『白鯨との闘い』感想、生きなければ何もできない - Cinema A La Carte

『白鯨との闘い』感想、生きなければ何もできない


(C)2015 WARNER BROS. ENTERTAINMENT INC. AND RATPAC-DUNE ENTERTAINMENT LLC ALL RIGHTS RESERVED

1月16日に公開されるロン・ハワード監督最新作『白鯨との闘い』をお先に鑑賞させて頂きました。人間の極限、真の姿を痛々しく描きながら人間ドラマもしっかり見せる、お見事な作品でした。


スコア

◯私的満足度
★★★★☆(4.5/5)
=アドベンチャー大作×人間ドラマが秀逸すぎる!持続する緊張感もたまらない!

◯ファミリーオススメ度
★★★☆☆(3/5)
=鯨の襲撃や飢餓の苦しみなど苦しい場面が多いです。

◯子供オススメ度
★★☆☆☆(2/5)
=上に同じ。子供の頃に急いで見る必要はない。

◯友人オススメ度
★★★★☆(4/5)
=なかなか強烈な場面もありますが、人間ドラマが熱いので是非!

◯デートオススメ度
★★★★☆(4/5)
=「愛する人」を考えさせられる人間ドラマがここに。

◯映画リピーターオススメ度
★★★★★(5/5)
=ロン・ハワード監督、またもや史実モノで本領発揮です!

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感想:「人間の極限を目撃した・・・」

『アポロ13』、『ビューティフル・マインド』、『ラッシュ/プライドと友情』など史実映画で傑作をたくさん生み出してきたロン・ハワード監督。その魅力はどの映画でも人間ドラマであり、私たちは多くの感動をしてきました。

そんなロン・ハワード監督にかかれば『白鯨との闘い』という、タイトルそのまま鯨バトルはアドベンチャー大作でありながら、感動的な人間ドラマへと昇華します。


「圧巻・・・」


そんな言葉がこの映画の感想には相応しいでしょう。


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H・メルヴィル著の『白鯨』、捕鯨船ピークォド号の航海と、白い巨鯨に足を奪われた義足の船長の復讐を描いた長編小説であり、アメリカ文学最大の作品のひとつと評される名著です。

この『白鯨』はフィクションです。しかし、小説はエセックス号という捕鯨船の生存者の証言に着想を得ていました。その衝撃の史実を、メルヴィルが生存者へインタビューして解き明かしていくのが、この映画『白鯨との闘い』になります。


「白鯨」※映画の原作ではありません
原作

つまり、メルヴィルと生存者のシーンと回想シーンの2つで映画は構成されています。メインは回想シーン、つまり"白鯨との闘い"になります。


とにもかくにも映像の迫力が凄まじいです。大海原を航海する捕鯨船の迫力ある映像、それを超え鳥肌も立つ人間と鯨との闘いも圧巻。

そしてそれを凌駕する怪物"白鯨"によるエセックス号の襲撃…様々な映画で"悪役"を見てきましたが、そんな悪役たちも飲み込んでしまうであろう白鯨の恐ろしさ、身の毛のよだつ思いでした。


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そんな映像の迫力は"アドベンチャー大作"としての醍醐味を私たちに感じさせてくれます。しかしそんなの本作の一部に過ぎません。

史実が示している通り、エセックス号は白鯨に襲撃され沈没します。そこからは、出口の見えない地獄の漂流が始まるのです。

その地獄は言うまでも無く飢えによる苦しみ。実際に体重を落としながら熱演したキャスト陣の好演もあり、その地獄は静かなシーンでありながら確かに地獄でありました。

一度は島を見つけるも、そこは草木も無い不毛の島。生存者たちはまた大海原へ出るしかありませんでした。地獄の行く先地獄…そこには敵はおらず、ただたまに白鯨が悪魔のように彼らを嘲笑うのです。

ここまでは、映画では生存者の証言として語られます。しかし、ここから先、生存者が証言中に取り乱します。

「これ以上は言えない。話したこと無い。」

そんな生存者の苦しみを解放すべきとメルヴィルは懇願します。真実を語ってくれと。

そして………ここから先、映画でいうラスト30分は是非あなたの目で目撃を!


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本作は人間の極限の状況を描いていきます。そこに敵はいません。ただ「生きる」ことに焦点が当てられます。死んで行く者ももちろんそこに…。

「生きる」ことは人間の、いや生命の本質です。人間なら「生きる」ことが出来なければ「喜び」「悲しみ」「苦しみ」「痛み」を感じることすら出来ないのです。

そんな生命の、人間の本質を見せつける『白鯨との闘い』。

物語の着地点は悲しみと感動の両側面を伴います。ロンハワード監督らしい、素晴らしき人間ドラマをしっかりと最後に見せつけられ、映画は心に宿りかけがえのないものになりました。

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俳優陣では、実質主演のクリス・ヘムズワースとベンジャミン・ウォーカーの一等航海士VS船長が秀逸で、映画を熱き男のドラマへと昇華させています。キリアン・マーフィーも感動を呼ぶ演技もあって存在感抜群です。

そんな中でも私の記憶に残ったのはトム・ホランドくん。新スパイダーマンへ抜擢されたトム・ホランドくん。『インポッシブル』の長男を熱演した記憶がある方もいらっしゃるでしょう。

このトム・ホランドくん演じるトーマス・ニカーソンは、メルヴィルがインタビューする生存者の少年時代なのです。つまり、この映画はトム・ホランドくん演じるトーマス視点の物語なわけです。

決して強いわけではない、しかし船乗りたちに可愛がられ、懸命に生き抜く姿に胸が熱くなりました。是非トム・ホランドくんの熱演、目撃してみてください。

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映像の圧巻さを際立てる音楽がロケ・バニョスが作曲。あまり有名な方ではありませんが、直近のロン・ハワード監督作品でおなじみだったハンス・ジマーに負けず劣らずの熱く力強いスコアを聴かせてくれます。

2時間続く緊張の演出、カメラワークの壮大さなど、語りたいことがたくさんのこの『白鯨との闘い』。


何はともあれ、「生きる」本質を描いている点で、この映画は全ての人間が見るべき映画なのかもしれません。


生きなければ何もできない。幸せだって感じられない。そんな事を感じて劇場を後にしました。


おしまい。

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どんな映画?

19世紀に捕鯨船エセックス号を襲った実話を映画化。ハーマン・メルビルの名著「白鯨」に隠された事実を明かしたノンフィクション小説「復讐する海 捕鯨船エセックス号の悲劇」をもとに、太平洋沖で巨大な白鯨に襲われた捕鯨船の乗組員たちの死闘を3Dで臨場感たっぷりに描き出した。1819年、一等航海士オーウェンと21人の仲間たちは、捕鯨船エセックス号で太平洋を目指す。やがて彼らは驚くほど巨大な白いマッコウクジラと遭遇し、激闘の末に船を沈められてしまう。3艘のボートで広大な海に脱出した彼らは、わずかな食料と飲料水だけを頼りに漂流生活を余儀なくされる。


公式HP
http://wwws.warnerbros.co.jp/hakugeimovie/

原作
※「白鯨」は原作ではありません。その「白鯨」の元となった史実の映画化です。


予告編



written by shuhei