狂気の沙汰w映像表現=暴力のような衝撃的ビジュアル炸裂『ザ・マスター』【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし] - Cinema A La Carte

狂気の沙汰w映像表現=暴力のような衝撃的ビジュアル炸裂『ザ・マスター』【映画紹介/2013年公開作】[ネタバレなし]



基本情報
邦題
『ザ・マスター』

原題
"The Master"

監督
ポール・トーマス・アンダーソン

出演
ホアキン・フェニックス、フィリップ・シーモア・ホフマン、エイミー・アダムス

公式サイト
http://themastermovie.jp/

ストーリー
第2次世界大戦後のアメリカ。アルコール依存の元海軍兵士のフレディ(ホアキン・フェニックス)は、「ザ・コーズ」という宗教団体の教祖ドッド(フィリップ・シーモア・ホフマン)に出会う。やがてフレディはドッドを信頼し、ドッドもフレディに一目置くように。そんな中、ドッドの妻・ペギー(エイミー・アダムス)は暴力的なフレディを追放するよう夫に進言し……。(シネマトゥデイより)


予告編




感想(一気に語り下ろし)
本日もあれこれ書きますが、みなさんにはこの名前だけ覚えて頂ければOKです。
ポール・トーマス・アンダーソン監督。
本作『ザ・マスター』の監督でございます。PTAと略されます。

今回もまあこのポール・トーマス・アンダーソン節が炸裂しておりました。
どういうことかと言うと映像が狂気そのものなんですよ。
暴力描写というわけではないです。普通のシーンがいちいち脳にこびりつくのです。

ただ主人公がいるシーン、風景のシーン、人が集うシーン、牢獄、海岸、荒野…
ありとあらゆる映像がまさに写真の連続のように脳に鮮明に焼き付いていきます。
それが連続されるので褒め言葉としてもう狂気の沙汰以外の何ものでもありません。



新興宗教の教祖と信者のストーリーだと思っていきましたが、
それは設定に過ぎずストーリーとしてはダブル主演の"男の心の葛藤"
という印象を強く受けました。

ホアキン・フェニックス演じる主人公フレディは帰還兵でPTS気味の病んだ男。
そんな男がフィリップ・シーモア・ホフマン演じる宗教団体の"マスター"ランカスターと出会います。
しかしフレディは洗脳されません。だから二人の関係が面白く浮かび上がってくるのです。

フレディは洗脳はされないものの心が病んでる人間。
どこかに拠り所を求めていて、あわよくば洗脳されたかったのではとも思います。
その葛藤が何ともエグく…この辺り『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』に引き続きポール・トーマス・アンダーソンの映画だなぁと見ていて思わず苦笑いw

フレディは洗脳されないもののマスターのランカスターを嫌ってはいません。
しかし洗脳されてない以上信者たちとの間に軋轢が生まれていきます。
が、友情のようなものが生まれ始める二人。だからこそフレディは二度ほどランカスターを本気で守ろうとしました。

これが面白いんですよね。
ストーリーの進みはスローです。だからつまらないと思う方も多いようです。
しかし時間をかけて人間の感情を描く、というかえぐっていくのです。

最後の着地点はこの手の映画だと予想がつくようなつかないような…
私としては思ったよりすっきりできました。

宗教の映画ではありません。人間の感情、葛藤の映画。
だからこそ見ていて辛くもあり、ポール・トーマス・アンダーソンの鮮烈な映像が突き刺さりました。
二度は見なくていいかな…と思いつつどこかでもう一度観たい自分がいます。

ポール・トーマス・アンダーソンの映画はこれが恐いのです。
全て理解できなかったのにこれですからねw
傑作と言っていいのか悪いのか…"問題作"というのが最適表現な気がしますw


ポール・トーマス・アンダーソン監督の映画特有の鮮烈な映像表現が一番の見どころなのは間違いありません。
しかし、それと並んで本作は俳優陣の演技がとにかく凄いです!

ホアキン・フェニックスとフィリップ・シーモア・ホフマンはほぼダブル主演。
アカデミー賞では主演男優賞と助演男優賞ノミネートでしたが、
いやぁこの二人の演技合戦と言わんばかりの強烈なシーンが連発してました。

ホアキン・フェニックスの演技は葛藤する静の狂気。
フィリップ・シーモア・ホフマンの演技は宴のシーンなど動の狂気に感じました。
鮮烈な映像が脳にこびりついたのはこの二人の熱演も間違いなく影響しています。

そしてアカデミー賞助演女優賞にノミネートされたエイミー・アダムス。
素晴らしいじゃないの!
個人的にはアン・ハサウェイより受賞に相応しかったと思います。

目立つ演技ではないのです。
しかしマスターのランカスターの妻として静かなる存在感を表していました。
エイミー・アダムスは"影の主役"という表現がいいかもです。お見事でした。


ポール・トーマス・アンダーソン監督『マグノリア』や『ゼア・ウィル・ビー・ブラッド』。
問題作と言われる作品を次々とリリースしてる監督です。
本作もその類で間違いないです。

つまり、万人受けなんてしないということです。
本作もアカデミー賞にノミネートされてるからと軽い気持ちで行くべきではないのです。
なぜなら問題作であり、ポール・トーマス・アンダーソンの映画だからです。

もし気になったのなら『マグノリア』辺りを観てから判断されると良いでしょう。
あれもエグいですからw

しかし繰り返し書いてる通り映像が凄まじいです。
映像が狂気となっています。
これだけで映画好きは観る価値のある映画になります。

私もそのように思って映画を楽しみました。
難しいというかよくわからない部分もある本作。
しかし心の葛藤、心の拠り所についての男の物語であると認識して少し理解できたかなと思いました。

正直疲れました。
だってポール・トーマス・アンダーソンの映画ですもんw
しかしこれは褒め言葉。素晴らしい映画であることは間違いないのです。