映画『くちびるに歌を』の感動は音楽にあり!手紙に込められた想い。 - Cinema A La Carte

映画『くちびるに歌を』の感動は音楽にあり!手紙に込められた想い。


くちびるに歌を DVD 通常版

日本中を感動に包み込んだ新垣結衣主演の青春合唱映画『くちびるに歌を』。その作品に主に使われている「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」を中心に作品を紹介します!



『くちびるに歌を』ってどんな映画?

ガッキーこと新垣結衣を主演に、『ソラニン』、『ホットロード』や『アオハライド』といった青春映画をヒットさせてきた三木孝浩監督の2015年に公開された作品です。

長崎県五島列島の中学校に臨時の音楽教師として赴任して来た柏木ユリ(新垣結衣)が嫌々ながも合唱部の顧問を引き受けます。

そこで中学生たちと交流をしていき、中学生である彼らがそれぞれ抱える不安や悩みと向き合い成長する青春物語であると同時に、教師である柏木自身も変わっていくというお話であります。

あらすじをざっくりと聴くと「あーそんな感じの話ね」とあんまり興味がそそられなかったのも事実です。

そんな中、あまり期待せずに劇場へ観に行ったのですが、予想を超えていく良さがあり感動したのを覚えております。

合唱部ではないものの、中学時代は毎年合唱コンクールがあったのでその時の自分を自然と映画の中に投影させてしまいました。こう他人事にできない作品は心に残りますね。


モチーフはアンジェラ・アキの楽曲

この作品の原作は小説ではありますが、元々は2008年のNHK全国学校音楽コンクール中学生の部課題曲として書き下ろされたアンジェラ・アキの「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」がモチーフになっています。正確に言えば、この曲にまつわるNHKのドキュメンタリーがモチーフとなっています。

アンジェラ・アキが「手紙〜拝啓 十五の君へ〜」(以下、「手紙」)を作ったエピソードをさらっと紹介します。

「手紙」は30歳の誕生日に母親から送られてきた「15歳の自分が未来の自分へ書いた手紙」にヒントを得て書かれた楽曲です。

そして、それが合唱コンクールの課題曲となって、全国の中学生に歌われるようになっていきます。

今では、卒業ソングとしても歌われるようになっていて、彼女の代表曲の1曲としても有名です。

この曲にまつわるドキュメンタリーというのは、中学生が合唱コンクールに向けて、練習をしているところへアンジェラ・アキ自身が訪問し、実際に交流をしていくというものでした。

その時に、実際長崎県五島列島を訪れていて、その番組を見ていた作家中田永一が2011年に小説化したということになります。

このドキュメンタリーの中で、中学生たちにアンジェラ・アキが「未来の自分への手紙」を書かせているのですが、映画でも柏木が合唱部に同じように「未来の自分への手紙」を書かせる場面が登場するということからもモチーフであることが伝わってきます。

NHKのドキュメンタリーはそれだけではなく2014年には、5年経ち20歳になっている当時中学生だった子どもたちとアンジェラ・アキが再会するというものが放映されるなど「未来の自分への手紙」が活きるような繋がりのあるものとなり、話題となりました。

(C)2015「くちびるに歌を」製作委員会 (C)2011中田永一/小学館

「手紙」は主題歌としても使われている上に、映画版のミュージック・ビデオが作られるなど映画の一部としてしっかり扱われています。

合唱曲として歌われているものとアンジェラ・アキ自身が歌っているものだとキー(音の高さ)が異なっています。

劇中で、中学生の子どもたちが歌う少し音の高い「手紙」とエンドロールに流れる大人であるアンジェラ・アキの少し音の低い「手紙」を対比しながら聴き比べてみてください。
きっと、この楽曲の内容に相まって深みを増して響いてくるはずです。


15歳の中学生と大人

「手紙」の内容は15歳の自分から、未来の自分へと綴られる手紙とそれに対して未来の自分から15歳の自分へと送られる2つの視点から描かれた楽曲です。

これは、15歳の自分に「今は辛いかもしれないけど、未来では元気にやってるよ」と未来の自分にしか答えられないものがあるので、子供から大人まで共感できる内容になっているのかな、と思います。

映画では、人物関係がこの曲と同じような構図になっています。「15歳の自分」に当たる役柄は合唱部の子たちになります。特に合唱部の部長仲村ナズナ(恒松祐里)で主に描かれています。
「大人の自分」は成長した合唱部が出てくるのではなく、大人なりに悩みを抱え、苦しんでいる柏木ユリになっています。ここの二人の対比があるので、「手紙」という曲が映画に溶け込み、深く響いてきます。


合唱曲の名曲「マイバラード」も響く

映画の中では、もう一曲印象的な歌があります。みんなで歌おう、と始まる合唱曲「マイバラード」です。この曲は有名なので誰もが一度は耳にしたことがあるんじゃないかな、と思います。

元々名曲なのはもちろんなのですが、映画の中での使われ方が非常に上手く、作品の中で熟していくのを感じました。これは映画を通して観て初めて感じることになると思うので、ぜひ体感して欲しいです。

はじめに聞く「マイバラード」と最後に聞く「マイバラード」。それぞれが意味を持って歌われています。ベタな展開でこっ恥ずかしくなるような演出もありますが、歌っていいなと思わされます。

(C)2015「くちびるに歌を」製作委員会 (C)2011中田永一/小学館

と、映画『くちびるに歌を』のモチーフ「手紙」の内容をに焦点を合わせ色々と書いてきました。
そんな歌に乗せて、映画では「合唱」を通じて交流していく登場人物たちの変化が描かれています。きっと、誰しもが思うことがあるんじゃないでしょうか。

中学生役の子たちの瑞々しい演技と爽やかな長崎の青空に響く歌声で、どんな想いを「手紙」に乗せているのか、ぜひ聞いてみてください。


written by manabu