『チョコレートドーナツ』感想、改めて感じる障害者やゲイに向けられる社会の偏見…[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

『チョコレートドーナツ』感想、改めて感じる障害者やゲイに向けられる社会の偏見…[ネタバレなし]



ノーチェックでしたが試写会行かれた方々が大絶賛。タイトルもドーナツだしどんなラブコメや?なんて思っていたら…なかなか考えさせられる映画でありました。


私的満足度


★★★=星3=普通に楽しめました。

【評価の参考値】
★★★★★+・・・満点以上の個人的超傑作!
★★★★★・・・・お見事!これは傑作です!
★★★★・・・・・素晴らしい作品でした!
★★★・・・・・・普通に楽しめました。←平均評価
★★・・・・・・・ん〜イマイチ乗れませんでした。
★・・・・・・・・ダメなもんはダメ!クソ!
※通知表のような5段階評価で、個人的にツボった作品は例外で5+にしています。
ちなみに私は映画は楽しむ&褒めるスタンスなので評価相当甘いです。

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『チョコレートドーナツ』基本情報

タイトル
=チョコレートドーナツ

原題
=Any Day Now

監督
トラビス・ファイン

キャスト
アラン・カミング
=ギャレット・ディラハント
=アイザック・レイバ
=フランシス・フィッシャー
=グレッグ・ヘンリー

ストーリー
カリフォルニアで歌手になることを夢見ながら、ショウダンサーとして日銭を稼いでいるルディと、正義を信じ、世の中を変えようと弁護士になったポール、そして母の愛情を受けずに育ったダウン症の少年マルコは、家族のように寄り添って暮らしていた。しかし、ルディとポールはゲイであるということで好奇の目にさらされ、マルコを奪われてしまう。

予告編


感想を率直に申し上げますと、

障害者やゲイというマイノリティへの偏見は根強くあり、それは我々の同情心を持ってもなかなか解決できるものではないという胸の痛みを感じました。

それが本作の登場人物たちが魅力的で、説得力ある演出力があるからという褒め言葉は言うまでもありません。



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"ゲイカップルがダウン症の子供を育てる"この題材だけ聴くとちょっと腰が引けますよね。それは偏見ではなく「それ重い映画確定だろ」という意味で。覚悟というかそういう感じの。

しかし本作はそんな重い題材を決して重いだけで描きません。言うならば語らなければならない偏見だけでなく、そこにいる登場人物、つまりゲイカップルとダウン症の子供の心の繋がりをしっかり描いているのです。

何ていうか・・・目で語ってきますこの映画は。ハートは目に宿ります。気持ちは目に宿ります。当たり前だけど映画見てる時それだけ意識して見ることは少ないです。しかし本作ではそれを感じました。目です、目。それが心です。


映画をたくさん見てる人は感覚が麻痺してます。『ブロークバック・マウンテン』というそれなりに知名度のあるゲイ映画を始め、様々なゲイ模様が映画では多く描かれてきたからです。(この場合のゲイは"同性愛"を指すので女性同士も含みます)

直近ですと『アデル、ブルーは熱い色』ですね。あの映画ではゲイ(レズビアン)を描いているというより「恋した相手がたまたま同性だった」という感触を持ちました。元々私は偏見無いですが、こういう描き方をすると客観的にも偏見は相当減ります。

そんな映画を数多く見てきました。いや、私なんて映画見てない方ですのでもっともっとたくさんゲイに関して語られる映画を見てきた方々たくさんいらっしゃるでしょう。

しかしそれ自体がマイノリティだったりするんですよね。やはり世の中、日本だけ考えてもゲイへの偏見は相当あるでしょう。

障害者へはもっとではないでしょうか。というのも本作でもそうですが、ダウン症の方は見た目である程度わかってしまうからです。偏見は無いといいつつ避けてしまったりする方もいることでしょう。良し悪しではなくそれが現実でしょう。

街で、人前でぶつぶつ独り言を発してる人を、普通の人は避けようとします。普通じゃないと偏見を持ってしまってるから。しかし、その独り言はもしかしたら見えない幻覚に苦しんで発してるかもしれません。『ビューティフル・マインド』など見るとこの辺り意識が変わりますね。

と、ここで語ってること内容自体がマイノリティなのです。そのマイノリティであるゲイと障害者のセット。血も繋がってないそのゲイカップルと障害者が一緒に暮らしたい。行政は認めるわけ無いのです。

それが現実なのです。


子供はどういう家庭に生まれたら幸せなのでしょうか。財力があって、親がレールを敷いて踏み外さない家庭でしょうか?お金は無くても愛情でしょうか。

「お金も大事だけど・・・、愛情も大事だけれど・・・、家族が暮らす地域コミュニティで認められ、そこで平和に暮らせることが全ての前提では無いか」と思いました。

だって、安住できないとお金あっても愛情あっても仕方ないですもん。

2006年に『14歳の母』というテレビドラマがありました。あのドラマでは家族としてはハッピーな終わりを迎えましたが、ラストシーン近くに隣人がこそこそ悪口を言ってる描写がありました。安住は保証されないで終わりました。それを思い出しました。

『アイ・アム・サム』で途中父子が引き裂かれる描写も思い出しましたねえ。あれは障害者のお話でした。

マイノリティは法律との合わせ技で駆逐されてしまう悲劇となることが多いです。「法律が」と言われたらこれ何も言えませんが。そこには偏見が根付いてるのが事実でしょうね。



さて、何も考えないで書いていたら長文になってきてしまいました。映画の魅力と言いますか、良かったところを書いて締めていきましょう。

本作はゲイと障害者の現実での厳しさを描きつつ、"家族"や"愛"という普遍的なテーマも炙り出してきます。

偏見や法律が障害となりつつも、それでも家族になりたいゲイカップルと障害者の子供。つまりそれは「形に囚われない愛」「形に囚われない家族の形」を描いているのです。

ここに描かれていた仲良しさといいますか、心が通じてる感、将来自分が家族を持った時にこんな心の通い合いを持ちたいと憧れを持ちました。素晴らしき愛がここには存在します。偏見は続けど彼らの諦めない姿勢にもグッときました。

"幸せ"って悪いことでは無いのに、偏見で潰してしまったり、法の力で潰してしまったり(仕方ないのだが)、妬んでしまったり、なぜかその"幸せ"が時として駆逐される世の中。

素晴らしい愛の物語を堪能しつつ、今生きる社会は文明発達せど如何に狭く無残な社会なんだと思いつつ劇場を後にしました。

おしまい。


written by shuhei