『her/世界でひとつの彼女』感想、近未来をコンピューターと人間の恋を描くが、作品の本質はド直球の"愛"そのもので非常に感銘を受ける[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

『her/世界でひとつの彼女』感想、近未来をコンピューターと人間の恋を描くが、作品の本質はド直球の"愛"そのもので非常に感銘を受ける[ネタバレなし]


私的満足度

★★★★=星4=素晴らしい作品でした!

【評価の参考値】
★★★★★+・・・満点以上の個人的超傑作!
★★★★★・・・・お見事!これは傑作です!
★★★★・・・・・素晴らしい作品でした!
★★★・・・・・・普通に楽しめました。←平均評価
★★・・・・・・・ん〜イマイチ乗れませんでした。
★・・・・・・・・ダメなもんはダメ!クソ!
※通知表のような5段階評価で、個人的にツボった作品は例外で5+にしています。
ちなみに私は映画は楽しむ&褒めるスタンスなので評価相当甘いです。

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『her/世界でひとつの彼女』基本情報

タイトル
=her/世界でひとつの彼女

原題
=her

日本公開日
=2014年6月28日

監督
=スパイク・ジョーンズ

キャスト
=ホアキン・フェニックス
=エイミー・アダムス
=ルーニー・マーラ
=オリビア・ワイルド
=スカーレット・ヨハンソン

ストーリー
近未来のロサンゼルスを舞台に、携帯電話の音声アシスタントに恋心を抱いた男を描いたラブストーリー。他人の代わりに思いを伝える手紙を書く代筆ライターのセオドアは、長年連れ添った妻と別れ、傷心の日々を送っていた。そんな時、コンピューターや携帯電話から発せられる人工知能OS「サマンサ」の個性的で魅力的な声にひかれ、次第に“彼女”と過ごす時間に幸せを感じるようになる。

予告編


こんな映画です

『her/世界でひとつの彼女』は一言で言えばsiriのようなコンピュータの音声ガイドに惚れてしまった男の話です。作品はアカデミー賞5部門へノミネートされており、非常に評価が高いです。


[DVD発売済み]

舞台は今現在ではなく少し未来のロサンゼルス。しかしそこは超未来ではなく、ちょっと今より発展してる程度のロサンゼルス。しかし何かありえそうな感じです。今から20年前の日本人の服装とか髪型見て少し違和感を感じるのの未来バージョンの感覚でしょう。

男は普通に生きていましたが音声ガイドを買ってから人生が変わる、いや狂い始めます。その音声ガイドはsiriの何百倍も高性能で、従順なこともあり主人公セオドアの理想の女性となっていくのです。

何を聞いても萌えてしまうような返事、疑似恋愛を常時しているかのような錯覚に陥っていきます。しかもそれは俗にいう怪しいお店でお金払ってお姉ちゃんにそうしてもらうのではなく、話かければいつでも答えてくれるというもの。終わりが無いのです。

そうしてセオドアの人生は狂っていきます。映画には当然終わりがあります。相手が音声である以上結婚なんてできません。仮に音声の主をリアルで探したとしても(そういう映画ではありません)、従順な音声と実際の声の主は違うわけなのでやはり結婚してハッピーエンドではありません。

さて落とし所はどうなるのか?音声にハマってしまった彼は音声ガイドへの恋心を"自ら断ち切ることができるのか?"それを追っていく"ラブストーリー"です。



感想を率直に申し上げますと

独創的で考えさせられて出口もちゃんとある素晴らしい映画だと思いました。

そして、今この現実社会で趣味に没頭して現実の恋愛をできなくなった結婚適齢期の人間の破滅と再生映画の暗喩に見えました。

物語が独創的ですが決してファンタジーではなく、ありそうだけど近未来な設定で口当たりがいいです。良くも悪くもウォシャウスキー兄妹が描く『マトリックス』や『クラウドアトラス』の未来なんかではないのです。あくまでも現実の延長で発展した世界です。

その中で起きるラブストーリー。これも見ていて「ありそうで恐い」もの。そして音声ガイドを趣味へと置き換えた時に見えてくる現在の社会での問題。私は物語にハマるというより物語を通して現在の、特に日本の未婚率の増加や草食系あれこれについて考えてました。

従順な音声ガイドに恋をしてしまうということ、これは"従順"が心地よいということです。ちゃんと恋愛を一度でもしたことある方ならわかりますよね。恋愛て全て幸せなものじゃないんです。時にはぶつかり、喧嘩し、理解し合えない苦しさがあります。でもその何倍も喜びや幸せを感じれると信じて、また恋をしたり結婚したりしていくわけです。

でもその苦しみが面倒になって、しかも目の前に自分の欲望を満たしてくれる対象物が現れたとしたら?手を出してしまったら深みにハマり抜け出せなくたってしまうのです。批判を恐れずに例を上げましょう。アイドル然り、イケメン俳優然り、趣味への没頭そのものも然り、風俗然り、AV然りです。それが今回は音声ガイドなんです。

音声ガイドが故障した時、主人公セオドアはもう有り得ないほどのパニックを起こしました。これほど"あたふた"という表現が合う取り乱しも無いほどに。それはアイドルや俳優なら引退して落胆したり憎悪に変わるそれ、趣味活動が何かしらの起因で満足にできない時のストレスのそれ、金がなくて風俗行けないそれ、仕事が忙しくてAV見れないそれ、暗喩そのものです。私が感じたものは。

つまりとってもド直球で"愛"を描いてるのです。その愛は恋愛への愛であり、そうでない愛でもあるのです。

と、わりと重めに本作を捉えましたが海外評などを見ると「ロマンティック」などの評も非常に多いです。監督がスパイク・ジョーンズですので意外と良い意味で独創的に軽めに作ってたりするのかもしれません。

みなさんが結婚や恋愛に関して逃げずに意識してるのであれば、きっと私と同じように考えることがあると思います。このレビューを読んだあとならそうでなくてもそう思うことでしょう。

逆に趣味へ没頭し過ぎているとそれすら気づかないのかもしれません。実は自分自身も本当はこの主人公のように何かに溺れて現実を見ていないだけなのだと。

もし自分の何かへの没頭に映画を見てる過程で悲壮感を抱いても大丈夫です。本作のラスト、そこには救いが見えます。賛否あるみたいですが、私は素敵なラストだと思いました。

日本公開6月末ですか。タイミングうまくいかなかったのでしょうね。この手の映画、今後増えると思いますので、その実験的価値も含め多くの方に見てほしい作品であります。

おすすめの1本です。


こんな人にオススメ

恋をしたことある全ての人へ。

恋を忘れて、又はそれから逃げて趣味へ溺れてる全ての人へ。


written by shuhei