『ダークナイト』におけるバットマンの存在意義を考えてみる/『ダークナイト』シリーズ徹底解説コラム 14 - Cinema A La Carte

『ダークナイト』におけるバットマンの存在意義を考えてみる/『ダークナイト』シリーズ徹底解説コラム 14




今回は『ダークナイト』におけるバットマンの存在についても少し考えてみたいと思います。

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バットマンはヒーローでしょうか。


そうじゃないんですよね、これが。


確かに悪を倒してくれる部分ではヒーローの側面も持ちあわせていますが、彼は法律を超えたこともしているのです。超法規的存在というやつです。器物破損などもう明確ですよね。正義のためならあれこれ街のものを壊すのです。

しかし警察はバットマンを必要としており一応タッグを組みます。

が、やっていることがあまりに大げさなのでそこにジョーカーは目を付けました。そう、「バットマンが正体を表さなければ毎日人を殺す」と警告するのです。となると市民はバットマンなんていなくなってしまえとなるわけです。

幸いなことに白馬の騎士のデントが街には現れたので、もうこうもり男なんていらない、デントがいればいいという流れになるわけです。その結果がどうなったかに関しては映画の方をぜひご覧いただきたいと思いますが、


バットマンの存在が場合によってはお荷物になってしまうということが生じたのが『ダークナイト』でした。


単純明快なヒーロー映画の構図は「ヒーロー(善)VS敵(悪)」という構図で悪が襲った街の人々はヒーローを応援します。ヒーローは悪に勝利し街の人々はヒーローを讃えます。そこに様々な人間ドラマも生まれ、時にヒーローの恋物語が描かれることもあります。スパイダーマンなどはこの構図がベースにあるでしょう。良い意味でです。

しかしバットマンは街の人から嫌われながらゴッサムの街を守るのです。なのに街を守りきれてない。『バットマン・ビギンズ』から一貫してきたゴッサムの街に平和をというバットマンの目的は変わらずとも自分のせいでジョーカーみたいなのが湧いてきてしまったり矛盾してるような存在に陥ってしまったのです。

しかしその矛盾は『ダークナイト』のラスト2分で解決します。バットマンは最後まで街の人に嫌われてしまいましたが最後の決断で彼は彼の目的であるゴッサムに平和をという目的を成し遂げたのです。



しかし『ダークナイト』の最後に成し遂げられた平和はバットマンが嘘を被ることで成し遂げたもの。

つまり嘘の平和だったのです。

それが『ダークナイト・ライジング』で崩壊していく様はとても衝撃的でした。



『ダークナイト』ではバットマンだけでなく、デント、そしてジョーカーが中心となって物語は進んでいきました。しかし客観的に見ればゴッサムという街で起きている様々な犯罪が物語を進めているわけであります。だからこそマフィアが出てくるのです。何重にも計算された見事な脚本はこの映画を傑作へと導いたと改めて思うわけであります。

そんな私は『ダークナイト』の中で最も好きなシーン、やはりラストシーンです。バットマンが重大な決心をし、そして去っていくラストシーン。ゴードンに語り掛けるバットマンの台詞一つ一つが心に響きました。


「現実だけでは人々は満足できない。幻想も満たさねば。」


という台詞がとても深く胸を打ちました。この台詞は発せられてる時に映っている映像は、アルフレットがレイチェルからもらったブルース宛の手紙を燃やしているシーンなのです。この手紙にはレイチェルはデントと結婚するということが書かれていました。

しかしレイチェルが亡くなり、デントが転落した今、それは叶いません。しかもブルースは心のどこかでレイチェルは自分を選ぶと思っていました。その気持ちを知ったアルフレッドは手紙を燃やし、ブルースの幻想を満たしたのです。それがバットマン、いやブルースの今後のためだと思ったからです。バットマンはバットマンで市民の幻想を満たすために重大な決心をしました。


「世の中には幻想がある。」


それを痛烈にメッセージ付けたこのラストシーンは涙を流すものでした。バットマン、改めてダークナイトは、最後は転落しそして去っていきました。バットマンは地に落ちたのです。しかしバットマン、その後8年という年月を通してもう一度這い上がるのでした。それが『ダークナイト・ライジング』で描かれました。


なぜなら彼の父親のいった言葉を大切にしているからです。


「人はなぜ落ちるのか。這い上がるため。」


そのテーマは『ダークナイト』では言葉に出さずに展開されましたが、『ダークナイト・ライジング』ではもう一度この言葉が語られました。見事な脚本構成だなと思いました。

今回はここまで。


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