映画『シカゴ』紹介、ミュージカル映画の傑作中の傑作!娯楽全開楽しむ映画![ネタバレなし] - Cinema A La Carte

映画『シカゴ』紹介、ミュージカル映画の傑作中の傑作!娯楽全開楽しむ映画![ネタバレなし]


『シカゴ』基本情報

タイトル
=シカゴ

原題
=CHICAGO

監督
=ロブ・マーシャル

出演
=レニー・ゼルウィガー
=キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
=リチャード・ギア
=ジョン・C・ライリー

ストーリー
1920年代のシカゴ。 そこは、犯罪さえもエンターテインメントにしまうショービジネスの街。 スターを夢見るロキシーは、キャバレーの専属歌手ヴェルマのステージを羨望の眼差しで見入っていた。 そんなロキシーはある日、ショーに売り込むとの約束を守らなかった愛人と諍いを起こし、 ついに彼を撃ち殺してしまう。 そして逮捕され留置所に送られたロキシーは、驚くことにあのヴェルマと出会った。 彼女は不倫した夫と妹を殺した罪に問われていた。 しかし、マスコミ操作に長けた辣腕弁護士ビリーのおかげで、巷では一躍スター扱い。 ロキシーも同じ手段でヴェルマ以上の注目を浴びようとビリーを雇うのだが…。

予告編



映画が詳しくなかった頃から大好きな一本
この映画が好きになった理由はファーストインプレッションです。映画は暇なときに見る程度であった高校生の時、ミュージカル映画は完全なる食わず嫌いでした。

当時は冗談抜きで「突然歌いだすなよ・・・」というミュージカル映画の根底を批判していたような気がします。しかし本作はあまりにも絶賛されてたのでTSUTAYAで借りることに。

この時のやる気のなさも異常でおそらくポイント使ってタダで借りました…。で、期待もせずとりあえず見始めてみると・・・ 本作のストーリーはコメディータッチ。感動したり何かをあとで思ったりするものではありません。

しかしそんな軽快なストーリーだからこそ凄く楽しめました。何も違和感なくどんどんのめり込みました。何も考えず目の前で素晴らしいものがどんどん繰り広げられていった。見終わった後の感想 「面白い!」

それが最初の印象。 何も考えずただそう思いました。そのファーストインプレッションで打ちのめされて以来大ファンの映画です。



ロブ・マーシャル監督の演出光る
映画が好きになってから何回も何回も見ました。そして見れば見るほど深みにはまっていきました。映像の1つ1つが絵画のように深みがあり、繰り返し繰り返し鑑賞し、その素晴らしさを噛み締めました。

日本では低評価でしたが『SAYURI』も自分の中では大ヒットだったのでそれでこの映画に惹かれる理由がわかりました。それはロブ・マーシャル監督の映像センスです。良く言えば鮮烈な、悪く言えば大げさな映像表現が彼の持ち味です。

その映像1つ1つにどんどんハマり、わかりやすいストーリー展開をしてくれる演出にハマり、そして最後は大満足。 ロブ・マーシャルのセンスが自分の好みとうまくマッチした結果ハマったようです。

『シカゴ』と『SAYURI』と並べたときに日本人だと 「SAYURIは日本を再現できてない」と言いますが、 実は「シカゴ」もそうなのです。例えばママモートンは黒人ですが、当時黒人の女看守はいません。

そう、「再現なんてしていない」のです。その当時を題材としたロブ・マーシャル監督のイマジネーションワールド、 それが『シカゴ』であり『SAYURI』であり、第3弾作品である『NINE』なのです。時代や文化の考証による粗探しは無駄ということです。

ミュージカル出身のロブ・マーシャルの演出はミュージカルをただそのまま映画化するのではなく、映画という舞台で新しいミュージカルを再構築すること。映像の1つ1つが鮮烈で目に焼き付けられる。そのセンスに惚れました。

特にこの『シカゴ』は他のミュージカル映画に比べてとにかく演技だけのシーンが少ないです。通常のミュージカル映画は「演技⇒演技⇒歌って踊る⇒演技⇒演技⇒歌って踊る」的な感じですが、本作は「歌って踊る⇒時々演技⇒歌って踊る⇒歌って踊る⇒時々演技」的な印象です。

無理やりなミュージカルではなくミュージカル、歌って踊ること自体が映画のエンジンとなっているのです。そう考えるとミュージカルが「突然歌いだす」という理由で嫌いだった自分が、一切の嫌悪感を抱かず好きになった理由もわかります。映画そのものが歌って踊るわけですから。




続:ロブ・マーシャル監督の俳優への演出
ロブ・マーシャル監督はミュージカルの演出家出身なだけあって役者に対する演出もお手の物。 演技というものを演出するだけでなく身体の動きの演出が見事。これは映画の監督であり振り付けも監督自身が担当しているからこそなのでしょう。

