映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』感想、今まで見たことの無い新感覚の凄い「コメディ」映画…タイトルの意味も深く心に染みる…[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

映画『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』感想、今まで見たことの無い新感覚の凄い「コメディ」映画…タイトルの意味も深く心に染みる…[ネタバレなし]


4月10日公開のアカデミー賞作品賞最有力候補、『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』を一足お先に鑑賞して参りました!こんな映画見たことないです!



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スコア

◯私的満足度
★★★★★(4.5/5)
=今まで見たこと無い最高に楽しめるブラックコメディ&ヒーロー映画!

◯ファミリーオススメ度
★★★☆☆(3/5)
=ちょっと下ネタがwでも父娘の物語でもある!

◯子供オススメ度
★★★☆☆(3/5)
=上に同じ。

◯友人オススメ度
★★★★☆(4/5)
=ブラックコメディなので笑いながら楽しめる!

◯デートオススメ度
★★★☆☆(3/5)
=繰り返してますがちょっと下ネタがw

◯映画リピーターオススメ度
★★★★★(5/5)
=映画好きほど楽しめる!イニャリトゥ監督嫌いでも楽しめる!

◯WATCHAでレビューをチェック&書いてみる



一言感想

己のボキャブラリーの乏しさを恨みたくなります。

こ の 映 画 凄 い ん で す !


もうこう表現するのが精一杯。本当に凄いんです。別にこの作品には『ゼロ・グラビティ』や『ダークナイト』のような超ヘヴィー級の衝撃はありません。しかし、この映画は本当に凄い。

何が凄いって今まで見たこと無いテイストの映画であること。ジャンルはブラックコメディに見えつつ、俳優たちを自己投影したモキュメンタリー的でもあり、ヒーロー映画でもあり、再生の物語でもあり、父と娘の和解の物語でもあり、劇映画でもあるのです。ジャンル不明映画であり、新ジャンル映画なのです。

ティム・バートン版『バットマン』を演じたマイケル・キートン。かつて脚光を浴びていた程は今は第一線で活躍していないキートン。そんなキートンが演じるリーガンという役が設定ほぼそのまま。落ちぶれて再起しようとするおっさん俳優を演じます。

その他の俳優陣(後ほど言及します)もどこかその俳優たちを投影しているキャラクター。エドワード・ノートンを始め一癖も二癖もあるキャラクターたちが映画の中で暴れ回ります。

再起をかけるおっさんの物語映画なんて何本もあるじゃないか!確かにそれだけ見ればそうかもしれません。しかし見ればわかります。こんな映画は2つとしてありません。あっても私は知りませんので有名作では無いはずです。

まるで映画丸々一発撮りしたかのような超長回しテイスト演出!これが無理矢理ではなく映画を楽しませる長所として機能し、最初はちょっと慣れなかった長回し&パーカッションのバックミュージックに徐々に引き込まれていきます。

気付いた時には長回しは目の前で舞台劇を見ている錯覚を生むようになっていき、油断した時カットが変わってハッとするのです。完全にのめり込んでいました。

ブラックコメディとしてクスクス笑いながら、映画ネタにもクスクス笑い。コメディチックでありながらも人生を賭けて再起しようとしるおっさんマイケル・キートンを応援したくなります。そして勇気を貰います。

そう、勇気を貰えるのです!映画を見てただ「凄い映画」に済まされず、私たちの心にも届く物語。特に大人のみなさん!大人への応援映画ですこれは!


「人生こんなはずじゃなかった!」


「人生このまま終わってたまるか!」


「オレはまだまだやれるんだー!!!!!!!!」


そう叫びたくなるMAXなところで映画おしまい!劇場を出て見た空、その空は曇り空でしたがなぜか透き通る青空をも超える清々しい空に見えました。

心がデトックスされたようです。そういう映画、つまり楽しみつつ価値まである映画だったわけです。

少なくとも私には。


どんな話?

「バードマン」というヒーロー映画で一世を風靡した俳優が、再起をかけてブロードウェイの舞台に挑む姿を、「バットマン」のマイケル・キートン主演で描いた。かつてスーパーヒーロー映画「バードマン」で世界的な人気を博しながらも、現在は失意の底にいる俳優リーガン・トムソンは、復活をかけたブロードウェイの舞台に挑むことに。レイモンド・カーバーの「愛について語るときに我々の語ること」を自ら脚色し、演出も主演も兼ねて一世一代の大舞台にのぞもうとした矢先、出演俳優が大怪我をして降板。代役に実力派俳優マイク・シャイナーを迎えるが、マイクの才能に脅かされたリーガンは、次第に精神的に追い詰められていく。
参照:http://eiga.com/movie/81227/

予告編


イニャリトゥ映画だけど誰でも楽しめるのか?

