『マン・オブ・スティール』感想、これを見ずして夏の映画は語れぬぞ!!【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

『マン・オブ・スティール』感想、これを見ずして夏の映画は語れぬぞ!!【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]


『マン・オブ・スティール』基本情報

タイトル
=『マン・オブ・スティール』

原題
="Man of Steel"

監督
=ザック・スナイダー

出演
=ヘンリー・カヴィル
=エイミー・アダムス
=マイケル・シャノン
=ケヴィン・コスナー
=ダイアン・レイン
=ローレンス・フィッシュバーン
=アイェレット・ゾラー
=ラッセル・クロウ

ストーリー
ジョー・エル(ラッセル・クロウ)は、滅びる寸前の惑星クリプトンから生まれたばかりの息子を宇宙船に乗せて地球へと送り出す。その後クラーク(ヘンリー・カヴィル)は、偶然宇宙船を発見した父(ケヴィン・コスナー)と母(ダイアン・レイン)に大事に育てられる。そして成長した彼は、クリプトン星の生き残りのゾッド将軍と対峙することになり……。

予告編
http://www.youtube.com/watch?v=CfRMW37AA7g


はじめに

少年はある時気づきました。
愛情を持って育ててくれている両親が実の両親でないと。
そして少年は気づきました。自分が普通の人間でないと。


その事実を知った時、少年はただ一言、育ての父親に聞きました。
「父さんの子供でいちゃダメなの?」と。

「いいに決まってるだろ。お前は俺の息子だよ。」
そう言って少年を抱き寄せます。


父親は続けます。
「でも、お前には使命があるはずだ。一生かかってでもそれを突き止めろ。」と。

これが今回仕切り直しとなった新生スーパーマンの核となります。


そう、新生スーパーマン『マン・オブ・スティール』は悪を倒す正義の味方スーパーマンの映画ではないのです。クリプトン星に生まれ、人間以上の身体能力を持った青年クラーク・ケントが自らのアイデンティティと向かい合い、苦悩し、成長していく物語なのです。

製作・原案にクリストファー・ノーラン。そう、『ダークナイト』シリーズを作り上げたあの天才が仕掛け人に入ってます。徹底的に現実世界で起きてる物語としてバットマンを作り上げたノーランが、監督を『ウォッチメン』のザック・スナイダーに託し完成させた映画、それが新生スーパーマン『マン・オブ・スティール』なのです。



感想「最高の映画体験!」

日本公開前に幸いにも鑑賞することができました。
3Dにて鑑賞しました。感想、一言で表せる言葉があります。
"最高の映画体験"、これに尽きます。

"映画を観るその体験"としてこれ以上に満足度はありません。

リアルな世界で超人クラーク・ケントが苦悩し戦う物語性。その上に超人を描くSF性との絶妙なバランス。

ヘンリー・カヴィル演じる主人公クラーク・ケントのフレッシュさとエイミー・アダムスら周りを固める豪華俳優陣の世界観に合った名演技。特にケヴィン・コスナーに涙涙。

クリストファー・ノーランでは難しかったであろう、ザック・スナイダーが監督だからこそ成し得たCGフル活用の大迫力で過去最速とも言える3Dアクション等の映像。

"今までのスーパーマンとは違うぞ!"を明確に表したハンス・ジマー作曲の新たなるテーマ曲の美しさ・切なさ・そして迫力。

上げていくとキリがない程様々な魅力が融合して"映画を観ること"として極上の体験をすることができました。

[DVD/Blu-ray発売済み]
自分自身に置き換える物語ではなく、涙を流すような映画でもなく、心を痛めるようなものでもなく…何かに特化して「感動した!」という映画とは全く異なります。だからこそ様々な感想が吹き荒れる映画であると思います。ただその映画体験は極上のものである、そのことは繰り返し繰り返しお伝えしたい次第であります。

私のように『ダークナイト』シリーズのようなヒーロー像が好きな方はノーラン案件のその一歩先の新たなるヒーロー映画として絶対に楽しめるでしょう。ただ今回はバットマンとは違い、超人であるスーパーマン。『ダークナイト』シリーズとは似て非なるものとしてきっと熱狂するに違いありません。

