映画『愛を積むひと』感想、血縁を超えた愛の物語[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

映画『愛を積むひと』感想、血縁を超えた愛の物語[ネタバレなし]

(C)2015「愛を積むひと」製作委員会

6月20日に公開される佐藤浩市主演の『愛を積むひと』を映画ファンの集いの独占試写会にて鑑賞してまいりました。夫婦愛、素敵でございました。

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スコア

◯私的満足度
★★★☆☆(3/5)
=静かに淡々と愛を積む、10年後にもう一度見たい

◯ファミリーオススメ度
★★★★★(5/5)
=家族の物語ですから当然お勧め。

◯子供オススメ度
★★☆☆☆(2/5)
=大人になったらみんな見よう。

◯友人オススメ度
★★★☆☆(3/5)
=大人同士の友情も描かれる。

◯デートオススメ度
★★★★☆(4/5)
=夫婦の物語なのでそりゃ是非とも。

◯映画リピーターオススメ度
★★★☆☆(3/5)
=静かに淡々と、そういう映画好きさんは是非。

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(C)2015「愛を積むひと」製作委員会

感想「理想としたく、したくない夫婦像」

評価は平均的になってますがウィークポイントはほぼ無い本作。静かに淡々と夫婦の愛と家族の愛、血縁を超えた愛の物語が展開されていきます。

「奥さんが先に亡くなってしまうも、後から手紙が届く」というあらすじだけ見るとどうも『P.S.アイラブユー』っぽいなと思ったのですが全然違いましたね。

原作はエドワード・ムーニー・Jr.の小説『石を積む人』で、それを北海道を舞台に転換して映画化されました。欧米小説の舞台を北海道化して再構築という点では『思い出のマーニー』と同じですね。


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小説の舞台転換には小説ファンから賛否あると思いますが、映画は映画ですし、本作に関しては美しい夫婦愛を描く上で美しい北海道美瑛町が完全にプラス効果となっていたので良かったのでは無いでしょうか。

絵に描いたようなダメ夫としっかりもの妻で落ち着いてる仲良し夫婦。どこにでもいそうでありながら、とても理想的な夫婦を本作では佐藤浩市さんと樋口可南子さんが演じてます。

ダメ夫を気遣って大病を患っていることを伏せている妻。元気に振る舞いつつも、自らの命があと少しであることを悟っていたのでしょう。ある人に亡くなった後の旦那を支えられるように手紙を託すのでした。

そしてその手紙が死後愛を積み、旦那の残りの人生を奮い立たせるのです。

絵に描いたように完璧な妻。しかし病気を伏せて最後の最後まで別れがこんなに早く来ることは想定できなかった旦那。

二人は理想の夫婦でありながら、理想とは言えない部分もあるなと思いました。残される側からすれば、最後の別れくらい別れとわかって感謝を述べたい。突然逝ってしまうなんて悲しすぎるわけですね。

と残される側なら誰しもが思うわけですが、本作のような完璧な妻であればこうするのも無理はなく、死後の旦那を気遣って色々手紙で仕掛けをしていくのでやっぱり理想なのかなと思いました。

二人の愛は様々な人物へと波及し、血縁の有無関わらず様々な愛が映画の中で積まれていきます。そこには若さゆえの過ちや、頑固ゆえの過ち、固定観念ゆえの過ちなども描かれていきます。

しかし愛がそこに内在をしていればきっと未来は切り開けると思わせてくれる作品でした。


私がこの映画の評価を3にしたのは、「今は3、結婚して子供ができたら4、孫ができたら5」になると思っているから。


未婚の私にはこの映画を絶賛する資格はありません。しかし、この映画が将来きっと大切なものになるのはわかってます。またこの映画を見て号泣していた既婚者の方々の気持ちはわかり、そして羨ましく思いました。

既婚者や子持ちの方は、きっと相当胸に響くことでしょう。優しい気持ちになれる素敵な映画です。


(C)2015「愛を積むひと」製作委員会

どんな映画?

東京の下町で営んでいた工場をたたみ、豊かな老後を求めて北海道に移住してきた篤史と良子。しかし、ガーデニングや内装アレンジなど充実した毎日を楽しむ良子に対し、仕事一筋だった篤史は暇を持て余すばかりで、そんな夫を見かねた良子は、篤史に家の周りの石塀づくりを頼む。ところが、良子の持病である心臓病が悪化し、篤史の願いもむなしく亡くなってしまう。妻の死に絶望し、心を閉ざした篤史だったが、彼女が死の直前につづった自分宛の手紙を読んだことをきっかけに、周囲の人々や疎遠だった娘との関わりを取り戻していく。
参照:http://eiga.com/movie/80518/

予告編


出しゃばらない俳優陣が北海道の美しさを際立たせる

本作のキャスト陣はとても豪華です。

佐藤浩市
樋口可南子
北川景子
野村周平
杉咲花
森崎博之
佐戸井けん太
岡田義徳
吉田羊
柄本明

名優揃いのオールスターキャストと言っても過言ではありません。しかしアンサンブル映画にはなっておらず、佐藤浩市、樋口可南子、野村周平、杉咲花中心に物語が進んでいきます。

北川景子や柄本明は出演時間が短くうまく名脇役に回っています。いや、柄本明は出演時間短いですが反則レベルに印象を残していきます。あれはズルいw


淡々と進む時間の中で描かれる物語はいくらでも拡大しようと思えばできるもの。しかしそっちに欲深く走らずに、人物は4人、あくまでも主人公の佐藤浩市演じる小林篤史と樋口可南子演じる小林良子の住む家を中心とした物語が展開されていき、石塀づくりを軸に感動的なクライマックスへと進んでいくのです。

樋口可南子演じる小林良子という女性は理想的過ぎる中年女性といったところで、将来自分の奥さんはこういう風におばさんになってほしいと思うほど。でもこういう女性って自分で抱え込みすぎちゃったりするからなあ・・・その辺男は女がしっかりしてるからって甘えきっちゃダメだなと思いましたよ。

とにかく佐藤浩市と樋口可南子の夫婦像が美しいです。そして繰り返しますが柄本明がズルいです。最近絶好調の北川景子が超控えめな役に徹してるのも好印象。

素敵な演技が堪能できる映画となっています。

(C)2015「愛を積むひと」製作委員会

血の繋がり≠心の繋がり

本作では「血縁」の価値観を一つ主義主張しています。

わかりやすく言えば、

「血の繋がっていない子供を愛することはできるのか?」

「血の繋がっていない人を愛を持って接することはできるのか?」

ですね。


この命題を優しく、「血が繋がっていなくても、愛を持って心を繋ぐことはできるんだよ」と本作は示してくれます。

冷静に考えれば普通子供とは血は繋がっているものの、夫婦って血は繋がっていません。しかしそこには愛が内在し、そしてその永遠のものであることも多いです。

血の繋がりは素敵なこと。でも血が繋がっていなくても愛すると決めたら愛せばいい。そこで葛藤する必要はない。

柄本明が本作ではお笑いキャラになってますが、そんな柄本明演じる上田熊二にはそんな大切なメッセージも教えられるのです。

愛の繋がり=心の繋がりは≠血の繋がり

大切なのは愛ということを本作は教えてくれるのです。


公開は6月20日から。血縁を超えた愛の物語、映画としてどうこうではなく、みなさん自身の人生にどう入り込んでくる映画なのか、それを是非劇場で確かめてみてください。

(C)2015「愛を積むひと」製作委員会