『アメリカン・ビューティー』、人は本当の自分をより良く見せるために嘘に嘘を重ねてコーティングしている[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

『アメリカン・ビューティー』、人は本当の自分をより良く見せるために嘘に嘘を重ねてコーティングしている[ネタバレなし]


第72回アカデミー賞で作品賞・監督賞・主演男優賞などを受賞した作品です。「ビューティー」という言葉と裏腹に家庭崩壊を描く本作ですが驚くほどコミカルに描かれていきます。


超スーパー皮肉作品!

この映画はブラック・コメディとでも言えるほど皮肉でコミカルな映画です。現代アメリカ社会の抱える闇についてユーモアたっぷりに描いていき、その中にはアダルティーな内容もふんだんに含まれています。




一応主人公はケヴィン・スペイシー演じるレスターです。この主人公が仕事にやる気を無くし、生きる気力も無くし、一日の楽しみは朝シャワー中に1人ですることだけ。ゲスの極みです。


そんなレスターの妻は浮気に走り、娘は親を嫌い豊胸手術を夢見る毎日。

・やる気ない夫

・浮気に走る妻

・湿った空気の流れる冷たい家庭

・親を嫌う娘

・麻薬の売人

・麻薬の常習者

・虐待

・精神病

・同性愛

・殺人

・駆け落ち

・未成年との恋愛

・未成年との性交


これでもかと闇を描いていきます。しかし繰り返しますが超コミカルに描いていくのでもう本当に良い意味でゲスの極みであります。

タイトルの「アメリカン・ビューティー」とはバラの名前です。

主人公の妻キャロラインが庭に植えているバラはこのアメリカン・ビューティー。レスターのキモい妄想の中で女子高生が裸でまとっているバラもアメリカン・ビューティーです。

そしてビューティー=美しさという意味も当然持ち合わせ、映画はゲスの極みの人間たちの物語なのに「アメリカの美しさ」とタイトル付けて「イギリス人監督が製作した」という皮肉もまたお見事です。

皮肉やっぷりでありながらコミカルにどんどん展開していく物語は後味も謎の爽快さで多くの方が高評価。主観的にも客観的にも見ることができるので、みなさん自身が胸の奥に秘めている欲望や願望を自問自答できる映画でもあります。



自称ヤリマンが実は奥手な処女の破壊力(ややネタバレ)

※以下は内容に少し触れてますが、最終結末には触れてないので未見の方でも知っておいて大丈夫な内容です。

「自称ヤリマンが実は奥手な処女」、この破壊力が凄まじいです。高校のチアリーディング部の美女アンジェラがその役に当ります。

何人もの男を相手にして、そして切ってきたかの如く自慢話をするアンジェラ。下着姿を男に惜しげも無く見せたり、主人公のおっさんレスターに色目を使ったりと典型的「見た目からヤリマン」を見せつけます。

おっさんレスターはその色目に引っかって彼女を妄想して1人でし出す始末。おっさんレスターはそこからなぜか本気になって彼女を本気でゲットしようと身体を鍛えて「セクシーなおっさん」を目指すまでに。(突っ込みどころ満載)

そして雨の降る官能的な夜、リビングで二人きりになったおっさんレスターとヤリマンアンジェラは遂に本当にキスを交わし、レスターは彼女を脱がそうとします。

その時いきなりアンジェラがか弱い少女のような声と表情で「これが初めてなの。」と暴露します。驚いたレスター、私たち観客も驚きます。それが真実。人は本当の自分をより良く見せるために嘘に嘘を重ねてコーティングしているのです。

処女隠しに限らなくてもありますよね、こういうの。本当はモテないのに口説かれたと自慢する人や彼氏や彼女がいる設定にしている人など。恋愛に限らなくても強がっている人って多いと思います。私だってそうかもしれません。それもまた人間の弱さであり現実ということなのかもしれませんね。

おそらくアンジェラにとって「ヤリマンでセクシーなアンジェラ」は一つの理想だったのかもしれません。勇気を振り絞って処女を告白したアンジェラのことをレスターは押し倒そうとはせず優しさと言う愛で包み込んで服を着せてあげるのでした。

その先に何が起きたか?その衝撃の結末は是非本編を見て確認してみてください。


written by shuhei