鮮烈な映像とそんな細かい演技の演出にひたすらのめり込みました。しかしそんな彼のセンスと演出は見事なキャスティングとマッチしてこそ機能するものです。 控えめで鮮烈さを残した『SAYURI』では控えめの演技のキャストが必要でした。 だからこそチャン・ツィイーと渡辺謙、そしてミッシェル・ヨーのキャスティングは妥当でした。

主役がなぜ中国人なんだという細かい理由は置いておいて、控えめの演技とのマッチという点ではそんな感じです。対照的に『シカゴ』には迫力が必要でした。迫力とスター性を持ったヴェルマ、 可愛さとう内なる迫力を外に出したいロキシー。 その二人のキャスティングがキャサリン・ゼタ=ジョーンズレニー・ゼルウィガーというのはまさに完璧でした。

キャサリン・ゼタ=ジョーンズは身体も太めに迫力を醸し出し、レニー・ゼルウィガーは『ブリジット・ジョーンズの日記』とは別人のようにとにかく細い! この細さに色気がないとの批判もありますが、 役柄上貧乏でダンサーを目指している途上の役。 ちょっと貧相な感じがいいなぁと思いました。

その二人の弁護士にリチャード・ギア。ここは賛否ありましたがあの軽快さが素晴らしかったと思います。 敏腕弁護士なんだか悪徳弁護士なんだかわからないがなぜか恨めない。 その雰囲気が抜群に出ていました。

そしてロキシーの旦那役のジョンCライリーがまた見事でしたね。 あのヘタレっぷりの演技はさすが演技派です。プラスしてママモートン役のクイーン・ラティファのド迫力演技でダメ押しといったところでしょう。 本当にこの上ない見事なキャスティングでした。

映画の構成としては一応主役がロキシーでそれに付随する準主役がヴェルマといったところですが、 ほぼほぼ二人共主役と言っていいでしょう。 しかしここのところの位置付けを宣伝、説明する上で制作会社も迷ったようで、 アカデミー賞へはレニー・ゼルウィガーを主演女優賞へ、 キャサリン・ゼタ=ジョーンズを助演女優賞へプッシュしました。クイーン・ラティファも助演女優賞にノミネートされました。

結果はキャサリン・ゼタ=ジョーンズのみ受賞。 もしこれが主演女優賞キャサリン・ゼタ=ジョーンズ、 助演女優賞レニー・ゼルウィガーという押しであったとしたらダブル受賞もあったかもしれません。 この辺り難しいところですが、それくらいキャサリン・ゼタ=ジョーンズが全てを持っていくド迫力演技であったということです。 それに可愛く応えるレニー・ゼルウィガーが素晴らしく、 霞むのではなくそういう立ち位置として良かったと思います。



ミュージカルはやはり音楽
そしてミュージカル映画が傑作になりうる重要な要素がこの映画は見事にクリアしています。それは音楽です。とにかく軽快、楽しい。そういった楽曲が連続していきます。

楽しければいいわけではありませんが、そういった楽曲の連続よって万人受けの傑作となったわけです。 ロブ・マーシャル監督の第3弾映画である『NINE』は私的にはかなりのお気に入りですが、 この万人受けをクリアできなかったような気がします。

ストーリーがヘタレな主人公の映画監督が女に翻弄され人生を転落していく様。 それを包み込む重厚な楽曲。 言い換えるなら重い曲。 その曲はどれも名曲なんですが、『シカゴ』の軽快さはありません。 そうすることで第1のインパクトが弱くなります。

繰り返しみると『シカゴ』より深いものを感じられるんですけどね。 結果としてはアカデミー賞は1つも受賞ならずでありました。 『NINE』についてはまたの機会に詳しく書くとして、『シカゴ』は本当に軽快で楽しい楽曲が連続していきます。

その合間に入るスコア音楽(バックミュージック)も軽快そのもの。 驚くことに担当したのはダニー・エルフマン。 『チャーリーとチョコレート工場:の作曲家です。 まさか過ぎるw

センスと確かな演出、そして確かな演技、素晴らしい楽曲。 その融合が見事だった『シカゴ』。 最後のエンドロールもミュージカルのカーテンコールを彷彿とさせます。

俳優一人ひとり映像が出るものです。 ロブ・マーシャル監督が『SAYURI』『NINE』でも使用した形態です。 実際『SAYURI』のDVD音声解説でカーテンコールをイメージしたと言ってます。 第4作『パイレーツ・オブ・カリビアン 生命の泉』ではこれが引き継がれなかったのはちょっと残念ですね。

シリーズものなので致し方なしでしょう。 そんなエンドロールまで楽しませてくれたロブ・マーシャル監督『シカゴ』。 何も考えず、楽しめる作品としていつまでも愛されていくことでしょう。


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