映画『時をかける少女』紹介、アニメ版の原作とは違う魅力とは?[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

映画『時をかける少女』紹介、アニメ版の原作とは違う魅力とは?[ネタバレなし]


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今回は『サマーウォーズ』、『バケモノの子』と立て続けにアニメーション映画でヒット作を生み出してきた細田守監督の作品『時をかける少女』をご紹介します。



タイムパラドックスの名作

元々は筒井康隆が1965年に発表した同名小説が原作で、タイムパラドックスの名作として評価され続けている作品です。実写映画化だけでなく、テレビドラマ、漫画化などもされてきています。

ただ、このアニメ版はその原作をそのままアニメ化したのではなく、原作から20年経ったという現代的なアレンジをしています。1960年代に想定している未来と2000年代になっての未来のイメージとあるので、設定を変えるのは必然だったのかな、と思います。

ちなみに、原作である小説版、そのあとの実写映画版の主人公は映画で「魔女おばさん(芳山和子)」としてさりげなく登場していたりします。主人公真琴(CV.仲里依紗)の叔母にあたり、タイムリープについて知っていたりと割りと重要なポジションであったりします。


物語はシンプルで、タイムパラドックス作品では定番といえば定番な展開です。過去に行くこと(タイムリープ)がひょんなことからできるようになった真琴は、過去に戻って色々と過去を変えていきます。それが結果として未来で問題を引き起こしてしまう訳です。それをまた変えようとして、というのを繰り返しながら描かれる友情、そして恋愛とばっちり青春物語です。

キャラクターデザインが「新世紀エヴァンゲリオン」シリーズでお馴染みの貞本義行。おかげで、少しややこしく思えるタイムパラドックスが、すっきりとしたアニメーションとして描かれています。なので、非常に見やすい作品だと思います。


爽やかな青春物語を紡ぐ人々

真琴には千昭と功介という仲良しな男子たちがいて、彼らを好きになる女の子がいて、と青春要素が満載となっています。

今となってはバリバリ女優として活躍している仲里依紗や谷村美月。そして石田卓也と若手俳優を上手く声優として起用しているのもよかったなーと思います。プロの声優ではなく、ちょっと素人感の残るようなものが、リアリティを逆に感じさせてくれています。

そして、印象的なのが主題歌、挿入歌です。「ガーネット」と「変わらないもの」は作品の世界観に見事に合っているノスタルジーさを感じる楽曲になってます。「変わらないもの」が挿入されるタイミングは、何だろう泣けます。
絵コンテを読み込んで、書かれた楽曲のため合ってないはずがないんですよね。



そんな彼らを上手く使ったのが細田守監督。時かけのあとに作られた『サマーウォーズ』、『おおかみこどもの雨と雪』、『バケモノの子』そのどれもが人気作となる売れに売れているアニメ監督です。

細田監督のこだわりは、徹底したロケハンにも現れていて監督作品のどれもが実在する場所をしっかりモデルにしているので聖地巡礼としてロケ地巡りをする人も多いですね。


細田守です。タイムパラドックスものです。ラストに待ち受けている結末は何ともいえない余韻を残します。いや、爽やかですね。


「未来で待ってる」に込められた想い

映画のクライマックスで出てくるセリフなのですが、ここに込められた想いは、単純な愛とか好きとかではなく、時空を超えたものになっています。そりゃ未来で待ってるなんて言われたら、はあ?となるところではありますが映画をしっかり観ていると切なくて切なくてたまらない名シーンなのであります。

そして、「走っていく」と答えるこの会話は名シーンすぎて思い出しただけで泣けてきます。大袈裟でしたね、すみません。

今を全力で駆け抜けて生きることが、未来への一番の近道なんです。
原作とはまた違う青春物語に落とし込んだことで、見やすく、そして鑑賞後に爽やかな気持ちにさせてくれるものになっています。


どういう想いで「未来で待ってる」「走ってく」と会話をしているのかは、ぜひご自身でお確かめください。


written by manabu