『ダークナイト・ライジング』、感動の初見の感想をもう一度アップ /『ダークナイト』シリーズ徹底解説コラム17 - Cinema A La Carte

『ダークナイト・ライジング』、感動の初見の感想をもう一度アップ /『ダークナイト』シリーズ徹底解説コラム17




この記事は2012年7月20日に開催された『ダークナイト・ライジング』ジャパン・プレミア試写会後に書いた記事の修正版です。

当時の感動をもう一度。今見るとどんだけ熱篭ってるんだという感じですw


それではスタート。


『ダークナイト・ライジング』プレミア試写会にて鑑賞してきました。一言で表しましょう。

"完璧なシリーズ最終作"

これほどまでに素晴らしいシリーズ最終章があったことでしょうか。

最高傑作という言葉では表せないほど衝撃を受け、感情を揺さぶられ、最後は涙を流し、いや泣き崩れてしまいました。2008年『ダークナイト』を歴代最高の映画だと評したその場所で4年後その続編となる『ダークナイト・ライジング』は私の中にある映画価値観の全てを崩しそしてその全てを包み込みこんでくれたのです。

映画には好みがありますし、人の境遇で諸々見解が異なるものではありますのであくまでも私はということですが、私は本当にとんでもない衝撃を受けて今ももうよくわからない感情の中で文章をまとめています。

私だけでなく最後にタイトル"THE DARK KNIGHT RISES"とタイトルが出たあとの拍手喝采、それは前作『ダークナイト』の時を彷彿とさせるもので多くの方に支持をされたのではないかと思いました。本当に本当に本当に素晴らしい映画でした。


2時間44分、奇跡の物語
今作は前作から8年後を舞台にしています。前作はジョーカーというアナーキストによりゴッサムは混乱に陥りましたが、今回のメインの悪役であるベインの目的な革命です。今作はチャールズ・ディケンズの『二都物語』をベースにしているだけあってとりわけ21世紀のフランス革命を見ているようでした。

革命とは全てを変えてしまうこと。『ダークナイト』の時のように犯罪が多発するのではなくベイン軍団はゴッサム・シティ全体を制圧していくのです。制圧の先には21世紀型革命のための象徴的な兵器も登場しまさに革命そのものがそこで成し遂げられようとしていました。

そんな革命を阻止すべくバットマンは再び立ち上がり、アルフレッドやフォックス、ゴードンらの助けを借りゴッサム・シティをベインの手から再び取り戻そうとするのです。
ストーリーの大枠はこうなります。

そこに敵か味方かわからないセリーナ・カイル兼キャットウーマンが予測不可能な動きをしていきます。ラーズ・アル・グールやスケアクロウ、ジョーカーとは比べ物にならないほどの肉体面と精神面の強敵ベインを前にはバットマンも苦戦を強いられます。

そこに力を貸すべく関わってくるのがジョセフ・ゴードン=レヴィット演じる刑事のジョン・ブレイク、そしてマリオン・コティヤール演じる事業家のミランダ・テイトです。

ベインの目的は革命。ではなぜ彼は革命をしようとするのでしょうか?1作目でも2作目でも名前が出てこなかったベイン、彼の目的といいますか起源は映画の重要な要素ともなり、終盤でその真実を知った時には大きな衝撃を受けました。『ダークナイト・ライジング』最大のどんでん返しだったと思います。

その衝撃は映画を鑑賞する人によって異なるでしょう。それは『バットマン・ビギンズ』と大きく関わってくるためです。ビギンズのエピソードと繋がるベインの起源、是非ビギンズ、特に最初の30分を押さえてから鑑賞しましょう。

ちなみに『ダークナイト』の関わりはラストのハーヴィーデント周りをおさえておきましょう。ちなみにジョーカーは今回一切関係ないです。入る隙のない見事な物語構成です。

『バットマン・ビギンズ』と大きく関わりを持っているということはブルース・ウェインの心をしっかりと描いているということでもあります。良くも悪くもジョーカーが目立ちまくった『ダークナイト』とはこの点などで全くテイストの異なる作品でした。

