東京国際映画祭グランプリ受賞作『神様なんてくそくらえ』感想、ニューヨークの底辺で生きる若者たちの行き当たりばったり物語[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

東京国際映画祭グランプリ受賞作『神様なんてくそくらえ』感想、ニューヨークの底辺で生きる若者たちの行き当たりばったり物語[ネタバレなし]


東京国際映画祭の東京グランプリを受賞した『神様なんてくそくらえ』、感想遅くなりましたがプレススクリーニングで鑑賞しました。


私的満足度

★★=星2=ん〜イマイチ乗れませんでした。

【評価の参考値】
★★★★★+・・・満点以上の個人的超傑作!
★★★★★・・・・お見事!これは傑作です!
★★★★・・・・・素晴らしい作品でした!
★★★・・・・・・普通に楽しめました。←平均評価
★★・・・・・・・ん〜イマイチ乗れませんでした。
★・・・・・・・・ダメなもんはダメ!クソ!
※通知表のような5段階評価で、個人的にツボった作品は例外で5+にしています。
ちなみに私は映画は楽しむ&褒めるスタンスなので評価相当甘いです。

WATCHAでレビューをチェック&書いてみる


まずは率直な感想

映画が放つ破壊的なパワーは認めざるを得ず、東京グランプリを受賞したのもそのパワーが認められたからなのでしょう。まずはこの東京グランプリ受賞に祝意を表したいと思います。おめでとうございます。

評価低めにしておりますが、この作品の持つパワーを享受したら心にガツンと響くこと間違いなしの作品ではあると思います。変にアート的なわけでもなく、描かれるのはニューヨークでドラッグに溺れる半ホームレス達の物語です。物語はわかりやすい。そこから何を感じるかですね。

冷静に俯瞰してこの作品がどういう点で評価されたかを書いても良いのですが、私の感想としては「こんな全編に渡って非倫理的な若者たちの右往左往を見せられると疲れちゃいますよ・・・」というのが感想

娯楽映画要素は皆無ですし、リスカとかリアルに見せちゃいますし、登場人物たちが設定上全員馬鹿なのでもう見ててストレスが…それこそが作品の持つ圧倒的なパワーなのですが、私は享受できず。「褒める人、凄くわかります。でも私にはちとヘヴィー過ぎますこれ。」という感じですね。

主人公エリカを演じたアリエル・ホームズの実体験を元としているというのだから凄いです。だってこの作品は軽犯罪あり、ノリでのセックスあり、リスカあり、ドラッグあり、発狂あり、暴力あり、のニューヨークの底辺を描いているからです。どんだけ壮絶な人生送ってたんですか…という。

ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ演じるイリヤくんがなかなかのクソな人物なんですが、それでも依存したり迷走したりする主人公エリカの方がもっとクソ。クソとか汚い言葉使ってますがタイトルが『神様なんてくそくらえ』ですのでお許し下さい。見りゃわかります。

薬物中毒に溺れてしまう人間を映画だったり薬物中毒の授業だったりで見てきましたが、正常な価値判断ができず全てをドラックにつぎ込んでいく様がリアルだけど本当に理解できないんですよね。如何せんやったことないので。

それを非倫理的という言葉で括ってしまうのであれば、「非倫理的な物語をリアルに描いていた」と映画の完成度的には評価ができ、「でも非倫理的な人間の物語で、音楽とかぶっ飛んでるし、結末アレだしで、もうヘトヘトです僕」というのが感想となりますね。

見る人を選ぶ作品であり、「グランプリ受賞したから見に行こうぜ!」とか中途半端な判断で行くと痛い目に遭う映画なのは間違いありません。

ただ圧倒的なパワーを受けてみたい人にはお勧めができるかもしれません。




「Heaven Knows What」の意味

「天国は知っている」というのが直訳になるわけですので、そこから派生して「神様なんてくそくらえ」のタイトルになった感じです。この邦題に関しては純粋に合ってると思いますね。

もう登場人物たちの行動全てが非倫理的なので「くそくらえ」っていう邦題が見事です。それくらいクソな登場人物たちです。(褒め言葉として)

要するに天国=神と解釈した時に「悪いことすりゃそりゃ罰が下りますぜ」を描いてもいるわけです。その罰=裁きは必ずしも死では無いのがちょっと興味深いです。

罪に対して死の罰を受けるものもいれば、All is lost(全てを失う)状態で回帰する罰を受けるものもいるのです。ラストシーンで大きな罰を受けずに自慢気に話をしていたあいつにはきっとこれから何かの罰が下るのでしょう。

罪と罰という語っても語りきれない命題を製作陣もくそくらえと言わんばかりにザックリと独特な視点で描いてるのが本作であります。それには当然賛否が渦巻くわけですが、それを躊躇なくやってみせた、映画にしてみせた、そのパッションは尊敬に値します。

繰り返しになりますが、本当に見る人を選ぶ非娯楽作品です。

しかし「なぜグランプリ?」を突き詰めていくと、この作品の持つパワーや深みを理解でき、そして私たちが自らの罪と罰に関しても考え始めるという不思議な力を持っているのです。

面白くはないです。しかし興味深い作品には間違いありません。


おしまい。


『神様なんてくそくらえ』基本情報

タイトル
=神様なんてくそくらえ

原題
=Heaven Knows What

監督
=ジョシュア・サフディ、ベニー・サフディ

キャスト
=アリエル・ホームズ
=ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ
=バディ・デュレス

概要
本作は、主演女優のアリエル・ホームズの実際の体験談を、ベンとジョシュのサフディー兄弟監督が脚本にして映画化したものである。劇中でドラッグに依存する自分自身を演じるアリエルの振る舞いは、さすがに真に迫る。マンハッタンをさまようアリエルやその周辺の連中の空虚な行動は絶望的であるものの、本人たちに悲壮感はなく、人物像の背景説明が省略されている分、実際にストリートのドキュメンタリーを見ているような感覚に陥る。

東京国際映画祭関連ページ
http://2014.tiff-jp.net/ja/lineup/works.php?id=7


written by shuhei