『サードパーソン』感想、前情報が作品の邪魔をする(褒め言葉)贖罪という愛[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

『サードパーソン』感想、前情報が作品の邪魔をする(褒め言葉)贖罪という愛[ネタバレなし]


『ミリオンダラー・ベイビー』の脚本を手がけ、アカデミー賞受賞作『クラッシュ』の監督を務めたポール・ハギス監督の新作『サードパーソン』を見てきました。


私的満足度

★★★★=星4=素晴らしい作品でした!

【評価の参考値】
★★★★★+・・・満点以上の個人的超傑作!
★★★★★・・・・お見事!これは傑作です!
★★★★・・・・・素晴らしい作品でした!
★★★・・・・・・普通に楽しめました。←平均評価
★★・・・・・・・ん〜イマイチ乗れませんでした。
★・・・・・・・・ダメなもんはダメ!クソ!
※通知表のような5段階評価で、個人的にツボった作品は例外で5+にしています。
ちなみに私は映画は楽しむ&褒めるスタンスなので評価相当甘いです。

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見終わってから「これって、どういうこと?」を語りたくなる

ポール・ハギス監督の代表作といえば『クラッシュ』です。脚本家上がりであるその才能を遺憾なく発揮して複雑な物語をちょちょいと作り上げます。複雑な脚本作っても監督が意図組んでくれないと脚本家の夢は具現化しないですからね。

その点『フィクサー』『デュプリシティ』のトニー・ギルロイ監督なんかも脚本だけ担当の時より自身の作品の方が複雑だったりしますよね。クリストファー・ノーランはまあ何でも自分でやるのであの神は例外ですがw

本作『サードパーソン』もこれまた複雑な物語です。いや、3つの物語は特に複雑ではありません。それぞれドラマが展開されていきます。問題はその3つの関連性なのです。前情報から3つ同時進行かと勝手に思ってたので、良い意味で裏切られました。


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ニューヨーク、ローマ、パリの3つの都市で描かれる3つの物語。それぞれワケありな男女の物語ですが、繋がるようでなかなか繋がらない。いや、洞察力のある方は細かな伏線には気づくでしょう。でもなかなか真相が見えない。

そうこう思考をめぐらせているうちに物語はクライマックスに進み、そこでやっと真相を知ることができました。この真相の描き方が些か(意図的かもですが)不親切で「???」なままの方もいらっしゃるようです。

この映画の大オチ、実は私が大好きな映画と似てるのです。その映画は『つぐない』。←暗転させておきますwあのオチと似てるからこそ私はすーっと物語を理解することが出来ました。

以下ネタバレありの公式サイトから引用です。(リンク先軽くネタバレしてますので要注意)

これは3つのラブストーリーのフリをしているけれど、実はパズルのような映画なんだ。特に視覚的な面でね。たくさんのヒントを劇中に仕掛けたので、なんでこんなことが起こっているんだろうって思ってほしい。こんなこと有り得ない、じゃあ何が本当なんだろうって。そして最後に繋がっていくんだ。この映画にすべての答えは用意していない、映画の後に友達とディスカッションして自分なりの答えを見つけてほしい。 http://third-person.jp/secret/descript.html

ポール・ハギス監督自らこう仰ってるんですよね。議論の余地を意図的に残しつつも明確なヒントは敷かれている、見事な構成だと思いました。一つ一つの物語も重厚で、最後に繋がって諸々再解釈できるのが素晴らしいです。


それにしても重い物語

本作では贖罪をテーマとして扱っています。特にリーアム・ニーソン演じる小説家。彼がした取り返しの付かない罪、それを贖罪する小説家としての苦悩が強烈でした。

他のエピソードでも復讐だったり、許しだったりを交えながら強烈にヘヴィーな物語が展開していきます。まあ見ていて不快になるほど。映画に不快感を抱かずともこの重い物語は見る人を選ぶのは言うまでもありません。

しかし重い物語は少しぶっ飛んでるように見えて(大オチ見ればぶっ飛んでる理由がわかる)、実は私たちの現実世界で起こりうるトラブルだったり、悲劇だったり、苦悩だったりするのです。

その意味では価値ある重い物語と言えるでしょう。


現実と虚構と創作と脚色

『思い出のマーニー』と同じでネタバレありなら色々語りたくなる映画なんですけどね。通常レビューなのでそこは控えます。

本作の3つの物語には現実もあれば虚構もあって、創作もあれば脚色もあると思います。「???」となるかもしれませんが見るとおそらく明確にわかります。

扱っている問題等がかなりヘヴィーで、かつ複雑怪奇な物語故に娯楽性はありません。ですので「オススメです!」とは言いにくい映画ですが、映画を堪能するという側面では満足度の高い作品なので、そういう楽しみを求めている方にはオススメできる1本であります。


『サードパーソン』基本情報

タイトル
=サードパーソン

英語タイトル
=Third Person

監督
=ポール・ハギス

キャスト
=リーアム・ニーソン
=オリビア・ワイルド
=エイドリアン・ブロディ
=ミラ・クニス
=モラン・アティカス
=ジェームズ・フランコ
=マリア・ベロ
=キム・ベイシンガー

ストーリー
パリ、ローマ、ニューヨークと離れた場所で織りなされる3組の男女の物語が交錯し、やがて驚きの真相にたどり着く。パリのホテルにこもり、最新作を執筆していたピュリッツァー賞作家のマイケルは、野心的な作家志望の女性アンナと不倫関係にあったが、アンナにもまた秘密の恋人がいた。ローマのバーで出会ったエキゾチックな女性に心を奪われたアメリカ人ビジネスマンのスコットは、彼女の娘が密輸業者に誘拐されたと聞き、女性を助けようと決意する。ニューヨークに暮らす元女優のジュリアは、息子の親権をめぐって元夫と係争中。裁判費用を稼ぐため、女優時代に利用していた高級ホテルでメイドとして働き始めるたジュリアは、弁護士の助言に従い、裁判所からの心証をよくするために精神科医の鑑定を受けることになるが……。

予告編
https://www.youtube.com/watch?v=Cb0myhqoy1g


written by shuhei