その点『ダークナイト』と比べて賛否割れるとは思いますが、シリーズへの思い入れのある方ならきっと大きな衝撃や感動を味わうことができるでしょう。

そもそもなぜブルース・ウェインはバットマンになったのか?それはゴッサムの平和を守るためです。彼はどこまでもゴッサムの平和を願っているのです。それをしっかりとわかっていると最後のバットマンの表情と決断には涙を流すしかありませんでした。

彼は時が来るまでゴッサム・シティを捨てることができないのです。時が来るまでは…。

『ダークナイト』でバットマンはゴッサム・シティを追放されました。つまりバットマンはダークナイト(暗黒の騎士)となり誰にも必要とされなくなったのでした。そこからの立ち上がりが本作です。

クリストファー・ノーランのバットマンシリーズはヒーロー映画とは一線を画したことで有名ですが、バットマンとは人々にとって何なのか?それが本作ではしっかりと描かれていました。

彼は暗黒の騎士 "ダークナイト"かもしれません。しかし彼は同時に憧れる人の多いヒーローなのかもしれません。映画の結末からの考察、そしてシリーズが今回で幕を閉じもうバットマンを見ることができないとゴッサム・シティの人々も私達も思うわけです。

しかし間違いなくバットマンはゴッサム・シティの人々の心、そして私たちの心に宿ったのです。彼は永遠に生き続けるのです。何かあったらまたきっと助けてくれるかもしれないのです。なぜなら彼はバットマンだからです。


素晴らしいスタッフとキャスト
素晴らしいストーリーには素晴らしいスタッフとキャストがいます。ジョナサン・ノーランとクリストファー・ノーランの書いた素晴らしき脚本は前作にも増した大規模なシーンが連続していきます。

それをCGではなく極力実写で撮ろうというノーランのスタンスもあり大迫力の映像に仕上がっています。きっと終盤の超大規模戦闘シーン、ほとんど実写なんでしょうね…とんでもない規模ですが…

そんな映画を彩る美術や衣装などのクオリティも当然一級です。全てのスタッフに敬意を評したいです。その中でも音楽が凄まじく素晴らしかったです。ハンス・ジマーのスコアは時に心臓を突き刺すような迫力であり、サントラ収録の割と整理された音楽以上のとんでもない素晴らしいスコアが全編を彩っていました。

アクションシーンでのスコアも当然素晴らしいですが、サントラにも収録されている"RISE"という曲の美しさと切なさがやはり心を打ちました。ラスト7分のための音楽です。是非サントラ入手して聴いてみてくださいね。


そんな超一級のスタッフの元で役を演じるキャスト陣、今回もノーラン組完璧です。

クリスチャン・ベールの魂の演技は前作以上。もう彼=ブルース・ウェインですね。中盤かなり痛々しい場面もありましたがすばらしかったです。

そんなクリスチャン・ベール演じるブルース・ウェイン/バットマンの適役トム・ハーディのベインも前作のジョーカーのとは別次元の恐ろしさに溢れ素晴らしい演技でした。特にタンブラーに乗っての演説シーンと連続する暴力シーンには鳥肌が立ちました。

そして今作3人の主役に位置づけするもう一人がアン・ハサウェイ演じたセリーナ・カイル/キャットウーマン。アン・ハサウェイがノーランの世界観に合うのか未知数でしたがぴったりでした。もうキャットウーマンと言えばアン・ハサウェイでしょう。

そんな主要人物を支えるマイケル・ケイン演じるアルフレッドには今作では泣かされました。名演技…。モーガン・フリーマン演じるフォックスは今回も冷静さを武器に大活躍で素晴らしき演技。

そしてゲイリー・オールドマン演じるゴードン、前作の最後についた嘘によって立場を危うくされながらも正義と熱意が失わずの頼れるゴードンは健在でした。

そんなキャスト陣の中でも今作でものすごく素晴らしかったのがジョセフ・ゴードン=レヴィット演じるジョン・ブレイクとマリオン・コティヤール演じるミランダ・テイトでした。ジョセフ・ゴードン=レヴィットはとにかくカッコいい。

