『ミケランジェロ・プロジェクト』感想、誰もが楽しめるテイストで彩られた歴史の知られざる一幕に驚きを感じる[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

『ミケランジェロ・プロジェクト』感想、誰もが楽しめるテイストで彩られた歴史の知られざる一幕に驚きを感じる[ネタバレなし]

(C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

11月6日に公開されるジョージ・クルーニー監督の『ミケランジェロ・プロジェクト』を一足お先に鑑賞させて頂きました。第2次世界対戦下でナチス・ドイツから美術品を奪還しようとした男たちのセンス良きドラマが展開されていました!


スコア

◯私的満足度
★★★★☆(4/5)
=シリアスに寄せすぎてないエンタメ性のあるドラマ!

◯ファミリーオススメ度
★★★★☆(4/5)
=歴史ミステリー感とエンタメ感とバランスが良く楽しめる!

◯子供オススメ度
★★★★☆(4/5)
=美術史などは難しいかもだけど楽しめる!

◯友人オススメ度
★★★★☆(4/5)
=深くも浅くも楽しめるので割とどんな友人とでもいける!

◯デートオススメ度
★★★★☆(4/5)
=上の様々な理由によりオススメ!

◯映画リピーターオススメ度
★★★★☆(4/5)
=ジョージ・クルーニー自ら監督した意欲作を是非!


(C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

感想「美術史好きにはたまらない!」

ナチス・ドイツに奪われた数百万の美術品等を奪還するために組織された部隊がありました。その名は「モニュメンツメン」。

今回の『ミケランジェロ・プロジェクト』はミケランジェロの聖母子像を奪還するのがその中でも重要任務になっているため「ミケランジェロプロジェクト」という通称が付いており、それがそのまま日本語タイトルに。英語の原題は『The Monuments Men』です。

アメリカやイギリスといった連合国側から見た第二次世界大戦の史実で、相手はナチス・ドイツ。そう考えるとシリアスで、場合によっては目を背けるようなシーンがありそうな気もしますが、本作はそんなことありません。

終戦間際で、ノルマンディー上陸作戦後のミッションでもあったため目を背けたくなるような戦闘は一切ありません。ですので、「戦争映画」というより「歴史の知られざる一幕・裏側」といった感じです。

センスよくゆるく描かれる歴史の知られざる一幕。


終戦間際であっても戦闘はあり、命を落としたものもいた。それでも諦めること無く、歴史の偉人たちが生み出してきた美術品を未来へ残すために死力を尽くした。モニュメンツメン。彼らの功績に敬礼!


という感じに感想をまとめたくなる映画でした。


ちなみに原案は以下の本。


「歴史オーシャンズ11」と言っても別に大袈裟ではないです。というかジョージ・クルーニーとマット・デイモンが出てて、何かを奪うと言う時点でそう考えざるを得ないという(笑)センスよくゆるいテイスト、ジョージ・クルーニーが自ら監督もしてるので良い意味でオーシャンズの影を感じもします。

という感じなので戦争を舞台にしつつもバイオレンスなシーンはほぼ無く(死はまあありますが)、楽しみながら歴史の知られざる一幕を見ることが出来ます。


私は高校時代世界史にドハマりしていて、特に美術史などを熱心に勉強というか探求していました。大学に入ってからフランスやイタリアにも行ってこの目で様々な美術品を見ました。それくらい好き。お恥ずかしながらこの「モニュメンツメン」の「ミケランジェロプロジェクト」は存じ上げていなかったので、映画を見て感銘を受けました。

映画を見た後だと数々の美術品を見る目が変わるでしょう。その美術品が作られた背景を史実から感じつつ、第二次世界大戦の元で破壊を免れたエピソードに思いを馳せることでしょう。



レオナルド・ダ・ヴィンチ、レンブラント、ラファエロ、ブリューゲル、 ホイッスラー、ジャン=オーギュスト=ドミニック・アングル、ミケランジェロ、ファン・エイク、フェルメール、デューラー、ロダン、ゴッホ、マティス…

又は

「最後の晩餐」、「モナ・リザ」、「レンブラントの自画像」、「若い男の肖像」、「村祭り」、「母の肖像」、「黄金時代」、「ピエタ」、「ブルージュの聖母子像」、「ヘントの祭壇画」、「真珠の耳飾りの少女」、「占星術師」、「黙示録」、「カレーの市民」、「ひまわり」、「タンバリンを持つ踊り子」…



こういった美術史の偉人や偉大なる作品に「!!」となるような方は、より映画を楽しめることでしょう。とにかく数々の美術品が登場します。ゆるい美術史好きの私で熱狂したので、美術史大好きな方はとてもとても楽しめるでしょう。

もちろん、前述の通りこれらを知らなくてもわかりやすく、センスの良いストーリーで進むので問題なしです。


本作『ミケランジェロ・プロジェクト』は一度日本公開が中止となって紆余曲折あってやっと今年公開に。戦後70周年✕芸術の秋、万人が楽しめる一作です。


映画として楽しみ、知られざる史実を知し学習できる。じわり、じわりと、心地良さが心に充満する素敵な作品でありました。


(C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

どんな映画?

