映画『唐山大地震』感想、人間の心の強さと弱さに涙し拍手…23秒の揺れがもたらした32年の苦悩…[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

映画『唐山大地震』感想、人間の心の強さと弱さに涙し拍手…23秒の揺れがもたらした32年の苦悩…[ネタバレなし]


3月14日公開予定の『唐山大地震』を一足お先に鑑賞してまいりました。これはパニック映画ではありません。人間の強さと弱さと絆を描いた見事なドラマ映画です。



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スコア

◯私的満足度
★★★★★(5/5)
=文句なしの素晴らしい作品。

※本作は大地震での建物倒壊及び負傷者救出・遺体搬出シーンがあります。津波描写はありませんが地震による心の傷がある方にはオススメしにくいです。それをクリアしている方向けに以下スコアを記載します。


◯ファミリーオススメ度
★★★★★(5/5)
=家族の絆を是非家族で。

◯子供オススメ度
★★★★★(5/5)
=上に同じく。

◯友人オススメ度
★★★★★(5/5)
=助け合う心、親を思う子、それを是非劇場で。

◯デートオススメ度
★★★★★(5/5)
=男女の愛と別れ、力強さとだらしなさ、大切な人と是非。

◯映画リピーターオススメ度
★★★★★(5/5)
=客観的に見た完成度は必見。

◯WATCHAでレビューをチェック&書いてみる



全てのスコアで満点を付けたのは今年初です。



一言感想

地震のシーンを見れる人なら誰一人残らずこの映画を見て心にこの感動を残してほしいです。

大地震によって心に傷を負った人たちの心の再生を描いています。誰も悪くない。誰一人悪人はいない。32年という歳月、とっ散らかる恐れもあるような壮大な物語は最後見事な結末を迎えました。

ド直球に催涙弾映画かもしれませんが、不思議と「さあ泣け!」な演出はなく静かに静かに、心に積もる人々の力強さや絆や許し…それに涙が抑えきれず拍手を送りたくなる傑作でした。

災害を描く映画において一つ評価の指標にもなる「その災害に対する製作陣の態度」も本作では申し分無し。なぜならこの映画は唐山地震の犠牲者や唐山の人々へ捧げられた映画であるからです。真摯な向き合い方にも深い感銘を受けました。

この映画は1976年7月に実際に起きた唐山地震をモチーフにしています。物語は「フィクション」です。

1976年7月28日に実際に起きたマグニチュード7.8の唐山地震では死者数が約25万人と言われております。これは中国により発表であり、アメリカ地質調査所の推計では約65万人とも言われています。どちらにしろ20世紀最大の災害であります。

映画のストーリー導入部を言うだけでこの映画が如何に痛烈な物語を辿るかがわかると思います。

1976年7月28日深夜。中国河北省唐山市。貧しいながらも幸せな生活を送っていた四人家族をマグニチュード7.8の地震が襲った。父は家に取り残された二人の子供を助けようとするが、建物の倒壊に巻き込まれ命を落としてしまう。
翌朝、一人きりになり絶望の淵にいる母親の元に、子供たちが瓦礫の下で奇跡的に息をしている事が伝えられる。力を合わせ救助活動をする近隣の人々。だが時間は迫り救出できるのは片方だけという、あまりにも過酷な選択をしなければならなくなる。「息子を…」泣き崩れる母親。そしてその声は瓦礫の下の娘の耳にも届いていた。
夫と娘の死を確認した母は、片腕を失った息子と共に避難場所へ移動する。そんな中、一度は死んでしまったと思われた娘は、奇跡的に息を吹き返す。意識を取り戻すと隣には遺体となって横たわる父親がいた。わずか23秒の揺れにより一瞬で姿を変えてしまった街の中、茫然としてたたずむ娘は救援隊により救助される。
参照:http://tozan-movie.com/story.html

言葉を選ばないで言うならば「生き埋めになった姉弟の片方だけしか助けられない状態で弟を選択した母親の苦悩の32年と、そこで見捨てられながらも奇跡的に生き返った娘の苦悩の32年、その2つの物語」ということです。

つらい…あまりにもつらい設定です。

しかしこれ誰も悪く無いです…なぜ弟を選んだかというと最後に声が聞こえて生きてる見込みがあったのが弟なわけですし…母親は悪くない…でも姉は見捨てられたと思うわけでトラウマを抱えながら、心を閉ざしながら生きていきます…。

登場する人物、人物、本当に礼儀のある素晴らしい人ばかり。その物語、あらゆる登場人物に感銘を受けました。誰か一人に特化してどうこうではなく「この映画に出てくる人"たち"のようになりたい」と素直に思いました。

本当に素晴らしい映画でした。涙が流れても流れても止まらない映画でした。





どんな話?