ジャパン・プレミアでもジョセフ・ゴードン=レヴィットのクレジットの時が最も拍手が大きかったです。それくらいの活躍です。

そして予告編や事前情報が最も少なかったマリオン・コティヤール演じるミランダ・テイト。事前で伏せられてる役なので、そのままにしておきますが素晴らしいのなんの…。本作の撮影と彼女自身の出産が被っていたため出演も危ぶまれましたがノーランの強い意向で出産後1ヶ月で本作へ参加したようです。

彼女じゃなければいけなかった理由は映画を見ると納得できました。こりゃマリオン・コティヤールじゃないと無理だ…他の女優さんでは考えられない素晴らしい演技でした。



『ダークナイト』の最後に感じた"救い"は崩壊し、最後に"希望"へ
『ダークナイト』のラストは名シーンだと私はダークナイトのレビューで語りましたが『ダークナイト・ライジング』で徹底的にそのラストはなし崩しにされていきます。なぜならそれは嘘で塗り固められた決断だったためです。

監督自ら『ダークナイト』ラストの"救い"を本作で破壊しました。その決意に脱帽…しかしそれを重く描いていくだけでなく本作ではその先"希望"へと繋げていくのです。

映画史に残る伝説のエンディングとも言われる本作のエンディング、最後の7分はその言葉が陳腐に聞こえるほどまさに伝説のエンディングでしょう。ただ結末を描くのではなく本作の中で何気なく撒いていたあらゆる伏線が一気に回収され大きな感動を呼び起こします。

気づいた時にはエンドロールで号泣しながら拍手を送っていました。シリーズ最終章としてこれ以上ない完璧なラストシーンでした。

バットマンはヒーローになれたのでしょうか?間違いなくバットマンは『ダークナイト・ライジング』でヒーローとなりました。『ダークナイト』でゴッサムを追い出された彼はヒーローになりました。

ではどんな?それは是非映画を観てご堪能を。ただの街のヒーローというだけでなく人々の心に生き続けるヒーローになったと思います。子供も憧れるヒーローそれが"バットマン"なのです。



クリストファー・ノーランという天才の奇跡
本作『ダークナイト・ライジング』はあの超傑作『ダークナイト』の後でクリストファー・ノーランのプレッシャーは相当なものであったと思います。情報が一切ない時はファンとしてどんなに駄作でもシリーズを最後まで投げ出さず作ってくれたことに感謝すればいいんだと予防線を張ったりもしていました。

しかし結果は繰り返している通り大傑作。

『インセプション』でもそうでしたが大きなプレッシャーに負けずその上をいく映画を提供してくれるクリストファー・ノーランはやはり天才であり奇跡です。特に本作は『ダークナイト』を超えてやるという意思よりも、しっかりとこのシリーズを着地させるという意思、そこにプラスして1本の映画、革命を描く映画としてどこまでも素晴らしい映画へと仕上げようという意思を感じました。

『ダークナイト』以上に諸々"熱さ"も感じました。本当に本当にこの人は素晴らしいです。きっと次回作も斜め上ということで私たちを楽しませてくれるでしょう。とか言って超難解なのきても全然ウェルカムです(笑)



映画を観る喜びの再認識
素晴らしき傑作を見れたことで言葉に表すことができない感動を今振り絞って言葉に置き換えてるわけですが、では映画を見てその延長線に何を思ったのか、それを考えてみます。

映画は手広く言えばエンターテイメント、つまり娯楽であり楽しむことができればいいと思います。楽しめれば良い映画もある、元気になれる映画もある、スピルバーグの歴史系映画のように心を掴まれ世界の平和を願うこともあります。

好き嫌いは別として『バベル』のように映画で起きた悲劇の連鎖は私達の世界とも繋がっているんだというメッセージもあります。

では『ダークナイト・ライジング』から何を感じたか、バットマン×ゴッサム・シティという架空の世界のリアリティある世界から何を感じたか。そこには勇気があり喜怒哀楽の全ての感情があり、そして最後には希望がありました。