ジョージ・クルーニーが監督・製作・脚本・主演を務め、第2次世界大戦中の実話を映画化したサスペンス。ヨーロッパ各国に侵攻したナチスドイツが歴史的に重要な美術品の略奪を繰り返していた第2次世界大戦下、ルーズベルト大統領から建造物や美術品を保護する任務を託された美術館館長フランク・ストークスは、7人の美術専門家で構成される特殊チーム「モニュメンツ・メン」を結成し、危険な状況下で美術品保護のための作戦を遂行していく。主演のクルーニーほか、マット・デイモン、ビル・マーレイ、ジョン・グッドマン、ジャン・デュジャルダン、ケイト・ブランシェットら豪華キャストが出演。
参照:http://eiga.com/movie/79208/


予告編



美術も演技も音楽もセンス良い

この作品の良さであり、また評価しにくいと感じる方が出そうな点が「ゆるい」こと。

モニュメンツメンたちはノルマンディーのオマハビーチからフランスへ上陸します。あのノルマンディー上陸作戦の死闘が繰り広げられた海岸です。モニュメンツメンたちがノルマンディーへ上陸したのは作戦から3ヶ月以上経ってからなのでもう平和で、連合国側のベースキャンプができている状態でした。

この上陸描写がまあゆるいゆるい(笑)

リアスに演出しようとすれば如何様にでもできたと思います。しかしセンスよく、良い意味でゆるさを持って演出されています。美しい美術品の気品を失わない絶妙な加減のゆるくセンスある演出で、名優たちの演技や音楽が引き立ちます。

そのセンスの良いゆるさは私は良さだと思ってるのですが、「戦争映画」を期待すると全然違うものが用意されてるので肩透かしを食らってしまう方もいるかもしれませんね。

ジョージ・クルーニーやマット・デイモンの演技も良いことながら、名優ジョン・グッドマンや『アーティスト』でアカデミー賞主演男優賞を受賞したジャン・デュジャルダンらのゆるい名演技がとても魅力的です。というか面白いです(笑)

だからと言ってコメディまでは足を踏み入れていません。そこが良いんですよ。

アレクサンドル・デプラの音楽もとてもとても魅力的。色々と「魅せて」くれる映画だなと振り返って改めて思います。


(C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

ナチス・ドイツが略奪した数えきれないものと「ネロ指令」

ナチス・ドイツは占領した国や地域から数えきれないものを略奪していきました。

前述のブリュージュの聖母像やモナ・リザ、最後の晩餐、夜警、ダヴィデと言った美術品に限らず、フランスからは鉄道貨物約3万台分の家財道具、オランダからは約300台のトラム、約5000もの鐘が略奪されました。

つまりナチス・ドイツはただ単に美術品という芸術の価値あるものだけを略奪したのではなく、資産となるものの数々を略奪していったわけですね。

モニュメンツメンは数多くのそれらを奪い返す、救い出す使命を持ってミッションに当たりましたが終戦間際でこその都合の悪い事態に遭遇。それは「ネロ指令」

無条件降伏以外に道が無くなったヒトラーが出した命令で、「敵国に何一つとして渡すな」というもの。つまり「美術品が盗まれそうになったら破壊せよ」ということでもあります。

特に重要な美術品を奪還するシーンが本作ではクライマックスとして描かれていて手に汗握る展開となっています。その辺は映画を見てお楽しみください。

史実として、モニュメンツメンは千以上もの隠し場所からたくさんの美術品を救い出しました。任務は終戦後も続き完了したのは1951年。合計で、何と500万近くもの文化財を奪還したのです。驚きしかない・・・。

この章の参考としたリンク:https://goo.gl/aMmYgB


(C)2013 Twentieth Century Fox Film Corporation. All rights reserved.

今もモニュメンツメンがいる!?

何とこの美術品奪還部隊の「モニュメンツメン」は現存してます。現在は14名いるそうです。今現在を生きていても「◯◯の名画が発見!」などとニュースになるのは隠されたそれらがまだどこかに眠っているからなのでしょう。

またモニュメンツメンと直接関係はありませんが、アフガニスタンのタリバン政権やイスラム国が歴史的な建造物の破壊をしてしまう痛ましいニュースを私が生まれてからの28年の間に目撃しています。つまり、今でも戦火によって美術品や歴史的な何かが犠牲となってしまうことがあるわけです。

その意味でも、こういった特殊部隊は必要なのかもしれませんね。


映画的な楽しみはもちろん、歴史の一部を目撃し様々な歴史や現在の世界を見つめなおすきっかけになる『ミケランジェロ・プロジェクト』公開は11月6日からです。


どうぞお楽しみに!


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