スティーブン・ソダーバーグ監督、劇場映画引退作品『サイド・エフェクト』【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

スティーブン・ソダーバーグ監督、劇場映画引退作品『サイド・エフェクト』【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]



最後の作品に相応しいサスペンス

オーシャンズ11やトラフィックなどで有名なスティーブンソダーバーグ監督の最後の劇場作品となるサイドエフェクトを一足先に鑑賞してきました。これからはテレビ映画に専念するとおっしゃってスティーブンソダーバーグ監督ですが、最後の劇場作品としてとても見ごたえのあるものでした。

ジャンルはサスペンス。
物語の真実は何か、それを追っていく上質の映画となっていました。

サスペンスであり、映画自体が「見抜けるか?騙されるか?」と煽っているので映画の紹介がしにくい部分もあります。

まずどんなストーリーで進むのか、映画の基本情報をまとめたいと思います。



基本情報

タイトル
=サイド・エフェクト

原題
=Side Effects

監督
=スティーブン・ソダーバーグ

出演
=ジュード・ロウ
=ルーニー・マーラ
=キャサリン・ゼタ=ジョーンズ
=チャニング・テイタム

ストーリー
金融マンであった夫マーティン(チャニング・テイタム)が違法株取引で逮捕されたのを機に、以前に患ったうつ病を再発させてしまったエミリー(ルーニー・マーラ)は、交通事故や自殺未遂を引き起こすように。診察にあたる精神科医バンクス(ジュード・ロウ)は、かつて彼女を診ていたシーバート博士(キャサリン・ゼタ・ジョーンズ)に相談。エミリーが抱える症状の詳細を聞き出し、彼女の了承も得て抗鬱剤の新薬アブリクサを投与する。症状が快方に向かっていたある日、マーティンがナイフで刺されるという事件が起き……。

予告編



最後に「なるほど!!繋がった!!」でスッキリ!

予告編にもありますが、ジュード・ロウ演じる精神科医バンクスを取り巻く様々な事柄を巡るサスペンスになっています。

新薬の副作用によると思われる症状で患者が実の旦那を殺傷…誰が悪いのか?

薬を作った製薬会社が悪いのか?

それとも処方した医師が悪いのか?

それとも副作用とは言え患者が悪いのか?

その訴訟と同時に見えない"サイドエフェクト=副作用"が明らかになっていく様。
いやはや痛快でありました!
いい意味で予告編に騙されました。

だって、「そっちか!」っていう真相だったんですもん(笑)

だから冒頭はあのシーンからだったのか!
直接描かれてないけど感情考えると確かにそうなるのか!!
タイトルの"サイドエフェクト=副作用"がしっくりくる真相でした!

[DVD発売済み]
感覚的なものですが、真相が明らかになった時に
「あーだからそうなのか!だからあそこはこうだったのか!」
って色々フラッシュバックできることがサスペンスの面白さだと思うのです。

本作ではそれが味わえました。
仮に「真相が予想できた」という場合でも、ストーリー紹介したようにシリアスな物語なので上質な人間ドラマとしても楽しめるのではないかと思います。

予告編に大きな仕掛けはありません。
しかし、予告編を何度も見て頭に摺りこんでいった方が色々楽しめると思います。
おそらく見れば見るほど真相予想ができないと思います。そういう意味では意地悪な予告編かもしれません(笑)


サスペンスは脚本、ストーリーが命

薬の副作用による殺傷事件を巡り様々な思惑が錯綜していくサスペンスです。
映画に少し詳しくなってくると「演出が〜」「映像が〜」とか偉そうに語りたくなるものです。もちろん私もよくやります。

でもですよ、結局映画が面白い面白くないの根底ってその話が面白いか面白くないかなんですよね。そしてそれが如実に現れるのが特にサスペンス。だって真相を追っていくわけですから。

