『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』徹底解説その3〜指輪とフロド編〜 - Cinema A La Carte

『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』徹底解説その3〜指輪とフロド編〜


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『ロード・オブ・ザ・リング』を見ていて主人公フロドにムカついた方々へ。指輪の持つ力とフロドが果たした役目について、もう一度考えてみませんか?



第三弾となる今回から、本格的に本編の内容に突っ込んだ解説をしていきたいと思います。よって本記事は盛大に『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』のネタバレをしていますので、未見の方はご注意ください。







それでは……










いきますよー!









フロドにイライラした皆様へ

『ロード・オブ・ザ・リング』シリーズの感想で「フロドにイライラした」「主人公がムカつく」というものをしばしば見かけます。現にこれをお読みの方で、そう感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか(笑)

『王の帰還』のクライマックス、ついに指輪を葬るという時になって、フロドは突然したり顔で「指輪は僕のものだ」と言い放ち、指輪をはめようとします。その後フロドとゴラムが取っ組み合いを始め、結果として指輪は偶然マグマに落ちて破壊されました。この展開に「ちょ、フロド! ダメじゃん!!」と思った方は少なくないでしょう。

『王の帰還』中盤では、ゴラムがサムを陥れるために嘘をついたとき、フロドはその嘘を信じてしまい「お前は帰れ」とサムを突き放します。この後、フロドを助けに行く勇者サムワイズのシーンも相まって、余計に「フロド!お前なんなんだよ!」とイライラを募らせた方もいたはず……。

もっと遡ると、『二つの塔』の終盤、フロドは自らナズグルに指輪を渡そうとし、さらにそれを防いだサムに剣を向けました。このへんから「おいフロド! なんでや!」と思い始めた方が多いのでは。

フロドにイライラした方々はおそらく「サムが指輪運べばいんじゃね?」と思ったのではないでしょうか。たしかにサムは、蜘蛛のシェロブやオークと一人で戦い、最後までフロドを助け続ける、とても勇敢なホビットです。

しかし指輪を運ぶのは、サムではいけなかったのです。サムに限らず、指輪はフロド以外の誰も運ぶことはできなかったのです。それは何故なのでしょうか?



“一つの指輪”が持つ力

まず一つの指輪について、重要なことをおさらいしましょう。指輪は自分の意志を持っています。そして指輪は本来の主(サウロン)の元に帰りたがっているので、指輪の持ち主やその周囲の人を誘惑し、なんとかサウロンの所に帰ろうとしているのです。(このへんは『旅の仲間』の前半で説明されているのですが、なにぶん長い映画なので忘れてしまっている人もいるのでは?)

では、指輪の誘惑とはどんなものか。例として、『旅の仲間』終盤でのボロミアの一件を挙げてみましょう。彼はフロドから強引に指輪を奪おうとしました。そんなボロミアを「なんか誘惑に負けた、情けない人」と思った方もいると思います。しかし、彼は情けない人なんかではありません。

指輪は、故郷のゴンドールを救いたい一心で旅に参加したボロミアを「指輪の力があればゴンドールは戦いに勝てる」と誘惑し、サウロンの元へ帰るために利用しようとしたのです。指輪の誘惑は、力への欲求が深い者ほど抗えない、非常に強い力です。しかも、中つ国に生きる種族の中で、人間は力への欲求が最も強いのです。

人間以外の種族にとっても、指輪の誘惑は恐ろしいものです。フロドに「指輪を受け取って」と言われたガンダルフは「わしを誘惑するな!」とフロドを叱り、ガラドリエルはフロドの前で「指輪が欲しい」と言って力への欲を露わにしていました(最終的に打ち勝っていますが)。

唯一ホビットだけは、力への欲求が全くと言っていいほど無い種族なので、指輪の誘惑がなかなか通用しません。ホビットは権力や名声といったものに興味がなく、美味しいものを食べたり、良いパイプ草を吸うことが、彼らの人生で何よりも大切なことなのです。

しかし、フロドが指輪を持ってホビット庄を旅立ってから指輪の破壊に至るまで、約6ヶ月かかりました。彼は過酷な旅で心身共にボロボロになりながら、半年もの間、徐々に強まる恐ろしい力を持った指輪を運んでいたのです。それを考えたら、誘惑に屈したフロドにイライラするどころか、むしろよくここまで頑張った!と思いませんか?


フロドの役目、それぞれの役目

最初に述べた通り、フロドは最後の最後で指輪の誘惑に屈してしまいました。ということは、彼は本当の意味で救世主であったとは言えないでしょう。でもそれで良いのです。彼の役目は、指輪を滅びの山の火口まで運ぶことだったのですから。

『ロード〜』のキャラクターには、それぞれ役目がありました。サムはフロドを助ける役目。ガンダルフは皆を導く役目。あのゴラムだって、彼がいなかったら指輪の破壊はできなかったのですから、重要な役目を担っていたことになります(ゴラムに関しては今後の記事でまた取り上げたいと思います)。

『旅の仲間』中盤、フロドら一行の旅を、ガラドリエルは「薄い刃の上を行くような旅」と表現していました。まさに、誰か一人でも欠けたら指輪の破壊は成し得なかった、奇跡のような旅だったのです。だからこそ我々観客は、それぞれが役目を果たして辿り着いたあの大団円に感激し、涙するのです。




ということで、第三弾は以上になります。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました! それではまた次回!


[徹底解説リンク]
第一弾:『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』徹底解説その1〜基本のおさらい編〜
第二弾:『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』徹底解説その2〜キャスト編〜
第四弾:『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』徹底解説その4 〜よくある質問・前編〜
第五弾:『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』徹底解説その5 〜よくある質問・後編〜
第六弾:『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』徹底解説その6〜両シリーズの繋がり編〜
第七弾:『ロード・オブ・ザ・リング』『ホビット』徹底解説その7〜ゴラム祭り編〜


written by ayako