映画『WALL・E/ウォーリー』紹介、ウォーリーの可愛さとイヴの力強さ、そしてメッセージ性が本当に素晴らしい[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

映画『WALL・E/ウォーリー』紹介、ウォーリーの可愛さとイヴの力強さ、そしてメッセージ性が本当に素晴らしい[ネタバレなし]



『WALL・E/ウォーリー』基本情報

タイトル
=WALL・E/ウォーリー

原題
=WALL・E

監督
=アンドリュー・スタントン

ストーリー
人類に見捨てられ、ゴミに埋め尽くされた29世紀の地球。そこで700年もの間、黙々とゴミ処理を続けるウォーリー。いつしか感情が芽生え始め、いまではゴミの中からお気に入りを見つけてコレクションすることが彼の楽しみになっていた。中でもお気に入りはミュージカル映画「ハロー・ドーリー」のビデオ。それを見ながら、映画の中の登場人物みたいに自分もいつか誰かと手を繋ぎたいと夢見る日々。そんなある日、一体のロボット“イヴ”が地球に降り立った。その白く美しい姿を一目見てたちまち恋に落ちたウォーリー。あの手この手で彼女の気を惹こうとするウォーリーだったが…

予告編





アニメ映画の枠を超えた素晴らしき傑作

私が最も好きなアニメーション映画です。ファインディングニモ』の監督でもあるアンドリュー・スタントンの傑作です。アカデミー賞長編アニメ賞も受賞してます。この映画は劇場で鑑賞しました。

ピクサー映画ですし安心のクオリティと思い、「娯楽」を求めて行きました。結果は面白かった!期待通り、いや期待以上の面白さでありクオリティでした。ストーリーが上記の概要しか知らずに行ったため、後半は全く予想と異なる展開だったのも面白かったです。

「娯楽」に満足しましたが、「娯楽」だけの映画ではありませんでした。人間といいますか、文明社会といいますかそれに対する皮肉が散りばめられていました。 しかしそれはただ今の文明社会を批判するものではなく、 未来への願いが描かれていたと思います。

途中もの寂しい感覚を抱くのですが、最後の最後エンドロールを含めた物語によって、希望が見えました。その辺後ほど詳しく書きましょう。


無声映画の最高傑作

この映画は「無声映画」の最高傑作でしょう。これは実写含めてです。主人公のウォーリーはロボットのため言葉を離せません。 映画の前半は劇中に出てくるテレビやラジカセの音声だけで、台詞は皆無です。

ウォーリーが話すのは
「ウォーーーーリーーーー」と「イヴァーーーーー」だけですからw

しかし一切台詞がないのに映画のストーリーはわかりますし、 ウォーリーの感情までわかるのです。  もう一度いいますがウォーリーはロボットです。 人間のように表情で感情を表現できないのです。(トランスフォーマー2ではバンブルビー泣いてましたけどねw)

言葉でも表情でも感情表現がわからないのに、 少し動く目のレンズと「うー」とか「わー」といった言葉ではない言葉のトーンで、 ウォーリーの喜怒哀楽がわかるのです。

テレビを見て「誰かと手が繋ぎたい」と夢見ていること。 初めてイヴを見た時すぐに恋に落ちたこと。イヴと離れそうになった時焦ったこと。イヴに気持ちが伝わって喜ぶこと。そして元気のない時のこと。それらがわずかな動きでも伝わってくるのです。

これはもうアンドリュー・スタントン率いるピクサーの制作チームの才能以外の何者でもありません。 言葉も無ければ台詞もない、しかしストーリーはわかり、感情までわかる。しかも楽しい!それに添えられるトーマス・ニューマンの音楽がまた素晴らしい。

時に美しく、時に楽しく、時に悲しく。この神懸りの前半戦でお腹いっぱい大満足です。


本作はここからの後半がまた凄い

しかし廃墟と化した地球でのウォーリーの楽しいお話だけでは、 この映画が何を伝えたいのかがわかりません。 29世紀、廃墟の地球という設定上、今の文明社会への警告が示されてるわけですが、 前半だけでは「だから何?」とメッセージ上では疑問が残ります。

それを解決していくのが後半になります。少しネタバレになりますが、 これを読んでからでも楽しめますのでこの後もお付き合い下さい。

本作後半には人間が出てきます。 イヴの正体といいますか、イヴが地球にきた目的こそ伏せますが、 イヴとのあれこれの末にウォーリーは宇宙船アクシオム号にたどり着きます。 この船は700年前にゴミだらけで暮らせなくなった人間が脱出兼娯楽旅行として出発した船で、 何世代にも渡り航行を続け今でも安全に宇宙を旅している船です。

