『フューリー』感想、戦地では戦地の倫理観がありその中で兵士は生きねばならない[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

『フューリー』感想、戦地では戦地の倫理観がありその中で兵士は生きねばならない[ネタバレなし]


ブラット・ピット主演の第二次世界大戦映画『フューリー』の感想です。


私的満足度

★★★=星3=普通に楽しめました。

【評価の参考値】
★★★★★+・・・満点以上の個人的超傑作!
★★★★★・・・・お見事!これは傑作です!
★★★★・・・・・素晴らしい作品でした!
★★★・・・・・・普通に楽しめました。←平均評価
★★・・・・・・・ん〜イマイチ乗れませんでした。
★・・・・・・・・ダメなもんはダメ!クソ!
※通知表のような5段階評価で、個人的にツボった作品は例外で5+にしています。
ちなみに私は映画は楽しむ&褒めるスタンスなので評価相当甘いです。

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残虐で厳しくて苦しくて

星3と平均評価にしてますが、特出した加点要素が無いからであって減点要素も特にないです。戦争映画として必要である残虐で厳しく苦しいその雰囲気がじわじわと、いや痛烈に伝わってくる戦争映画でした。


[DVD発売済み]


はじめに、映画に関係無いですが1つ文句を言っておきましょう。「アカデミー賞最有力」という根拠の無い宣伝文句で、キャッチコピー考えるのを放棄するのはそろそろ止めた方が良いですね。今年最有力『The Imitation Game』ですのでw

さて本題へ。

第2次世界大戦下でたった一台の戦車で300人のドイツ軍部隊と戦った5人の兵士たちのドラマが本作では描かれます。

ブラッド・ピット演じるウォーダディーと新人のノーマンを中心に物語が描かれていき、戦地のベテランであるウォーダディーと戦地での倫理観や慣れなど全くないノーマンの対立と言いますか対比がドラマを作り上げていきます。

「殺られる前に殺れ」が当たり前の精神である戦場。そりゃ殺されたら全て終わりですからね。一寸先は闇ならぬ一寸先は死の世界です。

その世界を恐れる新人ノーマン。しかしその中でも彼は生きていかなければならず徐々に成長をしていくわけです。クライマックスもこのウォーダディーとノーマンを中心とした物語が展開され、熱く悲しく痛烈なラストへと進んでいくわけです。

残虐な描写も多々あり見ていて非常に辛い映画ですが、これぞ戦場だというものを明確に描くには残虐描写は避けて通れません。避けて通らなかったのは見事であり、それがあるからこそクライマックス、そして映画が終わった後に戦争映画でこそ味あわせてくれる熱さと喪失感を抱かせてくれます。


冒頭30分の無いプライベート・ライアン

褒め言葉として、私にとってこの映画は「冒頭30分の無いプライベート・ライアン」でした。スティーブン・スピルバーグ監督の『プライベート・ライアン』の冒頭30分はノルマンディー上陸作戦が描かれています。

この描写は戦争映画屈指の残虐性で腕は飛ぶわ足はもげるわ内蔵は飛び出るわ死にまくるわで、戦争の恐ろしさをこれでもかと見せつけてきます。

本作ではこのノルマンディー上陸作戦に当たる部分は特にありません。しかし『プライベート・ライアン』は冒頭30分以降のドラマも見事でそこで描かれる残虐描写やドラマが胸を打ちました。というかクライマックスもなかなか残虐ですからね。

本作もそんな感じなんです。冒頭の突き刺さる戦場描写は無くても舞台はずっと戦場。静かで平穏なひとときが民家の一角で過ごせたかと思うとその平穏はすぐに吹き飛ばされ…と戦地に平和はないことを痛烈に見せつけてきます。

そしてクライマックス。『プライベート・ライアン』のクライマックスが脳裏をよぎり正義感や倫理観を超えた熱いものを感じました。


ブラピの硬派演技×ローガン・ローマンの熱き取り乱し演技

第二次世界大戦でブラッド・ピットと言えば『イングロリアス・バスターズ』のあのぶっ飛び演技を思い出しますが、『フューリー』では硬派な戦場男を見事に演じています。そこに正義感はあるにせよ、感情を出さず生きるための行動、統率で示す背中で語る男が見事でありました。クライマックスの熱演もたまりません。

しかし本作でより存在感を示し賞賛に値するのは新人兵士を演じたローガン・ローマン。『ウォールフラワー』でも存在感を見せたローガン・ローマンですが、本作でも彼の良さである「ちょっとヘタレで弱そう」な感じが見事に効いています。

言ってしまえばこのローガン・ローマン演じるノーマンは私たちの代わりなんですよね。私たちの世代の多くは戦争の経験がありません。戦争というものを歴史教育や映画やテレビで知っているとしても、それは情報として知っているだけで経験はないわけです。

この新人ノーマンは実地経験がない中で戦地で部隊の一員として活躍をしなければならず、処刑を命じられても初めてのことで取り乱してしまいます。これは私たちであり、私たち映画鑑賞者の代弁でもあるんですよね。彼を通して私たちは戦争を知っていくわけです。

そう思わせてくれる「弱いノーマン」、ローガン・ローマンの見事な演技でした。最後の成長も熱かったです。


戦争映画の中の"戦車映画"

本作は物語の好き嫌いや残虐描写の耐性の有無以外で、明確に「この映画見て!」と言える層が存在します。

それは、戦車が好きな人です。

本作では現存する第2次大戦当時のティガー戦車が実際に使用されているのです。これ世界に6台しかないそうで…よく使えたなと感心してしまいます。

これ、そりゃ本物使ってるわけですから戦車好きな人が熱狂しないわけがないんですよね。『フューリー』というタイトル自体も戦車の名前ですし、「ここは俺の家だ」とブラッド・ピット演じるウォーダディーが言うくらいなのでとにかく戦車が熱い映画なのです。

私は戦争映画こそ好んで見ますが戦車には詳しくないので、再現度や本物が持つ味などは言及できないのですが「戦車好きならいいから見て!」というクオリティなのは間違いないのは私でも見てわかりました。

戦車好きな方、見ないとダメです。


ざっとこんなところでしょうか。戦争映画が数多く作られてきた映画の歴史の中でどうしても何かに特出した感を持てないのですが、私が見てきた戦争映画の多くはDVDでしたので(1986年生まですし)、この熱く残虐な戦争ドラマを劇場で見れた経験は消えることは無いでしょう。

おしまい。



基本情報

タイトル
=フューリー

原題
=FURY

監督
=デヴィッド・エアー

キャスト
=ブラッド・ピット
=ローガン・ローマン
=シャイア・ラブーフ
=マイケル・ペーニャ
=ジョン・バーンサール

ストーリー
1945年4月、ドイツへ侵攻する連合軍の米兵ウォーダディーは、自ら「フューリー」と命名したシャーマンM4中戦車に乗り、戦いを続けていた。ウォーダディーと3人の仲間に新兵のノーマンも加わり、5人となった部隊は絆を深めていくが、進軍中にドイツ軍の攻撃を受け、他部隊がほぼ全滅。なんとか生き残ったウォーダディーの部隊にも、過酷なミッションが下される。

予告編


written by shuhei