映画の魅力【『インセプション』徹底考察】 その1 - Cinema A La Carte

映画の魅力【『インセプション』徹底考察】 その1

『ダークナイト』シリーズについては相当な文量で解説してきましたが、同じくクリストファー・ノーラン監督の『インセプション』に関してはノータッチだったのでこの辺で考察を始めたいと思います。



『ダークナイト』シリーズについては相当な文量で解説してきましたが、同じくクリストファー・ノーラン監督の『インセプション』に関してはノータッチだったのでこの辺で考察を始めたいと思います。


◯過度な期待を超えてきたノーランの新たなる傑作
私の大のお気に入り映画『インセプション』。
細かな解説の前にまずはその魅力をお伝えしたいと思います。

『ダークナイト』『メメント」』の天才クリストファーノーラン監督作品です。レオナルド・ディカプリオ主演で渡辺謙も準主役で出演したこともあり、日本でも30億円以上の興行収入を記録した映画です。

私はこの作品が公開される前から過度な期待を抱いていました。クリストファー・ノーラン監督の前作『ダークナイト』がとんでもない傑作だったからです。次回作がこの映画とわかってからずっと期待してきました。

とは言うものの、みなさんも経験あると思いますが、過度な期待を抱くと大概失望しますよねw仕方ないことなのですが、頭の中であれやこれやと想像して自分に都合のいい完成形を考えてしまうからでしょう。

しかし、『インセプション』は私の過度な期待を十分すぎるほど超えてくれました。
「夢の中、潜在意識の話」としか事前情報がなく、
予告編を見てもストーリーの細かな内容はわからず・・・
なので如何様にも想像できたわけですが、甘かったですね。

本当にどうやったらこんな設定とストーリーを思いつくんだろう?
そんなことを冷静に思いつつ、何度も何度も未だに観ている傑作です。
そして見れば見るほど結末がわからなくなるというとんでもない映画ですw



◯やはりノーラン映画の最大の魅力は脚本!
この映画、といいますかクリストファー・ノーラン作品の魅力は何と言っても綿密に計算された脚本でしょう。

主人公の役柄が夢のなかに入り、情報を抜き取るスペシャリストという奇抜な設定。そんな主人公が「インセプション」と呼ばれる、逆に夢の中に外部の概念を埋め込む困難なミッションを行っていくのが本作のメインストーリーになります。夢の中の潜在意識にある概念を植えつけ、そしてそれによって現実での行動に影響を与えるのです。

その過程で出てくる魅力ある人物の数々。特に主人公の奥さんであるモルには恐怖すら感じる、とてつもない人物像であったと思います。

奇抜すぎるとストーリーが付いて行かないこともありますが、本作はその抜き取る方法や夢の次元の話などを丁寧に掘り下げています。これは『バットマンビギンズ』『ダークナイト』でもただのヒーローバットマンではなく、人間として悲しみを乗り越え、平和への重い決意、行動、苦悩を描いているところとも共通するでしょう。そのストーリーはバットマンという非日常に見えるものでも、本作でもリアリティーがあるのです。

つまりヒーロー映画やSF映画であっても現実に起こっている1つのストーリーを観ているような錯覚に陥るのです。奇抜な設定、リアリティを追求するストーリーと制約を自ら与えながらも、そのストーリー展開も面白い面白い!2時間半という長尺にも関わらず飽きることもなく、むしろどんどんハマっていく展開には驚かされました。

映画が終わって現実世界に戻ってきてから「これは現実?夢?」なんて思っちゃうのです。映画を観るとわかりますが、これはまさにクリストファー・ノーランが私たちを「インセプション」したということでしょう。

そんな奇抜ながらもリアリティがあり、楽しめるストーリーを彩る映像美の数々はさすがといったところです。


◯大予算を投じた迫力の映像
センスのある映像に、クリストファー・ノーラン映画ならではの大迫力映像の数々。本作ではアクションシーンだけでなく、夢の中の映像が本当に素晴らしかったです。

無重力の映像や雪山での映像、最も圧巻だたのはパリの街並みがロールのようにぐるっと丸め込まれるシーン。文字だと説明しにくいw本編見てくださいw

撮影を担当したウォーリー・フィスターはアカデミー賞を受賞しました。当然の結果と言えるクオリティです。『ダークナイト』にも負けず劣らずな素晴らしい映像の数々でした。


