映画『シンデレラマン』紹介、家族のために不屈の精神で戦う一人の男にただただ涙・・・[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

映画『シンデレラマン』紹介、家族のために不屈の精神で戦う一人の男にただただ涙・・・[ネタバレなし]




『シンデレラマン』基本情報

タイトル
=シンデレラマン

原題
=Cinderella Man

監督
=ロン・ハワード

出演
=ラッセル・クロウ
=レニー・ゼルウィガー
=ポール・ジアマッティ

ストーリー
ボクサーとして華やかな戦歴を持つジム・ブラドック(ラッセル・クロウ)だったが、全盛期も過ぎ、ライセンスを剥奪されてしまう。そのため日雇いの仕事をしながら妻(レニー・ゼルウィガー)や子供たちと暮らしてしたがその生活は貧しく、食べ物を買うことさえもやっとだった。絶望的な貧困の中で家族のために必死にチャンスをつかもうとする男の実話を基に描いた感動の人間ドラマ。

予告編


はじめに

監督
ロン・ハワード(「ビューティフルマインド」でアカデミー賞受賞)

プロデューサー

ブライアン・グレイザー (「ビューティフルマインド」でアカデミー賞受賞)


出演

ラッセル・クロウ(「グラディエーター」でアカデミー賞受賞)

レニー・ゼルウィガー(「コールドマウンテン」でアカデミー賞受賞)



アカデミー賞受賞の名スタッフと名優によるコラボレーション、それが見事に傑作に結びついた感動大作です。


家族のいる心優しいボクサーであるジム。彼は名実ともに最高のボクサーであったが、怪我をしてしまいライセンスを剥奪されてしまう。そんな当時はアメリカ大恐慌時代。職を失ったらその日暮らしもままならないほどの貧困社会。

日雇いの仕事を始め何とか生活をしていくが・・・一度栄光を勝ちとった人間の人生の転落、そしてそこからの再生を描いた映画です。本当の意味でのアメリカンドリームという物語とも言えるでしょう。

人生の転落からの再生の物語、そういう映画はたくさんあります。本作はそんな物語の中でもこれでもかというほど単純な構成です。人生転落=職も名誉も女も失い・・・というものが多いですが、本作では家族の絆は揺るぎません。

主人公のジムには良き妻とかわいい子供が3人いて、家族を裏切ることは決してしない。ボクシングでも相手を挑発したり隠れて反則したりなんてしない。誰からも愛されるそんな主人公が時代の流れの中で直面してしまった人生の転落と再生を描いています。

己の戦いという感じではないですね。"みんなのために"再生していく男の物語でしょう。それが本作で感動できる要因なのかもしれません。




本作が傑作たる理由

本作が傑作たる最大の理由はずばり演出でしょう。『ビューティフルマインド』ではトリッキーな演出でどんでん返し的なものを取り入れたロン・ハワード監督ですが本作はストレートに物語を作り上げました。

まさに人生の栄光、転落、再生。ただそれだけの物語。ただそれだけなのに何度となく訪れる感動。名監督たるさすがの演出といった感じです

決してスピーディーには進まないゆったりとした時間が流れていく映画ですが、その淡々と進む物語がじわじわと感動を生み、ラストだけでなく何度も何度も感動するシーンが出てくる。本当に丁寧に作らせた映画だなぁと思います。

人間ドラマを丁寧に作り上げつつ、ボクシングシーンはスロー映像とたくさんのカット割りで迫力あるものに仕上げています。当時のカメラのストロボも上手いこと演出に取り入れられていますね。パンチを食らうシーンにタイミングよくたかれるフラッシュなどは映像をより一層迫力あるものに仕上げます。

撮影スタッフと編集スタッフの努力が見事に融合したボクシングシーンでした。それもやはりロン・ハワード監督の演出の賜物でしょう。

淡々と進みつつも幾度となくやってくる感動と迫力あるボクシングシーンの連続によって、最後の30分は我々映画を見ているものもジムの人生を応援しているような気持ちになります。

最後の30分は人生の再生をかけたボクシングシーンです。最強と言われた相手に立ち向かっていくジムのシーン。ただのボクシングシーンではなく、それと同時に映しだされる見守る家族や友人たちの映像に胸が痛くなります。「お願いだ!勝ってくれ!!」そう思いながらラストは見入ってしまいました。

それに間違いなく貢献しているのはトーマス・ニューマンによる音楽。ピアノ調のシンプルな旋律がメインの中盤までと異なりラストは音楽も盛り上がりを見せます。そして試合が終わり、、、そこからラストまでは是非映画をご覧になってください。

途中何度も訪れた感動をすべて足しても足りないほど大きな感動がラストを飾ります。ぐだぐだと試合後の残りのドラマを語らず潔くエンドロールに持っていく大胆さもさすがです。これが映画の後味をとても良いものにしています。

主人公に性格面での欠点が見当たらないこともあると思いますが、本当に感動しすっきりとした気持ちになります。演出の賜物でしょう。


演出に見事に応えた俳優陣がまた見事

そんな演出の元に形になった俳優陣の演技がこれまたお見事です。まずラッセル・クロウ。『グラディエーター』では強く将軍を、『ビューティフルマインド』では天才数学者と、いつもいつも名演を魅せる俳優ですが、本作では強くも弱くもあるボクサーであり、心優しい父親でもあるジムにぴったりでしたね。

例えばの話ですがこれがヒュー・ジャックマンなどばりばりアクション最適俳優が演じてたら、ジムの弱さは体現できなかったでしょう。完璧とは言えない体つきがジムの役柄にぴったりでしたね。栄光と挫折を味わったボクサー、何が何でも家族を守りたいがために挫折しても日々頑張る父親。見事な演技でした。

そんなジムの妻役はそのラッセルの名演に応えなければなりません。レニー・ゼルウィガー、さすがです、見事に応えました。彼女は一見強い妻であり母親。しかし旦那のボクシングは見に行けない。なぜなら何かあったら恐いから。そんな弱さも持ちあわせています。しかしそれは隠している。そんな複雑な演技が見事にハマっていました。ラストのボクシングシーンをラジオで見守るシーンは胸が熱くなりましたね。見事でした。

そして忘れてはいけない人物がセコンド役のポール・ジアマッティです。彼はこの名演技でアカデミー賞助演男優賞にノミネートされています。一癖も二癖もある性格がいいんだか悪いんだかわからない熱い男を好演しました。中盤も複雑な立ち位置のシーンでは静かに耐える男となり、ラストのボクシングシーンではひたすら燃えて吠える熱きセコンドとなりました。最後の表情も忘れられません。素晴らしい演技でした。

そんな3人がメインに立ちつつ、周りの俳優陣も控えめに見事な好演を見せました。教会の牧師や教会で出会った夫妻、特に妻も複雑な役でしたが見事な演技でした。


まとめ

ストレートな物語、しかしそれは誰もが応援したくなる男の物語。そしてそれを見事傑作に仕上げたロン・ハワード監督の演出。それに応えたスタッフと俳優陣。何かを考えたりするのではなく、見終わった後ただただ「よかった。」そう思える傑作でした。

私は複雑な脚本構成だったり
(クリストファー・ノーラン作品など)、

迫力があったりスタイリッシュな映像
(デヴィッド・フィンチャーやポール・グリーングラス作品など)、

がテイストとしては最も好きなのですが、

こういったストレートな作品でただただ感動して心が温かくなるのもいいなぁって思える作品でしたね。

1920年代のアメリカの一人の男の物語。映画でも無ければ知ることのなかった物語でしょう。映画にしてくれてありがとう。そう思っています。



Amazon