ロン・ハワード監督『フロスト✕ニクソン』紹介、言葉と言葉のボクシングに魂が震える![ネタバレなし] - Cinema A La Carte

ロン・ハワード監督『フロスト✕ニクソン』紹介、言葉と言葉のボクシングに魂が震える![ネタバレなし]


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『フロスト✕ニクソン』基本情報

タイトル
=フロスト✕ニクソン

原題
=FROST/NIXON

監督
=ロン・ハワード

出演
=フランク・ランジェラ
=マイケル・シーン
=ケヴィン・ベーコン
=サム・ロックウェル
=マシュー・マクファディン
=オリヴァー・プラット

ストーリー
1974年8月9日、第37代アメリカ合衆国大統領リチャード・ニクソン(フランク・ランジェラ)が、ウォーターゲート事件の汚名にまみれて辞職。その光景をテレビで見ていたトーク番組の人気司会者デビッド・フロスト(マイケル・シーン)は、ニクソンに対する単独インタビューを企画。ニクソンの代理人にコンタクトを取る。

予告編


言葉のボクシングに魂震える

ウォーターゲート事件で大統領を辞任したリチャード・ニクソンから謝罪を引き出そうとインタビューに挑むイギリスの司会者デヴィット・フロストの映画です。厳密には二人は対等に描かれていてタイトルの通りフロストVSニクソンの戦い映画です。

もちろん戦う場所はインタビュー。そのインタビューは3回に渡って行われます。そのインタビューでフロストはニクソンの謝罪を引き出し自らのインタビュアーとしての地位を不動のものにしたい。ニクソンはインタビューを活用し、誤解を払拭し政界へ戻りたい。それぞれがインタビューで勝利を収め目的を達成するために活用するのです。

完全に言葉と言葉のボクシング対決、それが『フロスト✕ニクソン』です。

映画はウォーターゲート事件の報道からニクソンの辞任会見で幕を開けます。そんなニクソンをいわば活用して自らのインタビュアーとしての地位を不動のものにしたいと企むフロスト。フロストはインタビューの権利を何とか得るもののスポンサーが集まらなかったり、最初はニクソンに圧倒されてしまったり窮地に立たされます。

その窮地までの描写の数々一つ一つがとても面白いです。ロン・ハワード監督監督の映画で実話ものはホント外れがありません。本作も事実としてわかりきってることを一つ一つ見ているのに全く飽きずのめり込んでいくのです。時に我々を笑わせてくれる余裕すらあるというサービス精神には脱帽です。

しかしやはり窮地に立ってから最後まではこの映画最大の魅力でしょう。まるでボクシングで最終ラウンド、へとへとになりながら殴り合ってるボクサーのようです。全ての力を振り絞り、言葉で相手を倒そうとするフロスト。その挑発に乗せられていくニクソン。史実なので言いますがこの戦いはフロストの勝ちです。しかしその勝利の瞬間はあまりに突然やってきました。

この映画試写会で鑑賞したのが初見だったのですが、その勝利の瞬間、一瞬の間のあとに会場がどよめいたのを今でも覚えています。まさかあんな形で勝負がつくとは・・・。しかしそれはフロストの最後の努力があったからこその勝利だと思いましたね。素晴らしいものでありました。

戦いを終えた二人には友情のようなものが芽生えました。それは最後のシーンでわかります。ニクソンはフロストを一目見た時ファッションセンス(靴)のセンスを馬鹿にしました。しかしその靴を最後にプレゼントされたニクソンは一人になってから靴を取り出して切ない表情を受けべました。

そのラストシーンを見てわかりました。「ニクソンはフロストに憧れていた」のだと。イケメンオーラ、雄弁さ、人々から愛されるキャラクター。ニクソンが手に入れたかったものをフロストは持っていたのです。最後の切ない背中を見た時、胸が締め付けられるようでした。

エンタメ性もあり、スピード感もあり、演技も素晴らしく、音楽も緊迫感があってお見事。そこまでで十分面白い映画なのですが、最後の締めで一気に数段満足度が上がった映画でした。ぼーっと見てると何てこと無いラストですが、ニクソンのフロストへの憧れを考えてラストシーンの奥深さをみなさんも堪能してみてください。

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