映画『奇跡』の魅力、離れ離れになった兄弟が願った“奇跡”とは? [ネタバレなし] - Cinema A La Carte

映画『奇跡』の魅力、離れ離れになった兄弟が願った“奇跡”とは? [ネタバレなし]

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前田航基・旺志郎兄弟の演技が光る是枝裕和監督作。徹底した子供目線で語られるのは、兄弟、そして家族の物語。


“奇跡”を信じる子どもたち

昨日の『誰も知らない』に引き続き、是枝裕和監督の作品をご紹介します。

小学校6年生の航一と4年生の龍之介の兄弟は、両親の離婚によって離れ離れで暮らすことに。母に引き取られ鹿児島に来た航一は、「九州新幹線が全線開業する日、鹿児島発の新幹線“つばめ”と福岡発の新幹線“さくら”が初めてすれ違う時、奇跡が起きる」という噂を耳にし、父と共に福岡で暮らす龍之介に「奇跡を起こしてまた家族4人で暮らそう」と提案。二人はそれぞれ鹿児島と福岡から、新幹線がすれ違う熊本まで旅をすることに……というストーリーの作品です。

二人は無事に熊本に辿り着けるのか? 新幹線がすれ違う瞬間を見ることができるのか? そして、奇跡は起こるのか?

(C)2011「奇跡」製作委員会

等身大の子どもたち

『奇跡』の子役たちはオーディションで選考され、それを勝ち抜き主役の座を射止めたのが、少年漫才コンビまえだまえだの前田航基・旺志郎の兄弟でした。

もともと本作はボーイ・ミーツ・ガールの物語だったそうですが、オーディションで前田兄弟を見た是枝監督が急遽脚本を書き直し、兄弟の物語に変更したそうです。実の兄弟ならではの自然なやりとりや会話は違和感がなく、微笑ましいシーンもたくさん。

ちなみに弟の前田旺志郎は、是枝監督の最新作『海街diary』にも出演しているので、『奇跡』のころよりかなり成長した姿に驚いた方もいるのではないでしょうか。

他にも、「奇跡の一枚」で有名になる前の橋本環奈や、本木雅弘・内田也哉子夫妻の長女である内田伽羅なども出演しています。


子役を引き立てる大人たち

本作の主役は子どもたちなので、大人は全員脇役なのですが、この大人たちが良いスパイスとなって作品を盛り上げています。

特にオダギリジョー演じる父親の“父親になりきれなかった男”感がなんともいえずリアルで、弟・龍之介に世話をやかれる姿に「あ〜こりゃ離婚するわな〜」と思ってしまったり(笑)

個人的には阿部寛の“悪い人じゃないけど、子ども的にはめんどくさいから嫌われちゃう先生”に、「こういう先生いたなぁ」と自分の小学生時代を思い出したりもしました。

(C)2011「奇跡」製作委員会

兄弟が願った“奇跡”とは?

鹿児島に住む航一は、桜島からの火山灰が積もるこの土地になぜ人々が住み続けるのか「意味わからん」と何度も言います。航一は鹿児島に住む=家族が離れて暮らすことを頑なに拒否しつづけているのです。

しかしその一方で龍之介は、福岡で新しい友だちと楽しく過ごしており、不満はあまり見せていません。果たして家族四人で暮らすことが彼らにとって本当の幸せなのでしょうか?

劇中に登場するかるかん(九州の特産和菓子)の味のように、この作品を「ぼんやり」と思うか「ほんのり」と思うかは人それぞれ。ですが「ほんのり」と感じとった人にとっては、家族というものの在り方について深く考えさせられる作品となるのではないでしょうか。


written by ayako