映画『ドラゴン・タトゥーの女』感想、破壊的傑作にフィンチャーの真髄を見た![ネタバレなし] - Cinema A La Carte

映画『ドラゴン・タトゥーの女』感想、破壊的傑作にフィンチャーの真髄を見た![ネタバレなし]



『ドラゴン・タトゥーの女』基本情報

タイトル
=ドラゴン・タトゥーの女

原題
=THE GIRL WITH THE DRAGON TATTOO

監督
=デヴィッド・フィンチャー

出演
=ダニエル・クレイグ
=ルーニー・マーラ
=ロビン・ライト・ペン
=ステラン・スカルスガルド
=クリストファー・プラマー

ストーリー
月刊誌「ミレニアム」で大物実業家の不正行為を暴いたジャーナリストのミカエル(ダニエル・クレイグ)。そんな彼のもとに、ある大財閥会長から40年前に起こった兄の孫娘失踪(しっそう)事件の調査依頼が舞い込む。連続猟奇殺人事件が失踪(しっそう)にかかわっていると察知したミカエルは、天才ハッカー、リスベット(ルーニー・マーラ)にリサーチ協力を求める。

予告編


フィンチャー監督ファン中毒必須の大傑作!!

もう最高の映画ですよホントに!監督は鬼才デヴィッド・フィンチャー!

近年だと『ソーシャルネットワーク』や『ベンジャミン・バトン数奇な人生』など、描写的には平和な傑作を生み出していますが、デヴィッド・フィンチャーの代表作と言えばやはり『セブン』、そして『ファイトクラブ』。

THE バイオレンスな傑作です。そんなフィンチャー節全開の映画が久しぶりに帰ってきたのです!映画ファンとして暴力描写に涙しそうになりましたw

しかもそのバイオレンス描写、そして割りとエグい性的描写は、それをショッキングな見世物のするのではなく、ストーリーを進める上で必要なシーンなのです。



ネタバレは極力避けるので抽象的な言い方で例を出せば、リスベットが前半で後見人にしたいようにされるより、仕返しの描写の方が長く展開される点などがそれを表しているでしょう。

あくまでもそれは映画のストーリーの一部でしか無く主題ではないのです。

だからこそ描写のエグさにフィンチャー節が炸裂しつつ、スピーディーでダレのない近年の成熟したフィンチャー作品と共通する良さも垣間見られるのです。私は絶賛しますが万人向けではないことは間違いありません。



そんな映画を引っ張るのは当然主人公二人。ルーニー・マーラ×ダニエル・クレイグのキャスティングは完璧でした。『ソーシャルネットワーク』でマーク・ザッカーバーグを振ったエリカを演じたルーニー・マーラがドラゴン・タトゥーの女リスベットを演じていますが、全くの別人です。

本当にピアスの穴を開けたそうで、演技も凄まじい、文字通りの体当たり演技でした。彼女は本作で今年度のアカデミー賞主演女優賞にノミネートされていますが納得です。ドラゴン・タトゥーの女リスベットの前半の悲劇はかなりエグいです。

ある超絶暴力のあと足を引きずりながら階段を降りていくシーンはこちらが痛みを感じるほどでした。本当にそうされたんじゃないか?演技なわけですよこれは。しかしこちらが痛みを感じ・・・「うわあ・・・」となるほどの体当たり演技でした。

そしてもう一人の主人公、ミカエルを演じたダニエル・クレイグ。いやぁ・・・ハマっておる。完璧である。ジェームズ・ボンドとは違う印象で見事でしたね。

そして本作の終盤に出てくる猟奇殺人犯、まぁ単刀直入に言えば変態殺人鬼。誰が演じたかは伏せましょう。感情的にならず冷静沈着な殺人鬼でおぞましかったですね。

パッと見の不気味さは『セブン』でケヴィン・スペイシーが演じたジョン・ドウの方がありますが、知的で二面性のある変態殺人鬼として別の意味でおぞましかったです。この殺人鬼が誰かを伏せる関係で他の出演者の名前も伏せますが、他の出演者も見事な演技でした。いいキャスティングするなぁフィンチャー映画はいつも。



本作の日本版ポスターのキャッチフレーズでも使われていますが、
「誰がハリエットを殺した?」
のフレーズを頭に入れておくと非常に面白いと思います。

「ハリエットを殺したのはお前だ」のようなことをある人物が殺人鬼に言う場面があります。その時の殺人鬼の反応をちゃんと見ましょう。

よくわからない言い方かもしれませんが、この「誰がハリエットを殺した?」是非頭に入れて見て頂ければと思います。

本作は捜査の過程で登場人物がたくさん出てきます。私も注意深く見てましたが全員の名前を覚えることはできませんでした。それゆえにサスペンスなど見慣れていない方だと置いてけぼりになってしまう可能性もあるでしょう。

しかしその時も是非「誰がハリエットを殺した?」を忘れないようにしてみてください。
物語の軸の1つはそれですので。物語の軸の1つではありますが、全てではありません。
映画のタイトルは『ドラゴン・タトゥーの女』であるので、ドラゴン・タトゥーの女リスベットの壮絶な物語もしっかり抑えることでかなり深く映画が堪能できます。

映画の後半はリスベットは捜査に全面協力ですのでそこはひたすら「誰がハリエットを殺した?」で問題はありません。映画の前半、そして真相が明らかになったあとのクライマックス、リスベットの物語を堪能しましょう。

まぁ既に書いた通り壮絶な人生ですね・・・それ故にラストが光ります。



映画全編への状線になっているものが1つあります。
そうそれはオープニングロールです。
http://www.youtube.com/watch?v=mVLJkIZvFlo

このオープニングはYouTubeで流れたこともあり割りと広まっていますが、間違いなく映画史上最高のオシャレなオープニングです。鳥肌が立つほどでした。

そんなオープニングロール、「すげぇ・・・」と圧倒されてしまいますが、
是非描写もよく見て見てください。

これ本編とリンクしてます。細かいなぁフィンチャーw


暴力的な映画でしたが完成度は高く、ストーリーも濃い。一度で全てが理解できたわけではないのです。もはや芸術の域である完成度の高さ、確実に万人受けはしないでしょう。

だから「傑作だから観に行きましょう!」とは言いません。しかし映画を愛する方、フィンチャーファンの方は是非この見事な完成度を味わってほしいです。肌に合わない部分もあるでしょう。

もしかしかたストーリー自体が嫌いという方もいるでしょう。それでもこの映画の映像や音楽、演出、演技が一級品なのは間違いありません。観たいと思った方は是非観てほしいなと思います。

そして今レビューを書きながらこう思ったり。「日本のサスペンス映画もっと頑張れ」と。


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