あらゆる感情を揺さぶられ奮い立たされたわけですが、私が最も感じたことは総じて"映画を観る喜び"でした。映画は多くの人が感動を共有できる娯楽の1つです。映画『ニュー・シネマ・パラダイス』なんかでもそれはしっかりと描かれていますね。

画面で進む物語に私達は心の一部を預け身を任せるのです。そんな映画は終わったあと様々な感想を述べられます。感動を共有することもあれば駄作感を共有することもあります。近年映画レビューはネットで容易に書けるようになり批判をすることも1つの文化となっている側面もあります。

批判や上から目線で映画評を書く方もいらっしゃるでしょう。でもそれでいいと思うのです。好き嫌いはありますし、そんな批判は当然心の中心に別の大切な作品があるからこそ起こり得るのです。映画が好きなことには変わりないのです。

どんな批判でも『映画というシステムそのものの絶滅を願う』なんていうレビューは見たことないですもんね(笑)

みんなが大好きな映画という娯楽なのです。そんな映画を今日は東京国際フォーラムという5000人で共に鑑賞できたわけです。映画自体が素晴らしかったのは述べてきたとおりですが、最後に起きた拍手をその場で共有できたことが今日一番の喜びかもしれません。

大方絶賛している本作でも嫌いという方はいるでしょう。でもそれはそれでいいじゃないですか。映画館という空間で良い作品も悪い作品も時間を共有することは素晴らしいことです。

映画を見る行為は思い出となります。

作品自体への思い出、一緒に見た人との思い出、隣の人がトイレに行ったりで落ち着かなかった思い出など(笑)

そんな映画への喜びを本作の2時間44分で感じることができました。映画が趣味になってからたくさんの映画に触れてきましたが、それらが喜びとして感情で襲ってきたのは初めてかもしれません。

『ダークナイト・ライジング』は私の中で最高の1本になったのでこれから何度も観ることになると思います。観る方々が何を感じるかはわかりません。けれど私がここに書いている魅力の1つでも何か同じことを思ってくれたら嬉しいなと思います。

それが終わったあとこの映画の魅力をリアルでもネットでも、いつまでも、いつまでも語れたら幸せだなと思うのです。時間を共有して、その後に映画で共有した時間自体を感想を言い合ったりで共有する喜びです。これが映画ではできるのです。素敵な素敵な娯楽です。

今という時代、今日という日クリストファー・ノーランという映画人の映画をリアルタイムで見れた喜びが今私を支配しています。きっと彼はまだまだ私たちに驚きや喜びを提供してくれることでしょう。

しかしそれをただ受け身で待つだけでなく、私たち自身も何かその世界に影響を与えられる人間へとなっていけたらいいなと思いますね。映画の世界でなくても。

人生を生きる上で時につまずくかもしれません。時に悲しむかもしれません。勇気が出ない時もあるでしょう。とんでもなくもう死ぬしかない状況の時もあるでしょう。それが人生です。

しかしそんな時はこのバットマンシリーズの言葉を噛み締めれば乗り越えられる気がします。


人はなぜ落ちるのか?

這い上がることを学ぶためさ。


ブルース・ウェインの心の旅、ゴッサム・シティの旅の伝説が終わっても私たちの人生の旅は終わりません。いつまでもどこまでも私の心にはバットマンが生き続けます。

この映画を作り上げてくれた全ての関係者の方へ

どうもありがとうございました。


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徹底解説コラム2:映画に詳しくなかった私が『バットマン・ビギンズ』で受けた衝撃


徹底解説コラム3:『ダークナイト』初見の感想。ジャパン・プレミア会場は拍手喝采の熱狂になった!!


徹底解説コラム4:『ダークナイト・ライジング』ジャパン・プレミアで泣き崩れた思い出


徹底解説コラム5:シリーズで最も大切な『バットマン・ビギンズ』の概要 


徹底解説コラム 6:シリーズ一の衝撃作『ダークナイト』の概要


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徹底解説コラム 10:『バットマン・ビギンズ』中盤〜後半徹底解説!


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徹底解説コラム 12:『ダークナイト』のジョーカー徹底分析!


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徹底解説コラム17:『ダークナイト・ライジング』、感動の初見の感想をもう一度アップ 


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