映画『スラムドッグ$ミリオネア』紹介、少年はなぜ答えを知っていたのか?世界が感動に包まれた1作![ネタバレなし] - Cinema A La Carte

映画『スラムドッグ$ミリオネア』紹介、少年はなぜ答えを知っていたのか?世界が感動に包まれた1作![ネタバレなし]


『スラムドッグ$ミリオネア』本情報

タイトル
=スラムドッグ$ミリオネア

原題
=Slumdog millionaire

監督=ダニー・ボイル

出演
=デヴ・パテル
=フリーダ・ピント
=マドゥル・ミッタル
=アニル・カプール
=イルファン・カーン

ストーリー
テレビ番組「クイズ$ミリオネア」に出演し、賞金を獲得したジャマール(デヴ・パテル)だったが、 インドのスラム街で育った少年が正解を知るはずがないと不正を疑われ逮捕される。 ジャマールになぜこれほどの知識があり、この番組に出演するに至ったのか。 警察の尋問によって、真実が明らかになっていく。

予告編




ダニー・ボイル節が光るインドを思い出させる映画
スラム街で育った少年が、インド版クイズ$ミリオネアに出場し、無知なはずなのに次々に正解をし、不正を疑われる話です。もちろん彼は不正などしていません。ではなぜ正解が続くのか?それは彼の今までの壮絶な人生経験によるものだったのです。

クイズ番組の収録と不正を疑われた尋問を軸に、彼がどうして正解したかが回想シーンで明らかにされていきます。インドという国のエネルギッシュさが、革命的な映像と音楽、そして演技によって伝わってきます。

 私は一度インドに行ったことがあるのですが、あの時衝撃を受けたパワーを映画で感じることができました。インドに着いた時、一歩足を踏み入れた時そこが明らかに異国であることを感じました。

海外は色んなところに行きましたが、フランスとかアメリカとかオーストラリアとかは、空港から一歩出るとそれを感じていた記憶ですが、インドは飛行機から降りて空港のターミナルに入った時から「あ~インドだ」と感じました。言葉に表せないインド独特のパワーを感じました。その記憶が本作で鮮明に蘇りました。あのパワーを再び感じることができました。

それが素晴らしき演出で楽しめる、感動できる、元気が出る映画として仕上がってるわけですからもう何も文句無し、大満足といった感じであります!


ラブストーリーだよ、これは!
本作のストーリー構成は「クイズ$ミリオネアの問題⇒それに関する回想エピソード」という複数次元構成のため、とてもテンポが良く、スピーディー×エネルギッシュという言葉がぴったりな映画です。

クイズシーンはもちろんですが、回想シーンの力強さは凄まじかったです。 その回想シーンを1つずつ見ていくと実体験から彼はクイズの正解となる根拠を学んだのだなとわかるのです。 彼が経験してきたエピソードは決してサクセスストーリーではありません。

むしろ彼が経験してきた苦悩の日々がそこに描かれています。その苦悩とは我々の想像とはかけ離れた次元のものです。 ひどいというより、凄まじいな・・・と。日本では考えられない描写が連続していきます。

しかしその演出が力強くて疾走感があり、不快感がありません。次から次へと場面が変わり、これはエンターテイメント映画なのかなと思うくらいです。実際のジャンルはおそらくラブストーリーなのですが。

そんな120分間が続きます。

とにかく力強いです。

最後の最後までハラハラドキドキ!凄まじいスピードで展開されつつもわかりやすく本当に素晴らしい作品でした。そして最後は絵に描いたように「めでたしめでたし」です。



最後はダンス!
しかしそこで終わらないのが「スラムドッグ・ミリオネア」です。

エンドロールが何とダンスシーンなのです! 映画の最初に観客にクイズが出され、映画が終わるとクイズの答えが出ます。そこから監督の名前がクレジットで出るのですが、同時にインドの駅が映されJai-Hoという名曲に載せ主人公二人と街の人達が踊り始めます。

日本で言う北野武監督の『座頭市』みたいな感じです。この振り付けがちょっとかわいいのなんの。それがまたツボで映画の後味を極上のものにしてくれます。 そんな感じでエンドロールまで力強く、劇場をあとにする時笑顔になってしまいました。

 「面白かった!」 が最初に思った感想でしたね。 パワーのあるインドを舞台に、パワーみなぎる演出と音楽、そして映像、 そしてパワーのある物語、最後のエンドロールもパワーに溢れていいる。 そんな「パワー」を感じるのが本作なのです。


やはりダニー・ボイル監督の力!
本作は演出が悪ければかなり単調な映画になっていたに違いありません。しかも舞台はインドで俳優は我々からしたら無名の方々ばかりです。それでも全編楽しめたのは間違いなくダニー・ボイル監督の演出のおかげです。

『トレインスポッティング』で証明済みですが、 とにかく彼の映像は躍動感があり、ダイナミックです。 上に書いた通り「パワー」に満ち溢れています。 それでいてセンスがいいのです。

本作は舞台がインドなので、インドという場所を映像で伝えていかなければなりませんでした。 それをただ町並みを映すのではなく、まるで街の中に入り込んだかのような映像が展開されるのです。

これにより、『スラムドッグ・ミリオネア』という映画を観ると同時に、 バーチャルインド旅行をしているかのような気になるのです。 これはダニー・ボイル監督の新作「127時間」の前半でもそうでした。

とにかくその中に入り込んだ気になる圧倒される映像の数々なのです。そのセンスが本作は多次元構造で展開されます。クイズ番組、尋問、過去の経験と。圧倒される映像がごちゃ混ぜにされてスピーディーに展開されるのですから、つまらないわけがないのです。

ダニー・ボイルの過去作品『トレインスポッティング』と大きく異なるのはラストシーンです。本作のラストシーンはしっとりと終わります。 (その後ダンスシーンですがw)

本作のエピソードを我々がそのまま経験することはないでしょう。日本に還元してもないでしょう。 しかし本作の主人公ジャマールは私たちに 「過去を受け止め、今勇気を持って、未来を諦めない」ということを教えてくれます。

彼の過去は壮絶なものでした、しかしそれを受け止めて今この時を勇気を持って生きています。未来のために。 それは人間として頑張ることの本質ですよね。 未来は誰にもわかりません。 その未来には苦悩があるかもしれません。

しかし決して諦めないことでちょっといいことが起きるかもしれない。 その可能性が数%でも過去を受け止め勇気を持つこと。 そんなメッセージを本作から感じました。 エンターテイメント映画であり、恋愛映画であり、インド映画であり、クイズ映画でもある、見れば見るほどそのパワーを感じることができる本当に見事な映画だなと改めて思っています。


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