賞レース独走の『6才のボクが、大人になるまで。』感想、素晴らしいの前に凄い作品。ここにこれが存在することに意義がある[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

賞レース独走の『6才のボクが、大人になるまで。』感想、素晴らしいの前に凄い作品。ここにこれが存在することに意義がある[ネタバレなし]


アカデミー賞レース独走中の最有力候補作『6才のボクが、大人になるまで。』をやっと鑑賞しました。これは凄いです。素晴らしいとかの前に凄いです。


私的満足度

★★★★★=星5

【評価の参考値】
★★★★★+・・・満点以上の個人的超傑作!
★★★★★・・・・お見事!これは傑作です!
★★★★・・・・・素晴らしい作品でした!
★★★・・・・・・普通に楽しめました。←平均評価
★★・・・・・・・ん〜イマイチ乗れませんでした。
★・・・・・・・・ダメなもんはダメ!クソ!
※通知表のような5段階評価で、個人的にツボった作品は例外で5+にしています。
ちなみに私は映画は楽しむ&褒めるスタンスなので評価相当甘いです。


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親戚のおっさんとして成長を見届けた!

タイトルそのまま、6歳から12年間俳優自身の成長とともに製作された物語。4人が12年間家族を演じて紡がれた作品です。よくぞ作り上げた!凄いぞ!


[DVD発売済み]

あのシーンが良い、このシーンが良いなどそんな簡単な評価はできない、言葉で魅力を説明するのがとても難しい作品です。12年間という時間は長いのか短いのかわかりませんが、やはり長いものであります。

その12年間。私も生きた6歳から18歳という青春時代を静かにユーモアたっぷりに、時に衝突も見せながら私たちは経験していきます。目の前で進んでいく主人公メイソンくんの成長にいつしか親戚のおっさん目線。素敵な映画というより素敵な時間を過ごさせて頂いたという感じです。

この映画、12年間毎年7月くらいから10月くらいまでロケってたみたいなんですね。で、12年分脚本作ってたかというとそういうわけでもなく、主人公メイソンくん及びそれを演じたエラー・コルトレーンくんの成長や心情などを加味して物語、脚本が作り上げられていったみたいなのです。

1日1日を見せるのではなくちょいちょい飛ばされるのがまたいいんですよね。「あら、こんなに大きくなって!」なんて思ったり、「お前遂に声変わりしたのか!」と思ったり、うん完全におっさん目線ですねw

で、大人になってみれば「成長の過程」で済まされそうな苦難にメイソンくん直面しまくり。思春期迎えて反抗したり、女の子とうまくいかなかったり、女の子とうまくいかなかったり、女の子とうまくいかなかったりw

主人公メイソンくんを中心に描いているので主人公目線で見せる方も多いようですが、私は完全に親戚のおっさん目線で全編を鑑賞。一人の少年の成長を見ることで、少し心が若くなって「兄ちゃん頑張ってるなら、もう少し自分も頑張ってみっか!」なんて思えましたね。


時代の流れが心地よい

この映画、リアルタイムに2002年から2013年のアメリカの設定なんですね。私たちの記憶にある、リアルタイムでニュースで見てきたアメリカが舞台なわけです。政治的な側面から文化的な側面、テクノロジーの側面まで懐かしさに溢れています。

この映画、165分ほどありまして、正直間延び的な部分があったりもします。というか普通にあります。だらだらなシーンがw

でもですね、心地良いんですよ。ここは欠点としてる方もいらっしゃいますが私は心地良い。そして必要なシーンと思ったりもしますね。

人生、いつも最短経路で進むことなんてできませんよ。親戚のおっさん目線で時に間延びしたり遠回りして成長していくメイソンくんにエールを送りたくなったわけです。

私もまあ10代の頃なんて今思えばもう無駄な時間の積み重ねのようなことしまくってました。でもしれが今の自分を作ってますからね。無駄ではなかったのかも。

映画165分の中で少し退屈する部分や「そこカットしても問題ないよね?」的なシーンありますが、それあってこそこの映画から1人の少年の人生を感じることができた気もします。

よく考えればリチャード・リンクレイター監督作品はそういうの多いですね。「これでこそ人生」描かせたら世界一です。

うん、素晴らしい!


賞レース独走中!

さて本作はアカデミー賞前哨戦の数々の批評家協会賞を受賞しまくってます。次点の『バードマン』の倍以上各作品賞を受賞しておりほぼ独走体制です。

アカデミー賞はなかなかえげつないのでこれだけ獲っても取りこぼすことがあるのでまだ受賞は安泰ではありません。しかしこの賞レースでの独走は非常に意義あるものだと思います。

本作が積み重ねの映画であり、最初からきっちり脚本が決まっている作品ではないわけです。間延びもあります。何か大きな主義主張があるわけではありません。撮影期間12年、実験的な映画でもありますね。

しかし、これは簡単に真似できることではありませんし、真似したところで二番煎じですのでもうこの12年間の撮影という映画は今後二度と登場しないと言ってもいいわけです。

12年だらだら撮ったわけではなくしっかり人生が描かれ、親戚のおっさん目線で楽しんで、自分の人生に勇気までもらえる。唯一無二であり傑作である、これは奇跡なわけです。

映画ブログやってる映画好きからしたらこれは喜びなわけです。傑作を見た喜びではなく、実験がうまくいった喜びですね。

きっと自分に子供が出来たりしたらまた印象が変わってくる映画かもしれません。生涯大切に傍に置いておく映画がまた一つ増えました。



基本情報

タイトル
=6才のボクが、大人になるまで。

原題
=Boyhood

監督
=リチャード・リンクレイター

キャスト
=エラー・コルトレーン
=ローレライ・リンクレイター
=パトリシア・アークエット
=イーサン・ホーク

ストーリー
米テキサス州に住む6歳の少年メイソンは、キャリアアップのために大学に入学した母に伴われてヒューストンに転居し、その地で多感な思春期を過ごす。アラスカから戻って来た父との再会や母の再婚、義父の暴力、初恋などを経験し、大人になっていくメイソンは、やがてアート写真家という将来の夢を見つけ、母親のもとを巣立つ。12年という歳月の中で、母は大学教員になり、ミュージシャンを目指していた父も就職し、再婚して新たな子が生まれるなど、家族にも変化が生まれていた。

予告編

written by shuhei