それを面白く、時に緊迫感マックスで描く力が演出となるわけですが、まずはやはり話ありきです。

本作は薬の副作用や様々な新薬と訴訟があれこれと折り重なっていくサスペンスであるのでその細かな設定から楽しめます。殺人事件が起きてその裏でうごめく警察の陰謀〜とかそういうのではないのです。

映画のストーリーこそ全く異なりますが、同じくスティーブン・ソダーバーグ監督の『コンテイジョン』に似た印象を本作から抱きました。最後の最後に「全て繋がった!」という爽快な衝撃ですね。これ、たまりません(笑)


主役はジュード・ロウだが、映画はルーニー・マーラ劇場

一応の主人公はジュード・ロウ演じるバンクス。
映画において物語を牽引するのは確かに彼です。

しかし映画において中心的役割を担うのは『ドラゴン・タトゥーの女』でお馴染みのルーニー・マーラが演じるエミリーです。この演技がもう見事で見事で。鬱病かつ薬の副作用で自殺的な行為を繰り返す、文字通りイカれた人間に見事に扮していました。

感情の抜けた演技が素晴らしく…

ストーリーにも書かれている通り、夫を刺してしまうシーンなどホラーもので鳥肌。
その後も感情というより行動の起伏が激しいエミリー。
それに振り回され、そして自らの仕事の立場すら危うくなっていくバンクス。

この二人の掛け合いがとても面白いのです。

ポスターや宣伝ではここのキャサリン・ゼタ=ジョーンズとチャニング・テイタムも主演的に宣伝されてますが、実質この二人は脇役。

しかしキャサリン・ゼタ=ジョーンズはなかなかピンポイントで重要な役を。チャニング・テイタムは予想外に出演時間が短いものの物語の真相が明らかになった時、その役割の重要さがわかります。

見事なアンサンブルだったと思います。


サスペンス×ソダーバーグ、そして永遠に

繰り返している通りサスペンス映画である本作。
では映画としてのメッセージ性は何か?
それはとてもリアルであり得る話である真相そのものであると思います。

しかし、そこまで説教臭い印象は受けません。
なぜか?

それは本作の監督がスティーブン・ソダーバーグ監督だからです。
スティーブン・ソダーバーグ監督と言えば代表作はやはり『トラフィック』。
この映画でアカデミー賞監督賞を受賞しました。

娯楽で有名な作品と言えば『オーシャンズ11』のシリーズ。
『エリン・ブロコビッチ』なども有名な作品ですね。
『チェ』2部作も記憶に新しいです。

ソダーバーグ監督は独特の乾いた演出でファンが多いと同時にアンチも多いのが特徴です。私は作品のよりけりですが、恐れず次から次へと作品を発表していく姿勢そのものが私は尊敬に値すると思っています。

そう、サクッと書きましたがスティーブン・ソダーバーグ監督の演出は乾いているのです。

『トラフィック』なんてとても重厚なストーリーなわけですがお涙頂戴には演出しません。良し悪しではなくそれが彼の持ち味なのです。

本作『サイド・エフェクト』もこのスティーブン・ソダーバーグ節全開の一本でした。サスペンスとしてそこの真相に迫っていく物語がある。それを緊張感を保ちながら乾いた演出で淡々と描いていくのです。

私たちは映画に入り込むというより目の前で何か起きている事を客観的に目撃しているように思うのです。

なので感動はせず、映画見た後すぐに感想を処理できないことも多いのです。しかし後からじわじわくるのです。それがスティーブン・ソダーバーグなのです。

『サイド・エフェクト』、どんでん返しとは少し異なりますが、最後に「なるほど!」となる満足いくサスペンスストーリー×ソダーバーグ演出でとても素晴らしい一本でありました!

最後のシーン不気味だったなぁ・・・

これでスティーブン・ソダーバーグ監督の劇場向け映画はおしまいとなるわけですが、TV映画の劇場公開の予定もあったりで何だかんだスクリーンでまた見るチャンスはあるでしょう。

その独特のソダーバーグ節、これからも炸裂させていってほしいなと思いました。

おしまい。


written by shuhei