◯複雑な物語に力を尽くした俳優陣
あらゆる魅力があったとしてもやはり演技がうまくなければ映画は傑作に成り得ません。本作のキャスト陣は誰も本当にハマり役でした。

まずディカプリオ。初のSF作品主演でしたが主人公コブを知的に演じました。プラスして過去のあることに苦悩しながら、それを夢のなかでも引きずってしまう繊細な一面が見事でした。

そんなコブに仕事を依頼したサイトー役の渡辺謙。彼をイメージして脚本を書いたというだけあり本当にハマり役。前半はコブを圧倒する強権を見事に演じ、後半はあることで足を引っ張りながらも、苦悩の表情を魅せるその演技は本当に魅力的でした。

コブの右腕的存在であったアーサーを演じたジョセフ・ゴードン=レヴィット。知的な演技、そして無重力の中での戦いは本当にカッコ良かったです。ちなみに当初はジェームズ・フランコがキャスティングされてましたが、スケジュールの都合で交代に。ジョセフ・ゴードン=レヴィットはよくわからずとりあえずオーディションにいったらノーランに気に入られて役ゲットwそして超気に入られたため次回作『ダークナイト・ライジング』も出演決定!ジェームズ・フランコがちょっと運悪かったような^^;

ここまできたらもう全員紹介しちゃいましょうw

続いてイームス。トム・ハーディが演じましたが知的ながらどこかおちゃらけている役柄が素晴らしかったです。この演技があったからこそクリストファー・ノーラン監督の次回作『ダークナイトライジング』の悪役ベインの役をゲットしたのでしょう。コブの過去を知りコブに同情しながらも作戦の成功のために尽力した

アリアドネ役のエレン・ペイジ。学生ながら知的という役柄で難しかったと思いますが、見事でした。『ジュノ』とは全然異なる演技でした。正直びっくり!

そんな彼らのターゲットになったロバート・フィッシャー役のキリアン・マーフィー。『バットマンビギンズ』『ダークナイト』に続いてのクリストファー・ノーラン監督作品なだけあってハマり役でしたね。この役はきっと彼を想像しながら書いたのでしょう。知的ながらも父親と反抗する姿、夢に中で混乱する姿が素晴らしかったです。

マイケル・ケインは少ない出演時間でしたが、よくぞこの役を彼にしたと賞賛したいです!彼は大学の教授役。彼が『インセプション』を発明したということでストーリーに現実味がより加わったと思います。

と1人ずつ上げてきましたが、本作で一番凄まじかったのは間違いなく、モル役のマリオン・コティヤール。夢の中でしか出てこないのですが、いやぁ恐ろしいの何のって・・・ジョーカーからジョークを抜いた感じでトラウマになりそうでした。と私たちがそう思うこと自体がクリストファー・ノーラン監督の思うツボなんでしょうね。その恐ろしさを最も感じているのは間違いなく主人公のコブなわけですから。


◯ハンス・ジマーの音楽は新たなる次元へ
『ダークナイト』に引き続きハンス・ジマーの作曲です。『パイレーツ・オブ・カリビアン』や『ライオンキング』などで有名な作曲家さんです。彼の今回のスコアはとにかく独特でした。重低音鳴り響き迫力ある音楽から知的な音楽、そしてパーカッション入り乱れるチェイスシーンの音楽まで、また新たな世界の音楽がここに誕生したと思いました。アカデミー賞作曲賞ノミネートも納得。

というか受賞するべきだったかと。
特に“Mombassa”という曲は圧巻の一言です。


どれも聴き応えがあるのに、時としてちゃんとバックミュージックとして目立たなくなる辺り職人芸ですねぇ。

◯クロスカッティング
そしてそれら魅力が素晴らしい編集によって超一級品に昇華するわけです。
特にクライマックスは4つのシーンが折り重なるクロスカッティング。
もうこれホント素晴らしいです。

『ダークナイト』でもそうでした。
『インセプション』の後の『ダークナイト・ライジング』でもそうでした。
近年のノーラン映画の魅力といえばこのクライマックスはのクロスカッティングの畳み掛けであるのです。

今回の『インセプション』ではそのクロスカッティングが映画的魅力だけでなく、構造的な意味合いも含めています。その辺り次の記事で解説したいと思います。

『インセプション』は最後の解釈が人によって異なります。
それ故にこの記事一本で『インセプション』の紹介を終えることはできません。
次回の記事では基本的解釈の説明を。その後様々な解釈について考察していきたいと思います。

ということで『インセプション』考察、引き続きよろしくお願いします。


予告編