1976年7月28日、中国河北省の唐山市でマグニチュード7.8の直下型地震が発生。崩壊した家の下敷きになった子ども2人のうち1人しか救えないという絶望的な状況に陥った母親は、苦悶の末に息子を選ぶ。そしてその声は、ガレキの下の娘の耳にも届いていた。奇跡的に命を取り留めた娘は、養父母のもとで成長するが……。日本では当初2011年3月26日に公開される予定でプロモーションも進められていたが、直前の3月11日に東日本大震災が発生。劇中に大地震の再現シーンなどが含まれることから、配給の松竹は公開を延期。4年後となる15年にあらためて公開を決めた。
参照:http://eiga.com/movie/55853/

原作

予告編

震災で延期になってました

この映画は2010年に中国で公開されて、史上最大のヒットとなった映画です。

当初日本での公開日は2011年3月26日でしたが、結果として4年ほど延期になったわけです。言うまでもなく東日本大震災によって延期されました。

この映画の一般試写会、何と3月11日夜から始まる予定だったんですね。しかも九段会館で。ご記憶にある方もいらっしゃると思いますが、九段会館の昼間のイベント時にあの地震が発生して天井が崩れて死者が出ています。何とも言えないこの繋がり…。

結果として歳月が流れ4年、松竹の担当者に聞いたところデジタルで新たに配給してということではないようでして、そのためシネコン等ではかからないようです。

3月14日に公開となりますが、全国20館程度と小規模公開になってしまっています。

参考:http://tozan-movie.com/theater/index.html


東京でも2劇場しか公開しませんが、本当にこの映画は見事でして生きる力や人間の心を描いているので是非多くの人に見てほしいです。本当に見てほしいです。



パニック映画ではありません、地震は冒頭とクライマックスの2箇所

この映画は1976年の唐山地震で引き裂かれるところが映画のスタート、そして32年後の2008年の四川地震に姉も弟も偶然ボランティアに出向くという展開を見せてクライマックスへと突入していきます。

となるととても感動的な再会を思い浮かべるかもしれませんが、これが良い意味で裏切られました。とても人間的、「さあ泣け!」でない最後の畳み掛けがとても良かったです。

時計で計測はしていませんが、冒頭の地震関連シーンは30分ないと思われます。そこからはあまり時系列入れ替えなく32年をしっかりと描いていきます。これが飽きないで見れるのでその辺演出の賜物でしょう。

そしてクライマックス直前に2008年に実際に起きた四川地震が描かれます。これも15分ないくらいですかね。

地震における心の傷がある方はこの冒頭とクライマックス直前だけお気をつけ頂ければと思います。しかしこの2箇所以外は人間ドラマ、これはパニック映画では無いのです。

だからこそ映画のメッセージ性と物語性を堪能でき、フィクションであるからこそ脚本がきっちりとしており、物語の起承転結が機能してます。

フィクションに留めず最後は実際の犠牲者と被災者への敬意をある形で示します。見事、本当に見事です。

30年以上の月日が経った他国の災害ではあるものの、この映画を評価する姿勢に対して様々な意見はあると思います。

私が言いたいことは、この映画はお涙頂戴の中途半端な映画ではなくしっかりと真摯的に製作されており、人間ドラマとしても見事であったという事です。

私は特に波瀾万丈な引き裂かれなどなく今日まで平和に生きています。その運命に感謝し、また力強く生きれる時まで生きていこうと思えました。

本当に素晴らしい映画です。4年の歳月を経て、これを世に送り出そうと決断してくれた関係者のみなさん、生きる糧を頂けて感謝申し上げます。


おしまい。