ただ否定派も多い本作。それは映画の完成度にではなくスーパーマンが完全に新しく描かれているためです。正義のヒーローではなく彼は地球に隠れた超人であり、この『マン・オブ・スティール』では地球人に受け入れられない苦悩も描かれるのです。

それは従来のスーパーマンとは全くことなります。シリアス、とにかくシリアス。
クリストファー・ノーラン案件と考えたり、ダークナイト好きとしてはもう大歓迎も大熱狂ですが、今までのスーパーマンとは違う、これは覚悟をしましょう。

3Dアクションのスピードとド迫力、これが当然最大の魅力です。3Dおすすめします!
超人故に宇宙に飛び出すわ、ビル貫通するほどの戦いするわ、建物いくつも崩壊するわ、と「おいおい、やり過ぎだろw」と思ったりもしたわけですがそんなのご愛嬌w

そして映画の満足度を決めるのはやはりラストシーンでしょう。ラスト数分はとてもノーラン映画的で"もうすぐ終わる"という空気を伴います。そのラスト私は思わずニヤリとしてしまいました。

現存する最も似た作品は今までのスーパーマンではなく『バットマン・ビギンズ』。そう、これは"スーパーマンビギンズ"なのです。新たに仕切り直されたスーパーマン。全く新しいスーパーマン。

いや、スーパーマンではないですね。鋼鉄の男=マン・オブ・スティール。
超面白いです!オススメです!

※バットマンと同じ世界なので途中人工衛星がウェインカンパニーのものとして出てきます。小ネタ、発見してみてくださいね(笑)


今までのスーパーマンと比べるものではない

・今回のスーパーマンは今までのスーパーマンではありません。
バットマンが"ダークナイト"であった以上に、スーパーマンと表現するのが間違ってると思うほどです。なぜなら映画の中で1箇所しか"スーパーマン"て言葉出てこないのです。

・これは超人である鋼鉄の男(マン・オブ・スティール)クラーク・ケントの始まりの物語なわけです。だからこそタイトルにスーパーマンが付かないのです。

・今までのスーパーマンのように赤いパンツは履いてません。
善悪しっかり区別されません(ダークナイト路線)。

・ヒーローは苦悩し、称賛なんてそう簡単にされません。手錠かけられたりします。

・ジョン・ウィリアムズ作曲のあのテーマ?かかりません。

・今までのスーパーマンがやらなかったことやります。驚きました。しかしその苦悩は今後続編等でも引きずるのでしょう。


何を言いたいか。
今までと比べるものではない、と言いたいのです。

私のように映画ファン歴が浅く、アメコミヒーローと言えばノーランの『ダークナイト』シリーズを筆頭に上げるような人間は意識的に過去のスーパーマンとは比較しないでしょう。

しかし今まで様々映像化されてきたスーパーマンが大好きな方は無意識で比較してしまうでしょう。それは何も良いことを生みません。なぜなら今までと違うのですから。今までの何かを恋しく思っても、いくら思ってもここにそれはないのです。

スーパーマンを新たに解釈したものとして、新たな主人公クラーク・ケントの物語として楽しみましょう。ここにはその新たな魅力があり、そして随所に今まであった魅力も存在しているのですから。



"三人の父"、"三人の母"

クラーク・ケントには実の両親と育ての両親がいます。
実の両親をラッセル・クロウとアイェレット・ゾラーが。
育ての両親をケヴィン・コスナーとダイアン・レインが演じています。

このキャスティングがもう見事なのです。
ラッセル・クロウは全編に渡り物語の進行役も務める活躍。
そしてケヴィン・コスナーはクラークの超人的能力による苦悩を共有し、生きる術を教えていきます。

二人の母親もお見事。
アイェレット・ゾラーは冒頭のみですが、なんて素晴らしい存在感。
この方『天使と悪魔』や『バンテージ・ポイント』でも活躍されてます。
そしてダイアン・レインですよ。いいですよ、この強いけど弱い感じ。