各種ロボットが超高性能で食事から散髪や娯楽までロボットが手伝ってくれる夢のような生活です。 正直この設備でならお金出して1週間くらいは行きたいと思いました。 でも「1週間」でいいです。 なぜか? 映画を見ればわかりますが、ここで登場する人間は自ら行動することを放棄した人間です。 一言で言えば太って動けない人間です。それも100人中100人。 ロボットは便利だが生まれた時から動かないから太って自分で何もできないという。 これは痛烈な皮肉ですね。

そんな人間たちはウォーリーがアクシオム号でハチャメチャすることで一人また一人と、 自分で行動することをしていきます。 船長も地球に帰ることを決意します。 この人間が地球に帰るというのが映画のもう1つの大きな主題となります。

よってこの映画は娯楽性とメッセージ性を兼ね備えた、「ウォーリーとイヴの恋の物語」であり「人間が地球で再生しようとする物語」なのです。人間の物語における船長の台詞「私は生き残りたいんじゃない。生きたいんだ。」は名言ですね。

書いてると後半は重い話なのかとも思いますが、 これらがハチャメチャ騒動として娯楽たっぷりに描かれます。 なのでくすくす笑ったり驚いたり楽しめます。 前半の廃墟な地球と違いアクシオム号は美しいですし映像美も堪能できます。

大騒動が収まり、廃墟の地球が最後の場面となります。 ウォーリーとイヴの恋も決着がつきます。 うるうるしちゃいましたね決着つくまで。 この二人の恋模様については満足した方多いのではないでしょうか。


結末への賛否両論を考えてみる

しかし人間側の決着については賛否ありますね。 「ウォーリーこそ生きれたがこんな廃墟の地球で人間が再スタート切れるわけがない。 デブで自分の動きもままならない人間が新しく文明なんて作れるわけがない。 植物の苗からピザが生えてくると思ってる連中だ」 確かにそのような不安を残しますね。

ここで映画は終わります。

が、ここで終わらないのがこの映画が傑作と思う所以です。

この映画はこのあとエンドロール中に絵画1枚1枚によってその後の物語が語られるのです。1歩、また1歩と再生していく人間の姿が描かれます。 確かに今までダラけた生活をして何も知らない無知な人間たち。 しかし、絵画を見るとわかるのですが、そこに描かれているのは、 再生への苦悩ではなく「ロボットと共に新たな未来を築いていこう」というメッセージです。

このエンドロールを美術史の観点から詳細にTwitterで解説してくださったまとめがあるのでペタリ

映画のストーリー上、地球が廃墟になったのは人間がゴミを出しすぎたせい。 だからあとはお掃除ロボットにお任せ。しかし地球のゴミはロボットでもどうにもならず、 結果人間は宇宙を航行して生き残るしか選択肢がなくなったという感じです。

人間か?ロボットか?の択一の結果人間はロボットにコントロールされるだけとなり… となってしまっていたものが最後は「人間とロボットの共存」になるのです。

ストーリーとしてこれが100年後もうまく共存しているかという保証はないでしょう。 しかし映画としてはうまく決着の付いたラストでしょう。だからこそ私はこの映画が大好きなのです。 時に寝転がりながらiPadで見れる楽しい映画でもあり、 時にしっかり集中してメッセージ性を噛み締め、かつ明るい未来を考えるメッセージ映画でもあり、 無声映画として素晴らしいクオリティの映像、演出の楽しめる映画好きにはたまらない映画でもあるのです。

色んな見方のできる奥深い映画なのです。今の子供たちでこの映画を見た子は
「ウォーリーかわいい」「イヴ強い」「モーかわいい」
 などという印象になるでしょう。

それでこそアニメ映画なのでそう思って楽しんでほしいですね。 これが10年、20年となった時、昔何となく面白かったウォーリーを見て、色々深く考えた、 なんてことが起きるかもしれませんね。

どん底からの再生、それは映画のように地球規模でも言えますし、  各国、日本という括りでも言えるでしょう。震災等自然災害でもそうでしょう。 苦悩があり、そして先が見えないこともあります。 しかしそれを何とか乗り越え、時に助けあい、時にぶつかり合い、 そして過去を振り返ったときに、未来に少しだけ希望が見えるといいな。 また未来に不安が見えたなら少しでもそれを先に摘み取って、笑顔が少しでも増えるといいな。

 そんなことを思わせてくれる映画でした。


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