ゴードン(警察)とデント(検察)の思惑の違いが生んだ悲劇/『ダークナイト』シリーズ徹底解説コラム 13 - Cinema A La Carte

ゴードン(警察)とデント(検察)の思惑の違いが生んだ悲劇/『ダークナイト』シリーズ徹底解説コラム 13




今回は『ダークナイト』でのゴードン(警察)とデント(検察)の思惑の違いが生んだ悲劇を掘り下げていきたいと思います。

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デントとゴードンは映画の中でずっとタッグを組んでいるように思えますが、最初の段階から二人は目的が異なっています。話し合いの末行動こそ一緒にしましたが、最初の思惑はそれぞれ異なっていました。


ゴードン(警察)=マフィアの摘発を先にすべき

デント(検察)=警察内部の汚職を先に摘発すべき


この違いを理解しておくと『ダークナイト』のラストシーンに深みが増します。
ゴードンの"I'm sorry, for everything."はレイチェルのことだけでなくこの思惑の違いから生じた全ての悲劇に対しての謝罪でもあるのです。

ゴードンはマフィアの摘発を先にすべきと思っていました。
まぁマフィアの足あと付いてましたし、摘発できる可能性があるならそれをしようという考えですね。

しかしデントは検事として警察内部の汚職を摘発したいと思ってました。そうすることで、街に悪が舞い降りても統治ができるからです。警察は汚職まみれなので、マフィアと組んでいたり、ジョーカーと組む可能性がありました。そういった人間を摘発することが必要だとデントは言います。

結果ゴードンの主張をデントが飲みデントもまずはマフィアを摘発する方向で動くわけです。

しかし、この判断が結果として悲劇を生みます。何度か書いているネタバレですが、レイチェルの爆死です。レイチェルは爆死し、デントは瀕死の大火傷。



さてここで疑問が。



この爆破、ジョーカーがやったものだったでしょうか?



間違いなくジョーカーが計画をしましたが、実行犯はジョーカーではありませんでしたよね。



そう、警察内部の人間が二人を縛り上げ監禁したのです。



つまり警察内部の汚職の摘発を先送りしたことで、ジョーカーにいいように使われる人間が警察内に出てしまい、警察の人間だからと信頼していたデントとレイチェルを監禁して、片方は死亡、片方は瀕死の大火傷となったわけです。



ジョーカーは狂人ですが計画性が抜群なので、警察の汚職を摘発していたら他の手立てを考えたでしょう。しかし摘発していたら少なくともこの悲劇は起きなかったわけです。よって、ゴードンは善の人間ではあるものの判断の過ちを犯したということになってしまうのです。誰もが好む理想の警官であるゴードンなのに…皮肉過ぎます。

これがわかるとあることが明確にわかっていきます。デントが悪へ転落したとき、デントはジョーカーを殺そうとしませんでしたが、連れ去った警察の人間やゴードン、ゴードンの家族は殺そうとしました。

それは何故かというとジョーカーはもともと悪だったのに対し、警察の人間やゴードン、ゴードンの家族はもともとは信頼していた人間たちです。ゴードンは悪人ではありませんが結果としてデントを裏切ったことになるのでデントはそういった意味で復讐心に燃えることになったのです。

デントはマフィアのボスであるマローニに対してジョーカーはただの狂犬だと言っています。言い換えればデントがどんな状況になってもジョーカーはもともと悪なので悪に変わりないのです。つまりやってることはひどいですが想定通りの動きをしているわけです。よってジョーカーは殺されなかったということになります。

狂ってしまったデントからしたらジョーカーはもうどうでもいいのです。自分に悲劇を生んだ信じていた人間たちに復讐をすることだけを目的として半分死んだ顔で街を徘徊するのです。

また台詞では語られていませんがデントは顔の半分に大火傷を負ったのでとんでもない激痛が走っていることが想定されます。よって今までの正義のデントのような冷静な思考は持ち合わせていないということになります。あの傷だと激痛レベルじゃないでしょうね、頭が狂って当然なのです。

痛ましいエピソードと言えばそれまでですがね。

もともとどこからどう見ても正義の人間であった人があるきっかけで悪へと転落してしまう様。それをまじまじと我々に見せつけたのが『ダークナイト』内でのこのデントのエピソードではないでしょうか。

そういった意味で『ダークナイト』はアメリカンコミック、アクション映画という枠を超えた一つの人間ドラマとしてとんでもない傑作であると改めて私は思っています。


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