さて、この章のタイトルは"三人の父"、"三人の母"と書きました。
そう、もう一人ずつ父親代わりと母親代わりがいるのです。
父親代わりは神父さん、母親代わりはエイミー・アダムス演じるロイスです。

神父さんは一場面しか出てきません。
しかしクラークにとても重要な背中を押すアドバイスをします。
全編に渡りキリスト教的要素がある本作、この点別途コラムでも書こうかなと思ってます。

そしてロイス。もちろん映画の中ではヒロインの役割。
原作や今までの映画のロイス以上に役割の重要度が増してると思います。
なぜなら『マン・オブ・スティール』においてクラーク・ケントは最初敵と見なされているからです。

地球人とクリプトン星人を繋ぐ架け橋にロイスがなっているのです。
そして映画の中盤とクライマックスでは苦悩するクラークの支えともなります。
この辺今まで描かれてこなかったところだけにしっかり切ない描写になっていてとても素敵でした。

エイミー・アダムスと言えば『魔法にかけられて』が有名ですが、
『ダウト』『ザ・ファイター』『ザ・マスター』でアカデミー賞にもノミネートされており、
シリアスな演技もお手のもの。今後シリーズが続く中で更なる存在感となっていったらなと願っています。


ということで3人ずついる父と母。
これは物語のドラマ性も高めるものであります。
シリアスな新スーパーマン『マン・オブ・スティール』ならではの魅力ともいえるでしょう。





新たなる次元への序章に過ぎない

昨年公開された007最新作『007 スカイフォール』、そしてこの『マン・オブ・スティール』。この2作は同じ宿命を背負わされています。それは"次の映画こそが最重要"であるということです。

『007 スカイフォール』は007シリーズ50周年にして、ここでまた仕切り直しをしました。ご覧になられた方ならわかるでしょう。ここから次の次元へと進んでいくのです。

『マン・オブ・スティール』も同じです。これは新たなる仕切り直しに過ぎないのです。このクラーク・ケントの物語の始まりがこれからどう進んでいくかが重要なのです。

つまり『007 スカイフォール』も『マン・オブ・スティール』も『バットマン・ビギンズ』としては成功したので、次なるステップで『ダークナイト』へなる必要があるのです。


『マン・オブ・スティール』、既に世界的に大ヒットしており評判も良いです。続編は2015年の公開が既に決定しています。この作品がどうなるか。それが重要なのです。『マン・オブ・スティール』の続編既にどういう構想が決まっています。

そう、『マン・オブ・スティール』次回作、なんとバットマンが登場します!
仮のタイトルで『スーパーマン VS バットマン』(または逆)ということも発表されています。この作品が正念場です。

超人スーパーマンにバットマンなんて勝てないだろと笑われる方もいらっしゃいます。しかしその考えは間違えです。真っ向から対立するわけではないのです。この2作目はフランク・ミラーのグラフィティノベル『バットマン:ダークナイト・リターンズ』が原作となります。

そして2017年にDCコミックのその他ヒーローも集結した『ジャスティスリーグ』の公開も決定しています。その前に2016年にはDCコミックヒーロー『フラッシュ』の公開も決定しています。

『マン・オブ・スティール』は次回作への序章であると同時にDCコミックの新たなる作品群の序章に過ぎないのです。

私はこの『マン・オブ・スティール』冒頭から熱意込めて書いたように本当に大傑作であると思いました。しかし『007 スカイフォール』の時と同じように"まだまだやれる。これからだ!"と思うわけです。

『バットマン・ビギンズ』が『ダークナイト』『ダークナイト・ライジング』に深みを与えたように、この『マン・オブ・スティール』がこれからもDCコミック映画へ深みを与えることができるのか。

それを目撃するまでこの映画は満点の映画にはならないのです。
その時を心待ちにしながら日本公開8月30日以降、私は今年公開されたどの映画よりもテンション上げて2度目以降の鑑賞をし、そしてリピートをしていきます。

なぜか?
ここに"最高の映画体験"があるからです。


written by shuhei