした。


繰り返しになりますが、この映画を手がけた松永大司監督、素晴らしい作品をありがとうございました。これからも応援しています!

どんな映画?

余命3カ月を宣告された青年が、偶然知り合った少女との交流を通して、生きる喜びや輝きを見出していく姿を描いた。美大を卒業したものの画家への夢に破れ、窓ふきのアルバイトをしながらフリーターとして生活していた青年・園田宏は、ある夏の日、突然倒れて病院に運ばれる。精密検査を受け、その結果を家族と聞かなくてはならない宏だったが、郷里の両親に連絡する気になれず、偶然知り合った女子高生の真衣に妹役を演じてもらい、検査結果を聞く。そこで余命3カ月を宣告された宏は、死への漠然とした恐怖におびえながら入院生活を送ることになるが……。


公式HP
http://www.shochiku.co.jp/toilet/


予告編


written by shuhei