この映画の監督はアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ。長い名前ですねwあれです、『バベル』『21グラム』などの作品名を上げればきっと「ああ!」となるかと思います。

『バベル』はあれです、ブラッド・ピットとケイト・ブランシェットが一応主演で、役所広司や菊地凛子が出演。菊地凛子がアカデミー賞助演女優賞にノミネートされた作品です。

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの映画は作家性、芸術性に秀でていて数々の映画賞を受賞してきました。『バベル』はゴールデングローブ賞作品賞も受賞していますね。

『バベル』が公開された時、私は大学生でして、あの映画の良さを初見では享受できませんでした。娯楽性しか求めていないで鑑賞してしまうと難しくて楽しめないのです。その後作品の良さを理解出来ました。しかし万人向けの映画を撮る方では無いとは思います。

そうなると「万人向けの映画を撮らないアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの新作はオススメできるのか?」という議題を避けて通れません。

答えを言うと「今までのイニャリトゥ作品より格段に万人向け」です。ブラックコメディであるので全ての人向けではありませんが、お下品な下ネタを除けば目を背けるようなシーンもなく笑えますし勇気出るので楽しめます。

今までのイニャリトゥ作品と全く異なるテイストです。それに関してイニャリトゥの迷走と揶揄する評もありますが、おそらく「アプローチを変えつつ、伝えたいことは一貫したまま」なのでしょう。

クライマックス付近、ふと気づくとイニャリトゥ映画のラストに辿り着いていました。映画のクライマックス、映画を振り返った時に彼がいつも描いてきた葛藤や苦悩の物語を見てきたと気づきました。そのアプローチがブラックコメディだっただけ。

少なくとも迷走では無いでしょう。仮に迷走だとしても映画を凄いと思い、楽しめて、勇気を貰えた私はその迷走に感謝したいです。

ということで、全ての人向けではありませんがお下品な下ネタというかお下品なエドワード・ノートン以外は特に害は無いです。まあエドワード・ノートンのお下品さは魅力でもあるので腹抱えて笑うくらいが良いと思います(笑)


脅威の長回し凄すぎ!

本作はクライマックスに至るまでまるで1カットで撮影したかのような映画です。上映時間は2時間ですが、映画の中の物語は約1週間といったところ。それがうまい演出とカメラワークと編集で1カットのように見せていくのです。

これは実際1カットでは撮影していないでょう。しかし編集に途切れが無く、集中力を切らせません。効果は『ゼロ・グラビティ』の冒頭の部分と同じですね。集中力持ったまま画面に見入ってしまいます。

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』のエマニュエル・ルベツキが撮影監督でして、『ゼロ・グラビティ』と同じなのです。

『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』の監督アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥも『ゼロ・グラビティ』のアルフォンソ・キュアロンもメキシコ人。エマニュエル・ルベツキもメキシコ人。メキシコ人やべえwwwとなります←

ちなみにこの映画、音楽というかバックミュージックが主にパーカッションというかドラムロールみたいなのなんですね。これ私みたいなハンス・ジマー信者は最初は不満要素に思うでしょう。だってメロディ流れないんですもん。

しかし途中でわかりました。このパーカッションは1カットを引き立てる効果であると。気付いた時にはこのドラムロールが病みつきになり、「さてサントラ買おうか」となります。

この脅威の1カットテイストを取り巻くあれこれ、これ映画好きなら見ないと損です。見て存してもまあいいですからみてください(笑)

そして俳優陣最強!

『バットマン』に出ていたマイケル・キートン

『ハルク』に出ていたエドワード・ノートン

『アメイジング・スパイダーマン』に出ていたエマ・ストーン

なんちゅうキャスティングしてくるんですかwww最高なんですけどwww

いやこれ見る前から最高だったんですが、見てもっと最高!ってなりました。

その他にもエイミー・ライアンナオミ・ワッツアンドレア・ライズボローらがクセのあるキャラクターたちを熱演しています。

マイケル・キートン、エドワード・ノートン、エマ・ストーンがアカデミー賞にノミネートされたのはもう当然と言える演技ですので是非みなさんの目でそれを見て納得してほしいです。

そして、ザック・ガリフィアナキスのコメディエンヌ力全開の演技も忘れないであげてくださいw実は一番頑張ってるんじゃないかって思いますからw


まとめ、そして副題の意味

1カットテイストという驚異的演出×演技×カメラワーク×編集により「凄い映画」と言わざるを得ない今まで見たことない映画としてもう評価しないでどうすると感じた本作。

その映画の完成度を褒めつつ、「もう1回見たいぞ!」と思わせてくれて、「勇気をもらったぞ!」と思わせてくれた『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』。

私のはもうホント愛すべき映画がまた増えた喜びだけが支配しています。

ところで、この映画、タイトル長いですね。『バードマン あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)』。

"バードマン"は主人公の昔のヒット作として理解できますが、「あるいは(無知がもたらす予期せぬ奇跡)」とは何でしょうか。これは複数の意味を持ち合わせますし、私も全てを理解出来てるとは思いません。

ただ、確実に言えることは「映画の結末から考えてみるとわかる」ということと、「この映画を製作し完成し評価されているその外側の奇跡」も何気にタイトルと意味が通じているということ。

バードマンは昔のヒット作であると同時に心の声であり過去というアイデンティティ。

クライマックスの主人公リーガンの行く末と娘サムの視線と表情。それにあなたは何を感じ、何を抱くでしょうか。

劇場でその答えを考えてみてください。

4月10日公開です。

おしまい。

アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督作品