映画『バタフライ・エフェクト』切ないエンディングから始まる人生の物語。[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

映画『バタフライ・エフェクト』切ないエンディングから始まる人生の物語。[ネタバレなし]

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自分のため?愛する人のため?人生をやり直すために過去を書き換えながら苦悩するタイムパラドックス映画の名作『バタフライ・エフェクト』を紹介!



『バタフライ・エフェクト』って何の話?

虫取り少年が蝶々を追いかける話とかではないです。残念ながら。

「バタフライ・エフェクト」とは、「蝶の羽ばたきがどこか遠くで竜巻を引き起こす」という例えのようなカオス理論からくる言葉です。「ちょっとしたことが、後に大きな影響を及ぼす」という可能性を示している言葉ということですね。

映画『バタフライ・エフェクト』でも「ちょっとしたこと」による未来の変化を描いています。幼い頃の選択が将来の自分に、友達に、愛する人にどんな影響を与えるのか。

少々、過激な映像とタイムパラドックスものならでは緻密に練られた構成に切なさを感じるストーリーが絡み合っています。もちろん、極端な部分もありますがよく出来てる作品だなーと思えるような映画です。

そりゃ、粗探しをすれば何かと出てきちゃうのもわかっています。本当はダメなことかもしれませんが、正直、タイムパラドックスものにはよくある話なので自分はあまり気にしてないです。
そんなことを抜きに面白いと感じさせる展開の巧さと結末のよさがあります。

(c) 2004 New Line Cinema.

主人公エヴァン(アシュトン・カッチャー)は日記を読むと意識だけ過去に戻れるという力を使って、過去に戻って自分の人生を書き換えようとします。その時々に良かれと思ってとった行動が、未来ではとんでもない事態を引き起こしてしまう。そのたびに過去に戻りやり直しということを何度も、何度も繰り返す姿が描かれています。

特別有名な監督ってわけでもないし、俳優が豪華とかっていうことでもないです。それでも、アシュトン・カッチャーやローガン・ラーマンといった現在活躍している俳優の若かりし頃が楽しめるというのもひとつ見所かな、と思います。ローガン・ラーマンに関しては、幼すぎて面影が薄いです。

後に続編(と言っていいのかわからない)が作られるほどに人気の作品で、題材としてはとてもいいのですが、2も3も残念なことになっています。正直、観なくていいです。


これはラブストーリーなのか。

自分のために変えた過去、友達のために変えた過去、恋人のために変えた過去。誰かを幸せにすれば、誰かが傷付くということを目の当たりにして、とにかく悩みながらエヴァンが最後に選ぶ未来は一体どういうことになるのか。

そこに愛を感じざるを得ないことからラブストーリーと言う方が多いです。ただ、作品からは「ラブストーリー」という言葉から連想するような甘い雰囲気というものはほとんど感じられません。SFサスペンス、スリラーと言った方がいいような気がします。

(c) 2003 Shane Harvey/New Line Productions . All Rights Reserved.

ラブストーリーの要素ももちろんあります。軸はエヴァンと彼の幼馴染ケイリー(エイミー・スマート)の関係性が描かれるので、そこはラブストーリーです。個人的には、もう少し大きく捉えて人生の物語なのかな、と思っています。恋愛は人生の一部ですし。


ハッピーエンドだけが人生ではない。

色々と映画を観てきていますが、この作品でそう思わされました。

この作品の話をすると、必ずと言っていいほどエンディングの話題になります。劇場公開された「通常版」と「ディレクターズカット版」、「るんるんハッピーエンド版」、「謎のオチ版」の4つが存在します。そのすべてを観ていますが、劇場公開されたものがいいです。

通常版はある意味ではハッピーエンドであるし、バッドエンドでもあります。この曖昧さがポイントなんですよね。悲しい結末に見ることもできるし、前向きに捉えることもできるし、それなのに切なさが残ってという余韻がいいんです。

愛しているからこそ、できる選択だなというラストなのです。何が自分にとっての幸せか、相手にとっての幸せか。そこをしっかりと考えて出すエヴァンの選択は一見の価値ありですね。

そして、そこから始まっていく人生の物語があるんです。エヴァンにも、映画を観ている私たちにも。


バッドエンド好きとしては、ディレクターズ・カット版もいいんですけどね。究極な選択すぎて切なさを通り越してしまうので却下です。それしたら、この映画成り立たないんじゃない?っていう……。

(c)2004 New Line Cinema.

何はともあれ、ハッピーエンドが世の中には溢れすぎているっていうこと。映画ってだいたいがハッピーエンドで「めでたし、めでたし」と終わることがあるんですけど、人生ってそうも上手くいかないし、何なら僕らの人生は現在進行形でどうなるかわからないんですよ。

だからといって、ハッピーエンドがダメとかそういうわけではないです。安心してください、ハッピーエンドも大好きです。


この作品に関しては、主人公エヴァンが自らの選択によって、人生めちゃくちゃになっていくのって程度の差はあっても実際に現実にあることのような気がします。友達に言った何気ない一言が後に大げんかを引き起こしたりなんて日常茶飯事じゃないですか? それはそれで問題ですかね。
エヴァンがなかなか成長できない姿もそうです。人ってすぐには変われないものです。

やっぱり、人生の中でやり直したいと思うことってきっと誰にでもあって、その成功と失敗、そして現実にはこういう選択をすることも必要だよね、こういう選択しちゃうことってあるよねっていうことが詰まっている作品に感じています。だから、どこか他人事じゃないように感じるんですよね。

ハッピーエンドじゃなくてもいいんだって、そう思えるんですよね。後悔しないように今、選んだ道に対して自信を持って楽しく生きればいいんですよ。


自らの人生観を揺さぶってくる作品である『バタフライ・エフェクト』、興味のある方はぜひご覧になって見てください。


written by manabu